ソードアート・オンライン−−ギルド名『草生えるw』 作:tfride
草成分は吸収できましたか?
ウサギは好きになれましたか?
なら今度はリクを好きになってくれよ感想文でもリクは個性が無いとか言われてご本人もこんなしょんぼりしてるんですよ見てください。
「ほっとけ」
草の無い草生えるへようこそ
Ⅲ 第1話『サーチ&デストロイ』
快晴の空、俄かにもお世辞にもそう言う訳にはいかない鈍色の空の下で一人、黒い外套を揺らす巨漢が佇んでいた。
その足元に散らばるは同じく鈍色の筒、カチャリ、と6発の薬莢をその場に捨てポリゴンと成りえた瞬間に男は手に持った
刹那、すれ違う様に右腕を交差させ撃鉄を落とし、背後を見る事もなく発砲。この間僅か1秒にも満たない。
男の背後から何かが落ちたような音が聞こえ振り向けば、胸元に風穴を開けこちらを恨めしそうに見つめる男の姿。
「あり、えねぇ…!! 実弾の、しかも…SAAで…!! どんなステ振ってやが、る!!」
「…ハッ、お前が下手なだけだろ?」
顔を同じく黒いスカーフで隠した巨漢の男はその身体に似合わない、SAAを腰のホルスターに戻し布の裏で皮肉気に笑う男。
やがて倒れている男は悔しそうに顔を歪め、ポリゴンと成りその身体は離散していく。
その場に残るは黒い外套の男ただ一人。
小さく息を漏らした男は右手で宙をなぞる様に動かし、ゲームよろしくアイテム欄を呼び出すと自身の所持金を確認し今回襲撃を受けたスコードロンというMMORPGで言うギルドからのアイテムを片目で流していく。
結果、思うよりも大した事ない収入、武器の結果に鼻で笑うと男は徐に腰元からスモークグレネードを取り出し慣れた手つきでピンを抜き足元へと転がした。
瞬間だった、煙が全身を包み込むか否かの間、その場を飛び退くように体を逸らす。すると先ほどまで自分の頭部があった場所を弾丸が通り過ぎる。
白煙が残した弾丸の軌跡、それを頼りに男は再びSAAを抜き放ち狙う事なく打ち払う。
男より左斜め上層、最早機能していない残骸と呼ぶに相応しい大橋の瓦礫の間から顔を出した狙撃者にその弾丸が突き進む。
躱す事はもはや不可能、数秒の後に悲鳴が聞こえ空へ離散していくポリゴンを見送り今度こそ男は歩き出した。
「…あー、ストレス溜まる」
そのスカーフの裏に隠れる顔、風貌からは考えられないような言葉使いの男…。
自らのアイテム欄を再び確認し武器欄のサブマシンガンH&K MP7の名を見つけ悔しそうに眉を潜め彼は腰元の銃に触れる。
「なーにが使用厳禁だよ、ハンドガン縛りとか…GGOじゃただのプリミティブドラゴンだっつぅの!!」
吐き捨てるように語気を荒げる彼の脳裏に浮かぶのはもはや友人というよりも悪魔、そう呼ぶ方がしっくりくる三人の男たちの顔だった。
その男の名をリク、実年齢17歳、元SAOサバイバー、ALO内所属ギルド『草生えるw』切り込み担当である。
ガンゲイルオンライン、通称GGO。
SAO、アインクラッドを攻略した後現れたゲーム『アルヴヘイム・オンライン』に続く、種から派生して生まれたこのゲームは従来のVRとは打って変わり剣ではなく銃を主体に置いたMMORPGだ。
何よりのその特徴は基本サーバーが無料のゲームに置いて破格の月三千円のという通信料を必要とし、ゲーム内の通貨を現実の金額に換金できるという点である。
そして何よりも違う点は『プレイヤーキル』推奨のゲームという事。
MAPを歩けば圏外である限り誰でも銃で撃ち殺す事が出来る。元来のFPSであれば当然の事かもしれない、だが考えてみれば金の為に人を殺すという工程も出来るという訳で。
現状は傭兵をするプレイヤー、集めた通貨を運ぶための運び屋、そしてそれを横取りするプレイヤーなどが居る始末。
こうなる事は誰しもが予想しえた事、それでも運営が調整を入れる事はない。ゲーム内の金銭を現実の通貨に換金するという点で既にギリギリラインを超えていない状態で怖い物はないのか。
最早運営自体も黙認しているグレーのゲームである。
そんな中でSAOでは『草生えるw』の切り込み隊長、タンクであり火力バカの称号を持ったリクがこのゲームに居る事自体、彼を知っているものからすれば異常だった。
かつて相棒として持ち得ていた武器は大斧…精密、綿密さとはかけ離れたそのスタイルは一撃一撃が必殺を誇り、BOSS攻略に参加すれば間違いなく前線に駆り出されるタイプ。
とても銃を扱うような人間とは誰しも考えていなかったのだ。
そんな彼がこの世界に居るのには深ーい理由がある、が先に…
…SAO時代のステータスではGGOに合わないと判断し一から作成した結果予想よりも現実とかけ離れた外見になってしまい。顔を隠してプレイするようになった。
ステータスはレベルアップで得たポイントをAGI(俊敏)DEX(器用)LUK(幸運)に振り分けたものになっている。
SAOの頃の様に職種が存在しないGGOに置いて彼のこの数値は、衛生兵などに向いているとされるが彼は気にも留めずこのステータスで外に赴いていた。
腰に下げたシングルアクションアーミー(リボルバー)がベルトの金具と歩くたびにカチカチと音を立てる。
その重量に実感を確かに、砂塵が絶えない廃墟街を彼は闊歩する。
既に本日仕留めたプレイヤーの数は10を超えた、弾薬はホルダーに込めた弾丸を入れて三つ、グレネードに関しては
簡易に別地点までのテレポートアイテムがあれば便利なのだが、それでは外で態々アイテムを運ぶ運び屋という仕事が機能しない。
仕方なく一番近い廃墟街からの徒歩での移動になったのだが…
「…銃声…光学銃、実弾…このマップなら…待ち伏せ、か」
距離はそう遠くはない、進行ルートに問題はないが、待ち伏せの奇襲ならとっとと終わる戦闘が少々長引いているように感じる。
何やら面白そうだと、そんな野次馬根性から全身を隠したコートを翻しリクは移動速度を飛躍的に上げる。
前面の小さな崖を飛び越え、現実世界とリンクされた夕焼けを全身に浴び音の鳴る方へと足を急がせた。
■
今回の仕事は用心棒としてアイテム輸送をしているスコードロンを襲撃、アイテムを奪取するという内容だが。
状況は劣勢、実弾装備のメンバー四人に加え用心棒のシノンの状況はあまりよくない。
先程からグループよりも後方でうろちょろと索敵している人影もいる、一度牽制の意味も込めて撃ちこんでみたが、寸での所で避けられてしまった。
何やら今回は異例が続く、ミニガンに正体不明の人影、あまり油断は出来ないだろう。
物陰にて今回の雇い主に喝を入れた後に前面攻勢へと切り替える、装備は対戦車ライフル『へカート』、そして近接用のサブマシンガン。
相手の隙をついてのへカートによるHSで勝負を決めるのが妥当だと判断し、防御ラインを左右からの一斉攻撃で強引にこじ開ける。
死角に滑り込んだ私は、チェーンガンの用心棒『べヒモス』を狙い撃つ。
不意を突いた一撃、射速がハンドガンよりも上を行くライフルの至近距離に射撃を避ける術はない
「…ッ!!」
引き絞る引き金と同時に、口角が上がる感覚を覚えるが、その後に待っていたのは驚愕の一言だった。
「ッ!?」
直感であろう、偶然が呼んだその不運によりべヒモスは私の弾丸を紙一重で避けて見せた。
だがそれよりも私の虚を突いたのはその瞬間にべヒモスの背後から現れたべヒモスに負けず劣らずの体格の人影だった。
そんな事はつゆ知らず、無数の銃口が私に向けられようとした瞬間、その人影が音もなく彼の喉元を左手に逆手で持ったサバイバルナイフで両手で首を挟むようにして貫いた。
置き土産と言わんばかりに突然のダメージに晒されたべヒモスの口にグレネードを押し込むと、その場から消え失せた。
■
「ったく、酷い目にあった…別にいい事ないし」
そうぼやくリクは、手にしたSAAの薬莢を地面に捨て装填をする。
確かに彼の読み通り、進んだ先ではアイテム奪取目当てのプレイヤースコードロンと、襲われた側のスコーンドローンが対峙していた。
なんとなしに物陰に隠れて状況を探っていたが、突然HSを狙われ勘で回避する事が出来たが狙撃手を相手にするのは好ましくないし。
先程からミニガンをぶん回してギャアギャア騒ぎ立てるデカブツが彼は気に食わなかった。
別にこれは銃に趣を置いたゲームであるが、キルの方法はこれだけではない。
ナイフであっても相手を殺すには十分だ、AGIに身を任せナニカに気を取られていたミニガンの背後を取り首をナイフで一突き。
実際の人間の急所であっても、これだけでは心もとないと、リクはグレネードのピンを引き抜き容赦なく男に加えさせ物陰へと逃げ隠れた。
背後からの虚しい炸裂音を耳に一息ついた瞬間だった。
―――カンッ
「んえっ…?」
上方から落ちてくる球体に目を奪われた瞬間に彼は思わず駆け出して飛び上がる。
刹那再び爆発した物陰を目にして、リクはSAA片手に固まった。
ミニガンを倒しても、まだ相手がいる事を失念していた彼はシリンダーを癖の様に一回しするとホルスターに戻し呼吸を整える。
恐らく、いや確実に残りの敵によるグレネードの炙り出し。妥当な判断だし、恨む事は無いが正確に自分のいる物陰に投げ込んだ辺り相手は自分の位置を正確に把握していると判断した。
まだ狙撃手もいる、相手も複数、面白くない。
そんな思考が駆け巡る中、彼の視界内に赤い射線が引かれ自然と腕がSAAを呼び起こし、二発、瞬く間に撃ち出される。
悉く悲鳴とログが流れる事から、最早考えるよりも先に腕が動くようになってしまっていたのかと嘆息するが持ち直す。
不意に意味もなく身体を後ろへ傾けた時、真一文字に通り過ぎる弾丸を目にして再びSAAを抜き放つ。
最早狙う事は無い、狙えば幸運が更に重ならければこの相手に俺は負ける。
確信した末の行動、撃ち放った全弾、6発を憶測でぶつけるが相手はもういない。
「さて、最後のリロードだ…」
自分に問いかける様に、言葉と共に駆け出したリクは瓦礫を足場に大きく跳躍する。
予想よりも大きく飛び上がったが気にする事もなく眼下に抑えたのは大型のライフルを背負った水色の髪の女。
――――その手にはサブマシンガン
悪寒が走るよりも先に昔の激情が脳内を支配する感覚に溺れ、手にしたSAAの引き金を引いたまま撃鉄を落とし続ける。
連射される弾丸は思ったよりも正確に飛んでいくが今一、急所に突き刺さらず。相手のサブマシンガンによる銃撃も自分を掠めるだけで決定打にはならない。
自然落下中にて最後の一発を残してリクは歯噛みする。
(次で決めるか…)
右腕を貫いた弾丸の痛みは想像を超えるが、照準を違えるほどの物ではない。
地に足を着けるまでの間に追撃が来ない事から相手も装填中だろう。
(これで―――)
((――――決める!!))
振り向き際のSAAによる速射、彼の最大にして最強の一手、狙いは正確。もしそれが外れるとなれば―――
「SAA…シングルアクションアーミーね。装填数6発、アンタの発砲音も『今の』で6発。あたしの勝ちよ」
―――偶然(不幸)が俺を襲った時だろう。
おいおい、何の為のLUX幸運だよ。と悪態をついた彼の視線の先では自らにサブマシンガンの銃口を突きつける水色の髪の女。
鋭い眼光とその奥で見え隠れる意思の強さに、SAO時代の副団長の影を見た彼はほくそ笑むが同時に相手の女の口角も上がって見えた。
勝利の美酒という奴だろうか、否、相手は何度も狙撃銃で自分を狙って居たのにも関わらずリクを倒すに適わなかった事に神経を逆撫でさせていたのだろう。
(あぁ、怖い…昔は女のプレイヤーだっていなかったのによ…ネカマか?)
等と、本人に聞かれたらまず殺されるような、いや、今現在殺されそうな現状で悪態をつく中。
「…武器捨てれば、見逃してくれるか?」
「…さぁね、言葉より、行動で示したら?」
取りつく島はなし、ゴーグル、マスクの下で笑みを浮かべたリクはSAAを人差し指だけでぶら下げると、片手を上げて降参のポーズをワザとらしく取る。
人差し指から徐々に離れるSAAが指から離れた瞬間、油断する目の前の女の視線が下がるのと同時にコートの裏側、胸元のもう一丁を抜き放ち彼女のサブマシンガンを二発で撃ち抜く。
「なっ!?」
驚愕した女の声を尻目に、背後から近づいてくる複数の足音に背筋が凍るリクはスモークグレネードを躊躇なく取り出して撤退を開始した。
逃げるが勝ちを言わんばかりに全力で彼は走り出した。
まばらな弾丸が足を掠めたり顔の真横を通り抜けるが、気にも留めずにソロのボッチは逃げ出したのだ。
――――因みに彼は現在、あの三人のせいで『ハンドガン縛り』中である。
ごめん、リクの話は草生えない。