ハルカ「程遠いんだよねぇ!」
ミツル「穴掘って埋まってます」
オリ主「これこそがきあいパンチ」
きあいパンチ親父「あんたこそきあいパンチ親父だ」
岩「オデノカラダハボドボドダ」
オリ主「きあいパンチを望むか?」
ミツル「きあいパンチ! きあいパンチ!」
オリ主「よろしい、ならばきあいパンチだ」
○月□日 晴れ
ジム戦終了。
電気タイプの何が厄介って、攻撃されるにしてもするにしてもどっちかに麻痺のリスクがあることだよね。ないやつもいるけど……いるっけ?
ゴクリンのきあいパンチがちょっと何が起こったのかわからなかった。あとスバメがオオスバメに進化した。
あわや戦闘不能かと思ったら進化して、麻痺をものともせずにきあいパンチを撃ってライボルトを沈めたのはとてもかっこ良かった。ツツジさんとの戦いの時に困惑していたのが嘘のようだ。アイツ、主人公の器だったんだね。
電気タイプと戦ってみて思い出したんだけど、俺、水タイプのポケモン持ってないね。波乗りとかどうしよう。
……サーフィンかな?
それはさておき、キンセツシティの北の道はよく落石があるそうだ。で、その落石で道がふさがりやすい。
ゲームやってた時のあの岩の謎が解けたね。テッセンさんはジムとか街の改造よりも道の舗装をやった方が良いと思う。何で舗装しないんだろう。個人で解決できるからか? 岩砕き親父大活躍だね。
さて、きあいパンチで岩を破壊すると、向こうにはインタビュアーさんとカメラマンさんがいた。
バトルしたらインタビューお願いされたから快く引き受けた。今回のバトルに関して一言、と。
だから言ったんだ。
「時代はきあいパンチです」
ってね。これにはインタビュアーさん……マリさんだっけ? も苦笑い。カメラマンさんは黙って頷いてた。
カメラマンさんは見所ありそうだ。機会があればきあいパンチを教えてあげたい。
ロープウェイ入口にマグマ団の連中が屯していた。イラッとしたけどぶっ飛ばすのは止めておいた。ロケット団じゃないもんね。大怪我させるのはさすがにあれだ。
確か流星の滝のイベントあるんだっけ。その後煙突山でリーダー戦か。
ロープウェイに乗れないなら仕方ないってことで炎の抜け道に入ってドガースとワンリキーとドンメルを捕まえた。今回のジム戦はこいつらかな。
今はフエンタウンにいる。考えてみればハルカちゃんが行っただろうから俺が行く必要無いし。森暮らしのきあいをもってすればあの急斜面くらい登れなくはないしね。
火山灰も嫌だし。でもデコボコ山道くらいなら行ってもみようかな。
取り敢えず温泉に入りながらハルカちゃんの健闘を祈るとしよう。
━━━━━
ジム戦終えて出てきたらレン君がいて、「目と目が合ったらバトル。常識でしょ?」とか言い出したから焦った。冗談だったらしいからよかったけど……。
やっぱりレン君は変な人だ。
翌日、レン君はジム戦があるそうなので別れた。丁度落石は無かったのでラッキーだったね。
フエンタウンに行こうとしたらロープウェイ入口にアクア団とはまた別の怪しい集団がいた。
いるだけならまだ良かったけど通してもくれない。
話を盗み聞きした感じだとハジツゲタウンのソライシ博士がどうとか、ホムラさんが向かったとかなんとか……。
取り敢えずこの人達じゃ話にならないし……ホムラさんって上司だよね? ホムラさんに文句言ってどかしてもらうしかないかなぁ。
そんな訳で今ハジツゲタウンに向かってる。
けど、火山灰が酷すぎる。女の子としてはやってられない。灰に潜って忍者ごっこしてる男の子とかいたけど意味わかんない。
でもレン君なんかはノリノリでやりそうだなぁ。
「灰の中からきあいパンチだ!」みたいな感じで。
火山灰にイライラしながら進んでやっとハジツゲタウンに着いた。でも休んでられない。ソライシ博士は流星の滝に向かったそうだ。
面倒なことはさっさと済ませないと。
流星の滝はハジツゲタウンから少し離れた所にあるみたい。歩くのやだ……と思ったけどキンセツシティの自転車屋さんが自転車を貸してくれていたのを思い出した。
早く気づいてればこんな、火山灰まみれになることもなかったのに……今さら言っても仕方ないか。
自転車で気分爽快、そう思っていられたのは少しの間だけだった。
途中からやたら坂道が増えてきた。自転車に乗ってたら歩くより疲れそう。
で、やっとかっと流星の滝に着いた。
中は滝の音が凄いけど、マイナスイオン? みたいなのがなんか良い感じな気がする。急いでない時に来たら良い場所かも。
中にはソライシ博士? らしいおじさんと赤い人。ホムラさんはあの人かな?
「ウヒョヒョ、この隕石があれば煙突山のアイツが……ウヒョ?」
あ、気付かれた。
「あの」
「誰だか知らないがマグマ団の邪魔をするなら容赦しないぜ!」
「ロープウェ」
「待て! マグマ団! 世界をお前らの思い通りにできるなんて大間違いだ!」
「だから」
「ウヒョヒョ……アクア団まで来たのかよ……一々相手にするのも面倒だな……隕石は手に入れたしさっさとずらかるぜ。あばよ!」
誰も話を聞いてくれない。なんなのこれ。ホムラさん? はさっさと行っちゃうし。
アクア団のリーダーの……何てヒトだっけ?
「お前とは確かカイナの博物館でも会ったな」
「えーっと、そうですね」
「あの時はマグマ団のしたっぱだと思ったんだが……妙な奴だ。マグマ団とは陸地を増やすなどと抜かして破壊活動を繰り返す危険な集団だ。我々アクア団と違ってな! お前も気を付けることだ」
「あ、はい」
アクア団も大概迷惑だし(頭おかしいって意味で)危険だと思いますとかは言わない方が良いよね。
「アオギリ様、マグマ団を追いかけないと」
「そうだな……奴ら、煙突山で何をしでかすかわからない。急ぐぞ!」
成る程、あの人、アオギリさんだったね。覚えてないのバレなくて良かった。絡まれたら面倒くさそうだし。
ホムラさん行っちゃったってことは、多分今から戻ればあの人達ロープウェイ入口から移動してるはずだよね。
そうと決まればさっさと戻ろう。
帰りは自転車で早かった。ただ道があまり自転車向けじゃなかったからお尻が痛くなった。
ロープウェイはフエンタウンに直通ってわけじゃない。一旦煙突山で降りて、デコボコ山道を下ることでフエンタウンに着く。
で、ロープウェイで登ったはいいんだけど、やたらアクア団とマグマ団がいて通れそうにない。これ、この騒ぎ収まるの待つか、片付けるまで通れない感じ……だよね。
ああ、フエンタウンが遠い……。
終わった。頑張った。疲れたよぉ。
フエンタウンは温泉があるんだって。こんなに頑張ったんだもの、きっと気持ちいい。
温泉はポケモンセンターと繋がっているようだ。
ポケモンセンターの中に入ると、テレビがついていた。別に普段テレビをよく見るわけじゃないけど、ついてたら見ちゃうよね。
……見なきゃ良かった。
「時代はきあいパンチです」
うん、知ってる人だった。何でテレビに出てまできあいパンチを押してるの? それに、随分とまぁ、楽しそうに、ね。
私はこんなに苦労してたのに……。
「あれ、ハルカちゃんだ」
察した。
浴衣だった。満喫してるね。
床を殴ったこの手が痛い。
━━━━━
朝だ。温泉に入ったお陰か肌の艶とかそういうのがなんか良い感じな気がしないでもない。
昨日、大分疲れた様子のハルカちゃんに会った。どうやら流星滝~煙突山のイベントをこなしてきてたらしい。俺は丁度お風呂上がりだったからか、恨めしげな目で俺を見てきた。
まぁでも美少女は火山灰で薄汚れてても美少女だから。
何の話だろうね。
「こないだのジム戦でオオスバメに進化したんだよ」
「へぇ」
「あ、そうだ。後でポケモンを交換してくれない?」
「いいよ……え?」
「あー、違う違う。ユンゲラーとゴーリキーを、ね」
何を隠そう、俺は友達が少ない。エントリーコールに登録しているのは両手で足りる程だ。
森暮らしだったし、多少はね? いや、逆に考えるんだ。会ってバトルしたばかりの人間をホイホイ登録する方がおかしい。絶対後で「誰?」ってなる。昨日の敵は今日の友? いやいや、敵が味方になるとか死亡フラグでしょ。
さて、ジムに着いた。
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落ち着くのよハルカ。
こんなのはいつものこと。そう、もう何回も見てきたじゃない。
慣れるのよ。……いや、慣れちゃだめ。
慣れるんじゃなく……そう、受け流すのよ。
「ようこそ……じゃなくて、よくぞここまで来たものだな! 私はここのジムリーダーを務めさせて頂く……じゃなくて、ジムリーダーを任されたアスナだ!」
「どうもはじめまして、レンと申します。フエンタウンって良いところですよね。温泉、凄く気持ち良かったです」
「そうだよね! ここの温泉最こ……じゃなくて、この町の温泉は素晴らしいものだ。気に入ってもらえて嬉しく思う」
「あ、話そらしちゃってすみません。それじゃ、早速始めましょう」
「……ジムリーダーに成り立てだからって油断しないことだ!」
……ジムリーダーさん、初々しいなぁ。
さて、深呼吸。
開幕きあいパンチなんてもう当たり前。狼狽えちゃいけないわ。
「さぁドガース! きあいパンチだ!」
楽しそうで腹がt……いいえ、楽しそうなのは何よりよね。
レン君は楽しみつつ、私は情報収集できる。win-winの関係よ。ええ、この程度、なんてこと無い。無いったら無い。
レン君の指示で、ドガースは大量の煙を吹き出す。如何にも体に悪そうだ。
今回のきあいパンチは煙を出すだけ? 案外、普通なのね……いや普通ではないけど。
そう思ったのも束の間、煙が拳を形作り、ジムリーダー、アスナさんのドンメルを殴り飛ばした。
でもさすがにジムリーダーのポケモン、ちゃんと起き上がってきた。
「よしっ……」
思わず声が出てしまった。気を付けよう。
……あれ? 起き上がってきたのは良いけど、なんかふらついてる?
「まさか、毒か!?」
「ドガースの出す煙は、割と有害ってのは有名な話ですよね」
真正面から殴ったかと思えば、なんて姑息な手を……。あれ? 殴ったって言うんだっけ今の。
毒のダメージもあって、それからすぐドンメルはダウンした。
「なかなかやるな! だがいつまでもそうはいかないぞ! マグマッグ!」
「きあいパンチ!」
「日本晴れだ!」
……? 攻撃技じゃない?
マグマッグもやられてしまった。え、アスナさん大丈夫なの?
「ありがとう、マグマッグ。さあ、ここからだ! バクーダ!」
「何をしてこようとこっちのやることは変わりません。きあいパンチ!」
「メロメロ!」
「あっ……」
バクーダがドガースに向かってウインクした。ドガースの動きが止まる。
メロメロって確か、違う性別のポケモンに使うとメロメロになって攻撃が出せなくなる、みたいな技だよね。
……あれにメロメロになっちゃうんだね。
「ドガースしっかりしろ!」
「今のうちだバクーダ! オーバーヒート!」
バクーダの背中のコブから凄まじい熱量の火炎が放たれ、ドガースに飛んでいく。
着弾、爆発。ドガースは……戦闘不能ね。
さすがジムリーダー、この調子で頑張ってほしい。
レン君の次のポケモンはバネブーだ。
「メロメロ!」
「くっ……」
バネブーもメロメロにかかってしまう。レン君の表情が歪んでる。その調子ですアスナさん!
「おいバネブー、お前があのバクーダにメロメロなのはわかる」
ヤバい、レン君の謎説得が始まった。アスナさん急がないと……!
「でもな、それで攻撃しないってのは違うぞ」
何を言ってるの? ほら、アスナさんもキョトンとしてる。
バネブーはしっかり耳を傾けている。ビヨンビヨンとバネの音を響かせながら。
「お前のその想いは、見てるだけじゃ、じっとしてるだけじゃ伝わらないんだ! ぶつかれよあのバクーダに! されるがままじゃ駄目だ! お前が惚れたアイツは、お前の想いも受け止められないちっぽけな存在なのか? 違うだろ!? だったら、ぶつけるんだ! お前の想いを、お前の
メロメロの効果なんだから惚れたも何も無いんじゃ……。ほら、アスナさんもポカンとしてる。
ってアスナさんはそれじゃだめでしょ!? 早くしないと多分バネブー攻撃してくるよ!?
「さあ、見せてやれ! きあいパンチ!」
バネブーの目に、炎が点る。ビヨンビヨンという間抜けな音を響かせながらも、その跳躍はプロボクサーのそれのように、次の一撃が全力であることを匂わせる。
我に帰ったアスナさんもバクーダに指示を出すが、すでにバネブーは大きく跳躍していた。
バネブーは、頭の真珠を手に持ち、端から見ても全力と分かる勢いでバクーダの頭に叩き付けた。
……バクーダ、戦闘不能。
もう何か、言葉が出てこない。
━━━━━
○月◇日 晴れ
フエンタウンジム戦。
ゲームやってた当時、メロメロに苦戦させられたのを、実際に食らってから思い出した。
俺ったら低能ね。
ドガースのきあいパンチはなかなか汚かった。汚物的な意味じゃなくて忍者的な意味で。まぁメロメロ食らってやられるんだから可愛いもんだよ。
今回のMVPは多分バネブーだろう。メロメロの誘惑に抗ってバクーダを倒した。良い♂だったね。その後コータスにやられたけど。
あと、その後出した時にメロメロ食らってから、ヤルキモノがメスだったことを知った。
なんか……ごめんな。
読んで頂きありがとうございました。
まだランキングに残ってますね。嬉しい限りです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
次回予告
立ちはだかるケッキングパパ! 越えられない(種族値の)壁! 逆境のヤルキモノは一体どうする!? 諦めないで城之内! 諦めなければきっとなんとかなる筈よ!
次回 お前だパンチ 第8話
ハルカ敗北す
明日の自分に、きあいパンチ!
毎回予告書いてはいますけど、信じてる人いませんよね? 信じないでくださいよ?