東方与太噺   作:ノリさん

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どーも、アンケートとか自分からやっといて、いざ感想とかアンケートの回答が来たらビビッて三時間近くパソコンの前で悩んでた系作者のノリさんです。

お久しぶりの投稿ですかね?
って今のところ1週間に1本のペースで投稿しているはず・・・。

不定期更新とか亀更新とは何なのか・・・・。

今回は前回やったアンケートでリクエストいただいた人物がメインのお噺となっております。
ご協力頂きありがとうございます。また感想も嬉しかったです。

アンケートは新しいフォームを作ってありますので良ければ活動報告も覘いて回答を打ち込んでもらえると嬉しいです。

それでは、本編はじまります。


化かされるのはどっち?幻想狸合戦マミマミ

もうお昼なんだよなぁ。もう12時過ぎてるとかマジかよ。

昨日のプレオープンも成功?だったし、今日からの通常営業頑張ろ。

 

まず昨日洗いきれなかった物の処理からしていこうかな。

 

しっかし昨日はすごかったなぁ。お酒の減りは尋常じゃないし、食べ物も思ってたより減って、ちょっといきなり自信叩き折られそうになったわ。

地霊殿組とか水橋さんと言うよりは鬼の皆さんがすごかったからなんだけどさ。

さす鬼さす鬼。ふっ、ちょっとハマった。

 

さとりさんや水橋さんは、あの後もっと相手をするのが大変だったのでなるべく思い出したくない。

いやマジでホント。

お酒の席であんな大変な目にあったの久々だった。多分今まででトップの大変さだった。

マジで酒って人どころか妖怪も神様も変えちゃうね。

 

とりあえず起きてから今日の買い出しと仕込みは終わってる。

昼食もおにぎりとみそ汁で簡単だが食べたし、夕方の営業に備えて仕込み始めないとな。

時間をかけないといけない仕込みは寝る前になんとかやったし、その日に仕込んでおくものはそう多くはないから頑張ろ。

 

まだ始めたばかりだからメニューは多くないしその日の仕入れの状況によってメニューが変わっちゃうのは良いのか?と思わないでもないが仕方がない。1人でやっていくにもまず最初で躓いたらいけないしな。

 

少しずつコツコツとやっていくことが大切なんだよなぁ。

 

とりあえず買い出しは昨日ほど客が入る事もないだろうと思って昨日より仕入れは少なくしてきた。

この世界の物価は恐ろしいくらい安い。正直慣れるまで毎日目を疑ったものだ。

 

でもやっぱ昨日ぐらいは用意しておいたほうが良いのかな・・・・。

いや、さすがに開店初日でそんなに客が入る事はないだろ・・・・。

 

*****

 

分量もそう多くなかったので早く終わってしまった。現在2時、開店まで3時間もある。

せっかくなので、ちょっと適当に外うろつこうかな。

 

 

鍵を閉めてっと。とりあえず地底から出るか・・・・。

ちょっと人里に気になってるところあるから、そこに行こうかな。

 

橋の前にいた水橋さんとあいさつしたんだけど、なぜかそっぽを向かれた。

ので、機嫌が悪いんだろうと思い、早々に穴の壁を走り抜けて地上に出た。

あんな時は下手に声をかけない方が良いって言うのが相場だろう。俺の中ではだけどな。

 

 

そういや、今すごいことやったんだよな・・・・。こんな深い穴を壁走りで登りきるとか、やばいな。人間離れが進んでるな、俺。

 

思い返せば、伊吹さんと手合わせしてから俺の人間離れがえらい速度で進んだ気がする。

もういろいろあって慣れて驚かない自分がいるけどさ。だって鬼とか普通にいる世界だしそんな事もあるんだろう。

 

あっちで気まぐれに少し鍛えておいたのは正解だったかもしれないな。鍛えてない状態だったら自分の体に振りまわされていたかもしれない。

俺の気まぐれもたまには役に立つって事だな。

 

 

で人里に到着。

気になってたのは、ここだ。えーと、鈴奈庵?

 

貸本屋らしい。俺は伝承や神話などが好きな事もあり本を読むことが大好きだ。

せっかくなのでここならではの本が読みたいと思い、寺子屋教師に聞いてみたら薦められたのがここだ。

色んな種類の本があるらしく、見ているだけでも飽きないんだとか。

 

実に良いじゃないか。おら、ワクワクすっぞ‼

でも初めての店にはいるのには勇気を要するタイプの人間なので一呼吸おいてから、店内に入った。

 

「お邪魔しまーす。っていないな・・・。おぉ、本がたくさんあるな。どれから手を付けようか」

 

って店員いないのは大丈夫か?

本屋で本を買う時、俺はなんとなく気になった本を手に取って流しでざっと読み、欲しくなったり借りたかったりしたら行動を起こすって感じだ。

時間は帰る時間も考えて、2時間ぐらいかな・・・。いや念のため1時間半くらいだな。

さて‼俺好みの面白い本は見当たらないかな~。

 

 

*****

 

本を探して軽く読んだりしてたら陽の傾きが変わってた・・・。

もうそんなに時間経ったのか・・・・。今何時だろう?短いなぁ、好きな事してる時間って。

 

感想としては控えめに言って最高の貸本屋だった。

面白そうな本ばかりなのが素晴らしい。だから選ぶのに悩みそうなんだけど。

 

でもいくつか例外を除いて、正直あっちで読めてたようなものばっかだったんだよなぁ。

その例外もなんか御札とか貼って封印されていたり、奥に置かれていたりしているようだから迂闊に読めないし困ったもんだ。

 

鬼とかいるんだし、もっとこっちならではの本をたくさん読みたかったんだよな。

 

とりあえず料理のレシピ本2冊とお気に入りだけど最近読んでなかった小説があったからそれ1冊借りていこう。

 

ってあれ?いつの間にかカウンターに中学生・・・くらいかな?の大正ロマンを感じてしまうようなハイカラさん系の女の子がいるけどもしかして留守番か?

もしかして店主不在時の代理の見張りってだけで、借りられないですって事はないよな?

とりあえず時間も聞こう。やばかったら急がないといけないし。

取り合えず今回は3冊を借りれたら借りていこう。

 

「すまない、今何時かわかるかな?」

「今は16時ちょうどですね。そちらの本はどうなさいますか?」

「あぁ、これらは借りていきたい。店主が見当たらないようだが借りられるのか?」

「失礼ですね。私は店の人間の本居小鈴です。貴方は初めて見る顔ですね」

「これは失敬。随分アンタが若くて綺麗なんで、見張りだけの人間かと思っただけだ。気を悪くしたのならすまない。あと俺は最近ここに来た人間だからよろしく。しかし本居ときたか。まぁ、いいや、取り合えず料金はこんだけで足りるか?」

 

本居って言ったら日本史をかじった人間ならなんとなくわかるだろうけど、もしかしたら関係あるのかな?

 

「⁇えぇっとこんなに要りませんよ‼えっと・・・、これだけで十分です。ありがとうございます。それでしたら今後とも鈴奈庵をよろしくお願いします‼」

「本は大好きだからね、また来るよ。今度来た時は 奥に隠されている本 とかも読ませてくれると嬉しいかな」

「なんでそれを!?」

「そうだねぇ。本の声が聞こえたからって言っておこうかな」

 

もちろん嘘だけど、こう言っておいた方が後々都合がいいだろう。変に目をつけられても困るし。

いや、今の言葉は相当やばい奴だったか?ま、いいや。

 

わかった理由なんて、明らかにやばそうな雰囲気を出している本が幾つかあったからなんていえないだろ。

あまりにも感覚的過ぎるし説明しようがない。

 

とりあえず店を出て、本を風呂敷に包んで、本を傷めないように体にくくって全力ダッシュだ‼

開店時間までに間に合うように帰るなら、相当急がなきゃな‼

 

 

 

「ほおぅ、何やら面白い奴が紛れ込んできたのう。久々ちょっくら人間(カモ)をからかいに行ってみるかの」

 

 

*****

 

走り過ぎた。もうマジでしんどい。一応店の格好に着替えて、後は開店するだけにしたけどさ。

店は開くよ。予定日を疲れたから変えるとか情けなさすぎだし、幸先悪すぎるでしょ。

でもあと30分程余裕があるな。せっかくだし借りてきた内のレシピ本でもカウンターで読むか。

 

おぉ、なるほどな。これなら前菜で出せそうとか、これ出すならもうちょっと酒に合うよう味付けは濃くしたほうが良いかもななんて読んでたらあっという間に30分。

 

さて、暖簾出しに行こう。今日はお客さん来るかな。

と、店前に出て暖簾を掛けた途端にすぐに人がいた。メガネで髪が長くて黄緑色の紋付き羽織を着た女性だ。

やっぱ、ここの女性って基本レベルの高い人たち多いね。

それよりも気になるのが格好なんだけどさ。

 

地底って基本的に暖かい。だから熱くない?その羽織着てると暑そうに見えるなぁ。

 

なんて思ってるとその女性が俺の事をじろじろと見ている気がする。

こういう時は何て声かけりゃいいんだろう。こういった時こそ今まで読んできた本を参考にするか。

 

「もし、そこのお嬢さん。私に何か御用ですか?じろじろ見られれるような覚えはないと思うんですけどね」

「ふぉっふぉっふぉ、お嬢さんときたか。これは失敬したの。いや、見慣れない店だと思ってちょっと眺めておったんじゃ」

 

わぁお、喋り方が本の中でしか見たことない老人みたいな喋り方だな。これはこれで全然あり。

 

「あぁ、そうでしたか。こちらこそ失敬しました。うちは今日営業開始なもので見慣れないのも無理はないと思いますよ」

「おぉ、そうじゃったか?して何屋じゃ?」

「うちは看板にもある通りお食事処です。って言っても今のところ夜の時間帯しかやる予定はないのでどちらかと言えば居酒屋みたいな感じですかね」

「ほぅ、居酒屋ときたか。ちょうどいい店がないか探しておったんじゃよ。せっかくの縁だし最初のお客にならせてもらうとするかの」

「ありがとうございます。それじゃ店内のお好きな席へどうぞ」

「ほほう、随分と良い雰囲気の店じゃないか。これは料理も楽しみじゃのう」

「はは、初めての営業なのでお手柔らかに。これはお通しのキュウリの1本漬けと、水とおしぼりです。御召し物脱がれるようでしたら椅子の下にある籠に入れてください。メニューはそこにあるので何かあれば注文してください」

「じゃあとりあえず日本酒の冷を貰おうかの。あと卵焼きと枝豆も頼むぞい」

「承りました。ちなみにうちの卵焼き甘いやつじゃないんですけど大丈夫ですか?」

「うん?あぁ、平気じゃよ。そんな事まで気にするのか?」

「まぁ、一応ですけどね。甘いと思ってたのに違うって言われてもお互い嫌じゃないですか」

「細かい気配りじゃの。好感が持てるぞ」

「そう言って貰えるのは、嬉しいですけど俺が嫌な思いしたくないってだけですからねぇ。はい、こちら日本酒の冷と枝豆です」

「ま、何にせよ、そう言った事はそうそうできるもんじゃないって事じゃ。ここで店を開いている以上は基本的には相手は人ならざるものじゃよ。お前さんはそやつら相手にそれが出来るんじゃ、少しは自信持っても良いんじゃよ?」

「そうですねぇ。初めて来ていただいたお客さんも人間じゃあないですしねぇ」

「!?んふっ、はぁ、ふぅ、何をいきなり言い出してるんじゃ。驚き過ぎて酒を噴くところだったぞい」

「あれ?違いました?ここって俺くらいしか人間いないですし、神様とは違うし・・・かといって亡霊とかではないし・・・、妖怪みたいな匂いのする人だなって思ったんで、てっきり妖怪かと・・・」

「なんと‼儂、人間に完璧に化けておったろ?それにそんなに臭くないはずなんじゃがのう」

「見た感じはもう見紛う事のないくらいの人間でしたね。匂いってのは物の例えなので気にしなくても良いですよ。お客さんからは少し煙草の匂いがしているってだけですし。要は感覚的にって事です」

「なんとまぁ、びっくりな人間が居ったもんじゃのう」

「いやぁ、そんなに褒められると照れますねぇ」

「いや・・、褒めてはおらんのだが・・・・」

 

なんと。すごい奴って褒められたのかと思ったよ。

 

「そうなんですか?とりあえずお待たせいたしました。こちら卵焼きです。熱いの出を気をつけてくださいね」

「うんうん、湯気が出てて何ともいい感じじゃな。大根おろしも添えてあるのもポイント高いぞい」

「ありがとうございます。お酒のお替りはいかかですか?」

「それじゃあ、同じのを頂くとするかの」

「わかりました。せっかくですから熱いうちにどうぞ」

 

卵焼きは正直良い物を作れるようになるまで時間がかかった料理の1つだ。

1人暮らしになってからは、卵があれば卵焼きを作ってた位に練習した。

おかげで今ではかなりの仕上がりになったと思う。

中の最初の2回巻く時は香りの強い出汁を混ぜた溶き卵を使い、次の2回は黄身を多めにした溶き卵を使って巻いて完成。このおかげで外は卵の味がしっかりして、中は口に入れば出汁の香りが鼻を抜けるいい卵焼きになった。

え?だし巻きじゃないのかって?家ではこれが卵焼きの1つだったからいいんだよ。

 

「はふっ、うん、ふっくらとしていて出汁の効いている感じがいいの。これは酒も飲んでしまうな」

「美味しそうに食べてくださいますね。内心ビビりながらやってたので安心しました」

「これだけの物を作っておいてか・・・。だから、自信を持つがいいよ。妖怪相手にこんな商売やれる人間もそういないんじゃから」

「まぁ、こればっかりは性分ですからね。ところでお客さんは何の妖怪なんです?」

「儂か。儂はな・・・と、素直に教えても面白くもなんともないの。そうじゃ、せっかくだし当ててみるといい」

「ここで謎解きですか。良いですけど・・・、ヒントとかってあります?」

「まぁ、見た目からも多少はあるが、それがヒントになるかどうかはわからんぞい。とりあえず、同じお酒をもう一杯と、きゅうりの一本漬けと本日の煮物?とやらを頼むぞい」

「本日の煮物は何か聞かなくていいんですか?」

「基本嫌いな物はないからの。それにさっきの卵焼きは美味かったから味の心配はないしのう。何が出てくるか楽しみにするぞい」

「そうですか。それじゃ煮物はひと手間加えるので少しお待ちを。で、とりあえず日本酒ときゅうりです」

「ありがとう。で、答えは出そうか?」

「候補はありますけどね。何かその格好で引っかかってるんでもう少しでわかるかもしれません」

 

何か引っ掛かってるような気がするんだよな・・・・・。何だろう、ものすごく気持ち悪い。

 

「ほほう‼それはますます驚きじゃの。これで1回で当たったら何か褒美を出してもいいかもしれんぞい」

「マジすか!?よっしゃ!やってやりますよ」

 

俺だって年頃の男だ。こんな美人さんにそんな事言われたらやってやるしかないさ。

 

何してもらおうかな」

「心の声が漏れとるぞい。ほっほっほお前さんなかなか愉快じゃのう。ま、当たればだがの」

 

何とお恥ずかしい。これで当てなきゃ取らぬ・・・・・ん?

 

「・・・ま、もう答えは出ましたよ。と、その前にこちら本日の煮物里芋の甘味噌煮っころがしです」

「里芋か。なかなか良いのう。おまけに甘味噌に刻みネギが散らしてあるの。これは何とも酒が進みそうじゃ。どれ。・・・・・うん?とても美味いのじゃが、なんで外は少しさっくりしてて中はホクホクなんじゃ?」

「それは、里芋をふかしてから、薄く片栗粉をつけて揚げたからですね。甘味噌が染みた煮っころがしも良いんですけどね。酒と合わせるならの甘味噌ダレを絡めて食べたほうがどっちの美味しさもわかりやすく、かつちょうどいい塩梅になっていいかなと思いまして。最後はお客さんの口の中で完成させてもらおうかと思ってこうしたんですよ」

「よく考えられて作っておるの。その心意気のおかげが酒も進む。よし、もう一杯同じ酒を頼むぞい」

「かしこまりました。しかしそんなに美味しそうに食べて頂けると嬉しいですね。それになんだか食べたくなりましたよ。ちょっと失礼して。ん・・・・、美味いな」

「ん、店主。それなら一杯どうかな?ご馳走するぞ」

「遠慮しておきます。営業中ですから」

「営業中につまみ食いしているんじゃから、説得力ないのう」

「はっはっは、これは一本取られましたね」

「一本取ったついでに、どれ一本取り返してみてはどうじゃ?」

「⁇あぁ、謎解きですね。えっと、答えは化け狸ですかね」

「その心は?」

「ま、最初は能力的に化かす系で頭の髪留めが葉っぱもヒントになるなら狸とか狐かなと思って。当てずっぽうでどっちか言えば当たるかなって思ったんですけど。心の声漏れてるって突っ込まれた時、これじゃあ取らぬ狸の皮算用だなって思って。で、そういや人間との知恵比べで負けて人を化かすことをやめた団三郎狸って話あったなーって急に思い出したんですよ。そういえばその話だと美女に化けてたって言うし、ひらめきに賭けて化け狸にしたって所ですね」

「ふむ・・・・、お前さんはなかなか賢いのう。あ~あ、今日はからかいに来たつもりじゃったがすっかり負けてしまったのう」

「って事は?」

「正解じゃよ。儂は化け狸。今日は人里でお前さんを見かけての。面白そうな奴だったからからかってやろうと思ってここに来た訳じゃ。予定通りに進めばこのまま葉っぱのお金を渡して帰るつもりじゃったが、久々にここまで楽しませてもらったしちゃんと払っていくぞい」

「やべぇ、知らない間に最初の客が食い逃げになるところだった・・・」

「ふぉっふぉっふぉ、お前さんほんとに面白うのぅ」

「いや、ホントに知らない間にピンチだった事を実感して驚いてるんですけど・・・」

「ま、お前さんにそれをやったとしても儂を殺そうとしたりせんじゃろ?」

「まぁ、そうですけどねぇ。まぁ、縄で縛ってここに連れてくるかもしれませんね」

「お前さんは儂を化け狸と知った上で、団三郎狸ネタで攻めてくるとは。なかなか度胸あるの?」

「ま、これを言ってもお客さんは私を殺したりはしないでしょう?」

「・・・・全くお前さんは本当に食えん奴じゃのう」

「食えない奴が食って美味しい物を作ってるんですから不思議ですね」

「・・・はぁ、お前さん本当に食えん奴・・・・。‼そうじゃ、お前さんを縄で縛って持っていくかの」

「はぁ、俺みたいな男が貴女みたいな綺麗な人に婿に取ってもらえるなら光栄の極みって感じですね。・・・‼狸 に婿入りとか狐の嫁入りの反対言葉みたいで面白いですね」

「・・・・・はぁ」

「何ですかお客さん。顔赤くしたと思えばいきなりため息なんかついて。・・・あ、そんなに面白くない事言っちゃいました?」

「いいや、お前さんは面白いよ。ただのぅ・・・・、いや、これは儂の問題だから気にしなくても良いよ。さて、いい感じに酔いも回ってきたし、お勘定を頼むぞい」

 

 

~~~会計後~~~

 

「ありがとうございましたー」

 

ガラガラガラ

 

「ふぅ、今日はなかなか愉快な日だったのう」

 

二ツ岩マミゾウ。こんなに人間と張り合たのは久しいことである。

正直思っていた筋書きとは大いに違ったが、それでも面白かったのは思わぬ幸運であった。

そして最後まで彼は彼らしい面白さを含めての終わり方だった。

 

~~~10分前~~~

 

「はい、ありがとうございます。お会計はこちらになります」

「量の割には安いのう。これならいつでもこれそうじゃ。ほい、じゃこれで丁度じゃな。葉っぱじゃないから安心するがよい」

「はい丁度いただきました。また来てくださいね」

「美味い酒に肴があったからの。気が向いたらまた来るぞい。おぉ、そういえばさっきの謎解きの褒美は何がよいかの?」

「そうですねぇ。よく考えても何も出てこないんですよねぇ」

「無欲な奴じゃのう」

「ですねぇ。本当に何も思い浮かばないんですよ」

「こんな美女に頼める機会なんてそうそうないぞい。ほれ何かないのかの?」

「・・・・あ、そうだ。ぜひ今度来て頂く時は化けずに来てくださいよ。その時はちょっとでもおめかしして来てくれると嬉しいですね」

「・・・そんな事でいいのか?もっと大きい事でもいいんじゃよ?」

「まぁ、思い浮かばないんで・・・。それに貴女みたいな人が俺のためにおめかししてきたってっだけでかなりハッピーな事ですから」

「う、うん。それなら仕方ないの。そうかそうか」

「?どうかしたんですか?顔赤くしながらにやけてますけど?」

「んん?いや何でもないぞい。・・・しっかし今日はお前さんを手玉に取るつもりだったんじゃかの。なんだか逆にこっちが手玉を取られた様じゃ」

「はははは、私もそこのところは得意分野ですからね」

「・・・。はて?その心は?」

「お客さんに出したのはうまい 煮っころがし ですよ?うまく手のひらで 転がせ てもおかしくないでしょう?」

「・・・・ほっほっほ、次会う時にはもうちょっと面白い事を言えるようにな」

「結構いいと感じだと思ったんだけどなぁ・・・。善処しておきます」

 

 

~~回想終了~~

 

「まったく、あんな奴初めてじゃ」

 

「人間にあそこまで和気あいあいと本心から話したのはいつぶりかのぅ?」

 

あの店主の事を考えると、いつになく胸の内に溢れる温かさはどういう事なのだろうか?

ふと、あの店主の言葉がよみがえる。

 

『?どうかしたんですか?顔赤くしながらにやけてますけど?』

 

「どうしたもこうしたも。人間相手に年甲斐もなく女として浮かれたなんて言える訳なかろうて。でりかしぃのない奴め」

 

責めるような言葉とは裏腹に、その顔は大層温かく柔らかい笑顔だったそうな。

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。

もう7話になります。早いものですね。
最近はこれを書くことが楽しみでしょうがないので課題とかめちゃくちゃ頑張ってます。
その課題中にも「続き書きて~」とか「こういうネタがあっても良いかな~」なんて思ったりしながらやってますけどね。

最初の感想とかを見るのに3時間パソコンの前で悩んだのはマジです。
初めて貰えたんで叩かれてたらどうしようとか超不安やったんや・・・。

と言いつつも、アンケートは活動報告に新しく作ったのでもしよろしければ回答よろしくお願いします。

また、どんな些細な事でも良いので感想・コメントもお待ちしております。
貰えるだけでもうれしいですけど応援とかいい感じの物が頂けると泣くほ嬉しくなります。(笑)

さて、今回の終わり方は今までとちょっと今までとは違った感じに仕上げてみました。
如何でしたでしょうか?

最近急に暑くなって体が重くなってはいますが、頑張っていきますのでよろしくお願いします。皆さんも暑さには気をつけてくださいね。

それでは今回はこの辺で。また次話で会いましょう。さようなら。

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