ソードアート・オンライン−−ギルド名『草生えるw』   作:tfride

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速度制限に入るとFateができない。
シノビナイトメアもできない。
俺の癒しはセブンナイツだけ。












第3話『皆んなも文字入力には気をつけよう!w』

 

第三十五層 ミーシェ近くの牧草地帯。

周りに広がる青い牧草地。赤と白の壁が特徴的な街から離れ、少し大きめの麦畑の近くの一軒家。

街とは違い木造二階建ての古風な家。

敷居を立てるために木の柵が家ごと囲んでおり、その中にはヤギと羊を足して二で割ったような動物が10匹放し飼いされていた。

よく見れば近くの麦畑もこの家の敷地内なのだろう。番地のようなものが家と同じであった。

静かで広い土地。古風で味のある建物。

そんな立派な住宅の中から……奇声が聞こえた。

『ガッチリミーナァー!コッチニキナァ!!』

突如として開かれた扉から二人の影。

二人とも身長は違えど、ファンタジー世界の農家さんと例えるにちょうどいい服装をして出てきた。

誰だろうか。いや簡単だ。

我らが主人公のウサギとニンジャである。

二人は両手にオブジェクト化した麦の塊を抱え、10匹の家畜に向かって右へ左へサイドステップを繰り返しながら進んでくる。もちろん奇声を発しながら。

その威容な光景にさすがに引いたのか、家畜たちも二人が一歩近づくたびに、後方へ進んでいく。

ついには柵を開き、相も変わらず叫びながら麦をばらまき…そしてくわっと目を開く。

「オーレッがおっ前っデェエエエエ!」

「おー前がオレッデェエエエエエ!」

「うぃーあー!!」

「マイティ!」

「マイティ!」

『ブーラザーズ!!ダブルエ―――』

「うるせぇよ」

突如として先ほど開かれたドアから鍋の蓋が二枚飛び出し、ソードスキルの閃光も帯びていない二枚の刃は二人の後頭部を確実にとらえた。

「スタンディング!?」

「バァーイ!?」

ダメージ判定すらない鍋の蓋(ギャグの力)に晒された二人はなんとも面妖な奇声をあげてその場に倒れ伏した。

「ゴーストなのかエグゼイドなのかファイズなのかハッキリしやがれ」

そう愚痴るリクが扉から出てきた。

後に二人は適当にシバかれ解放されたという。

――キリトが彼らをフレンド登録して一年後の秋。

――季節に左右されない天候が彼らを温めていた。

なぜ彼らがこのように農家のまねごとをしているかというと、時期は少しさかのぼる。

先に行っておくけど、とっっっっっっても下らなく、かつ短い内容なので知らない方がいいかもしれない。

私は忠告したぞ。

あ、おい待て視線を下にずらすなスクロールするな…―――。

デスゲーム開始から2か月後の第11層のとある宿屋の談話室にて。

窓からのぞくレンガ造りの街並みが美しい中、だからどうしたと言わんばかりに屋台の『ピリ辛ゴマ豆腐サンドイッチextra-XX』という、食べ物か薬剤かガシャットかモンハンの新作か分からない物体を笑顔で食べ続けるウサギを眺めながら、ニンジャは一人考えていた。

「ギルド作ろうかなぁ…」

今現在、彼らが匿った総勢500人の商人プレイヤーは現在、商人ギルド『SAO商店』として頑張ってくれている。

自分たちビーターが深く関わっていること。

そもそものギルド内のアイテムやコルの流れるスピードが自分たちも協力しているため早いことも関係していてか、売り上げも上々。

が、それと同時に少し喜ばしくない事も起きてきた。

目的が商人とはいえ、開始二か月で500人余りの巨大ギルドが発足され、周りの中小ギルドがその影響力に与ろうと寄ってたかりに来る。

それ自体はいいのだが、そのたびに四人のうち誰かが赴き、話を付けるのは正直怠い。

なのでSAO商店と深いつながりを持つギルドとして立ち上がれば、向こうからこちらに直で来てくれるよう仕向けられるのではないか。

ならとっとと作れよと言いたいが、折角ギルドを作るのであれば何かしらの目的をギルド自体に持たせたいのだが…。

「ま、名前だけでも考えるか」

そう決めたニンジャは出かけているリクとローキをメッセージで呼びつけた。

「まぁそんなわけで、発足するかはさておき名前だけでも決めたいと思いまーす」

『いえーい』

やたらテンションの低い返事が聞こえる談話室にいつもの四人が円卓を挟んでいた。

時間は現実で深夜0時近い。とっとと寝かせろと顔面から放たれる圧力をグーパンチで殴り返し話を続けるニンジャ。

「というわけでじゃんじゃん候補を出してって」

なんとも投げやりな任せ方に異を唱えることもなく話は進んでいく。

皆、彼のこのような態度にはあきらめがついたのだ。

「どんな名前がいいかね」

「わかりやすくすれば何でも良いんじゃね?」

「仮面ライダーからとろうず」

「カッコいい名前もいいよね、気取らない程度の」

「あー…ウサギ、なんか良い案ない?」

不意にウサギに意見を求めるニンジャ。

その言葉に少しばかり考えるそぶりを見せ、ニンジャが開くギルド設立用のウィンドウを少し操作し…。

「どう?」

がっつりニヤケ顔でウィンドウをこちらに向ける。

その命名欄には。

ギルド名【草生えるw】

瞬間。

「ぶふぉwwww」

「おまwwちょwww」

「…………ふふ…w」

ニンジャ、リク、ローキがそれぞれの反応を示し、その反応にウサギのニヤケ顔はさらに加速する……前に、流石にこれじゃいかんだろうと、皆が未だに笑いながら講義し始める。

「いやいやいや、流石に馬鹿にされるわ」

「ウサギとっとと消せ」

「ほらとっとと座って考えようぜ」

そう続ける三人。

勘のいい…いやもうこの際勘の良くない読者でも気づくであろう。

「あははーそうだよねぇ」

なんて笑いながらウサギが文字を消すために押したキャンセルボタン。

よく見ると決定であったことに。

《ギルド【草生えるw】が結成されました》

『…』

瞬間バカウサギは察した。

あ、殺される

「さて、もうこの際草生えるwで良いとして」

「随分投げやりになったね」

「むしろこんな状態で自棄にならないやつを褒めたい」

「ウサギぃ!?返事をしろウサギぃ!?」

「こころ……ピョンピョン…」

デスゲーム開始から一年後。

時間は経過し先ほどの牧場地の木造一件に戻る。

後頭部に残る僅かな痛みを感じながら、ウサギは動物たちに餌を与えていく。

動物たちから満腹度メーターや満足度メーターやらが上昇していくのを眺めつつ。

「すげーよな。動物一つ一つにすらこうやって数値が決まってるんだもんな」

誰にも話していないそんな感想を呟き、動物と戯れていると…。

「んお?あれはローキか…お~い」

視界判定ギリギリに認識できたローキの姿に手を何度か振ると、向こうも此方に気づいたのか一度手を挙げた。

すると先ほどまで作業していた手を一旦止めすて片付けに入るウサギ。

それどころかメニューを開くと装備一式をなめし革で作られた、見た目が粗悪な軽装備一式に変更する。

一年経てば防具どころか武器すら変わると言わんばかりに短剣は芯が緑色に染まった、一目見て初期装備とは違うものになっている。

そんな作業をしているとローキがすぐ柵の向こう側に立っていた。

「ただいまウサギ、土産話がいくつかあるよ」

そう話しかけるローキの装備も、ウサギとは違い金属と布で纏まった軽装備一式。槍も見た目からして軽量の金属でできたものであった。

一言二言冗談を交わしながら一度別れ、ローキが家のドアを開ける…と同時に。

「死ねッ」

リクの言葉が聞こえたなぁ…と思ったら開きかけていたドアはナニカがぶつかり大きく開かれる。

「あ、お帰りローキ」

ナニカがローキに向けて言葉を発する。

その言葉でナニカがニンジャであると気づいたのは、そのナニカがすっ飛んで未舗装の道の反対側で一度バウンドを取り、二、三回跳ねた後ゴロゴロと転がり仰向けに止まった後だった。

「今度は何したの」

思わずそう答えるローキにリクは一切悪びれもなく。

「おちょくられてムカついた」

「いい加減なれなよ」

「ふひひさーせん」

「それで済んだら警察いらないよ」

「ここに警察いねーよ」

「それもそうか」

背中の槍だけ座るのに邪魔であるのでストレージに戻し、室内の端にある休憩用のソファに掛ける。

いつの間に戻って来たのか、ニンジャも扉からやってきてはごめんごめんと悪びれる様子もなく謝ると、大きめの円卓に備えつけの丸椅子に腰かける。

二、三度見渡し他三人がこの場にいることを確認すると、ニンジャが一つ…コホン…。

「さてさて、みんなに集まってもらったのは、聞いてるとはー思うけど…解放軍の奴らがちょっかい掛けてきたからでーす」

ニンジャはそうやる気もなく話しはじめ、その名を口にした瞬間。

他三人もなんともめんどくさそうに顔を歪める。

現在、ソードアート・オンライン…浮遊城アインクラットにはいくつかの勢力という名のギルドが存在する。

一つは、一番の大きな戦力と言われている『血盟騎士団』。

現在39層にギルドホームを構えているらしい。

ギルドマスター…彼らの中では団長というらしい…は『ヒースクリフ』

最近『神聖剣』かなんかに目覚めたらしく、四人は。

「え、そういう中二病?」

と真剣に思ったらしいが、どうやら状況に応じて発現するエクストラスキルと呼ばれるらしい。

商人ギルドとして有名になった『SAO商店』。

当時メキメキと鍛冶スキルを極め、このままいけばメイスマスターも近いと言われている『リズベット』がギルドマスターとして務めてはいるが、本人曰く形だけのモノである。

他にも風林火山や聖龍連合などいろいろあるが、彼らが今良くも悪くも気になっているのは。

『アインクラッド解放軍』

SAO最大のギルドであり、所属すれば食事が支給されるなどの特典。

そのことが大きいのかメンバーは1000人を超える人数が参加するギルドだった。

そう、だっただ。

25層攻略時に多大な被害を受け衰退。

その事を切っ掛けに最前線への進出は無くなり、大人数での狩場の独占による戦力強化を図り何とか立ち上がろうとしている。

が、オレンジプレイヤーへの処遇の噂、さらには一部メンバーが徴税を行っているらしくいい話を聞かなくなった。

この程度なら正直に言ってどうでもよかったのだが。

SAO商店のリズベットからの話で早急にどげんかせんといけなくなった。

「まさか店の連中にちょっかい掛けてくるとはねぇ…」

珍しく憂うようにウサギが喋るのも無理はない。

一層付近の階層に配備した商人の話によると。

――「我々は日々攻略のために活動をし、命を懸けて戦っている。圏内でのうのうと商売をしている貴様らとは違うのだ」

とか何とか言いながら消耗品や…中には高価なアイテムを『タダで』渡してしまったらしい。

まぁ、渡してしまった張本人に断る猶予がなかったため仕方ないとして、そのアイテムを持って行った軍が腹が立つ。

何より一軒だけではなく、10件近くの商人からアイテムを奪っていったらしい。

流石に一層付近の商人メンバーは退散させるという形で手は打ったが、当の軍のマスターである『シンカー』に話を聞けば。「知らない」の一言で片づけてしまった。

ゆえに自分らで諸悪の根源を潰すしかない。

ここ数日ウサギとローキに下層に降りてもらい調べてもらったところ。

・軍のサブリーダーはキバオウである。

・シンカーはその性格と放任主義により舵が取れなくなっている。

・元々アインクラッド解放隊という名であり、キバオウが指揮をとっていた。現在の軍はそこにシンカーのリーダー化と巨大化を重ねた結果らしい。

・幾らか金をつかませ吐かせると、商人にアイテムを出させたのは元解放隊のメンバーであること。

「…って」

『犯人ほぼキバオウやん』

四人の意見はほぼ満場一致。

ならば話は早く、さっそく『メッセージで』本人に一言。

【クタバレ。】

なんとも簡潔に言いたいことだけ伝えると、四人全員がいい運動をした後のような清々しい顔をしながら額の汗をぬぐう。

が、すぐさま返信が来た。

【なんでや。ワシがお前らに何した。】

すぐさま返信。

【お前ら?らって何?あと元解放隊のメンバーが俺らと提携組んでるギルドの商人脅したそうじゃん。いい根性してるね。まぁシンカーさんに話聞いてあげてもよかったけど、一応あんたの部下らしいし、そこら辺の憂いを取ってからだね。てなわけでか弱い民衆から物品を強奪した理由を一日以内に返信よろしく。なかったら…まぁ考えとくよ】

送信。

「さて、ここもいい加減引き払うか。あとは商人に任せよう」

するとニンジャは再びウィンドウメニューからメッセージを選択し、目的のプレイヤーを見つけると打ち込み、送信した。

彼らはここに住んでいるのではなく、ある程度の家畜や畑の改良の目途が付いたら商店に委託してもらう予定であった。

その改装が終わったため、今こうして退去の準備をしているのだ。

「忘れ物はないか」

「学校の先生かお前は」

リクの言葉にすかさず突っ込むローキ。

リクは既に全身に重金属でできた重量感ある全身鎧をまとっており、手元はこれまた金属品の質素な装飾が目立つ両手斧。

するとニンジャも着替え終わったのか、皆とは違いまさに服と呼べる質素な恰好。

腰には相も変わらず曲刀が装備されていた。

「ニンジャの装備相変わらずだけどそれでいいのかよ」

思わずそう漏らすリクの装備と全く対照的な装備に一つため息。

が、当のニンジャは全く気にすることなく退去準備を始めていた。

「いやだって曲刀以外のスキル取ってないし…」

「アホかよ」

もう知ったことかと家をあとにするリク。

他の面々も家から退去をし、約束の人物が現れるのを待つだけだった。

半日後、キバオウから届いたメッセージには、宣戦布告とも取れるメッセージが来た。

【いきなり喧嘩腰やなぁ。ワシは構わんで、何時でもかかってこんかい。あの時ワシらを騙しおったビーター風情が何仕出かすか見ものだ】

SAO内最大のギルドからの宣戦布告に、通常であったならば怯える程度の態度はとってもおかしくはないのだが…。

『ヨッシャボコす。主にキバオウ』

この四人の目は何故か輝いていた。

一週間後の第11層、軍のギルドホーム付近にて。

主街区から少し離れ、層の街の雰囲気とは少し違った大きな建物が一件建っていた。

街から離れているため移動の際には圏外に一度でなければならないが、しかしそこは周囲から軍と言われるだけあったプレイヤーとしてはだれも襲ってこなかった。

その日、軍としては少ない5人の重装甲のプレイヤーたちが歩いていた。もちろん戦いからの帰りではなく、街に消耗品の『買い出し』としての帰りだった。

そこでこの5人の責任者として任命された一人の男は思い出す。

出発直前に副長のキバオウがやってきては彼らに言い放った言葉。

「アイツ等ゴネおった…金は払わんでもええ。必要なら見てないところでシバイてこい」

その命令…いや、もはや命令ではない。

解放隊であった時からお世話になっているが、要は被害を与えてこいとの指示だった。

そんなものは大方善人の指示ではない。

しかし彼らにそんな疑問はとうに無かった。

アインクラッドという特殊な環境下に置かれるせいか、もう感覚が鈍っていたのだろう。

結果としては五人で圏外に出たところを襲い、HPがレッドになるまで叩き潰してやった。

すると手のひらを反すように協力的になり、今彼らの懐を重くしていた。

あとはギルドホームに帰るのみ。

そのはずだった。

「はぁ~ぃ♪」

そんな声が聞こえてくると同時に、5人のうち1人の右手首が無くなった。

その異常に気付くのは他の四人が各々の武器を構えた頃であった。

「…ッ! 散開!!」

とっさの命令に忠実に従う部下たちはその襲撃者を取り囲むように散らばった。

そして彼も自身の突撃槍を持とうと…しかし左腕だけではシステムの恩恵が受けられない。

持ち振るう事はできるが、ソードスキルなどを放てなくなってしまっている。

(これが狙いか…?)

なんとも容易に1人を無効化されてしまったことに歯がゆさを感じるが、相手は一人。

その顔はマスクに包まれ判別できないが、革装備に短剣一本というなんともお粗末な装備に鼻で笑う。

号令をかけるべく一歩前へ…。

「おい」

…進むために出した足はそのまま後ろへ向かう。

しかし気づけば視界は流れ地面へと叩き込まれ、胸には一本の槍が刺さっていた。

突き刺さり続けることによって継続ダメージが入り、一気にイエローにHPが向かう。

こうなったら転移結晶でどこかしらに移動するしかない。

そう思い左手を…動かす前に相手の足に踏まれた。

半狂乱になりながらも必死に抵抗するも、右手は損失。

左手は踏みつけられ、槍による継続的なダメージを受けざるをえない。

そしてHPがイエローからレッドに差し掛かった瞬間。

槍は抜かれ、そのプレイヤーはまるでその男に興味なさそうにもう一人の襲撃者の方へと歩いて行った。

「おい…!おい待てそこの…プレイ…ヤー…」

ようやく体を起こし、目の前の惨状を彼は目撃する。

自分たちはアインクラッド解放軍。

前線から一時身を引いているとはいえ、そのレベルは60~55前後のある程度高レベルにまとまったプレイヤーだ。

数も4対1と数的有利を取り、相手の装備は高々短剣。

なのになぜだろう。

なぜ既に2人倒れている。

「よう食いしん坊、順調?」

「え、何その不名誉なあだ名」

「いやだって本名で呼び合うわけにはいかないっしょ」

ローキが片手に槍を携えウサギに近づいていく。

既に二人がHPがレッドに達しその場に力なく倒れ伏し、残る二人もイエローに達してはいないが、幾分かのダメージを受けていた。

「んじゃ、いつも通り盾と槍で」

「おk」

そう二人は言葉を交わすと、それが開戦の合図かのように一人が突撃してきた。

その後ろをもう一人が抑えていることから、基本的なスイッチ戦術であることを二人は悟った。

そしてその答え合わせをするかのように、大ぶりの…しかしすぐに後ろに下がるためか、ソードスキルも発動せず力の乗っていないざっぱ斬りがウサギ目掛けてはらわれる。

その一撃に合わせリーチの短い短剣で素早くガードし、後ろからリーチの長いローキの槍の一撃が相手を一突き。

「グッ…?」

その一撃をもらいつつも後ろに下がり、そしてその交代手はもうソードスキルの態勢に移っていた。

「シャープネルだ」

「分かってるって~」

そうおちゃらけて返すウサギたちは既にその構えから三連撃のスキルであると見抜く。

そんな言葉を無視して突撃してくる一撃目を…ウサギの腕で止められた。

「…は?」

そして規定以外の軌跡を描いたためソードスキルはあっけなく止まり、わずかな硬直時間が発生し始める。

なにが…そう思う男は確かに見たのだ。

短剣使いの左手が体術スキルの軌跡を描き、自分の右手を弾いたのを。

「まさか…」

少しの理解と否定する理性が混在する中、目の前の敵が口を開く。

「ソードスキルって、あくまで判定は刃の部分。それ以外はほぼダメージ無しらしいよ」

まるでこちらを小ばかにするように言い放つと、一瞬で頭を下げる。

その後ろから槍のソードスキルが迫っていた。

約三か月後の1月後半。

それまでに出動した軍の補給部隊、訓練部隊に限らず、アイテムをハウスに持ち込むために出動した数は50以上。

その間無事に帰ってきた部隊は10にも満たない数だった。

ほとんどの部隊はほぼ瀕死の状態で帰投し、アイテムも装備以外の消耗品はゼロ。

そして何より、皆が口をそろえてこう供述する。

「悪魔みたいなやつに襲われた」

そしてほぼ軍としての機能を無くし、消耗品を食いつぶすだけになった軍がどういう結末を迎えるかは…。

また別の機会に。








スマートフォンでルビを入力するの最初わかんなくて
鍋の蓋(ギャグの力)
って文字列が10列できた

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