オリ主は空に舞う   作:自由の魔弾

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お待たせしました。衝動的に書いてしまいました。


NO.58 運命の原点

昔々、ある所に一人の少年がいました。少年は非常に活発的で、気になったらどんな事にでものめり込む性格でした。そんな性格のせいもあってか、彼の周りには自然と人が集まっている事が珍しくありませんでした。

彼から発せられるオーラとも言うべきものが、周囲の人間を虜にしてしまっていたのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・運命、本当のこと言ってる?」

 

「・・・すみません、かなり話を盛りました」

 

簪のジト目には敵いませんでした。はい、私、金森運命は嘘を認めます。楯無さんが横で苦笑しているけど、俺は軽く咳払いをして話を続けた。

 

「ンンッ!まぁ、本当はそこまで明るくはなかったよ、人並みにね。だけどね、人が集まってきたっていうのは本当なんだ。ある事が理由でね」

 

運命の意味深な言葉に、楯無と簪は頭の上に?マークを浮かべる。

そして、思いついたままに答えを言い始める。

 

「家がお金持ちだったの?」

 

「いいえ、普通の一軒家に住んでましたよ」

 

「あっ・・・親が偉い人とか?」

 

「いいや。父さんは工場の作業員、母さんはスーパーのパートだね」

 

「まさか、通販サイトでよく見るフェロモン増幅効果がある特殊な香水を・・・」

 

「いやいやいや!?流石に小学生の時からそんなもの使いませんよ!?」

 

「やっぱり・・・昔から運命はヒーローだったから?」

 

簪の言葉に一瞬、黙り込む運命。その様子を怪訝に思ったのか、楯無と簪は自分たちが何か失言をしてしまったのではないかと狼狽する。しかし、運命は何かを懐かしむように笑い、すぐに説明を始める。

 

「いや、ごめんなさい。ヒーローって言葉で思い出してね。こんな性格だ、周りの人間の中には俺の事を疎ましく思ってる人も多かった。特に暴力を働こうと血の気の多い人たちがね」

 

改めて掘り下げられた運命の過去に同情的な視線を向ける楯無と簪。

しかし、それとは対極的に運命は本当に明るい口調で話を続けた。

 

「因縁をつけられては殴られたこともあったな。複数人で袋叩きにされてる時、いつも助けに来て返り討ちにしてくれた人がいたんだ」

 

運命の話を聞いて、思わず感嘆の声をあげる楯無と簪。

運命もまるで自分のことのように鼻高々にその人物について話す。

 

「凄く強くて優しくて、初めて俺もあんな風になりたいって思えたんだ」

 

そんな運命の説明を受けて興味が湧いたのか、楯無があることを思いついた。

 

「ふーん、運命くんがそこまで言うほどのすごい人なんだ。なんて名前の人なの?教えて教えて!」

 

「もちろん良いですよ。俺が唯一憧れたヒーロー、その人の名前は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か用か?私を尾けてどういうつもりだ?」

 

金森運命が意気揚々と自分語りをしている頃、廊下を歩いていた織斑千冬は背後からなんとも言えない気配を感じ、振り返る。

すると、物陰から様子を伺っている人物が姿を現した。

 

《気づいていたか・・・流石は世界最強の名を持つ者だ》

 

現れたのは蒼いIS“エクシア”だった。千冬はエクシアの学園内で異彩を放っているその風貌を注意した。

 

「いい加減、その姿で学園内をうろつくのはやめろ。生徒に迷惑だ」

 

《・・・それでは、望み通り解除するとしよう》

 

エクシアはそう言って、自身の姿を解除する。現れたのは二十代半ばの男だった。

 

「ふぅ・・・やっと息が出来る。生きた心地がしないんだよなぁ・・・これ。お!千冬〜!!」

 

男は視線の先にいる千冬に向かって手を振りながら走り出した。その様子を見た千冬もゆっくりと手を振り上げて迎える。

そして、男と千冬の距離が目の前まで縮まったその時だった。

 

「久しぶ「フンッ!!」ぐべらッ!?」

 

千冬に抱きつこうと両手を広げて近づいていった男。それに対して千冬は上げた腕ごと男に叩き込んだ。無慈悲にも放たれた世界最強の手刀を受けた男は、その威力に耐えられずその場に倒れこんだ。それはもう廊下にめり込むほどに。

 

「貴様はッ!今までッ!一体どこをッ!ほっつき歩いてッ!いたんだッ!」

 

千冬は倒れ込む男を何回も踏みつけながら、今まで溜め込んでいた気持ちを露わにする。その威力は彼女の思いに比例するかのようにどんどん強くなっていく。

 

「ちょ、待てって、痛ッ!ヒール!めり込んでるから!」

 

その後もそんなやりとりが何回も続き、結局終わったのは数分後だった。

 

「それで、何年も音信不通だったお前が一体何をしに来たのだ?」

 

「冷たいなぁ。そんなだから未だに彼氏の一人もできな「あぁ?」何でもありません、はい」

 

鬼だ。確かに今男の前には鬼がいた。

男は気を取り直して、話題を変える。

 

「まぁ、千冬の彼氏事情は放っとくとして・・・にしても、ちゃんと先生になれたんだな、千冬。あぁ、そうだ。何で戻ってきたかって言うと、とりあえず一区切りついたからかな」

 

男の言葉の意味に悩む千冬。こいつは昔からそうだった。言いたいことはやんわりとしか言わず、その真意は悟られまいと話すこのスタンス。毎回の会話が謎解きになってしまうほどに。

 

「お前の言う一区切りというのは“枯野狂也を倒す”という事でいいのか?」

 

「うん、まぁそれもあるけど。あとは運命の救出と保護、最後に“Reboot”ね。それよか、束はどこにいるの?ちょっと用があるんだけど」

 

男の質問に答える千冬。しかし、別の人物が会話に割り込んだ。

 

「あぁ、それなんだがあいつは「ムムッ!誰か今この世紀の大天才束さんを呼んだかな〜?」お前・・・」

 

男の声に呼応するかのように、天井から当人が生えてきた。重力を感じさせないその動きは流石としか言いようがない。

 

「よう、束!相変わらず不思議ちゃんだな〜」

 

男の姿を見た束は、一目散に走って男に抱きついた。

 

「バカバカバカァ!!大くんのバカ!もう二度と会えないと思ってた・・・」

 

束は普段のつかみ所のない振る舞いをせず、素の自分のまま男を力なく何度も叩く。普段の彼女を知っている人物には想像も出来ない姿とも言えるだろうか。

“あの”篠ノ之束がここまで感情を露わにするなんて。

 

「束、千冬・・・心配かけて、ゴメンな!ようやくケジメがついたんだ、俺の因縁に」

 

男の言葉を受け、束は涙を拭い笑いかける。千冬も柔和な表情を浮かべどこか満足そうだ。

 

「まったく、お前は学生の時から変わらないな。決めたらとことんやり通す意思の強さは特にな」

 

千冬の賞賛の声にはにかむ男。男は一旦束を体から離すと、改めて自分の帰還を告げた。

 

「6年の時を経て無事に帰って参りました!銅島 大地(どうじま だいち)です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜、銅島大地っていうんだ。運命くんの憧れの人」

 

運命が自分の幼なじみで憧れでもあった人物について話し終える。

 

「俺が中学校に上がってすぐくらいに、引っ越したかなんかで居なくなっちゃったんです。それっきり会ってないんですけど、当時の事はよく覚えてますよ」

 

運命は本当に楽しそうに自分の事を語る。忘れかけていた記憶を大切に補完するように。

 

「他には、どんな人が居たの?」

 

不意に簪が質問する。運命は記憶の中にもう一人、話さなければならない人物がいる事を思い出した。

 

「さっき幼なじみって言ったけど、実はもう一人いたんだ。神童沙織っていうんだけど、この子がまぁ・・・俺がこっちの世界に来た直接の原因でもあるんだよね。ちょっとだけ長くなりますけど、聞いてください」

 

運命は人生の起点について話し始めた。

 

中学生になった少年は、銅島大地がいなくなった寂しさを紛らわす事に必死でした。不幸なことに少年の両親は既に他界し、少年は叔母の家に世話になっていた。叔母は血の繋がりのない少年を疎ましく思っていました。誰にも頼る事が出来ない彼は、もう一人の幼なじみである神童沙織に縋ることで一抹の寂しさを紛らわす日々が続いていました。彼女は少年に好きなだけ泣いていいと言いました。早くまた笑ってほしいという願いを込めて。

しかし、ある日少年のもとに数人の男子がやって来て、連れ出された後暴力を働きました。あとで聞いたところによると、その男子たちは神童沙織に交際を申し込んだが、彼女に断られたことに腹を立て、怒りの矛先が少年に向けられたということらしい。

少年は抗議した。なぜ自分にだけこんな事ばかり起こるのか。何で自分は幸せになれないのか。帰ってきたのは答えではなく、暴力、暴力、ただただ暴力だった。

やがて、少年をいたぶる事に飽きたのか男子たちは少年にこんな事を告げた。

「お前は知らないと思うけどよぉ、神童の奴、お前の事相当気味悪がってたぜ。あんなナヨナヨした情けねぇヤツに絡まれてうぜぇってさ。女って怖ぇよな!アッハッハ!!」

 

後から考えれば、男子たちが言っていた事が嘘であることは理解できただろう。しかし、少年は自分が唯一信じ頼る事ができた神童沙織に裏切られたと感じた心の傷のほうが深く、思考の全てを邪魔して、気付いた時には全てを投げ出して自分の部屋に閉じこもっていた。人間関係の全てを絶って、ひたすら二次創作物に没頭した。そこにいる住人達は決して自分を裏切らないと信じていたからだ。

 

 

「なんで・・・過去形なの?」

 

簪が静かに質問する。

 

「それはね、楯無さんと簪。貴女達が俺ではない誰かに恋をしてしまったからだよ」

 

俺の言葉に絶句する楯無さんと簪。ある意味での告白になるだろうか。

 

「俺はその事実に目を伏せ、すぐに近所にある車の通りが最も多い道路まで走ったよ。また裏切られたなんて信じたくなかったんだ。トラックだ、大型トラックが来た瞬間道路に入ればすぐに終わるって考えた。暫く待ってたらやっとトラックが来た。良きタイミングで入ろうとしたら、視界の端に女の子がいた。迷子になってたらしく、道路の反対側に母親らしき女性が待っている。まさかね、って思ったら案の定女の子が道路に入ったんだ。ふざけるな、この道路は俺が死ぬ道路だ。俺以外はみんな邪魔なんだよって思ったら、気づいたら女の子庇ってた。こうして、少年こと俺の人生は一旦幕を閉じました。めでたしめでたし」

 

 

 

 

 

 

 

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