ネタバレと描写不足が多々あります。ご注意ください。
「おまたせ~っ」
今日は、買い物に来て偶然美希たんとブッキー、
そしてせつなと会ったけれど、あたしの真の目的は別にある。
「今、クローバータウンストリートでは福引をやっているの。
お買い物をするとコインが貰えて、それで福引が1回できるのよ」
美希たんがせつなに説明する。
「ラブはそれがやりたいのね」
「うん!今日が最終日なの!
今日こそ絶対、大当りをゲットするんだ!」
「大当りは『幸せの素』なんですって」
「幸せの素…」
「よーし!いっくぞ~っ!」
いざ!尋常に勝負!
3人が見守るなか、あたしはUFOキャッチャーにコインを入れる。
さて…どれを狙おうか…
…
……
………
「どれにしよう…」
だあぁっとズッコケる3人。
「決めてなかったの?」
「とりあえず、取れそうなのを取ってみたら?」
呆れた様子の美希たんとブッキー。
せつなも苦笑いだ。うーん…あ!
「そうだ!せつなの占いで大当りを占ってみよう!」
ラブが突然無茶ぶりをふってきた。
「おもしろそうね」
「わたし、せつなちゃんなら当てられるって信じてる!」
便乗する二人。なんでよ!
「ちょっと皆!わたしの占いをなんだと思ってるの!」
わたしの占いは結局人生相談みたいなものだ。
超能力なんかではないのだ。
「ね、せつな。ここはせつなの凄さを
美希たんやブッキーに知らしめる良いチャンスだよ!」
「「「お願~い」」」
3人が懇願する。
「まったく…」
なんて言いながら、わたしはほくそ笑む。
なぜならば、わたしは正解を知っているから。
だてに過去に戻ってきているわけではない。
「ちょっと待ってて」
わたしは目を閉じて瞑想する…ふりをする。
ごくり…とその様子を見守るラブ達3人。
わたしは勿体ぶってゆっくりと目を開ける。
「…わかったわ。あ…」
「お!イー…せつな!お前なにやってんだ?」
突然声をかけられた。この声は…
「ウエ…隼人。」
コイツ。良いところを邪魔しやがって…。というか、不味い。
ラブと一緒にいるところをウエスターに見られたら…
「えーっ!?せつな!この人誰!?」
「せつなちゃんのお知り合い?」
「ちょっと!どーいう関係よ!」
想像以上に食い付くわね!あなた達!
「えーと…彼は…」
「おう!俺はせつなの同僚のウ…西隼人だ。」
自分で答えるウエスター。
あれ?彼ってもしかしてラブの顔忘れてる?
「せつなの同僚?」
「ということは、西さんも占い師なんですか?」
「お!よく知ってるな!それと、隼人でいいぞ!」
美希とブッキーの質問に答えるウエスター。
それにしても…彼ホントにラブのこと
忘れてそう…ならあの時…
遊園地で慌てる必要もなかったか…
「もしかして、大輔が言ってた占い館のおにーさん?」
「大輔?…あ!あの中坊トリオの事か?」
あれ?ラブとウエスターの会話に、なんだか悪い予感が…
「やっぱりそうなんだ!
…ねぇせつな、せつなって最近遊園地に行った?」
…不味い。
「わたしは…」
「お!俺と二人で行ったぞ!面白いな、あそこは!」
…ウエスターの、バカめ。
「緊急会議!美希たん!ブッキー!」
「ええ!」
「うん!」
すごい勢いの3人に福引会場の裏手に引きずり連れ去れた。
なんでよーーっ!!
「…なんだ今のは…」
イースが連れてかれちまった。
「あのーお兄さん」
「む、なんだ?」
何かの店員だろうか。
なにやら困ったように俺に話しかけてきた。
「お兄さんさっきの娘達の知り合いだよね?
なら代わりに福引選んでくれないかな?
他のお客さんもいることだし…」
「? よくわからんが、いいぞ」
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「被告人、東せつなよ。前に」
クローバータウンストリートの福引会場の裏手。
そこでわたしは、ラブ、美希、ブッキーの3人に囲まれていた。
「なぜ、あなたがこの法廷に
呼ばれたのか、あなたに心当たりはありますか?」
正面の美希がわたしに聞く。
「いえ…わかりません…」
隣でラブがスッと手を挙げた。
「なんですか桃園検事」
「裁判長!被告人東せつなは、最近遊園地に、男性…西隼人氏と
二人で遊びに行った、と報告されています。
これは、西隼人氏本人も認めており、
まごうことなき事実であると判断します」
美希がブッキーに目線を向ける。
「山吹弁護士、これに対して異議はありますか?」
「ありません」
なんでよ。
「異議あり!」
「被告人の異議を、却下します」
「裁判長、目撃者である知念大輔氏によりますと、
西隼人氏は同行していた女性、即ち被告人を『自分の彼女』と
呼称していたそうです」
「山吹弁護士、これに対して異議はありますか?」
「ありません」
仕事しろ弁護士!
「異議あり!」
「被告人の異議を、却下します」
「さぁ~てせつな?」
「詳しく聞かせて」
「貰おうかしら♪」
実に楽しそうに、3人が詰め寄る。
いやわたしも、皆とこんな話をするのは楽しいのだけども。
言いがかりにも程がある。
「ほ、ホントになんでもないのよ。
勘違いというか妙な誤解があるようだけど…」
「大当たり~~~!!」
その時、福引会場から鐘の音と拍手が上がった。
「え!?」
「うそ!?」
「誰が!?」
「ああああ!忘れてたぁぁぁぁ!!」
急いで会場に戻ると、困惑した顔のウエスターが一人イース達を待っていた。
「あ、遅かったじゃないか」
「隼人さん!大当たりが出たんですよね!」
涙目のラブがウエスターに詰め寄る。
「ちょ、落ち着けっ!」
「隼人、誰が当たったか…
いえ、大当たりはどんなものだったか、見た?」
当然わたしは大当たりがどんなものか知っている。
ラッキークローバー…四つ葉のペンダント。
過去ではわたしがラブから受け取り、
そしてイースとして彼女の前に正体を晒した時に、壊してしまったものだ。
まさか、手に入らないなんてことになるとは。
残念ではあるが…
わたしは、それよりも素晴らしいものを今日手に入れていた。
「あー…どんなものだったのかは見てみたかったのになぁ」
「どんまい、ラブ」
「次の機会を待ちましょう」
美希とブッキーがラブを慰める。
「なんだ?大当たりなら、ほれ」
ウエスターが手に持っていた
グリーンに光るラッキークローバーのペンダントをラブの前に出す。
「「「「え?」」」」
「お前達が福引をほっぽってどこかにいっちまったからな。
店員に頼まれて俺が引いといたぞ」
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「すごーーーい!」
「これが[幸せの素]なんだぁ」
「ラッキークローバーかぁ、なるほどねぇ」
「何が嬉しいのかはわからんが、これは元々お前達の物だ。
俺は引いただけだからな」
そう言ってウエスターはペンダントをラブに差し出した。
どうやらウエスターにとって、
このペンダントは特に興味の対象ではないらしい。
…食べ物ならこんなにすんなりと渡してくれないだろう。
「ありがとう!隼人さん!でも、
あたしはもう幸せゲットしてるし…
大当りがなんなのか知りたかっただけだしなぁ…そうだ!」
ラブがウエスターの手を取ると、そのままわたしの前に誘導した。
「ほら!恋人のせつなにあげちゃいなよ!」
「なっ!?何を言ってるのよ!ラブ! 」
「素敵~」
「ナイスラブ!」
ちょっとそこの外野!
「? 恋人?せつながか?」
えっ と固まる3人。
「か…彼女じゃないんですか?」
恐る恐る美希が聞く。
「? せつなは彼女だろう?
というか、女性は『彼女』と呼ぶんだろう?俺は『彼』だな!」
「「「あっ…(察し」 」 」
「だがまぁ確かに、これはせつなが持っていた方が良さそうだ」
そう言ってウエスターは、スッとわたしの首にペンダントをかけた。
「あ、ありがとう、ウ…隼人」
皆の前でさらりととんでもない事をする奴だ。
耳が熱い。
「それよりせつな!俺は今日、用事があったのだった!
ここで失礼する!」
全然気にせずウエスターは、足早に去っていった。
「「「……」」」
「…ラブ?」
「はいっ!?」
「…美希?」
「うっ…」
「…ブッキー?」
「あ、あはは…」
「なにか言うことは…?」
「「「ごめんなさい」」」
こうして誤解も無事(?)解け、
ひとしきり遊んだあとラブ達3人はミユキさんのダンスレッスンに、
わたしは占い館に帰ったのだった。
わたしは自分の部屋で四つ葉のペンダントをかかげる。
前回よりも、もっと大切になったわたしの宝物。
「今度は、絶対に壊さないわ」
「旨い!旨いぞ!カオルちゃんおかわり!」
「おにーさんよく食べるねぇ。
買い出しに行ってきたばっかりなのに、
こりゃうちの店、文字通り食い潰されちゃうかも!ぐは!」
ウエスターはかおるちゃんのドーナツカフェに来ていた。
たまに彼は、こうしてドーナツを食べまくりに来るのだ。
ワゴン車の中から、その様子を伺う二人の妖精。
「なんや今日もあのにーちゃんぎょーさん食べるなぁ。
シフォンも一緒に買ってきた材料が、どんどん無くなってくでぇ」
「ぷりぷー」
「せやなぁ、明日はワイも一緒に行こうなぁ」
四つ葉町は、今日も、平和です。