東方与太噺   作:ノリさん

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お久しぶりです。長らく待ってた人がいたらお待たせしてごめんなさい。平成最後の夜に投稿します。

それではお噺の続きをどうぞ。


月下狂乱

「避けませんか。それでも死んではいないんでしょうけど」

「ご名答。ただ疲れてるから治りが遅いけどな」

「何十本と刺さったナイフを自分で抜いている血だるまの人間なんて見てて気味が悪いですけどね」

「なら投げないでくれると嬉しい。って言うか俺の服どんどん減っていくんだけど…」

「それは良いですね。新しい服でも買って経済を活性化させては?」

「なるほどっ。確かにそれもそうだ、いっつぅ。痛覚はあるからこれ以上刺して欲しくないんだが?」

「それは無理ですね。お嬢様から経過観察の後に好きなように処理するようにと命じられてますので」

「ロクでもない命令だなぁ。そんな事して何になるんだよ」

「それが何にならなくても構わないのですよ。私はお嬢様に仕える者ですから」

「あぁ、そうか。…そう言えば俺も…」

「言いかけずに、最後まで言いなさい」

「いやぁ、ふと思い出しただけですからお気になさらず」

「そう、話す気がないならその口から裂いてあげましょう」

「口は最初から裂けてるでしょう」

「減らず口を行えるくらいには余裕があるようね」

 

 

あぁ、何度も剣の雨。切って裂いて刺さってぶつかる。弾けて散って何故だか散らなかったりして。

床に落ちては赤くなって黒くなってそして濁る。

 

避けようと思ったら避けられるものもあった。それでも俺は避けなかった。避ける事すらしなかった。

避けた所で同じことを繰り返すならきっと避ける意味なんてない。

 

唯ひたすら長く、長く、長く。どれほどの時が経っただろう。

 

「…少なくとも私が観察していた時よりも腑抜けてしまっていたようですね」

「おう、そうか。俺からしたら変わってるつもりなんてないんだけどな。そっちこそ本当に人間?」

「いつまで現実を見ずに隠して誤魔化すつもりですか。そして人間です、今はお嬢様のメイドです」

「はっ、トンデモ人間がいたもんだ。それに俺はあんたに隠してることなんてないよ」

「私には無くともあるでしょう。そろそろ隠しようが無いように、その下した前髪諸々切り落としましょうか。そして無様な姿を妖怪の山の神社の方々にでも晒して差し上げましょうか」

 

ヒュン

 

「ようやく避けましたね」

「黙れ」

「そしていい殺気です。ここに来てからの腑抜けた貴方からは想像できない程の生気を感じられますわ」

「うるさい」

「何か嫌なら、避けるなり反撃するなりしなさいな」

 

いきなり始まる。

 

 

そんなに時間は経ってないはずなのに、何時間も戦い続けているかのような。それほどに彼女のナイフか多く苛烈だ。どこにそれだけの物を用意す時間があったのだろうと問い詰めたくなるような…。おまけに疲労感も恐ろしく違うし…。あっちは優雅に散歩してる程度、俺はフルマラソン全力疾走してるくらいに息がキツイ。…俺も大概人間やめてるよなぁ。…まぁ、それは置いといて、俺と彼女じゃ時間経過が違うみたいだ。…時間のズレ?

 

「やっとわかった」

「何がです?」

「いやぁ、貴女の能力は何なんだろうってずっと考えてたんですよ。最初は瞬間移動かなって思ったんだが。まぁ、そうだなぁ。でも、勝ち筋が見えた」

「ならやってごらんなさい」

「それなら遠慮なく」

 

集中しろ、俺の能力が奪う事なら、きっと出来るはず…。前は偶々そうなっただけだが、今回は意図的に引き起こす。少しでもミスをしたら俺はまた…いや、余計なことを考えるな。やろうとしていることに集中しろ。

 

「…まだですか?」

「……律儀に待ってくれてありがとう。おかげで勝てるよ。ただ手加減できるかどうかはわかんねぇから死んでくれるなよ」

「減らず口を叩けなくしてあげます。時間には逆らえないでしょう?」

 

世界が止まる。紛う事なき今世界は彼女にとって思いの儘だろう。

でも勝てるといったからには絶対に勝つ。目には目を歯には歯を、チートにはチートを。

 

「最後に深く心臓に刺しましょう。これが貴方の墓標よ」

「死ぬなら俺には墓なんていらねぇよ。誰にも知られず野垂れ死ぬさ」

「っ!?」

「捕まえたぞぉ‼︎この腕はもう離さねぇ‼︎」

「離しなさいっ、離せっ!」

「おいおい、さっきの余裕はどこにいったぁ‼︎そんなもんじゃ俺には勝てねぇぞぉ‼︎」

「なんで止まった時間の中で動いているのっ‼︎」

「それは負けを認めたら教えてやるよ。もしくはお前の主人ならこうなることは分かってたんじゃないかぁ‼︎さぁ、お前の両腕を掴んだ訳だが負けを認めなきゃ潰れちまうぞぉ‼︎」

 

 

答えはシンプルだった。人間として生物として時間に縛られるのは当たり前だ。大自然のルール、生命の摂理だ。

と、なればやれる事は簡単だ。まぁ、やっちゃたら人間じゃなくなっちゃうんだけどさ。

 

「くっ、もう一度」

「無駄だよぉ。もうアンタのその力は俺には効かねぇよ‼︎それとも時を止めるのを今やめるかぁ?そうしたら助けが来るかもなぁ」

 

俺と言う人間がそのルールに当てはまらないようにすればいい。流石に概念にまで影響できるかは不明だったし、何より失敗してたら死んでたかもしれない賭けになる。元々死ぬ訳でもないのに何でこんな事してるんだろうな。逃げりゃあいいのにさ。

 

 

「そんな事はしません‼︎私は負けを認める訳にはいきません‼︎」

「そのプライドこと潰すか」

「やれるものならやってみなさい」

「…はぁ、やめやめ。俺の負けでいーよ。はぁ、熱くなるとどうも口が荒くなるなぁ」

「なぜ戦わないのです。貴方を殺そうとしてた私を返り討ちに出来てたはずなのに」

「あのなぁ。散々俺の嫌なとこ突いてきてムカッ腹立ってつい熱くなって色々ひでぇ事なっちまったけども、別にアンタのこと殺したいほど嫌いって訳じゃないし、殺しちまったらここでのうまい飯が食えなくなる。まぁ何より」

「?」

「俺も、貴女もそうかも知んねーけど、人殺しじゃないからね」

「甘い人ですね」

「甘くて良いんだよ。俺には世界が苦過ぎた。貴女に言われた通り見たくない現実を見ず逃げたり閉じこもったりしてるだけだ。それでもやっぱり辛いのも痛いのも苦しいのも嫌なんだよ。そうでなきゃ壊れそうでどうしようにもねぇんだ」

「あの三柱がいなくなった時もですか」

「そうだよ。そうしか出来なかった」

「やれる事はやった上で納得してですか」

「あのね、世界そのものが書き換わってるみたいな感じなのにどうしようもないでしょ」

 

家族がいなくなった時、大切な居場所がなくなって大切な人達がいなくなった時、そして大切な思い出の場所が皆んなの中から消えて俺が世界にひとりぼっちにされた時、全部俺は甘えに甘えた。何も考えず、目を向けず、触れ合うことをやめた。

 

だけど、俺はそれで良かったと思う。他の人からみたら歪み澄んだ甘さかもしれない。それでも俺が辛くないなら、苦しくないなら、辛くさせないなら、それで良いと俺が決めて選んだ道だから、否定するわけにはいかない。

 

恨みました、呪いました、憎みました、それでもあの時の確かに感じていた幸せは焼き付いて離したくない物なのです。だから結果として私は未来を閉じてしまったのです。

 

 

だけれど

 

 

「だけどその在り方が俺なんだよ。それまで否定されたら俺は存在出来ないんだよ。俺は…ここまでそれでそれなりに必死に生きて来たんだよ…そんなに甘いのが悪いのか…」

 

 

 

俺は何を言っているのだろう。何故こんな事を言っているのだろう。なぜこんなに苦しいんだろう。

何故こんな言葉が止まらないんだ。

 

いつぶりだろうか、ここまで訳も分からないままに喋るのは。

 

胸の内を覆いつくし、濡れ固まっていた灰の様なモノが、燃え盛るモノに中てられ渇き、重みを持たぬ言葉として散っていく。ではその灰があった場所には何がある?

 

「そんな顔しながら貴方は泣かないんですね。もういいんじゃないですか。自分を許しても」

「許すって何を許すんだよ。甘えてきた俺に。許し続けてきた俺に」

「貴方は自分を許してなどいない」

「やめろ」

「なぜなら、許している者は過去に焦れて囚われませんもの」

「やめてくれ‼」

「奪って満たされましたか?自分の意志で奪っておいて、手に入れたもので満たされない。何故ならあなたは人間であると良心を捨てられない」

「やめろって言ってんだろ‼」

 

「人から奪う事しか出来ず、それでも奪い続けることを辞められない、永遠に満たされることのない運命」

 

「知った風な口をくんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。これ以上イラつかせるなら全部奪いつくしてやる!」

 

「それが貴方の本性ね、哀れな男。今すぐここから去りなさい」

 

 

哀れな男。何故だろう。否定したいはずのその言葉、胸の内に燃え盛るモノがあったはずなのに、一瞬にして俺の体温を奪い、そして

 

 

「わかったよ…。ただ荷物だけは持って行かせてくれないかな」

「どうぞ、もうこちらにありますよ。去りなさい。貴方には行くべき場所がある」

「…どーも」

 

 

俺は何も言えず、屋敷を去る事しか出来なかった。

 

「…いったいどこに向かえと言うんだ」

 

だって俺には何もなかったから。

 

 

 

 

 

***************

 

 

 

 

 

あいつがここから居なくなってから、そんなに経ってないはずなのに恐ろしく長い時間が経ったような気がした。

気が付けばあいつの事を考えてしまうから余計にそう感じたのかもしれない。

 

想えば不思議な奴だった。いきなり訳わかんない出会いを経て、妖怪を恐れず、思ったままに行動して、気が付けばお店なんかやって、ちょっと目を話したら人里で屋台やって人気出て、勝手に嫌われ者になる道を選んでどこかへ行った。

 

まぁ、私と違って人気者だしいくらでも行く当てなんてあるんだろうけどさ。

でも本当に面白い変な奴だった。面白さ至上主義の塊みたいな奴で、めんどくさがりな癖にして面倒事に突っ込んで行き、辛いくせになんて事ない顔で帰ってくる。

 

本当に馬鹿な男だ。いっつもヘラヘラして、ふとした瞬間にどこか悲しい顔をしてバレないようにまたヘラヘラする。今はどうしているんだろうか?どこかでまたヘラヘラしているんだろうか?正直に言えば会いたい。会ってまたあの時のように他愛の話をしたい。

 

こんな気持ちになったのは久しぶりだ。胸が締め付けられるほど恋焦がれている。

だからこそあいつの気持ちを尊重して送り出す事しができなかった。かつてのような失敗をしないために私は…。

 

「はぁい、恋する乙女さん」

「何よ、こんな辺鄙な所に来るなんて大層暇なのね」

「そんなにつれない態度で良いのかしら~。貴方の想い人が苦しんでるの伝えに来たのに~」

「はぁ、何言ってるのよ。アイツもう帰る頃でしょ」

「あら良く知ってるのね」

「そりゃあ…そんな事は良いのよ。それにあいつはそんなに弱くないわ」

「そうね。でも今回は…本当にダメかもしれないわよ。自ら命を絶つほどに」

「っ‼どういう事?説明しなさい‼」

「説明するより本人に会ったほうが良いじゃない。ほらそこに都合の良いスキマがあるのだから」

「本当に貴女ムカつくわね」

「誉め言葉よ」

 

ためらいなく私は飛び込んだ。

 

 

 

********

 

 

ある森の中。暗く、日も落ちようとしているこの時にふらつく男が一人彷徨っていた。

男は半ば放心状態で手に荷物は持てど気が付けば離してしまいそうなほどに心ここにあらずといった様子。

 

その周辺にある女が現れた。橋姫と呼ばれる地底から滅多に出てこないはずの女。

彼女は探していた。恐らく男を探していた。何よりも想ってしまった男の事を。

大方、賢者にでも唆されたのだろう。かなり平常とはかけ離れた心持らしい。

 

そして男が地面に片足を付き、倒れようとしたその時、ついに出会った。いや、出会ってしまったと言うべきか。

 

「やっと見つけた」

「‼…どうして君がここに…」

「色々あったのよ色々。そっちも…色々あったみたいね。とりあえずどうしてそんなにボロボロなのか話を聞かせて貰おうかしら」

「なんでよりによって君と会ったんだ。会ってしまったんだ…」

「良いから質問に答えなさい」

「…ん~、色々あって人を怒らせちゃってね。いやぁ、強い人でこってり絞られちゃったよ。いやぁ、もっと鍛えないとなぁ」

「…どうして」

「ん?」

「どうしてそんな風に誤魔化すの‼」

「…」

「ずっとわかってたわよ。地底に居た時だって仲良くしてくれても何処か一線踏み込ませないようにしてた事くらい‼それでもそれ以上に踏み込みたいって思ったんだもの‼」

「ちょ、ちょっと、泣きながらいきなり何言ってんだ」

「うるさい、全部アンタのせいよ‼アンタが地底を出て言ったあの日の告白だって…」

「それは…ちゃんと返事したじゃないか」

「上辺はそうね。でもね、あんなふうに軽く流されたら私の立場がないじゃない‼」

「…ごめん」

「謝らないでよ‼自分でもおかしな事言ってるのわかってるから…。でも覚悟を決めて告白したのに、あんな線引きしてるのが見え見えな断り方されてどんな気持ちだったと思う?ねぇ、いっそのことまた憎めたら良かったのに…どうして…ねぇ、どうしたら貴方の心に添い遂げられるの…どうしたら貴方は私に本当の心を見せてくれるの…」

「それは…」

「どうしたら貴方は私をちゃんと見てくれるの…」

「………………」

「どうして黙るの…どうして答えてくれないの…」

「ごめん」

「だから…」

「謝るなって言うんだろう。でも俺は…その問いに返す言葉がないんだよ…」

「どうして…また私を…」

「違う、違うんだ…。今日色々あって、その…前の告白の時にも言った気がするけど俺には恋も愛も感情が理解出来ないんだ。分からないから、心について学ぼうとした。学んだ。知識歳は蓄えられた。では自分に当てはめたら?…ないんだよ。皆の言う心が動かされる感情のそれぞれが。俺には何にも。今までの人生いろいろあったはずなのに」

「それは…」

「わからないよね。君は俺じゃない。俺だって君じゃないから君の心はわからない。俺は分からない事が怖いんだ。なぜ俺の家族は死んだ?何であいつらは何も言わずにいなくなった?何で世界に一人取り残されたんだ?判らない事だらけなんだ…そんな中で生きてきたら自分の心すらわからなくなっちゃっってさぁ。それに…」

「…それに?」

「なぁ、俺って何なのかな?人間なのかな?」

「何を言っているの?」

「なぁ、見てくれよこの額」

「そ、れは…」

「なぁ、人間ってこんな角って生えてくるのかな。なぁ、もしかして俺は、人間じゃないのかな?」

「なんで?どうしてそんな…」

 

「わからないんだよ。もう何もかも」

 

「ずっと、ここに来てから変に力強くなってきて。むしろこっちに居る方が自然みたいでさ。あっちの世界に居た方が異常みたいでさ。でも俺が生き続けたはずの世界なんだよ。俺は人間として生きてきたはずなんだよ。それなのにこんな…」

 

「なぁ、俺の生きてた世界って何なんだ?あの育ててくれた家族って何だったんだ?なぁ、俺って何なんだよ。この力って何なんだ。誰も教えてくれないんだよ」

 

「なぁ、どうやったら恋する?どうしたら愛せる?どうやったら…泣ける?こんなに辛いと感じているはずなのに、苦しいと感じているはずなのに、どうして他の人間のように心から涙を流せないんだよ‼」

 

「どうして…世界は美しい物で溢れているのに、俺は‼この力のせいで…この力で両親だったはずの人間の命を無意識に奪ったかもしれないんだぞ‼大切だったはずの人達の居場所を奪ったかもしれないんだぞ‼もしそうだったらどうしたらいいんだ…俺は…」

 

 

「もう…何も考えなくても良いわよ。辛いなら、苦しいなら、わからないなら、無理に考えず。その答えが判るまで生きましょう?」

「なんでそんな事言うんだ‼いっそのこと俺が完全に人じゃなくなる前に殺して欲しいくらいなのに‼」

「ねぇ、どうしてそんなを嘘を言うのよ。辛いのも苦しいのも嫌なんでしょう?それに少なくともここに来てからの事を楽しそうに語ってた事、他の奴を助けるために覚悟決めて実行した事、全部嘘にしてしまうの?」

「それは…」

「ねぇ。生きるのが辛いのかもしれない。けど生きていけば見えるものもあるのよ。私だってそうだもの。私は人間でも人間じゃなくても変わらず。鷹崎仁、貴方の事が好きよ。貴方にとってどうなのかは知らないし、わからないけど、それでも一緒に過ごしたいと思うことに変わりないもの。だからね、貴方の求めるが見つかるまで、納得する答えが導けるまで一緒に居てあげる」

「…離してくれ。俺はもう綺麗事には…」

「本気で離れようと思えばとっくに離れてるでしょ。綺麗事で良いのよ。今の私の心臓の音聞こえるでしょ。結構緊張してるのよ。顔だって熱いし。ねぇ、もしかしたら貴方が大切だった人達がかつてそうした様に、私も何かの事情で離れる事があるかもしれない。もしかしたらこの胸の高鳴りも、顔の火照りも冷めてしまうかもしれない」

「そうだ。だから俺は…」

「でもね。今の私は貴方から絶対離れないわよ。だって高鳴りも火照りも今ここに確かにあるもの。ねぇ、確かに過去の事も大切だし、今の事も大切よ。でも、それだけに囚われて自分を苦しめないで。分からないなら一緒に考えていきましょう。…貴方のそんな顔を見続けるのは辛いのよ。今この場での、一時の迷いでもいい。利用するだでもいい。それでも貴方が少しでも楽になれるなら…っ⁉」

「…あったけぇなぁ」

「こっちは熱いわ。体に巻き付く腕のせいで…ね」

「俺はお前が望むような男じゃないかもしれないぞ」

「いいのよ。望んで貴方の枷になるなら望みごと捨てるわ」

「気の利いた事とか、気の利いた振る舞いなんてできねぇぞ」

「今までの行動見てたら分かるわ」

「迷惑かけ続けるかもしれないぞ」

「前から変わらないわね」

「めんどくさい男だぞ」

「私も似たようなものだしお互い様ね」

「一生答えが出ないままかもしれないぞ」

「それだけ一緒に居られるって事でしょ。望むところよ」

「じゃあ」

「まだあるの?」

「…俺はお前みたいにお前に恋しないかもしれないぞ」

「これからどれだけの期間生きると思うの?鬼は恐ろしく長生きなのよ。それだけあれば十分よ」

「狂ってる」

「そうね。でもそれもお互い様でしょ?」

「一緒に地獄に落ちるつもりか」

「私が住んでるのは元々地獄よ。旧だけど」

「それもそうだな。…あぁ、月明かりが綺麗だな」

「そうね。私死んでもいいわ」

「一緒に生きるんじゃないのかよ」

「洒落もわからないの?」

「冗談だよ」

「さっきまで弱ってたくせに良い性格してるわ」

「ありがとう。誰かさんのお陰だよ」

 

「「じゃあ、一緒に帰ろうか」」

 

 

月明かり照らされた森が二人の帰り道を照らし、祝福しているようだった。ただしその祝福が本来あるべき未来へと導くものかは、また別のお噺。

 

 

 




毎度の事ながら最後までお読み頂きありがとうございました。

今回のお話で僕が最初のころに考えていたお噺の見せ場の1つを無事お届けする事が出来ました。

本当に遅くなって申し訳ない。忙しかったのはあるんですけど、今回のお噺はかなり今までとは違いこのお噺の核に触れるようなものにしたかったため、仕上げるのに時間がかかりました。あとちょっと後半は特に感じてもらえるかもしれませんが、普段とは書き方を変えてあります。…多分そうなってるの伝わったと思います。(願望)
それはそれとして、とは言っても忙しくて疲れて書く時間取れなかったりって言うのはあるんですけどね。
体力大切。

今回のお噺で今までの仁君の行動や言動におかしなものを感じてた人がいたら今回のお噺でその原因の一端を見せられたらと思い書いてました。これでこいしちゃんがすぐ見えた原因もわかってくれた人にはわかってもらえるような書き方が出来たんじゃないかと思いたい‼…伝わるように書けていたら幸いです。(多分書けてない)

俺TUEEEEEE‼ーする小説とか読むんですけど、実際そうなったらと考えると身の丈に合わない強さを抱え続けるってかなりの苦しみになるんじゃぁないでしょうか。僕は怖くなっちゃいそうですね。まぁ、空元気も元気の内って言うので仁君はすげーと思います。

今度はそんなに期間開けずに投稿したいなぁ…。
さて、平成という時代が終わり新しい時代に変わる訳ですが、僕は変わらず書きたいものを書きたいように、まったりのんびり変わらず書いていきますので、皆様にも変わらず応援して頂けたり、お噺を楽しんで頂ければ幸いです。

それでは皆様、令和になっても変わらずご贔屓頂ければ幸いです。それでは次のお噺でお会いしましょう。さようならさようなら。
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