暑い暑すぎる。就活、卒論、睡眠。忙しすぎる!あれ?最後のは違うか。
とりあえず本編更新はかなりお久しぶりなので忘れてしまった方は読み返して頂けたら再会です。
それでは本編どうぞ。
俺がここに来た意味は何なんだろうか。
分からない。わかったところで今の俺にはその流れから逃れる気力はないのだろうけど、それでも意味を求めたくなる。求められずにはいられないのだ。
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必ずやってくる朝。昨日は意外と遅くまで飲んだが朝の時間帯には起きたみたいだ。
きっと、今日も何かをしろと言われるだろう。今日はいったい何をしろと言われるのか。わからないけれど待つしかできない。いつ、この時間が終わってしまうのだろうか。答えは明白だがそれでも思わずにはいられない。
「おはようございます。朝食の用意ができました。すぐに食堂へどうぞ」
「ありがとう。今日は何をしたらいいんだい?」
「来ていただければわかります」
「はいはい、相変わらず俺には冷たいねぇ」
「当然です」
「知らない間に嫌われたもんだね」
「良いから来てください。お嬢様がお待ちです」
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ここのご飯は美味しい。唯一つ言うなら俺は米派だ。どうも洋風の朝食ってのは慣れない。
「おはよう。あら?なた前髪あげてなかったかしら?」
「あぁ、そうだな吸血鬼。気分変えてみたんだよ」
「ふぅん。昨日一緒にお風呂に入った仲の私を吸血鬼呼ばわりね。…そ。まぁ、吸血鬼は…。いや、良いわ。私はこれから眠るけれど、貴方は図書館の方に行って頂戴」
「図書館?ここにそんな物まであるのか?」
「ええ。幻想郷においても屈指の蔵書数だと思うわよ。だいたい読みたい物の一つや二つは絶対に見つかるわね」
「へぇ、そうか」
「あら?貴方は本を読むのが苦手なタイプだったかしら?」
「いや、むしろ好きだけど?」
「でしょうね」
「何で知ってるんだ?」
「さぁ?」
「隠すような事でもないだろう」
「いずれ分かるわよ。ほら行きなさい」
「はいよ。飯食ったらすぐ行くよ」
「それじゃおやすみなさい。また夜にお会いしましょう」
見た目は幼くても立ち振る舞いは淑女のそれか。
なんか騙されてる気分だよなぁ。いや、こっちが勝手にそう思うだけだけど。
まぁ、幻想郷の俺が知ってる奴らは妖怪だったりするし、大概が年齢詐欺みたいな連中だけどな。
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「いやぁ、いきなり手伝って貰って申し訳ないですね」
「いやお気になさらず。俺のやる事は貴方達に委ねられていますから」
「そうですけど…」
「ま、働かざるもの食うべからずですよ。何もしないで暇してるくらいなら働いてるほうが良いですしね」
「そうですか。いや、正直言うと力持ちの男性がいるといろいろできるので助かるんですよね」
「美人の役に立てるならそれでいいんですけどね。さっきの紫髪の人はいったい?」
「パチュリー様の事ですね。あの御方は体は弱々しい感じですけど、様々な魔法を多く扱える大魔法使いなんですよ」
「俺あの人になんかしましたかねぇ」
この大図書館とやらに来て二人きりで少し話したが、終始機嫌が悪そうだったのが目に見えた。
会うのは初めてだし特に何か癇に障るような事は行ったりしてないと思うんだが…。
「いえ、始めて見た人を警戒して睨むのと、ぶっきらぼうなのはいつもの事なのでお気になさらず。きっと今頃は特に気にならなくなってるはずですよ」」
「そうですか。しっかし魔法使いねぇ。そんな事言ってた友人が一人いたような」
「そうなんですか?」
「ええ、金髪の女なんですけどね」
「アリスさんですか?」
「アリス?」
「違いましたか?」
「いや知らないな。霧雨…何だったっけな?」
「あぁ、魔理沙さんですか。ここにもよく来ますよ。そのたびに本をいくつか持って行っちゃうので大変なんですけどね~」
「あぁ、なるほど。確かに彼女ならやりそうですね」
「ええ、でもパチュリー様は楽しそうなので良いんですけどね。先ほど言ったアリスさんと言う方も交えて魔法について色々やってたりするので」
「…いいすね。そうやって切磋琢磨しあうような場って言うのは」
「貴方にもそんな場があるんじゃないんですか?」
「あったんでしょうかね?わからないんですよ。弟は何でもすぐに出来て優秀な奴だったし、俺は愚直に一人で稽古に励む事しか出来なかった。いつも教えられてばかりでしたよ」
「そうなんですか?でもなんでそれが辛いみたいな言い方するんです?」
「なんでってそりゃ、教えると言う事は何かしら期待してされてるから…。その期待に応えられないのは申し訳ないじゃないですか」
「これはこれは。貴方…少し自意識過剰では?」
「なんでですか?」
「いえ、お気になさらず。さ、これで終わりですね。もし何か次言われるまでは自由に本を読んで貰って構わないですよ。だけど、奥の方にある部屋に近付くことはお勧めしません。まぁ、流石に死に急ぐ方ではないでしょうし近付くこともないでしょうけどね」
「そうか。忠告ありがとう」
「では、私はこれで。あ、そうだ。貴方は独りで解決する癖を持ちながら、独りでの自身の力を過少に評価し過ぎですよ。だから悩まなくてもいいような事で大きく止まってしまうんですよ」
「急に何ですか?」
「いえ、ただの悪魔の独り言ですからお気になさらず。では」
自意識過剰で、自己完結で、過小評価か…。
何と言うかつくづく俺が思う弱い人間の悪性だよ。
この図書館は静かでほんのり暗くてけれど決して暗い所がない。考え事をするにも本を読むにも丁度いい。
過小評価に関しては何とも言えないんだ。きっと正しい評価を自分で下せるようになってしまえば、人間ではいられない。下せない事がいけないのだろうか?下せず悩み続けることをやめられてたら楽なんだと思う。それでも俺は悩み苦しむ事を離せない。離したくない。
考えながら歩いていると奥の方に来ていた。不思議と本特有の黴臭さもなく、舞う物もなく奥に進むほどに美しくなっていく。まるで宝物でもあるかのように豪奢と言うには質素だが、質素と言うには上品かつ上等な扉が。
近付くなって言われてたけど何があるんだ?う~ん、気になる。
まぁ、こう言う時は自分に素直にやりたいようにやってみるか。どうせあと一日いるくらいだし。
「しっかし高そうな扉だよなぁ。この屋敷はいちいち豪勢なんだよなぁ」
ガチャ
「あ?」
「あれ?」
誰?
「お兄ちゃん誰?」
「俺は仁って言うんだ。お前は?」
「私の名前はフランドール・スカーレットって言うの。フランで良いよ」
「そうか。俺は仁で良い。じゃあフラン、君はその部屋で何をしてたんだ?」
「あのね。お姉ちゃんからあんまりお外に出ないようにって言われてるから我慢してたけどなんか面白そうな事ありそうな気がしたから出てみたの」
「そうか。暇なのか?」
「うん、とっても」
「そっか。なら俺も今暇だし一緒に遊ぶか?」
「良いの⁉」
「おぉ。そんなキラキラした目で見られると不安になるなぁ」
「だって、だって。私と遊んでくれるって言ってくれる人はいないんだもの。いいわ、特別に私の部屋に入れてあげる。その代わりいっぱい遊んでね」
「まぁ、どうせ暇だったし遊ぶだけだし。出来るだけ遊んであげよう」
「わーい。さ、どうぞどうぞ」
部屋に招かれ扉を閉めた頃には笑顔のフランと、紅い無数の液体が宙を舞っていた。
**********
「随分と意地悪な事を言うのね、小悪魔」
「何のことですか?パチュリー様?」
「あら、私に対してもとぼけるのかしら?」
「冗談ですよ」
「でしょうね。貴女その辺は弁えてるし。それで何であんな事言ったのかしら?」
「なんででしょうね?何となくみっともなく感じたから…でしょうかね」
「そう…。ま、貴方が何を話そうと勝手だけど、やり過ぎないようにね」
「えぇ、わかっていますよ。パチュリー様の威厳も守っておきましたから」
「何の事かしら」
「私にまでとぼけます?睨んで見えたのは寝不足で目が疲れてたからで、ぶっきらぼうだったのは眠気が限界になってたからって事ですよ」
「そう。頼んでないけどありがとう」
「でも彼なかなか良い性格してますよね」
「あら、貴女が人間にそんな事言うなんて珍しい」
「そんな事ないですよ。ここに人間が基本的に来ないからそう見えるだけで。まぁ、でも彼は人間だって言ってますけど…」
「それは彼がどう認識するかだから私達が考えなくていいわよ」
「…ですね。でもかわいそうですね」
「そうかしら?あれはあれで面白いと思うけれど?」
「そうですかねぇ。…いや、外から見てる分には面白いんですかね?」
「そうね。彼はなかなかいないタイプだからね。それこそ色々聞いただけでも色々絡まり過ぎね。レミィじゃないから私が運命どうこう言ってもしょうがないけれど。あの性格じゃ死ぬんじゃないの?」
「はっきり言いますねぇ」
「まぁ、隠しても仕方ないもの。ま、外の世界に帰ったほうが良いわね」
「それがいいんですかねぇ」
「少なくとも彼にとっては元の生活に戻らなきゃいけない訳だから大変だろうけど、ここに居続けるよりはましなんじゃない?」
「でも、彼は元には戻りませんよ」
「そうかしら?」
「ええ、きっと彼は納得できないまま終われないでしょうからね」
「どうかしらね。それでも彼は折り合いをつける事は出来る男よ」
「随分印象が違いますね」
「まぁ、いろんなものの見方があったほうが色々比較検討しやすいわ」
「お嬢様は何を考えてあの男を招いたんでしょうね」
「さぁ?レミィが何を考えてるのか分からないのはいつもの事だから、気にしないでいいわよ」
「ところでパチュリー様。一つ気になる事が」
「奇遇ね、小悪魔。ちょっと静かすぎるのよねぇ。もしかすると」
「もしかして妹様のお部屋に?」
「早く探しに行きなさい!彼の身に何か危ない事があったらこっちが困るわ」
「はっ、はいっ」
*******
「失礼します。妹様!こちらに男の方は来られませんでしたか?」
「お兄ちゃんの事?うん、来たよ。ほら、いっぱい遊んでくれたよ。今そこに居るわよ」
「ちょっと失礼しますね!あの!仁さん!生きてますか⁉」
「ちょっと静かにしてくださいね。耳の再生終わって響くんで…」
「何で生きてるんですか⁉」
まぁ、四肢が潰れてるわ、血塗れだわ、悲惨な状況だったんだろうし。その反応も当然っちゃ当然かな。
「別に生きてて構わんでしょう」
「いや、まぁ、そうなんですけど…」
「あれ、聞いてませんか?俺はそういう体なんですよ。ちょっと人より治りが早いんですよ」
「ちょっとってレベルじゃ…。ほんとに傷が治って」
「いやぁ、便利っすね。どんなに怪我しても治るんで心配いりませんし。さ、フラン。続けて遊ぶかい?」
「うん!どんなに壊しても壊れないからいっっぱい遊べて好き!」
「妹様、すこしお待ちいただいても良いですか?」
「何で貴女が邪魔するのかな?邪魔するなら…」
「家邪魔しようとは決してそんな事は。パチュリー様がお嬢様に報告に行ったかもしれないので大丈夫な所をお見せしたほうが良いかと…。何せお嬢様のお客様なので何かあった場合はお嬢様が出てくる可能性も…」
「ちっ、アイツが出てくると面倒だな。…それならお姉様に見せてきなさいな。お兄ちゃん、それが終わったらまた遊ぼうね」
「いいぜ」
「仁さん‼」
「なんかまずい事でも言ったか?」
「…いいです。とりあえず行きましょう」
「じゃあ、またあとでなフラン」
「ええ、また後でお茶会に続きをしましょう」
ギィィ
「仁さん。近づかないように言いましたよね?」
「いやそれはたまたまだし、フラン部屋の外に出てたから呼ばれてついてっただけで…」
「なんでついていったんですか。命が惜しくないんですか⁉」
「いや、まぁ、惜しくはないですかね。どうせ治っちゃうんで。治るのが分かってるんでなんも怖くないですな」
「狂ってますよ。それでも痛い物は痛いでしょうに」
「めちゃくちゃ痛いですね、うん。でもそれだけでしょう?」
「何を言ってるんですか。それほど痛いなら避けるでしょう?」
「痛みや辛さなんてその気になれば忘れられますよ。感じなくすることだって出来る」
「…、やっぱり貴方みっともないです。最低ですね」
「言い過ぎでは?」
「これでもまだ言い足りない位です。貴女が人間だと言うなら…」
「あ~、それよりも行かなきゃいけないんじゃないんですか?」
「あれは嘘です。しかし言ってしまった以上一応見せに行きますか…」
「じゃ行きましょうか。あまり待たせても悪いですし」
「またあの部屋に行く気ですか…」
「当然。また後でって言いましたしね」
「はぁ、もうどうなっても知りませんよ」
「優しいっすね」
「何を言ってるんですか」
「だって見ず知らずの俺に心配して怒ってくれた訳だし…」
「お嬢様のお客さんだからです。何かあって怒られるのは我々ですから。そうでなければそんな死にたがりの人間ごときの事なんて知った事ではありません」
「冷たいなぁ。…まぁ、どうせもういなくなっちゃうからいいけどさ」
「どうやら無事だったみたいね」
「やぁ、何を心配してたかは知らないけどピンピンしてるよ」
「衣服がぼろぼろのくせして良く言うわ」
「いや、生きてりゃそれでいいでしょ」
「投げやりね。その様子だとかなり遊ばれたみたいだけど楽しかったかしら?」
「俺が楽しかったなんてのはどうでもいい。彼女が楽しんでみたいだしな」
「全く…。その性格じゃ苦労するわよ」
「知ってるさ」
「それなら一度着替えてきなさい。貴方みすぼらしいわよ」
「それもそうだな…」
「あ、そうそう。咲夜と言うメイドには気を付けなさい」
「それ言っちゃっていいんですかパチュリー様?」
「もうじき動くだろうし良いわよ」
「まぁ、そう言う事なら構いませんが…」
「何が何だかわからんがわかったよ」
よくよく考えるとまたフランの所に行くなら着替えても意味ないんではと思ったが…。まぁ、どうせ安く買った服だし良いか。
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「少々よろしいでしょうか?」
「はい?えっと、咲夜さんでしたっけ?」
「メイドの十六夜咲夜です」
「何の用で?」
「実は以前から貴方を監視するようお嬢様から言われ、監視しておりまして」
「はぁ、こんな形でストーキングしてた報告するとは思わなかったなぁ」
「命令されての監視です。話を戻しますけど、貴女は人間ですか?」
「得体の知れない貴女に言われたくない気もしますが…。まぁ、俺は人間ですよ。そうやって育ってきましたから」
「そうですか…。そうそう、私、偶に状況により仕方なく妖怪退治などもやっていたりしまして…。そうおしゃると言うならその化けの皮剥がして差し上げます。単刀直入に言うと…」
「はぁ?」
「殺して差し上げますから、大人しく殺されてくださいまし」
目の前には無数の刃。その刃が降り注ぐのは時なんてなかったかの如くすぐの出来事であった。
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「お兄ちゃん早く来ないかなぁ」
最初はタダの玩具だった。いつものように少し遊べば壊れる玩具。
でも壊れなかった。こわしても壊しても壊しても壊しても、何度でも治って治って治って治って。
それでも私と遊ぶことを辞めなかった。
そうして10と少し壊した後、お客として友として招くことにした。
『紅茶淹れられるのか』
『ずっとこの部屋で暮らしてたから…お茶を用意することくらいはできるわ。すぐ茶器を壊しちゃうからあまりできないから特別な時か暇な時しか出来ないけど。とは言え自信あるのよ』
『何かいいことでもあったのか?』
『貴女が壊れずに遊んでくれたから。玩具じゃなかったから。お友達になれそうだから。だからいっぱい痛かったと思うけどお友達になってくれる?』
『もちろん。でなければあれだけ痛い中でこの部屋に残らないだろう』
『だよね。知ってた!』
『だと思うよ。俺と君は同じ匂いがする』
『違うよ?でも似てる』
『なにが違うんだい?』
『例えるなら私は狂ってる。貴方は壊れてる』
『同じようなもんだと思うが』
『同じようで些細な違いよ。まだ壊れきってはないみたいだけど、貴方が私と同じになるかはこれからね。ならないほうが良いと思うけど』
『そうかぁ。でも狂ったって壊れたって良いんじゃね』
『何でよ?』
『君と同じように狂ってしまっても、君は俺と一緒に居てくれるだろう?』
『どうかしら?』
『いてくれるだろうね』
『だと思うわ。だって私と同じ匂いがするもの』
『とりあえず紅茶は俺の方が美味しく淹れられるな』
『貴方の方が美味しく淹れられるって言うの?』
『もちろん。なんなら今すぐ淹れようか?』
『ええ是非。でも馬鹿にされたからきゅっとしてドカーン』
『失礼します。妹様!こちらに男の方は来られませんでしたか?』
あの時邪魔が入らなければ…今頃楽しいお茶会の続きだったのに…。
いけないわ。思わずお人形さんを壊しちゃったわ。
でもいいの。またお兄ちゃんが来たら再会だもの。
「お兄ちゃんと私は同じような者なんだから人間になんてこだわらなくていいのにね。こだわるから辛くて苦しいのに。何で壊れず人間のままなのかなぁ。そんなこだわり壊してあげようかしら?」
紅い館の隔離された部屋で、宝石の羽をもった幼子が呟く。ただ純粋に相手を想って。
ただ周りの者が聞けばおかしな事を言っているようにしか聞こえないのかもしれないが。
毎度ながら、最後までお読み頂きありがとうございます。
如何でしたでしょうか。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
前書きに書いた通り、ただ今私生活が忙しい時期と言う事でかなり更新速度が遅くなってしまってます。落ち着いたらペース上げたりするなり、新刊作ったりしたいですね。
と言う訳で楽しみに待っていただいている方には申し訳ありませんが、余裕が出るまで気長に待って貰えるとありがたいです。もしいい感じの感想などあればどんどん書いてくれてもいいよ!(あつかましい)
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それでは次のお噺でお会いしましょう。さようならさようなら