ここまで読んでくださった方はありがとうございます。これからもよろしくお願いします!今知った人は大変かもしれませんが最初から読んでみてください。
ちょっとした仕掛けとかあっておもしろく感じるかもしれません。
このままだと夏休み終わる頃には20話行きそうですね~。
このペースが続けはですけどね・・・・・。
もしかしたら20話以降出来たらちょっとしたアンケートをTwitterで聞いてみようと思ってるので良かったらフォローよろしくお願いします。多分俺のフォロワーなる人ってほぼほぼこのお噺読んできてる人だからそっちの方がアンケート集まりやすそうってだけなんですけどね。
さて今回のお噺は前回ほど込み入ってないし、詰め込み過ぎって事はないはずなので安心して読んでくださいね。タイトルが不穏?まぁ気にせず読んでくださいな。
と言う訳でさっそく本編どうぞ‼
「う、うん?・・・あぁ、もう朝か・・・・」
「・・・すぅ・・・んぅ・・・」
あぁ、いけね。昨日あの後寝落ちしたのか。え?てことは一晩中伊吹さん抱いて寝てたの?
それは大層寝辛かったろうに・・・・。起きたら謝っておこう。いやでも昨夜の事は下手に触れないほうが良いか。
とりあえず起こさないようにそっと起こして・・・・なんか掛けるものないかな・・・・。
ないから、俺の作務衣の上を掛ければいいか。下にインナー着てるし問題はない。
で個室からこっそり出て時計見たけど朝6時か・・・・。今から2人分の朝食を用意すればいい感じの時間かな。
伊吹さんってなんかちゃんと朝ごはん食べてるかわからないから、ちょっと朝から気合入れていきますか。
******
現在7時。これだけしっかりと作ればいいかな。
メニューはごはん、シジミの味噌汁、アジの開き、大根サラダの梅ソース和え、キュウリとナスの浅漬け。
こんな感じでいいかな。
起こすとするか・・・・。
せっかくだしなんか一風変わった起こし方をしたいな・・・。
やっぱりフライパンを叩いて起こすか、耳元で何か言って起こすのが良いかな。
もしくは、いきなり体を揺さぶるかな・・・。
「お~~、おはよ~~」
ハイ計画頓挫~。なんてピッタリのタイミングで起きてくるんだろう。
「おはようございます、伊吹さん。朝ごはん食べますか?」
「おう、食べる食べる‼」
こうして2人で朝ご飯を食べ、お茶を淹れて一服する事になった。
「・・・・あのさ、覚えてるだろ?昨日はなんか悪かったな」
「え?何の事ですか?昨日は相当飲んでたんでねぇ」
「いやぁ・・・・、酒が入っていたとはいえ・・・その・・・らしくないことしちゃったって言うか・・・・抱き付いちゃったりして・・・・」
うわぁ、ちょっと赤くなってる?可愛い?客観的に見て最高に可愛いですね、写真撮りたい。
「あぁ、別に抱きつくくらい良いんじゃないですか?またなんかあったらいつでもどうぞ。それに伊吹さんみたいな美人に抱き付かれるのは役得なので」
まぁ、素面の時にでもやられようもんなら心臓にはたいへん悪いが。慣れてないので。
あくまであれはアルコール入ってたから出来た行動だったのだ。
普段の俺じゃ無理無理。野生のポリスメンに ゲットだぜ‼ はされたくないしね。
「・・・また・・・・すぐそういう事を言うな・・・・お前は」
「思った事はすぐ口に出るタイプなんですよ、俺。いやぁ正直者は辛いですねぇ」
「そういうのは正直って言わないんだよ・・・・ってしっかり覚えるじゃないか‼」
「さぁ、どうでしょうかねぇ?」
「忘れろ‼今すぐ忘れてくれ‼」
「あははははは、そんな優しい拳痛くもなんとも、ってぇ!今一発本気で殴りましたね⁉」
「い~い~か~ら~、忘れろよ~‼」
「痛い痛い痛い、ストップです。ふぅ、容赦ないですねぇ。鬼なだけあって流石に力が半端ない」
両腕を掴むことでようやく収まった。鬼の力で殴られるのはさすがに痛いんだよなぁ。
「あぁ、ごめん・・・ってお前が悪いんだから自業自得だ」
「俺なんも悪い事してないですよね?あれ?伊吹さん何かそう思うような出来事があったんですか~?」
「くっ・・・・。お前結構良い性格してるよな・・・」
「そうですかねぇ。まぁ、でも、もし俺にだけ見せてくれた何かがあるのなら、それは俺にとっては大切な思い出でしょうからね。その人との思い出はどんな状況でも忘れませんし忘れられませんよ、絶対に」
「そ、そうか・・・」
「えぇ、俺、伊吹さんに嘘ついたことなかったでしょ?」
「・・・・・・まぁ、そうだな。って言うかその伊吹さんって呼び方やめろよ。何か他人行儀で嫌だ」
「じゃあ、伊吹って呼べばいいんですか?」
コケッ と言う効果音でも聞こえそうな崩れ方を伊吹さんがした。
え?違うの?ちゃんと親しみを出せるよう呼び捨てにしたんだけどな。
「お前わざとか⁉」
「いや、すいません。いたって真面目に答えたはずなんですけど」
「・・・・そうかぁ、そうだったなぁ、こいつははっきり言わなかったら通じない奴だったなぁ」
そんな呆れた顔されても何のことだかさっぱりなので困る。
「おーい伊吹さん何言ってるんですか?ちょっと話が見えないんですけどー」
「いやこっちの話だから気にするな。えーとだな、他に呼び方があるだろ?」
「え?まさかぶっきーとかの方がよかったんですか?流石にいきなりあだ名呼びはちょっと・・・」
「いや違うだろ⁉もっとこう・・・えぇい‼そのまま名前で呼べよ‼」
「えぇ、それはちょっとレベル高くないですか?」
「良いからこれからは名前で呼べよ‼昨日の夜あんなことしたんだ‼今更そんなこと気にする必要ないだろ!」
「その言い方は誤解を招きそうだなぁ。わかったわかったよ、萃香。一回落ち着こう」
「っん。もう一回呼んでくれ」
「どうした萃香?顔赤い気がするのは気のせいか?」
「・・・・・・、あぁ気にしないでくれ。今日はもう行くわ。いろいろありがとうな、じゃ‼」
あらあら、慌てて出て言っちゃったよ。
「あ、はい・・・って行っちゃったよ。あ~あ、お茶半分も残ってる。勿体ないし飲んじゃうか」
残ったお茶を飲んだ直後になんか一回凄い衝撃を受けた気がしたが、誰もいないから気のせいだろうか?
*******
~2週間後~
この2週間は実に平穏な時間であった。店を開いてお客が来てもてなし、次の日の仕込みをして寝て。
暇ができたら鈴奈庵に行って本を借りて読んだり、香霖堂へ行き物色したり、薬の交換に来た兎に注意を受けたり、手合わせした後に萃香や星熊さんと飲んだり、地霊殿に遊びに行ってペットたちにもみくちゃにされたり。
本当にいろいろあったけど、実に面白い事が多かったと思う。
さて、話が変わってしまうが、俺は森近霖之助と仲がいい。
男同士だからと言うのもあるがなんだか馬が合うのだ。
道具の事教えたり、お互いの意見や考察を言い合っている内に仲良くなったんだっけな?
顔良し性格良し頭良しなのは素直にすごいと思う。
ただそんな二次元的ハイスペックのアイツにもにも弱点は存在する。
霧雨魔理沙その人である。いや霧雨魔理沙が関連したことになるとめっぽう弱い。
どれくらい弱くなるかと言えば・・・・・。何か良い感じの例え方がないからパス。
別に霖之助は霧雨さんが怖いだとか嫌いだから弱くなるとかじゃない。
単純に霖之助が霧雨さんに惚れているから弱いのだ。実に分かりやすい。
最初は気が付かなかったが数回2人のやりとりを見ただけでだいたい分かった。
その事でツッコミをいれるといつも冷静なアイツが狼狽えたりポンコツになったりするのが非常に面白い。
親しくなってから数少ない男の友人として色々話を聞いているのだが、まぁめんどくさい。
霖之助は良い奴なのだがいい人過ぎると言うか。
まぁ、いろいろ考える過ぎる性分のようだ。俺も人の事は・・・言えるね、大丈夫。
まぁ、仲良くなってからそんな話をしたりするからアイツとの付き合いは短いが知っている事は多い気がする。
いやむしろ同性同士だからこそ話せるような話がある分ちょっと知っている事は多いのかな?
話を戻そう。そう霧雨さんの事が好きなのだが 魔理沙は男として僕の事を見てないんじゃ? とか 僕より彼女に相応しい人がいるんじゃないか? などと考えても無駄な事を考えている。
また、彼女の親父さんに世話になった事もあり、その事とかでもいろいろ考えたりして結局何も出来ていない事がほとんどである。
・・・その度に酒を飲みつつ二人で話すことをしていたりするのだが、これはまだいい。
今まで見てきた恋愛事情的にはそんなもんだ。
誰だって奥手になったりもする。そんな感じでポンコツってる霖之助を見るのも楽しいからいい。
ただねぇ、この件に関しては非常に俺は面倒なポジションにいる。
他人の色恋沙汰は非常に好きだ。人間の心における大きな変化の1つだろうしね。
だがそのなんて言うか・・・その当人達の事に巻き込まれたり関わったりするのは非常に困る。
俺自身そんな経験はないし、今まで他人の事を見たり聞いたりしただけだ。
そもそもそんな素敵イベントが起きるほど俺はモテないし、行動したこともない。
だって、不細工だもの・・・。生んでくれた親には申し訳ないけど。
歯を磨くために洗面所行ったら鏡見てため息をつくくらいだ。あぁ、どうしようないくらい不細工だなって。
そんな俺の事はどうでもいい。
さっきから脱線してばっかになってしまったが、今俺はその霖之助とその事で余りにじれったいので呼び出しを受けたついでに、余計なお世話かもしれないが仕掛けさせてもらう。
その事で少し話して来た所だ。
この後の流れが決まってるんだが・・・仕込みあるから早く終わらせて帰りたいんだよね。
香霖堂に寄った後は霧雨さんに呼び出されることがほとんどだ。
あぁ、霧雨さんにまた情報がないかと聞かれるのかぁ。
こっちはこっちで面白いので良いのだが、その熱意を俺に向けるくらいならもう少し霖之助に向けたほうが良いと思う。
そんな感じだから霖之助に勘違いされるんだぞ。霧雨さんの好きな人は俺じゃないかって。
大変迷惑この上ない話だ。
この世界における数少ない友人達の気持ちを知っていて敵に回してまで恋愛したいとは全く思わない。
これだから巻き込まれるのは困るんだ。
あぁ、霧雨さんは霖之助の事が好きだ。もちろん異性として。
だが、 今までの感じや関係が壊れそうで怖くて言えない とか 今更言っても香霖は私の事を女として見てないんじゃないか とか、どこかで聞いたような気もするが、実に乙女らしい一面を見せる。
普段の霧雨さんの男を気にしてないかのようなフレンドリーな態度や弾幕は火力もしくは弾幕はパワーと言った感じのイメージからは正直かけ離れたものである。
まぁ、ある意味霧雨さんも霖之助と同じ状態な訳だ。
しかし、本当に両者の事情を知っているが故に板挟みのこちらとしては「いい加減くっついてくれ」と思わなくもない。
と、言う訳で仕掛ける事にしました。
はい、大変面白いけど俺には縁のないイベントに付き合わされるとか、もういろいろと限界です。
「どうだ?何か新しく香霖の情報が得られたか?」
「得られるわけないだろう。まったく・・・。その情熱を本人に向けていけば良いじゃないか」
「そんな事言ったって・・・。その・・・やっぱり告白しようと思っても本人を見ただけで・・・・その・・・・」
「あ~、わかったよ。要はいつも通りヘタレて帰ってきている訳だ」
「うっ・・・・、なかなか痛い所を突いてくるじゃないか・・・・」
「自覚があるだけましだとは思うけど・・・。どうだ、そろそろ覚悟決めてみないか?」
「なんだ?何かいい方法でもあるのか⁉」
「おぉ、あるぞ。ただし!結局告白できるがどうかはお前次第だから何とも言えないけどな。あと、これをやるのであれば1つ条件がある」
「なんだ?あんまりお金は持ってないぞ」
「いや金は店でちょっと豪勢にご飯食べれるくらいの金があればいい」
「それくらいなら大丈夫だけど・・・・で、条件って何なんだよ?」
「あぁ、簡単な事だ。今回のは俺にできる最大の支援方法だからな。これで告白が出来ないようなら今後俺は協力は一切出来ないし、しない。それでいいなら、今回の作戦を行う。っても霧雨さんは告白する事以外はは大した事しなくていいんだけどな」
「え・・・、お前の協力が無くなるのは困るんだけどなぁ・・・・」
「いい加減覚悟決めないと、誰かに取られてもおかしくないぞ。むしろあんないい奴今まで放っておかれてたのが不思議なくらいだ」
「えへへへ」
霖之助の事を褒めるとなぜか霧雨さんが嬉しそうにする。
元の顔立ちが可愛いからいい笑顔なのだが、もう少し危機感を持てといった言葉とは取っていないらしい。
「そこ笑ってないで焦る所だからな。で、どうする?やるのか?」
「いや計画の内容を教えてくれよ。じゃないと判断できないぜ」
「だよなぁ。ってもやる事は、さっき言った通り簡単だぜ?俺の店で美味しごはん食べて、最後のデザートが出たらその後霧雨さんが告白するってだけだからね。メニューとかはこっちに任せてもらう事になるけど良い案だろ?」
「そうかぁ?ただお前の店に利益が入るってだけだな気がするけどな」
「今まで任せて俺はあまり干渉しないようにしてきたけど、やるって言ってやれなくて俺に愚痴ってきたりしたのはのは霧雨さんでしょ?もうそんなにやりたいけど出来ないって言うならこっちから場所を作ってあげただけなんだけど?それにそんくらいしないと全くもって進まなさそうだから」
「いやそうかもしれないけどさぁ・・・。ご飯を食べて告白って上手くいかないような気がするんだけどな・・・」
「あぁ、それに関してはただの食事じゃないからな。ちゃんと上手くいくように考えてるから安心してくれ」
「う~ん、でもなぁ」
「まぁ、霖之助を誰かに取られて幸せそうな姿を後ろで眺めて悔しい思いするのがいいならする必要はないですよ?あ~あ、せっかく俺の用意できる最高のシチュエーションを用意しようとしたのになぁ。ここまでしてまだ覚悟決められないなんて、これは誰かに取られても文句言えませんわ~」
これはちょっとと言うかかなり意地悪な事を言っている。まぁ、霖之助が好きな人は霧雨さんで、霧雨さんが好きな人は霖之助だから誰かに取られるなんてありえない話ではあるんだけど。
う~んなんて我ながらクソみたいなこと言ってるんだろう。まぁ、こんなやり方しか知らないからしょうがないね。
「わかったよ‼わかった‼その計画に乗る‼だからしっかり頼むぜ‼」
「それは俺のセリフな気がするよ。霧雨さんこそお膳立てするんですからしっかり頼みますよ?」
「それでいつやるんだ?」
「2日後だな。2日後の俺の店に開店直後の5時に来てくれ」
「わかった。私は用意するけど香霖はどうするんだ?」
「自分でやってくれ・・・・・・って言いたいところだけど今回は出血大サービスです。もう話は付けてきてるんで集合場所をどこにしてくるかとか気楽に決めたらいいですよ。ぶっちゃけ、今回は霧雨さんが覚悟決めたらすぐ決行できるようにセッティングしていたんで、ここで断られたらと思って内心冷や冷やしてましたよ」
「おぉ、準備が早い・・・ってそうだったのか⁉なんであんな事言ったんだよ」
「だって最後は自分で覚悟決めなきゃダメじゃないですか?そうじゃなきゃ告白を実行できないでしょうし。それができると思ったからこそ、ここまで用意したんですよ」
「お前・・・・。とりあえずありがとうな。今度はちゃんとやりきるよ‼」
決まったとなれば話は早い。俺はこれから通常営業に加えて準備もしないといけない。
ちょっと手間のかかるものがあるから時間貰ったけど・・・・。
大丈夫かな?構想はあっても作った事のない新作もあるから少々不安ではあるがやってやるぜ‼
本当はキューッピット役とかやるような人間じゃないけど、まぁ、偶にはこんな事をやってもいいだろう。
恋に悩める男女のお悩み解決しましょうか。特効薬は知らないけど、俺にできるサポートを処方してやろう。
関係はないのだが、あの竹林の薬師なら恋の病の特効薬とか作れそうなのがすごい所だとは思う。
*******
~2日後~
あぁ、とうとうこの日が来てしまったか・・・。
通常営業と合わせて準備を進めたから、めちゃくちゃ疲れた。
まぁ、やれることは用意したし後はなるようにしかないか。
あいつらの覚悟が実る事祈っておこう。
いや、告白が実行されたら結果は見えてるから実行される事を祈っておこう。
もう幻想郷に来てから1カ月経とうとしてるのかぁ。
早いものだなぁ。まさかこんな事になろうとは予想だにもしてなかった。
空から地底に落ちて お店をやって、そこそこお客さんが来てくれて、色んな知り合いも増えて。
何か今までにないくらい充実した夏休みだったと思う。普通じゃない人生送ってるなぁ、俺。
・・・・ホントあっという間だったよ。
おまけにとうとうキューピット役かぁ・・・。
はぁ、俺はこんな事する性格じゃない。こんなに他人の恋愛事情に干渉したのも初めてだしな。
ただ、あいつらの進んだ先を見たかったからってのもあるけど、やっぱじれったかったからかな。
俺の都合もあってだけど、こんな提案したことを少し後悔している節もあるが今更どうこう言っても仕方がない。
俺もそろそろ覚悟決めなきゃな。ただ心地よい時間はここまでだ。
まだ8時だからかなり時間あるんだよな・・・・。先に仕込みを始めちゃうか。
と思ったが昨日夜遅くまでやって終わらせたんだったな。
どうしようか・・。寝る?
「よう‼また来たぞ‼」
「あぁ、いらっしゃい伊吹さん」
「・・・・・」
「なんでいきなり睨んできてるんですか?」
何か怖くはないけどね。むしろかわいい物だ。
はて?何か睨まれるようなことをしたかな?
「なんで呼び方が戻ってるんだよ⁉」
「あぁ、つい。まだ慣れてなくて。いらしゃい萃香。今日は何の用で」
「いや大した要はないけどな。暇だから遊びに来ただけだ」
「そうなんですか?って言っても俺も何もネタがないわけでもないか・・・?」
「何だ?今日は何かあるのか?」
「えぇ、あまり詳しくは言えないですけど、簡単に言うと素敵な出来レースって所ですかね」
「なんだそりゃ?なんだかわからないな?」
「まぁ、それは気にしなくて良いですよ」
「なんだ?他に何かあるのか?」
「まぁ・・・・、ありますよ。気が付いたらもう一か月この幻想郷に来て経ちましたから、いろいろ思い出してたんですよ」
「そうか・・・。もう初めて勇儀と一緒に飲んでから一カ月たつのか・・・。早いなぁ」
「えぇ、とても早いですねぇ。何だか一カ月あっという間でした。まさかいきなり来た世界でこんなことやってるなんて想像できませんでしたよ」
「そうだろうななぁ。私もあの時なんとなく飲んだ人間がこんなことやる事も、・・・こんなに親しくなったりするなんて考えてなかったよ」
「いやぁ、本当に予想外の事が多くて面白かったです。案外やってみたら出来た事も多かったですし、知らなかった事も知れて、おまけに萃香とか含めていろんな人達とも親しくなれたし、楽しかったです」
「なんだよ急に改まって・・・。本当に何かあったのか?」
「えぇ、まぁ、そうですね。それをお話しする前にちょっと失礼して・・・。紫さん、覗いてないで出てきて普通に聞けばいいじゃないですか」
「あら?スキマから覗いてたのによくわかったわね」
「いや、だって俺の事を見てる人の気配したからね。なんとなくわかりましたよ」
「なんだ、紫もいたのか?」
「はぁい、久しいわね萃香。ちょっと気になるお話してたから盗み聞きしちゃったわ」
なんだか急に賑やかになったなぁ。とりあえずお茶でも淹れようか。
「で、何なのかしら?貴方の言いたい事って」
「あ、そうだった。それ聞いてたんだった」
「意外と大切な事言うので、ちょっと覚悟決めて聞いてくださいね」
「わかったわ」
「わかったよ、言ってくれ」
「あ~、じゃあさっそく。まぁ簡単に言っちゃうともうそろそろ幻想郷ともお別れだなと思うと少し思うところがありましてね」
「あぁ、なるほどね。そろそろ時間切れって所かしら」
「え?お前いなくなっちゃうのか⁉」
「まだもう少し期間はありますよ。でも元々休みの期間だからそれまでいようって感じで、まぁそろそろお別れの事も考えなきゃいけないなって時期になったから・・・。悔いのないようにしておこうかと思いまして。そうだ、まだ誰にも言ってないんで他言無用でお願いします」
「わかったわ。もうそなに経ってたのね」
「・・・・・・わかった」
わかってはいたけど、何でそんなに悲しそうな顔をしているんだよ、萃香。
まだ期間はあるから大丈夫なのに・・・。
俺はまた間違えたのだろうか。だとしたら恐ろしい事だ。
でもいずれは言わなきゃいけない事だから仕方がなかったと言えば仕方なかったのかもしれない。
この事に関しては正解があるのかは謎だけど。
「萃香?大丈夫か?」
「・・・もう帰る」
あ~、自分が招いた結果とはいえやっぱあんな顔されると胸が痛む。
正直、少なからずあんな事になるんじゃないかとも思った。
もしかしたらもっと上手なやり方があったのかもしれない。
でも覚悟決めた時にぴったりで来たから、俺は覚悟が引っ込まない内に言う事にした。
俺はそういった考えしか思い浮かばなかったし、思いついてしまったら現実そうする事しかできない。
例えどうなるかわかっていてもやってしまうしやれてしまう男なんだよなぁ。
「ひどい人ね、貴方。ああなるってわかってて言ったでしょう?」
「まぁ、予想はしてましたけどあそこまでとは思いませんでしたよ。直前に言ってもフォローしようがないので早めに言っておこう位でしたしね」
「あらそうかしら?貴方の行いの結果だからわかっていたんじゃないの?」
「いや本当にあそこまでになるなんて分かりませんでした。まぁ、自分が招いた事ですからちゃんとケジメはつけてから帰りますよ」
「ええ、ぜひそうして頂戴。このまま帰られても迷惑だもの」
「もしかしたら協力頼むかもしれないですけどその時はお願いします」
「気が向いたらいいわよ。で、帰るとなったら私の協力が不可欠だと思うけど、いつぐらいに帰るのかしら?」
「そうですね・・・・。居られてあと2週間って所ですかねぇ。なんで、2週間後に外に送ってもらえるとありがたいです」
「わかったわ。・・・・それでいいのね」
「・・・・ええ、もう決めましたから。それでお願いします」
正直2週間後に帰っても少し夏休みに余裕はある。
でも帰る場所がなくても俺はこの世界の人間じゃあない。だから帰った方がいいに決まっている。
しかし、ちょっとでも長くここに居たいと思ったりもしたから、ギリギリの妥協点として2週間に決めたつもりだ。
ただこの間に色々となんとかしないといけない。
俺は萃香にかつての俺がされてしまった事と同じであろう事をした。
いずれ言わないといけない事だったから仕方ない面もあった。
だけど、だからこそ俺はそこで終わらせてしまう訳にはいけない。
例え萃香に許してもらう方法がもし最悪の手であっても俺はためらいなく実行に移すだろう。
「わかったわ。それじゃ聞きたい事も聞けたし私も行くわ」
「えぇ、いろいろご迷惑おかけしてすいません」
「構わないわよ。貴方が来てからいろいろ面白い事があったもの。これくらいの事してもむしろお釣りが返ってくるくらいにね」
「大した事してませんよ。俺はその場で出来る事をやってただけで」
「それでいいのよ。それで面白い事も結果も出来てるんだから。貴方は今まで通りやっていきなさいな。それが貴方にできる最善策でしょうからね。期待しているわ」
こうして俺だけが残った。
最後に紫さんらしい励ましの言葉を受けたけど、俺の心が晴れる事はなかった。
とりあえずは目の前の事の顛末に決着を付けられるように集中しよう。
悔いのないように、俺が後悔しないように。
~鷹崎仁 幻想郷滞在期間 残り 14 日~
いつもながら最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回はかなりお噺を動かしたつもりです。
彼は元々大学の夏休み期間の間だけ幻想郷にいる予定でしたからね。
これは皆さんにもあらかじめわかっていた事だとは思います。
彼は残りの滞在期間で何をしていくのか、何のために帰るのか
そこに注目して暫く読んで頂ければいいかと思います。
タイトルのすれ違う思いはきっと誰にでもある事だと思います。
彼なりの修正の仕方も最後まで読んで見て頂ければ幸いです。
前回が文字が多かったので今回はこの辺にしておきたいと思います。
これからも応援等よろしくお願いします。なるべく更新が遅れないようにしたいなぁ。
それではまた次話でお会いしましょう。さようなら、さようなら。