ソードアート・オンライン−−ギルド名『草生えるw』 作:tfride
コンバート、現在のMMORPGをプレイするに当たってこのシステムは言うならば一種の引き継ぎ要素である。
たとえばALOでのステータスをそのままGGOで使いたい場合はステータス以外のアイテム、容姿、といった要素を捨てる代わりにそのままの状態で新たにキャラクターを作成する事が可能である。
…が、そんな事は度外視してGGOの世界に立っているリクからすれば関係のない話だ。
本来の気質ならあの三人以外とはちゃんちゃら付き合う気がない彼が、一人で別ゲームに本気のステータスで挑むという事はありえない。
それにはもちろん、あの三人、いや実質二人の思惑が深くかかわっていた。
『最近面白い事ないじゃん? ALOでの商売も上々、変態オベイロンが居なくなったから公式イベントも滞りなく行われているし。新生アインクラッドの攻略も停滞中。つまりだ、はい、ウサギ』
『退屈感マシマシ! ヤル事、なさげ!』
「おい鍋にされてぇか?」
『まぁまぁ、落ち着いてリク。結局の所、現状暇だし、リクも最近ALO漬けだから気分転換も兼ねてお願いがあるんだ』
「なんだよ、お願いって?」
『『『これ(GGO)で世界一取って来て』』』
万人が聞けば冗談かと思うほどの無理難題を突き付けてきたあの瞬間を思い出してリクは思わず眉間を手で押さえた。
要するにだ、このGGOにて日本サーバー最強のプレイヤーを決める大会BOBに参加して、優勝して来いという事だった。
思わずあの場で後ろから肩を叩いてきたローキ以外を殴り飛ばした彼を責められる人間は居ないだろう。
あの生き生きしてる表情から察するにアイツ等は、何やら賭け事の対象にしているのだろうと彼は勘ぐるがそこは捨て置こう。
別にこのゲームで自分は『初心者ではないのだから』
残り時間は大よそ二週間ほど、武器の調達、現在の流行のステ振り、共に情報は集め切った。
別段と油断しなければ別に今のステータスでも、高ランクプレイヤーには引けを取らないだろうと経験上彼は判断する。
それこそ、『自分と同じ条件』を揃えているプレイヤーが居ない限りだ、と息巻き別の事を思い出す。
「まさか高ランカーとはな……」
思い出されるのは数日前に遭遇した水色の髪をした女プレイヤー、このGGO内でも名の通った狙撃手だったらしい。名は何と言ったか……まぁ、いずれ出会うだろう
確かに運命の女神も、長時間ほったらかしにしたプレイヤーよりも熱心に励むプレイヤーに微笑むというのは頷ける。
今度のBOBにも間違いなく参加してくるだろう。強敵に変わりないがもし戦う事があれば最初からやりたいものだとリクはほくそ笑み椅子から立ち上がる。
このGGOはSAO程の緊迫感を与えてはくれない。当然だろうが、確かな強者と戦う時のあの興奮はそれに近い高揚感を、死が迫るというギリギリの緊張感を思い出させてくれた。
それだけでもアイツらの提案を呑んで良かったと感じた彼だったが、同時にGGOの情報を探っていたときに飛び込んできた噂話が彼を突き動かした。
『死銃というプレイヤーに撃たれたプレイヤーは死ぬ』
そんな鼻で笑えるような見出しにリクは食いついた、脳裏でSAOの再来かと戦慄するが彼が導き出した結論は無理の一言。
しかし、信憑性もない噂がまだリクにつき纏っている。
もし、その噂が本当ならば。
「面白そうだ…」
そんな不謹慎極まりない言葉を吐き捨て、中央テラスから談笑しながら出ていく6人規模のスコードロンの後をそれとなくついていく。
SAO時代の彼の二つ名は数あれど、彼の二面性を知っている者たちが選ぶ二つ名は『処刑人』である。
■
GGOも勿論、MMORPGである、当然ダンジョンやモンスターの類も自然湧きするし。高ランクの武器や装備もモンスターからのドロップだ。
BOBも近い最近では有志のソロプレイヤーたちが徒党を組みダンジョンに潜りレア装備を狙う事も少なくない。
そんな中で薄暗い洞窟が広がるダンジョン深部にて、一人のプレイヤーが悲鳴を上げた。
「く、くるなぁ、やめてくれ……やめてくれぇ!!」
みっともない程に鼻水と涙を垂れ流した男性プレイヤーに『ハンドガン』の銃口を向ける、黒コートの人影、フードの中から僅かに覗いたその眼光は鋭く男を射抜く。
心底面白味がないと言わんばかりに小さく鼻で嘲笑うように息を吐いた人影は口を開いた。
「みっともねぇ……見た目と実力が比例してねぇとか、恥ずかしくないのかよ」
一つため息をつくと彼は続けた。
「……お前ら全員、今さっきドロップしたアイテム全部この場に落としな。それで済ませてやる」
辛辣な言葉周囲で力なく倒れるプレイヤー複数人に伝える、見れば命乞いをしたプレイヤー以外、足の腱から血を流し蹲っていた。
中には片目を抑え悶絶するモノも。誰も彼もが己の得物を場外に捨てられてしまい反抗する術がない。
所持金とアイテムをその場でロストするよりも、今は戦利品を渡すのがベストかと判断したのか思い思いに人影に向かって戦利品を差し出していく。
「…………へぇ、レトロな銃もあるな…」
「じゃ、じゃあこれで」
「あぁ、いいぜ」
足元に転がるアイテム、銃を一瞥すると感心した様子で足で銃を転がす。目の前で命乞いをしていたプレイヤーが助かったと期待の言葉を人影に掛けると男は口元を歪めて頷いて見せた。
すぐさま回復アイテムを手にしたプレイヤーが立ち上がろうとした瞬間、乾いた音と白煙が上り命乞いをしていたプレイヤーがロストする。
周囲から疑問と悲鳴が上がり人影は足元のドロップアイテムを総べて拾い上げると、場外マップ、アイテムが落ちれば二度と回収不可能な場所に投げ捨てる。
「お前何やってるんだ!? 一体何の意味が――」
「意味? あぁ、お前らが後悔すりゃそれでいいんだよ。口は災いの元ってな、その残念な頭で考えろよ、『現実』でな」
驚きの声を上げたプレイヤーに詰め寄る人影が、機嫌がよさそうに口を動かし見せつける様に五つのピンをその場に落とし、片手間に彼らの手を撃ち抜くと足早に去って行った。
間もなく爆炎と爆風がその空間を支配しスコードロンは壊滅する。
程なくして砂煙が舞った空間を悠々に歩き出す人影、リクは忌々しげに視線を歪めて吐き捨てた。
「何も知らねぇお前らが俺達の『旗』を貶すんじゃねぇよ…」
■
切っ掛けは些細な事であった、情報を纏め、備品の補充、装備のメンテナンスも兼ねてエントランスで寛いでいた彼に聞こえる程に騒いでいた6人組。
どうやらBOBを直前に控えて身体を燻ぶる興奮を抑えきれないのか、声高らかに最近に武勇伝やらを吐き出し合っている。
それだけなら彼が気に留める事でない、勝手にやってろの世界だった。
しかし、盛り上がりを見せたその雑談会は思わぬ方向にシフトしていく。
『そういえばよ、ALOでほとんどの商会を仕切ってる大型ギルドがあるって聞いた事あるか?』
『何だそりゃ、モノ好きな連中もいるもんだな』
『あぁ聞いた事あるぜ、NPCが管理する以外の大よその店舗を牛耳ってギルド一つで大規模なイベントをやらかすって話じゃねぇか』
そう、それの事だと嬉しそうに話を始めた男が言葉を返す。思わず視線をそちらに向けてしまった彼はまぁ、別に自分がとやかくいう事じゃないと静観を決めるつもりでいた。
『確か『草生えるw』だったか? 変な名前をつけて恥ずかしくないのかねぇ』
(事故だ、気にすんじゃねぇ頼むから)
当然の反応を口にした一人にリクは内心で苦々しげにぼやく。
そして彼らは口にしてしまう
『にしても馬鹿だよなぁ、金にもならねぇ事勝手にやって大騒ぎ、何が面白いんだか』
『それで集めた金が現金になるわけでもないのに、無駄な事してよ』
『アホらし、モノ好きもそこまで行くとどうかしてる』
『実際問題、それが本当ならどっかの企業のプロが練習がてらやってるんじゃねぇか?』
『それで対人が強くなけりゃ信憑性あるんだがな、めちゃくちゃ強いらしい』
『じゃあ廃人で、現実じゃ友人もいないコミュ障じゃねぇか? だから。ゲーム中では調子のってるんだろ』
それは今までの自分たちの行いの何もかもを否定する言葉の羅列。
有名料、人に知られこそすればそれなりの反応はもちろん帰ってくる。
これを聞いた面子がリクでない三人であれば気にも留めずに済んだであろう。
しかしここに居たのはあの四人の中で誰よりも感情的で直情的な最年少だった。
次第に機嫌が悪くなっていく彼にそのスコードロンメンバーは気づきもしない。
数分して彼らが席を立った後に残された彼の瞳には殺意しか残っていなかった。
そして、結果としてダンジョンにて不意打ちを仕掛けアイテムの強奪、屈辱を味あわせる為にその場で破棄、罵詈雑言を吐き捨てキルするという非道をやってのけた。
想像以上に彼は、ギルド『草生えるw』を、共に戦い、遊んだ歳の離れた友人を大事にしていたのだ。
今更ながらカッとなった自分自身に嫌悪を抱いたのか、虚ろ気に開いた瞳で暗闇の先を捉える。
他者から植えつけられたレッテルが当然の様に自分の中に入り込み、徐々に心を蝕んでいく。
『凶暴』『暴力』『不良』そんな自分本来の姿でない言葉が張り付けられ己の形を歪ませていく。
何度も否定した自分の在り方をSAO内にて自分は克服していたと勝手に思い込んでいた、しかしあの場に居たのは紛れもない『怒り』に飲み込まれた自分の本性だ。
コンバットグローブで武装された腕を遺跡ダンジョンの壁に乱暴に殴りつけ彼は視線を落とすと、その日は何も口にしないままGGOをログアウトした。
■
BOBの受付終了まで残り3時間、前もって参加申し込みを済ませていたリクは今日も、霧がかった街並みの下、消耗した弾丸と装備を整える為に中央にある巨大マーケットに足を運ぶ。
使い慣れたコートも今回の戦闘でズタボロになった、ここらが変え時だろうと溜息をつく。
本日、出会った同じく野良のプレイヤーはとにかく素早く、ALOの如く宙を跳び回る強敵であった。
フルフェイスのマスクで素顔を隠し限りなく軽量化されたライダースーツに身を包み、ショットガン一丁という奇抜な装備のプレイヤー。
その実力は折り紙つき、前文明廃墟に立ち並ぶビルに、瓦礫、寂れた鉄塔を使い縦横無尽にその場を駆け巡りこちらの隙をついて急接近。こちらの速射を何度も掻い潜るその様に焦りと興奮を覚える。
散弾により弾きとんだ防塵ゴーグルで視界が広がる、瞬く間にその銃口を目前に突きつけられた時は流石に彼も肝を冷やした。
幸い、それよりも緊迫した状況に成れていた彼の経験が功を制し、反転、身を包んでいたコートを犠牲に左斜め前方に飛び込むことでその一撃を避けて見せ。
突き出されたショットガンごと右手で掴み取り相手をねじ伏せる事に成功、即座にSAAの撃鉄を上げ光を反射する強化プラスチックにその銃口を突きつけた。
その場でトリガーを引かなかったのは互いに単身で、拮抗した実力、何故か親しみを感じたのだろう。
『………名前は?』
『………ペイルライダーだ』
『そうか………あー、その、何だ、俺はリク。 いい勝負だった』
ギクシャクとした会話を始め、不器用に素顔を晒したリクは初めて好敵手と呼べるプレイヤーと名前を交わす事となった。
銃口を下げてキルはしないと彼に示すと、ペイルライダーもショットガンを背負い、徐に二人は語りだす。
『始めてどのくらいなのか』『基本野良なのか』『次のBOBはどうするのか』
そんな会話に花を咲かせ、気が付けば周りに複数の視線を感じたリクの一言により二人はその場で身構える。
少々男心を擽られる状況だったのだろう、再び口元を隠したリクは隣のペイルライダーに一言告げて片手を上げる。
『次は、BOBで』
『………あぁ』
次会う時は再び敵として全力で戦おうと、約束し軽く拳を突き合わせた二人は即座に真逆の方向へと飛び出す。
両手に構えたSAAを瓦礫の影からこちらを伺っていた臆病者どもに向け、速射、AGI任せに全力で加速し反撃を喰らう間も与えずに蹂躙したのが先ほどの事。
心躍る闘争に未だ興奮している彼は徐に腰のSAAを取り出しトリガーガードに人差し指を掛け、得意げにクルクルと回す。
何やら後ろ話し声が聞こえるが、自分には関係ないと足早に速度を上げる。
すると架橋したから噴き出した突風に思わず身体が揺れる、突然の事でSAAを指から話してしまったリクは慌てて背後に落ちたSAAを探す為に振り向く。
カラカラと音を立てて滑るSAAはその先にあった誰かの足に当たり止まる。
当然の様にそれに気づいた当人がソレを拾い上げ彼に視線を向けた。
「あの、落としましたよ?」
何処となく見た事のあるような風貌の、見た目女プレイヤーが彼にSAAを差し出した。
黒い長髪、童顔、整ったそのアバターはネットの情報欄で見た事があるかなりレアなアバターの筈だ。
それを初心者用の服を装備している辺り今日入ってきたルーキーだとリクは判断する。
レアアバターの獲得条件はVRの使用時間が長い程上昇するとされている、もしこのプレイヤーがそうなのだとしたらこの先が楽しみだ。
そしてもし唯の幸運で手に入れたのならばよっぽどの幸せ者だと内心で笑う。
「申し訳ない、ありがとう」
「いえ、あの、こんな古い銃もGGOにはあるんですね」
どうやら視線の先のルーキーでもこの銃位は知っているようだと、解釈したリクは口元をさらし穏やかに微笑んだ。
「まぁ、俺みたいなモノ好きだけだ。今時は自動小銃、映画とかでよく見るタイプが主流だ、間違っても選ぶもんじゃないぜ。ルーキー?」
「る、ルーキーって何で分かるんですか?」
「初期装備何だから当たり前だろう? 差し詰め隣の人が―――」
目先の初心者に意識を取られていたリクはココでようやくそのプレイヤーの隣に立つ、もう一人に視線を向けて身体が固まった。
「…ん?」
水色の髪、先頭装備ではないものの、その顔立ちは端正に整っている。あの時に見せた表情よりも大幅に穏やかな雰囲気を滲ませている『女プレイヤー』がそこに立っていた。
「…ゴホッ…ゴホッ…失礼。差し詰め隣の人に装備を見てもらうんじゃないのか?」
静止直前の思考を無理矢理再稼働させ即座に咳をして事なきを得る。別段と水色の髪のプレイヤーに素性を知られたくないとかそんな考えではないが、ここで因縁を着けられるのも面倒だったのだ。
どうやら誤魔化す事に成功したようで例のプレイヤーは彼の手元に戻ったSAAを興味深げに見ているだけだった。
(まさかな、SAA一つで特定なんぞ出来やしない…よな?)
一抹の不安がリクの心に雲を掛けるがそんな事はお構いなしに隣のプレイヤーは、彼の顔を一瞥すると興味なさ気に視線を横に逸らした。
その様子を見て安堵した彼は受け取ったSAAを何時もの仕草で腰のホルスターに戻し、踵を返す。
「時間取らせたな、頑張れよ、ルーキー」
互いに用事がある事だし、長話する程でもないと見切りをつけ一言そう告げると簡素な返事が返ってきたので彼は悠々と踵を返して行き付けのショップへと足を進めた。
■
(あーあ、やっちまった)
嘆息する彼は数分前の自分を殴りたい感情に苛まれていた、そう、自分の目的は装備の補充、メンテナンス。
そして先ほど会った二人組の目的も装備を整える事、あの場から一番近い大型のショップなど高が知れているし。
初心者が個人経営のちょっとしたショップに行って割高な品を買うはずもない、定価でそれなりの物品が買える公式のショップにいく事など目に見えていただろう。
後腐れ無い様に口数少なく別れたが、1時間も経たずに再開など恥ずかしい事この上ない。そこまでリクは神経が図太くなかった。
せめて、せめてココに着くまでに立ち寄った小店で時間を潰しておくんだったと溜息をつく。
幸いにも先に自分が見つけていたのでこのまま彼女らが立ち去るのを、別のコーナーで待っていればいいだろう。
そんな安直な考えでリクはチャレンジゲーム、「six miracle(六つの奇跡)」の前に立った。
ルールは至ってシンプル、1ゲーム500を最初にプールし、現れるリボルバーに装填された六つの弾丸でランダムに配置される六つの的を制限時間内に撃ち抜く事。
ゲーム台座は西部劇さながらの街中をイメージしており、そこかしこからランダムに的が顔を出すという物。
要は某ネズミーランドの的当てと大差はない、あるとすれば法則性が無く、例外を除いてほぼ全部が違う場所にポップするという所だろう。
制限時間も60秒、段数も6発コッキリ、一発でも外れれば即終了。
元来リボルバーを使うという点であまりプレイヤーが寄り付かないのと、最後の一発になると必ず一番遠い時計台の天辺に姿を現すという無茶なシステムが組まれている。
純粋にこのGGOにて狙撃というのは高難易度とされており、これがライフルであるならば話も変わるのだが狙撃には向かないリボルバー、加えて制限時間付きである。
最後の的の大きさなど銃口よりも小さく見えるのだ、誰がこんな夢も希望もないゲームをやるのだろうと自虐気味にリクはほくそ笑む。
そんな理由から殆どのプレイヤーには見向きもされないのだが、『一度賞金がリセットされてから』は夢見るプレイヤーたちが偶に顔を出すようになり今日もチラホラを彼を見ている人達が居た。
(やっぱり、公式のが補充でもしているんかね…)
リクは徐にプール金額を見やり身体の力を抜いた、視線の先には20万と表示されており、公式が直々に金を入れているのかと勘ぐる。
実際、プール金額が無ければこんなゲーム今すぐ削除モノだろうと鼻で笑うが、案外、自分のようなモノ好きがやってるのかもな、笑みを浮かべてゲームを開始する。
『GAME START』
レトロなガンシューティングゲームのような発砲音と共に、的が目前の大通りど真ん中に出現する。
『HIT』
迷いなく引き絞ったリボルバーの引き金、即座に落とす撃鉄により一つ。
『HIT』
中央左側、民家の二階、窓にまた一つ
『HIT』
左通り、馬車の車輪の間に一つ
寸分の狂いもなく即座に反応、瞬く間に標的に弾丸をブチ当て軽快な音を響かせ続ける。
冷静な瞳は街並みにランダムにポップする的を捉え、身体をそれに続く様に正確に動かしていく。
その一連の動作により弾き出されるのは残りタイム『50秒』
次に現れたのは右通り、突き出した小さな看板の下。
『HIT』
中央通り、左右の家に駆けられた赤白の布のアーチの間
『HIT』
最後、お決まりの中央通り、最奥、時計台頂上。
次第に集まってきた観客たちがギャアギャアと騒ぎ立て、リクは眉を一度ピクリを動かして苛立を露わにすると片手で扱っていたリボルバーの撃鉄をゆっくりと下げ。
大きく深呼吸する。何時もの事だと、普段よりも落ち着いた内心を頼りに両手持ちしたリボルバーを標的に向けて狙いを着ける。
システムアシストが作動するよりも早く、引き金は引かれ弾丸が撃ち出される。
白煙が上がる銃口を下ろし、リクはリボルバーを台に向かって投げ捨てた。
『GAME CLEAR』
盛大な時計の鐘が鳴る中で、ポップする入金承認を受け取りリクは騒然としていたその場が静まり帰っている事に気づいて周りを見渡し。
向けられる視線をウザったく感じたのかその場から立ち去り下の階から降りて行った。