東方秋風録   作:衣美味

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本文は、『上海アリス幻樂団』による『東方Project』シリーズの二次創作です。

本文に表参道についての描写がございますが、現実とはかけ離れた表現をさせてもらいます。実際の表参道は小綺麗で品があり、人々が和気あいあいと並木道を歩く平和的な場所です。私の勝手な描写で表参道のイメージを悪くしたのであれば申し訳ございません。

前置きが長くなってしまいましたね。
それでは、どうぞ。
皆様が楽しめるよう頑張ります!!


プロローグ ー五丁目の裏路地でー

 

 

 

 

 

高層ビルが立ち並ぶ賑やかな表参道に佇む裏路地には年季の入った、それこそ蔦が張り巡らせれているレンガ造りの一軒家があった。

 その一軒家は決して大きいとは言えないが路地裏の廃れた建物と比べ、どこか一線を画す所があり、良くも悪くも目立っていた。

 その一軒家の大きな窓からは、風変わりなガラスの装飾品が部屋一面を覆っており、カウンターには多くの古本が無造作に積み重ねられている。

 独特な雰囲気の店だ。

 

「お前もどうだ?二次会も一緒に行くよな?」

 

「いや、遠慮しとくよ。俺は明日も仕事だし」

 

「えぇ~!?来ないの!?うわぁ~凹むわぁ。マジないわぁ…俺の事が嫌いなんだな」

 

表参道の並木道を友人3人と仲良く肩を並べ歩いている。

 

「いやいや、そんなの冗談でも言えないよ」

 

「冗談じゃなかったらいえるんだぁ!!」

 

「いや、だからさぁ」

 

「お前は先に行きな。どうせ例のアレだろ?近藤は俺が面倒みるよ」

 

「……いつもすまんな。長次」

 

「気にすんな。じゃあ気をつけて帰れよ」

 

「じゃあなぁ!!茂ぅ!!今夜は茂の分まで飲むぞぉぉぉ!!」

 

「うん、近藤も体には気をつけてな。……またね」

 

 時刻は既に12時を回っているのにも関わらず、表参道は未だ店頭の明かりが消える事なく、車の走行音や多くの人の足音と喧騒に包まれている。

 そんな人混みの中を突き進み、街灯の明かりが入らない薄暗い路地裏に足を向けた。

 表参道とは打って変わり、街灯の光が建物の隙間から漏れる、ゴミの匂いを含んだ湿り気のある路地裏には派手な服装に身を包んだ女性達がタバコを片手に談笑してたり、季節外れのボロいコートを身に纏った男性が力なく座り込んでいたりしている。

 

「はぁ.....」

 

 光が入らなくなるほど入り混じった路地裏をひたすら進み、特徴的な看板が掛けられた電柱を右に曲がると、例の一軒家が姿を現わす。

 その大きな窓からは温かい電球色の明かりが漏れ、真っ暗な路地裏を暖かい光で照らしていた。

 いつのもようにドアを開け、中に入る。

 

「いらっしゃい……ってシゲ君か」

 

「こんばんは店長。相変わらずですね」

 

「はは......まぁね」

 

 摩訶不思議で奇妙奇天烈で、

 その空間を言い表すにはどのような言葉を用いればいいのか良く分からない。

 部屋一面を覆い尽くす奇抜なガラスの装飾品は、電球色の光を自ら放ち、その暖かな光はどこか芸術的なものを感じさせてくれる。

 近くの物置には玩具の兵隊が並べられており、店主が座っている向かいのカウンターには古本がいくつも積み重ねられ、奥の棚にも多くの古本とガラクタが無造作に並べられていた。

 

「いやぁ最近体の調子が悪くてね。歳かな?」

 

「そんな若々しい姿で言われても困りますけどね。気のせいじゃないですか?」

 

「ふむ。少し顔を老けさせてみようか」

 

「貫禄が出ていいと思いますよ」

 

「冗談だよ冗談。こっちの方が女にモテやすいからね。変える気はこれっぽっちも無いし」

 

「店長の性癖に文句を言うわけではないですが女遊びは程々にしてください。店長の姉さんに色々と言われるのは僕ですから」

 

「どうせ俺を見張れとか言ってるんでしょ?あの怪力性悪女に」

 

「いや私に言われましてもねぇ。てか、そんな大きな声で言わないでくださいよ。もし聞いていたらどうするんですか?」

 

「あいつは今日授業があるらしいから、そんな心配しなくていいさ。それより仕事だ」

 

「あぁ……僕、仕事帰りなんですけどねぇ」

 

「君が選んだ道だろう?」

 

「そりゃそうですけど.......」

 

 そんな茂を無視し、店長は話を続けた。

 

「仕事の内容だが…場所は幻想郷だ」

 

「はぁ....噂で耳にしたりしますけど、どこにあるんですかそれ」

 

「裏世界の一つだ。まぁ今どき珍しい話でもあるまい」

 

「……それで依頼内容は?」

 

「どうやら近頃、その幻想郷でなんかの臨時会議が開かれるらしい。お前は俺の代理人としてそこに行ってもらう。そんで適当に話聞いてればいいや」

 

「え?それだけでいいんですか?」

 

「あぁ、せいぜい『秋風一家』の名に恥じないようにな」

 

「分かりました。因みに移動手段はどうするんですか?」

 

「お前が店に入ってからドアに術式を仕込んだ。ドアから出てくれれば依頼主の屋敷に繋がっている」

 

「問題が起きたらどうしましょう?」

 

「何も心配すんな。お前は俺の代理として胸張って行けばいいんだよ。男は度胸だろ?」

 

「いやまぁ.....そうすけど」

 

「分かったらほら。さっさと行ってこい」

 

「じゃあ行ってきます」

 

「おう」

 

 因みに言い忘れたが、『秋風一家』と言うのはこの店の名前だ。僕らは血が繋がっている訳でも、ましては苗字が同じという訳でもない。ただ、この店の従業員は「秋風一家」の一員として、その看板を背負うことになる。責任重大だ。

 それと最後に一つだけ言い忘れた事がある。

 

「あぁ、それと一つだけ忠告してやる。女には気をつけろよ。幻想郷にろくな女は一人もいねぇぞ」

 

 うちの店長は魔女であると同時にレズである。

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