今回でついに20話突破しました‼応援してくださっている方が居られましたらありがとうございます‼忘れられし人気投票企画がこれで動きますので良ければ活動報告にありますのでよろしくお願いします‼
という感じですが本編に入りたいと思います。
それでは本編どうぞ‼
「早苗・・・・か?」
「仁さんっ・・・・」
「おやおや、二人ともお知り合いでしたか。それなら弾む話も・・・ってあれ?」
・・・・・まぁ、今回は素なのかあえてなのかわからないけどこの空気の読めなさに感謝する事にしておこう。
祭りの喧騒よりも、さっきまで聞えなかったクレープを焼く音が聞こえているような気がする。
「・・・・・・・・・・・」
「あの~~~、仁さん。何ですかこの空気は?」
「あとで話す。とりあえず集中させてくれ」
「いやそれは良いんですけど、さっきから早苗さんが話したそうにしていますし、久々の再開なら顔くらい見てあげても・・・」
「悪いけど、今の俺にそんな余裕はないよ。ちょっとその事に関してはもう触れないでくれ」
なんで、何で出会ってしまった。会わないようにしてきたはずなのに。近づかずに終わろうとしたのに。過去に触れずに帰ろうとしたのに。どこにいてもどこまでも世界は俺に残酷らしい。
久々に少しだけ見たけど、何か少し大人っぽくなってるし、普通に身長とか伸びてるし色々外見だけでも成長してるな。まぁ、三年くらいたってたら早苗の年代だったら結構変わっててもおかしくないか。
元気そうな姿で何より。隣の家の子供とゴーヤは育つのが早いって言いますよね~~~。
でも・・・・声とか話している感じとかあの頃と変わってない。
・・・・・これは思っていたよりも精神的に衝撃があったらしい。
冷静に分析しているつもりだけど、どうもいつもみたいにコントロールが出来てないみたいだ。
早く帰って貰おう。出来るだけ話さないようにして。
「・・・お元気でしたか?」
「・・・・・・・・・・・」
「あの、この後少しお時間頂けませんか?いろいろお話がしたいんですけど・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・やっぱり怒ってますよね」
「それは違う」
「え?」
あ、喋ってしまった。まぁ、喋ってしまった物はしょうがない・・・・・か。
「お前達には怒りは一切感じてない・・・・と思う。ただ・・・・」
「ただ・・・・・」
「ただ・・・何ですか?」
「いや・・・・・、お待たせしました。ご注文の品です」
「言ってくださいよ。何を言おうとしたんですか?」
「・・・・・・」
「あの・・・・・答えてあげたらいいんじゃないですか?」
「悪いけど早苗と話すつもりはない。金は要らない。お供えもんだと思ってもってけ。ただ、この日この時この場所であった事はすべて忘れろ」
「さすがにそれは酷くないですか‼」
「いや、良いんですよ文さん。それじゃあ、ありがとうございました。・・・・・・もし、少しでもお話をする気になったら・・・・・守矢神社に来てくださいね。明日、待ってますから」
「・・・・・・・・・・」
・・・・・行ったか。このほんの少しの時間でぶっ倒れそうなぐらい疲れた。
なんで、アイツは笑っていられるんだ。俺は・・・・・・あいつに酷い対応しかしていないというのに。
変わり果てた俺の情けない姿を晒しただけだった
俺にはわからない・・・・・、あいつはいったいどんな気持ちだったんだろうか、どんな心だったんだ。
「・・・・・・あの大丈夫ですか?」
「あ?あぁ、大丈夫だ。何も問題ないが?」
「いや、明らかにそんな顔色で言われても説得力も何もないんですけど・・・」
「そんな事はないぞ、ほらこんなにもピンピン・・・・・・・っつぅ」
何で目の前に床がある。・・・・・こりゃマズったなぁ。
いつも肝心な時に踏ん張れないんだよなぁ、俺って男はさ。
なんか色々と・・・・情けねぇなぁ・・・・。
*******
また会えた。それはとても嬉しい。
でもかつて共に過ごした彼とは何かが決定的に違った。
喜びも嬉しさもある。だけどこの胸の内にある気持ちは何だろうか。
「ただ今戻りました・・・・・」
「おや?早苗元気がないじゃないか?やっぱり祭りが終わりかけてたみたいだな。だからこの時間に行くのは?って言ったんだけどねぇ」
「でも手元に持っているのは何だか美味しそうなものだねっ‼もしかして私達にお土産?」
「神奈子様、諏訪子様・・・・・・」
「・・・・・・話を聞こうじゃないか」
「神奈子?」
「諏訪子、袋の中を見て見ろ。とても美味しい物に違いはないが、・・・・・・同時にとても懐かしい物でもある」
「どれどれ・・・・・あぁ、なるほど。これは・・・・・仁に会ったんだね?」
「・・・・はい」
おふたりとも何やら苦い顔をされましたがとりあえず中に入って冷めきる前に食べてしまいましょう。
これは仁さんが作ってくれた二年半ぶりほどの久々のお手製の料理ですからね。
*******
~ 守矢神社 茶の間 ~
クレープなんて本当に久々に食べました。やっぱり美味しかったです
仁さんの料理の腕も以前よりさらに磨きがかかっているみたいです
全員、全部クレープは頂きましたよ。やっぱり甘い物は別腹ですね
・・・・・・それだけじゃないとは思いますけどね。私がそうですから
さて、いろいろ聞きたいのですが何やら空気が重くなかなか話が切り出せません
「・・・・やっぱり美味しかったね。仁の料理はさ」
「そうだな。さらに腕に磨きがかかっているんだろうな。ここに来て食べた甘味の中で1番かもしれないな」
「そうですね。私も料理の腕に自信はある方ですけど、やっぱり仁さんには敵いそうにはないです」
「そうだな。・・・さて早苗、何から聞きたい?」
「神奈子様・・・」
「多分、聞きたい事とか多かったり言いたい事とかまだ整理ついてない感じかな」
「諏訪子様・・・」
おふたりにはやっぱり見透かされていたみたいですね
「それでは・・・・・まずおふたりは仁さんが幻想郷に来た事を知っていたんですか?」
「知ってたね、私も神奈子も天狗の新聞を見てだけどさ」
「⁉」
「最近新聞見てないなぁって早苗は言ってたけど、ここにあるよ」
ドサッ
ここ一カ月近くに発行されたであろう新聞が普段から見たら多い数溜まっていました
これだけ文さんが新聞を発行し続けていたという事ですね
全く気が付かなかった。しかも結構内容は仁さんが出ていました
「最初は偶然早苗がいなかった時に私が見てね。神奈子に相談してまだ見せないほうが良いだろうって事で隠しておいたんだよ。記事を見る感じ、彼は私達とあまり会いたくないみたいだったしね~」
「まぁ、彼自身望んでいないのなら会う訳にもいかないだろう。ましてや私たちは以前彼に何も告げずに去っていったこともあるからね。その事を気にしているようなら余計に会う訳にもいかない。天狗や色々な所から話を聞いたら色々聞いたし、もうじき帰るというしね」
「でも、とうとう会っちゃったかぁ。結構いろいろ手を回してはいたんだけどなぁ」
「どうして・・・・・・どうして隠したんですか?」
「うん・・・・・、早苗は今日彼にあってどう思った?」
「あんまり話せてないのではっきりとは言えないですけど・・・・なんだか以前とは少し違っていたような気がします・・・・何と言うか・・・・・少し怖いような・・・・・」
「そうか・・・・」
「神奈子はね、変わった彼を早苗に見せた時もしかしたら悲しむんじゃないかって心配してたんだよ」
「いや、まぁ、結果としてそれは杞憂だったわけだけどな・・・・」
「会いたいとは思わなかったんですか?」
「それは会えるのなら会いたいとは思うさ。でも時には思い出のままであった方が良いこともあるからね。あの時の思い出の彼のままの方が早苗には良いんじゃないかと思ってな」
「どうして・・・・そうやって諦めようとするんですか?」
「うん?」
「神奈子様たちの言う事もわかりますけどっ!どうして⁉どうして私達から会いに行こうとしなかったんですか?」
「いや、だからそれはだな・・・・・・・」
「それって神奈子様達も怖かったからじゃないんですか⁉何もい言わずに去ってしまった事を後悔しているから‼だからそんなに彼の事に対して過敏になってるんですよね?だっていつもの神奈子様達ならすぐに会いに行くじゃないですか‼私を理由にして逃げないでくださいよ‼」
「お、おい早苗⁉」
ピシャ
「あ~あ、言われちゃったね神奈子。今まで協力はしてきたけど実際どうなのさ?」
「何がだ?」
「いやさ、本当に変化した彼に合って悲しむのがいったい誰なのかなって」
「それは・・・・」
「早苗ももう彼と会ったんだしもういいんじゃないのかな?無理して強がるのもさ」
「何の事かな?」
「バレてないと思ってたの?早苗にはバレてなかったけど、私は知ってるんだよ」
「・・・何をだ?」
「毎晩早苗が起きていない時間に新聞を読みながら悲しそうな顔をしてた事だよ~」
「なっ⁉私はそんな顔はしていない‼」
「読んでたことは否定しないよね~。まぁ、何か思うところがあったんじゃないの?神奈子は仁のこと好きだもんね~~」
「なっ⁉」
「戦闘術的な感じで格闘術を教えたり、世話焼いたりとか。特定の人間にしちゃ結構べったりじゃなかったっけ?」
「うぐ・・・・。それを言うなら諏訪子こそどうなんだ?」
「なにがさ?」
「抱き付いたり仁の足の上に座ったり、本当にベタベタしてたのはどちらなんだか」
「そりゃ~、私は仁の事好きだもん」
「それは私も・・・・」
「あぁ、もちろん女としてだよ?」
「なっ⁉」
「神奈子ってばそこんとこ鈍いね~」
「ほほほほほほ本当なのか?」
「わかりやすく動揺してるなぁ」
「早苗が彼の事を好いているのは知っていが、まさかお前までそう思っていたとは・・・・」
「前から本人の前でも言ってたじゃん。仁の事が好きってさ。まぁ、その当人にも気付いて貰えてない辺り仁も相当ニブチンだけどね~」
「確かに『私仁の事好きだよ~』とか当時言ってはいたがそういった意味だとは思ってなくてな・・・・・」
「神奈子と言い・・・・仁と言い鈍いのが多いよねぇ、私の周りにはさ」
「それは何と言うか・・・すまなかったな」
「謝る事じゃないよ。相手の心がが分かるなんて覚妖怪じゃない限りは誰だってそうだしね」
「確かに違いない」
「でもだからこそ間違えるんだよ。で、今回は間違えたみたいだし」
「・・・・・・そうみたいだな。早苗の言った通り、私が少し気が引けていたのかもな」
「少し?」
「・・・・・・まぁ、とにかく後で早苗には謝っておかないとな」
「そうしたらいいよ。その後どうするか考えないとね。後どれくらいで帰るんだっけ?」
「あと・・・・・9日くらいだったかな。あまり時間はないと思えばいい」
「そっか~。とりあえず、明日にでも行動に移さないといけないかもね」
「そうだな。・・・・・・ところでお前はどうなんだ?」
「何が?」
「ここでとぼけないでくれ」
「あははは、ごめんごめん。そうだねぇ・・・怖いよ」
「そうか・・・」
「好きな人が変わってて、私の知ってる彼じゃない彼を見るのは怖いし、そうだったら辛いよ。それに何も言わずに去っていくなんて酷い事したのにさ。その本人に会えるようになったら会いたいなんて身勝手すぎるよね」
「諏訪子・・・」
「でもやっぱ会いたいよ・・・。しょうがなかったとはいえ会えなくなったのは悲しかったしね」
「そうか。まぁ、アレだな。諏訪子も仁の前じゃ、ただの少女と変わらないな」
「何を言うか!そういう神奈子だって稽古つけてる時とかすごく嬉しそうにしてたし、私が仁にくっついた時とか羨ましそうに見てたじゃんかーー‼」
「なっ⁉なんだと!そんな訳ないだろう!私はあくまで友人というか師匠としてだな・・・・」
「ほら、また逃げてる。確かにあの頃の神奈子はそういった立場でもあったと思うよ。でも今はそうじゃない。なのに素直にならずにまたそうやって逃げてる」
「うぐ・・・・」
「私といる時くらい、本音で話してくれるといいのにさぁ。いったいどんだけの付き合いだと思ってるのさ」
「それはまぁそうだがな・・・・・」
「まぁ、それも神奈子だからしょうがないね。仁はどうなってるかなぁ」
「成長はしてるだろうな。ただ記事で見ている限りでしかわからないが、きっといろいろあったような気がするな」
「確かねぇ。何があったんだろうね。ただ、昔から注目される事とか苦手なのにこういうのに出てくるようになったりするなんて良い変化もあったのかもね」
「とりあえず明日からだな・・・。今日はもう休むか」
「私はまだ目が冴えてるから、もう少し起きてるね~」
「わかったよ。起きてるのもほどほどにな」
「わかったよ。おやすみ」
「あぁ、おやすみ。また明日な」
********
「神奈子は・・・・もう行ったね」
私は本当に我儘だ
一緒にいた時も無茶ぶりして、彼は時に笑いながら、時に渋い顔をしながら、時に本当に面倒くさがりながらも、何だかんだ言いながらも私の無茶ぶりに答えてくれた
正直幻想郷に来た事は全く後悔していない
ここはここで楽しいし、いろいろあったからもう愛着みたいなものもない訳じゃない
でもいつまでたっても私の中で彼との思い出は色褪せずに残っていて
思い出だけじゃなくて彼自身への想いも変わるどころか以前にも増してしまっている
だから天狗の新聞に写真が載っているのを見た時には本当に驚いた
嬉しかったのもあるが、それよりも私には彼がやつれてしまっているかのように感じた
体がやつれた訳じゃない。でも顔が疲れ果てたような・・・そんな印象を受けた
そんな事を感じてからか、インタビュー記事の文章を見ても彼が無理しているようにしか感じられなかった
私はそんな彼に会うのが少し・・・いや、かなり怖くなった
だから神奈子に相談して神奈子の判断に異を唱えずに協力する事にした
でも実際いろいろと思っていたのと違う事が多々あった
人里では鈴奈庵くらいしか行かないって聞いてたし、基本的に地底にいると聞いたからあまり早苗と会う確率も低いんじゃないかと思った
でも、今回出会ってしまった。これも早苗が会いたいって思ってたから起きた奇跡なのかな?
早苗が彼の事を好きって言うのも、ここに来てからも会いたいって思っていたのも知っていた
神奈子が今は自覚してないのかもしれないけど、好きな事も、彼に対して引け目を感じている事も知っていた
私は早苗よりも神奈子よりも前から彼の事が好きだったし、二人の気持ちは痛いほどに分かっているつもりだ
でも、私は早苗のように覚悟を決めて動こうとする事も、神奈子のように終わらせようとすることも出来なかった
一番本音で話していないのは私かもしれないね
・・・・・・・・一番強がってたのも逃げてたのも私で、きっと私が一番卑怯だと思う
何だか仁が絡むと私のペースが乱されるというか、普段の私らしくないのかもしれない
でも何だか、それも嫌じゃなくて・・・・
「ふふっ、神様三柱に愛されたり、やきもきさせるなんて罪な男だね、仁は」
明日に備えて寝よう
寝てまた明日からどうするか考えよう
会えた時には、また笑ってお話しできるよね?
*********
~稗田家 客間~
ま~た知らない天井ですかぁ。ここに来てから一生分の意識を飛ばしている気がする。
で、ふかふかの布団が俺が寝ているのと、隣に合わせてもう一組。
あぁ、ブン屋が寝てたか。昨日は多分運んできてくれたのかな?
だとしたら申し訳ない事をしたなぁ。無理矢理働かしてしまった物なのに面倒掛けてちゃ世話がない。
「ふぁぁ、今何時だ・・・・」
「大体、九時半くらいですね」
「うわっ、びっくりしたぁ」
「こっちがびっくりですよ。昨日いきなり倒れたりするんですから」
「いや、それは本当に射命丸に申し訳ない。正直君がいて助かった、ありがとう」
「いやぁ、素直にお礼を言われるとなんだか恥ずかしいですねぇ」
「いや本当に感謝しているからな」
「で、なんで急に倒れたんですか?」
「疲れが祟ったかなぁ。いやー働き過ぎってのも良くないね。射命丸も気を付けなよ」
「その言葉はありがたく受け取っておきますが、とぼけないでください。私が今までどれだけの新聞を書き続けてきたと思っているんですか。さすがに物や人を見る目は人よりも自信あるんですよ」
「いやぁ、マスコミは怖いねぇ」
「良いから話してください。もう迷惑かけた以上思い当たる事は話して頂きますよ」
「こうやって拒否しにくくするんだよねぇ。まぁ、良いよ。わざわざ隠す事じゃないけどわざわざ話す事でもないから話してなかっただけだし」
「では、早苗さん達が無関係ではないですよね」
「まぁ、多分ね。簡単に言うと、以前にも話した神社消失が早苗達の事だ。その後日、目の前で俺以外の家族が死んだ。その事でマスコミに追い込まれた時期があった。その事を連想して精神的に負荷が来て倒れちゃったんだと思うよ」
「笑って話してますけどそんな感じで話せることじゃないと思いますよ?」
「普通だったらね。まぁ、俺はそんな感じの人間って事さ」
「まぁ、原因はなんとなくわかりました。詳しくは聞きません」
「うん。そうしてくれると嬉しい」
「で、早苗さんに誘われてましたけど、行かないんですか?」
「行かないよ」
「即答ですか・・・」
「うん。俺と彼女達は会うべきじゃないよ。思い出は思い出のまま終わらせたほうが良いさ」
「会いたくないんですか?」
「・・・・それはどうだろうねぇ」
「珍しくはっきりしませんねぇ」
「そんな事はないと思うけど」
「いいえ、いつもだったらはっきり答えてますよ」
「俺のイメージそんな感じなんだなぁ」
「ええ、私の知っている貴方はいつも面白おかしく生きていて、自分の心に正直で、どんな相手や場所だろうが言いたい事は言う。そんな人間ですよ」
「まぁ、概ね間違っちゃいないけどさ。俺の心って何なんだろうねぇ」
「え?」
「いや、忘れてくれ。まぁ、会いたいような会いたくないようなそんな感じだよ。でも、思い出のまま終わらせておいたほうが良いだろうし、きっと今の俺を見たらがっかりさせちゃうだろうし、何よりも俺が何言っちゃうかわからないしね。それだったら断然合わないほうが良いよね」
「そうやって理屈こねないで、もっと簡単に考えてくださいよ‼」
「⁉」
「さっきから聞いてたらいろいろ確かに筋は通った事を言ってますけど、貴方はまた早苗さん達と笑って話したくないんですか⁉」
「それは・・・・・」
「出来る事ならしたいんじゃないんですか⁉」
「まぁ、確かにとても楽しくて幸せな時間ではあったよ。でも、さ。やっぱ本当に過去で終わらせたほうが良い事だってあると思うんだよ」
「でも少なくとも、過去で終わらせていい物じゃないと思います」
「それを決めるのは俺であって君じゃあないと思うんだけどなぁ」
「そうですね。でも、過去で終わらせていい物だと思っているなら、私に早苗さん達の事を話してくれた時に見せていた本当に幸せな顔はしませんよ・・・・」
「何で君が泣きそうになってるんだ」
「なってません‼とにかく、行ってください‼行った後で私に文句とか恨み節とかあるなら何でも聞きますから‼」
「なんでそこまで・・・・・」
「それは・・・・・貴方を取材してて・・・その内に何だか本当に楽しそうに動いてるの見ていいなぁって思ってたんです。私達天狗の社会は堅苦しいって言うか上下関係が厳しいので結構自由に動けないんですよ」
「それは何か聞いたことはあるな」
「だから、そんなんじゃない本当に自由にしたい事が出来る、やろうと思って実行できる貴方がとてもかっこよくて・・・・。だから貴方には後悔と言うか・・・・自由に動けるはずなのに、貴方のしたいように動いてないのは嫌なんですよ。・・・・・ってさっきからなんだかめちゃくちゃな事言ってますね。記者は理論整然としなきゃいけないのに、これじゃあ失格ですね」
「・・・・・・・・そんな事はないさ。今の言葉は確かに俺の胸を打つだけの熱意はあったよ」
「そう言って貰えると助かります」
「じゃ、行こうか?」
「へ?」
「早苗たちの所へだよ。俺は場所を知らないからね。俺を乗せた以上案内くらいはしてくれるんだろ?」
「やっといつも通りに戻ってくれましたね。良いですよ、案内くらいはします」
「よし決まりだな。とりあえず」
「さっそく行きますか?」
「いや、まず風呂だな」
「はぁ・・・。行こうってノリじゃなかったですか⁉」
「いや、俺昨日から風呂はいってないしなんか気持ち悪いから、一回汚れとか洗い流したい。行くのはそれからかな」
「ぷっ」
「なんだ?笑う事はないだろ」
「いえ、何だか仁さんらしいなぁって思いまして」
「お前のおかげだよ、文」
「えっ⁉」
「さ、風呂やに行こうか」
「え、ちょっと今なんて言いました⁉もう一回‼もう一回言ってください」
「それよりも風呂だな。ここの屋敷の借りるかな」
「ちょっと話を聞いてくださいよぉ~~~~~~~~‼」
あ~~~、聞えない聞えない。
らしくない所見せまくって、おまけにらしくないことまでして正直恥ずかしいんだ。
し~~~~らないっ(焼き芋の屋台風)。
*********
~守屋神社 十二時~
「早苗さぁ。誘ったはいいけど来ると思うの?」
「わかりませんけど大丈夫だと思いますよ。多分ですけどね」
「諏訪子が心配するのも無理はないがもし入れ違いになったら大変だしな。今日はここで待つのが一番いいだろうな」
「そりゃそうだろうけどさ~」
「とは言っても、もうお昼時だしね。早苗、一旦中に入ってお昼ごはんにしようじゃないか」
「・・・・・・・そうですね。そうしましょうか」
「今日のお昼は何?」
「諏訪子様すぐに食い付いてきましたね・・・・。えっと、参拝者から頂いた兎肉があるのでそれで炒め物にでもしましょうか」
「お昼からなかなか奮発するな」
「特に深い意味はないですよ」
「おや皆さんおそろいでしたか」
「天狗じゃないか。どうしたんだいこんな時間に」
「八坂様ご無沙汰してます。えっと今日は案内をしに来ただけです」
「そうか、ご苦労。しかし索道が動いている様子はないが?」
「あ~、それはですね」
ガサッ‼
「何事⁉」
「敵襲⁉」
「えっ、敵ですか⁉」
順に諏訪子、神奈子、早苗か。
何か・・・・反応が物騒すぎないか?
いや、道ですらない草むらから何か飛び出してきたらそうなるものか?
それよりも・・・・・・・・。
「射命丸さんよぉ。索道があるなら言ってくれても良いんじゃないですかねぇ。飛べないから山肌走ってきた俺の身にもなってくださいよ。せっかく風呂入ったのに葉っぱまみれなんですが・・・・」
「あはははは、それは申し訳ない。ま、まぁ、とりあえず着いたので私はこれでっ‼」
「あっ‼おい‼」
逃げやがった‼今度会ったらマジで恨み節行ってやる。
とまぁ、冗談は置いといて。
「久しぶりだな、神奈子に諏訪子。昨日ぶりだけど久しぶり早苗。昨日は悪かったな」
過去は過去であった事。もしかしたら本当に過去で終わらせておくべきだったのかもしれない。
偶々、過去と今がつながって、今この場にいる。
多分俺にとって大きな何かはあるんだろう。それが何かは・・・・俺にもわからないな。
~ 鷹崎仁 幻想郷滞在期間 残り9日 ~
毎度ながら最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回はタイトルにこだわった回でした。無理矢理すぎる点がありますけど許してください。だいたいいつもそんな感じがしますけどね。
なんでわざわざひらがなにしたかというと、「まをとって」頂くと「かことい」が残ると思います。
「」の中を漢字変換して頂くと「間を取って」「過去問い」となります。
これらから一文にまとめると、「間を取って、過去問い」と言った感じになります。
仁君が適切なタイミングて過去に向かい問いかけるお噺という意味でこのタイトルにしました。このお話で完結したタイトルではないんですけどね。
少なくとも次回の本編まではかかわりのあるタイトルかな?と思っています。
かなり強引ですね。自覚はあります、はい。でもこんな感じの創作があってもいいのではないでしょうか?楽しんで頂けると幸いです。
私事ながら、今回のお噺で20歳で投稿する最後の噺になります。
20歳最後の投稿が20話目というのは単なる偶然なんですが、なんだか不思議なものを感じます。
これからも楽しんで頂けるように頑張ってまいりますので、応援等して頂ければ幸いです。
人気投票と好きなお噺投票も開始となりますがあまりにも少ないと企画倒れですかね・・・・。
とりあえず今回はここまでで、筆を置きたいと思います。
それでは皆様、次のお噺でお会いしましょう。さようならさようなら。