PSO2×SAO VR世界に入り込んだ守護輝士   作:のーん

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更新が一か月ぶりとなったことを申し訳なく思います。
またもや体調を崩して、家では帰宅即寝るという生活のせいで全く書いていませんでした。

愛想を尽かさずに読んでくれる読者の皆様に、多大なる感謝をいたします。


第10話 砕いて暴いて確かめて ~前編~

フィールドボスを倒したのち、山の中腹で洞窟に入ると何体かのコウモリ型モンスターとの戦闘やアスレチックのような岩登り、ウォータースライダーのような滝下りなどをして辿り着いた小屋の中でNPCから《体術》スキルのクエストを受注した。それはいいのだが……。

 

 

「ヒゲか」

「ディアの顔にヒゲはちょっと面白いかも」

「キリト君も面白い顔になってるね」

アルゴのようなヒゲを全員が描かれていた。

どうにも、クエストが終わらないとコレは消えないらしい。

その上もう一つの問題はクエストの達成条件。

「……この岩を砕く方が大変だぞ。一回全力で殴ってみたけれど、破壊不能オブジェクト並みに硬い」

からかわれて憮然とするキリトが岩の耐久値を示しながら言う通り、信じられないほどの硬度を誇る岩を破壊しなければこのクエストは終わらない。その上、受注時に没収された武器も戻らない。

「じゃ、頑張れヨー」

「程々に頑張りますが、確かにこれではアルゴさんが売りたくない訳ですね」

去っていくアルゴの背中を見ながら、全員で息を吐く。

「とりあえず、手でどうにかして壊すしかないわね」

アスナの言う通り、壊さなければ武器も戻らない以上は壊すしかない。

そういうわけで各々が岩に拳を叩きこんでいく。

「おりゃ!」

「フンッ!」

隣のノエルがやみくもに殴りつけるのを横目に、連続でナックルのPAを岩に打ち込んでいく。

少なくともただ殴るよりは効率が良くPAと違ってPPを気にせずに連打できるため、バックハンドスマッシュの左裏拳とスライドアッパーの右アッパーをペンデュラムロールのモーションに組み込んで連続で打ち込む。

耐久値の減少速度は大分上がるが、このままだと2日近くはかかりそうだ。

 

「ちょっと、私休憩するね」

「アスナさんが休憩するなら、私も」

「同じく」

アスナ・ノエル・エリスの女性陣は1時間ほどで一時休憩、さすがに俺も連続でPAのモーションを取り続けたせいで若干疲労感が出てきている。肉体疲労ではなく体を動かすことによる脳の疲労が出ているらしく、あまり長く続けると動きが悪くなりそうだ。

そこから30分程度でどうにもバックハンドスマッシュの打ち方が悪くなってきたので、俺も休憩する。

「さすがに、キツイな」

「思っていた以上にノックバックの衝撃もありますね。ほどほどに休憩しないと、手の感覚がなくなりそうです」

「俺も、ちょっと休憩だ」

疲労感のある声でキリトも休憩に入る。

コレで全員が休憩に入ったわけだし、打撃のコツでも教えておいた方がいいか。

そう思い立って、一度全員を集めて実演と言葉で打撃の打ち方を教える。

「基本的には如何に体の動かしている場所を一杯まで振り切るか、身体の動きを打点までしなやかに届けるかが打撃を撃ち込むポイントだ」

バックハンドスマッシュを岩に向かって一発撃ち込むが、あえて腰の動きを止めて裏拳も半端な腕の振りで当たるようにする。当然だが、硬いヒット音と共に岩の耐久値は僅かしか削れない。

「さっきのは悪い例だが、こっちがちゃんとした見本だ」

今度は踏み込みから腕の振りまでシームレスに繋ぎ、しっかりと腕を振りぬいたところで手の甲が岩に当てる。

「フンっ!」

ゴンッ、と先程よりも低く大きな音が岩から響き、耐久値も全体から見ればわずかとはいえ数倍は減る。

「こんなところだ。やっていて気が付いていると思うが動きの方は多少システムアシストが利いている、身体の動かし方に気を配れば誰でもこのくらいの芸当はできるはずだ」

「なるほど、身体の動きに気を配れば攻撃が良くなるっていうアレだね」

「システムアシストが素手でも効くのは気が付いていましたが、身体の動かし方は参考になります」

「私なんてこういう風なことするの初めてだから、まずはちゃんと殴れるようにならないと駄目ね……」

「アスナ以外も似たり寄ったりだと思うぞ? ディアだってBrならそこまでナックルの扱いにたけているわけでもないし」

実際そうなので頷く。

ナックルに慣れていればPAよりも効率的に殴る方法を考えているが、生憎Fiのレベリング時も主にツインダガーばかりで戦っていたのでナックルはPAの動きを覚えているだけだ。

「正直なところ憶えている動きとシステムアシストがあってようやく、あの動きができる状態だ。どう動くかを明確にすれば動かしてくれるシステムアシストの恩恵だな」

逆にいえば動かし方を理解していれば、実際の腕力もステータス依存である以上誰でも同じ威力を出すことができる。ある意味ではゲームらしい公平さだ。

「じゃあ、ディアの動きをちゃんと理解すれば!」

「バックハンドスマッシュ、左の裏拳だけでも効率は上がるだろうな。あとはストレイトチャージ、右の踏み込み正拳だから交互打ちにはいいだろうし、PAの接続に別のPAの一部を組み込むよりは覚えやすい」

そういうわけで全員にバックハンドスマッシュとストレイトチャージの動きを1時間ほど岩を砕きながらレクチャーし、想定よりも短く2日ちょっとで全員が素手スキルを習得した。

なお、ヒゲの方はペイント扱いのアイテムとしてストレージに収納されたため、付け外しが可能になった。

 

 

 

「ふふーん♪」

「クッソー」

目の前を歩く彼女、アスナの背中を俺が毒づきながら着いていくのはちょっとした勝負に負けたからだった。

「キリト君にケーキを奢ってもらえるとは思ってもみなかったわね」

「約束は約束だからな、不利な勝負に乗った俺にも非はあるわけだし」

飛び回るハチMobを規定数討伐するクエストを早くクリアした方が第二層の隠れた名物、《トレンブルショートケーキ》を奢ってもらえるという条件で勝負をしていたのだが、勝負に熱くなっていたせいで失念していたことがある。

「細剣と片手直剣の相性差がここまで響くとは」

「キリト君も途中から《体術》使って同じくらいのペースで狩ってたけど、モーションの時間が違うから仕方がないわね」

嬉しそうな顔のまま、アスナは先程の戦闘を思い出しながら言う。

「片手剣から体術にソードスキルを繋げても、リポップと硬直解除がほぼ同時だからな。アスナは余裕をもってリポップを待てるから正確にソードスキルを当られるし、そこまで疲れてもないだろ?」

正直、今の状態をディアあたりに見られたら呆れられそうな気もする。

賭けでそこまで疲れてどうするんだとか、負けが見えた時点で疲れない方向に切り替えろ、とか。

ちなみにディア・エリス・ノエルの三人はエリスのナビゲートで戦闘と採取を同時にこなすクエストに行った。

おそらく、森の中でクモを相手にこっちと似たクエストをしているだろう

「そうね、甘いものも食べられるって期待もあるから普段よりも疲れてないかもしれないわね」

「ご期待に応えるためにも早く街まで帰るとしますか、俺も甘いもの食べたいし」

「じゃ、ちょっとだけキリト君におごってもらったの分けてあげようかなー?」

「ありがとうございます!」

自分のコルで買ったものを分けてもらうのを感謝するという構図だが、0のはずが1になっただけでも儲けものなので思い切り頭を下げる。

 

街に帰り付き、喫茶店のテラス席に着く頃にはすっかり日も暮れて、第二層の天蓋となっている第三層の底に幾何学的な模様が星のように輝きだしていた。こういった経験に疎い自分としてはデートなのではと思ってしまうが、異性というよりも相棒としての意識があるおかげで、それを思考の隅に追いやる。

「じゃ、いただきます」

「どうぞ」

ざっとアスナの提案に基づいて自分の食べられる量を計算し、アスナが食べ始めてから少しずつ食べ進めていく。

大量のクリームとそこに乗ったフルーツ、柔らかなスポンジ生地が口の中に広がる食感と味は第一層の素朴なクリーム載せ黒パンとは異なり、これ一つで十分な満足感が得られる。

β時代にも人気だったこのケーキには味と見た目以外にも人気だったわけがあるが、それを言うのは食べ終わってからでもいいだろう。

「うーん、美味しかったー」

「時々食べにくるご褒美的なものとして、下の方では大分いいものだからな」

10分ほどでケーキを平らげてしまって、すっかり満足したような表情のアスナを見ながらケーキにある、もう一つの人気の訳を教える。

「それでアスナ、ちょっとステータス画面を見てくれないか」

「え? 別にいいけれど、どうして?」

「いいから、ちょっと見てみろよ」

「うん」

不思議そうな顔をしながらアスナは自分のステータス画面を表示する。

俺も同様にステータス画面を見ると望んだとおりのバフが掛かっていた。

「えっと、《幸運》っていうバフが掛かってるんだけど?」

「このケーキが人気な別な理由がそれだよ。《幸運》バフが掛かってる間は少しだけレアアイテムのドロップ率や武器の強化成功率が上がったり、『ちょっといいこと』が起きやすくなるんだ」

あくまでもちょっといいことだから、少しだけ確率が上がれば踏ん切りがつくという時に頼りにする程度。それでも武器強化やのような確率が明確に出るものであればそれを実感しやすい。

というわけで街のいる鍛冶屋にアスナの武器強化を頼むことを提案した。

「せっかくだし試してみるのもいいかもしれないわね。《ウィンド・フルーレ》も、もうしばらくの間は使いたいし」

というわけでケーキを十分に堪能したのち、街中で鍛冶屋を探すこととなった。

幸運バフの有効時間に余裕があったので回復アイテムの補充などもしたのだが、そのおかげか何個かオマケしてもらうことができた。幸運バフの意外な効果である。

そうして街を歩いていると、この階層では珍しい店があった。

「プレイヤー鍛冶屋か」

「へぇ、珍しいね」

「いらっしゃいませ、宜しければいかがですか?」

せっかくなのでこの鍛冶屋に頼んでみないかとアスナの方に目配せすると、なんとなく察したのか頷いて《ウィンド・フルーレ》を腰から外して鍛冶屋に手渡す。

 

 

クエスト終了後の夕方、たまには一人でこの世界を眺めてみたいとエリスとノエルに告げ、大雑把な地図を片手にフィールドを散策しながらレベリングをしていた。

「第一層は草原、第二層は高地、地形も気候も何でもありになりそうだな」

第二層の外周近くで休憩がてら獲得アイテムの整理をし終え、日が完全にくれる前に主街区への街道に辿り着こうと歩き始めると少し離れた茂みに灰銀色の何かがチラリと見えた。何かは分からないが、アークスの本能として珍しいものはとりあえず追いかけざるを得ない。

「何が出るかな?」

期間限定クエストや新種のエネミーを知らされた時のように何かが出ることに期待して追いかけると、数体のウシ型モンスターに追いかけられているプレイヤーがいた。

先程の灰銀色の何かはそのプレイヤーの髪で、外周部に向かって逃げてきたが森から平原に出ることを嫌って進路を変えたらしい。

「何も出なそうだが、放っておくわけにもいかないか」

ダッシュパネルを踏んだ時のように姿勢を低くしたスプリント姿勢で前方の小集団を追いかけるが、多少の障害物を無視して走るウシと、それに追いかけられるプレイヤーの距離が縮まる方が少し早い。このままだと追いつくまでに突進の餌食になる。

この状況を打破できるとすれば、そう考えて現在習得しているスキルとステータス、エリスやキリトから聞いたシステムを組み合わせて取りうる手段を考える。

「試してみるか」

最悪でも追いかけられている奴が死なない方法は考え付いたので、実行する。

「イヤーッ!」

ちょうど間に遮る物がない場所に出たタイミングを狙って、気合の声と共にドロップアイテムの短剣をオブジェクト化してモンスター目掛けて投げつける。視認できた3頭の内狙いは先頭、さらに腰の《ヴィタシミター》の柄に手を添えながらAGI全開で走り、最後尾に接触すると同時に勢いをつけたまま《リーパー》を撃ち込む。

最初に選択した武器種に加えてデフォルトで取得している《投擲》スキルには片手で持てる程度のものなら何でも使え、スキル硬直がほとんどないという特徴がある。

「モォッ!?」

つまり、オブジェクトした武器でも《短剣》サイズならギリギリで投擲スキルの適用対象にでき、そこから別の行動に派生させるのが極めて容易だ。

さらに大声を上げたことでHuスキル《ウォー・クライ》のようにヘイトを取ることもでき、先頭の一頭がこちらを向くため急停止し、その後方一体がそれにぶつかる。最後尾の一体はリーパーのノックバックから復帰できずにもがいたままだが、ヘイトは取れているはずだ。

「うぇっ!?」

急な音に驚いたプレイヤーがこちらを振り返るが、顔を見る余裕もない。

声の感じからするとノエルと同年代程度の少女のようだ。

「こけてる間に一体ずつ片付けるぞ、もし復帰したら俺がまとめてヘイトを取る」

「え、はい!」

少女の獲物はノエルと同じく片手槍、盾無しな上に《武器防御》スキルなしだとすればこの数相手は確かにキツイだろう。

「フンッ」

「ヤァッ!」

短剣が突き刺さったままのモンスターがこちらに突進してこないか、索敵スキルで位置を警戒しつつ、もう一体に次々と攻撃を叩きこんでいく。

突進なら少女に向かないように誘導して回避と同時に側面にソードスキル、できるだけダメージを稼ぐために多少の角振り回しに被弾するのは覚悟で強撃を撃ち込む。

「もう一体が起きたか」

おおよそ1/4程まで減らしたころに最後尾だった一体が復帰。

当然ヘイトはこちらに向いているので二体の突進を避けながら片方を仕留めると、残った片方に少女が《フェイタル・スラスト》を撃ち込んで仕留めてくれた。

「えっと、横取りでしたらスミマセン」

「臨時の共闘でそんなことを気にするな」

すると、はっとした表情でこちらに頭を下げてくる。

「そんなことよりも、ありがとうございました! 危ないところを助けてもらったのにお礼もせずに」

ようやく少女の顔を見ることができたが、アスナ以上に街中では目を引く容姿だろう。

白系のワンピースと薄青のフーテッドケープや武器の片手槍は何度か街中で見たことのある中級品だが、お下げにした殆ど白に近い銀髪と金に近い黄色系の瞳は地球では珍しく、顔も地球基準で可愛いの部類だろう。

もっとも、髪から肌から瞳までなんでもありのアークス、その中でも変態的に外見のこだわりを持つ連中が多いギョーフにいた俺からすると普通である。肌色ゼルシウスとか男の娘同盟、キャストの可能性やアクセサリの使い方を追求するアークスばかりな上に、そういう変態な奴らほど強いシップだ。

「いや、こちらもいきなり追いかけるような真似をしていたからな。たまたま危ないところだったからよかったが、そうでなければ闇雲に怖がらせていただろう」

「いえいえ、結果的とはいえ助けてもらいましたから問題なしです」

礼儀正しい娘だと思いながら、一つの疑問を投げかける。

「それにしても、なぜ追いかけられていた? 3体ほどなら、その装備で十分各個撃破できただろうに」

アークス的な思考だと群れは突っ込んで範囲攻撃で蹴散らす・反撃は喰らう前に倒すというのが鉄則だが、ココでは範囲攻撃はある程度スキル習熟度を上げないと覚えられないため、基本的には群れは個別に引き離して各個撃破が基本だ。

「その、範囲攻撃をしたタイミングでリポップしてきたモンスターに当たりまして・・・・・・」

「リスキルできなくてさっきの通りか」

「リスキル?」

「リスポーンキル、エネミーの再出現に大技を重ねて硬直を実質キャンセルする方法だ。マップの構成にもよるが、袋小路やリポップできるのが限られる場所でなら大抵使える」

アークス的にはADクエストでPSEバーストを起こす場所を調整することで大技を連発してエネミーを殲滅するのによく使われる手だ。

「そういえば、周りが樹に囲まれていたような。今度から気を付けないと」

「だな」

その後、互いに主街区に帰るという事なので道中臨時のパーティを組むことにした。

幸いにもその後はエネミーと遭遇することなく主街区までたどり着くことができ、パーティ解散前に名前だけでも確認しておこうと見てみるとキャラ名は《Lucia》。ルシアとでも読むのだろうか?

「また機会があれば、名前は《ルシア》でよかったか?」

「いえ、《ルチア》といいます。祖母がロシア系なので、読み方もそっち風です。あなたの名前は《Diar》、《ディア》さんでよかったですか?」

「その読み方であっている。ルチアはこのあと少し時間はあるか?」

「はい、ちょっとなら大丈夫ですけど」

いい子そうだし、ノエルたちに紹介しておくか。

「もしよければだが、俺の知り合いを紹介しておきたい。少し変わった奴らだが実力者ぞろいだ、何かの時に手助けできるかもしれない」

「そうですね、せっかくほかのプレイヤーと交流できるチャンスですから、お言葉に甘えさせてもらいます」

「よし、知り合いも近くにいるようだし早めに済まそう」

ルチアがフードを深めに被り、一緒にフレンドリストにあるエリスとノエルの位置に向かって歩き出す。幸いなことに二人とも近くのNPC商店でアイテムを買っているのか動く気配がない。

もし動きそうであればメッセを飛ばして動かないでもらう必要があったので僥倖だ。

日が暮れたとはいえ未だ活気ある主街区の商店街を歩いていると、嗅ぎなれた匂いが漂ってくる。

「ふむ、少し待ってくれないか?」

「ん?」

キョトンとした顔のルチアを置いて、少し他の店からは影になったNPC商店でコーヒーを1つとココアを3つ買う。

第二層の食品は第一層のものとは味の格が違う。エリス曰く、第一層はあえて微妙な味に調整して上の階層に上がるためのモチベーションにするという開発側の思惑もあるのでは、という事だった。

「よければどうだ?」

「いただきます!」

ココアを渡し、俺はコーヒーを啜りながらノエルたちのところに辿り着く。

「よう」

「おっ、ディアが帰ってきた……と思ったらスゴイ美人さん連れてる」

「そんな、美人なんて」

「また拾い者ですか?」

「今回は拾いに行ったがな。主街区までという約束だったが一度もエネミーに合わなかったせいか時間に余裕があるらしく、困ったときに頼れるナビゲーターの紹介でもと思っただけだ」

持ち上げられたと分かっていても満更ではないらしく、目の前にいるナビゲーターを自称する少女は嬉しそうな顔をする。

「ふふ、ディアさんも私のこと良く分かってきましたね」

「これでも2週間近く付き合いがあるんだ、多少は分かるさ」

同年代らしい上に片手槍使いという共通点もあって、ノエルとルチアはすっかり打ち解けたらしく、さっそくフレンド登録や様々な話に花を咲かせている。

「で、こっちがエリス。私とディアのナビゲーターで、困ったときにいろんなこと教えてくれるし、助けてもらってるの。戦闘の先生がディアなら、エリスはゲームの先生かな」

「ルチアと言います、よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いしますね、ルチアさん。同じプレイヤー同士なんです、助け合えるところは助け合いましょう」

「はい! って、そろそろ待ち合わせの時間だから、失礼します!」

自己紹介も済んであわただしく帰ろうとしたルチアだったが、その走っていく方向は偶然にも今の拠点としている宿屋の方向。

彼女を見送りながらノエルが呟く。

「同じ宿屋街だったりして?」

「かもしれませんね、意外と宿は密集していますから」

「フレンド登録してあるんだ、会いたいときは連絡すればいいだろう」

「そうだね」

お土産代わりのココアを二人に渡して宿屋に向かうが、この時はルチアにあっていたことがキリトとアスナの遭遇していた事件を解く助けになるとは思っていなかった。

 

 




というわけで第十話でした。
ようやく二桁突入したのにまだ2層、次々回からはテンポよく話を進めていきたいと思う作者です。

イヤー、それにしても今回の調整はインフレにインフレで対応するみたいなヤケッパチのお陰か、いい意味でバランスが取れている奇跡が起きましたね。
久々にBrやったらHrと火力変わらないうえに、感覚で使えるのですごく気楽、勇者だって英烏有に負けないことを実感しています(笑)
読者の皆様も、好きなクラスで暴れる楽しさを噛み締めていればと思います。

目指せ! 今月中にもう一回更新!
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