PSO2×SAO VR世界に入り込んだ守護輝士   作:のーん

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どうもお久ぶりです、作者です。
昨年中に更新するとか言って出来ませんでした。
私は謝罪する。

お待ちいただいた読者様に感謝を、新規の方は不定期更新でもよければお待ちください。



第12話 欠片を探して

この世界、SAOが単なるVRゲームの舞台からプレイヤーたちが生きる世界となって早くも50日、攻略階層は現在100層中5層。

大よそ10~15日前後で1つの層が攻略されていることから約3年でこの世界から解放される目途が立ってきたこともあり、攻略に参加するプレイヤーは数を増やしていたが、図らずしも無理な戦闘で命を落とすプレイヤーが増える一因ともなっていた。

主だった攻略戦参加者、通称《攻略組》もボス戦での死者は出ていないものの、少数とはいえフィールドでの死者は出ていた。

 

 

「《フロントランナー》か、いつの間にか妙なあだ名がついたものだな」

「攻略組の中でも前線で攻略を進めるプレイヤー、つまりは私たちのことですけれど、個人的には《リードランナー》とでも呼んでほしいですね」

「リードって、優位に立つってこと?」

エリスの言葉にノエルが反応するが、彼女の性格からして意味が違っていると考えるのが妥当だ。

「どちらかと、《先導》や《連れていく》方のリードだろうな。同じ言葉だが、意味は少しばかり異なる」

「ディアさん、私の喋ったことくらいは私に説明させてください」

「それは失礼した」

やれやれとでも言いたげなエリスの不満げな顔から視線を移し、目の前に広がる第五層を眺める。

そこに広がるのは見覚えのある二つの景色が融合した世界。リリーパのような砂漠と岩山、そこに並ぶのは採掘基地の代わりと言わんばかりに点々と聳える花が付いた10程の尖塔とそれを中心とするオアシス、ナベリウスの遺跡エリアがリリーパに点々と存在する不可思議な世界だった。

「多分だが、クラリッサの欠片はこの層に最低一つ存在する」

「そうですね、ベータテストの時には存在しなかったあの変な塔があるという事は、あとから追加されたPSO2絡みのイベントが関わっていると考えるのが自然です」

「エリスのおかげだね、PSO2に似た階層ってだけじゃ、あんまりヒントにならなかったでしょ?」

実際、【仮面(ペルソナ)】がこの世界に現れたせいかこのSAOの世界には点々と俺の知るフィールドの一部が存在していた。

第4層は水の都がモチーフだったが所々に浮上施設のようなモニュメントや遺跡が存在していたし、第3層の森林地帯にはナベリウスで見覚えのある植物やエネミーが一部のインスタントマップに出現した。

しかし、それらはエリス曰く『βのときにあったものが部分的に変わっていたり、追加されたといった感じですね』という事でさほど大きな変化ではなかった。

しかし、この第5層の変わりようは、それらとは一線を画していた。

「そうだな、基は砂漠とその地下にある遺跡がモチーフだった階層が、砂漠と塔を中心とするオアシスの階層に変わった。その変化にも、エリスがいなければすぐには気付かなかったろうな」

「これでも貴方のナビゲーターですからね、可能な限り、リードしていきますよ」

「この世界のことについては、私とディアは同じくらいしか知らないからね。一緒にエリスに教わろう?」

ノエルの言葉に頷きもう一度フィールドを眺めると、あるオアシス、正確にはその中心たる塔に目が吸い寄せられた。

「エリス、β時代にあそこのオアシスのあたりには何が在ったか覚えているか?」

そうやって指し示したのは遠目にも分かるリング状のオブジェクトと、それにもたれる様に倒れた塔のあるオアシス。

他にもリング状のオブジェクトや斜めの塔はあるが、見覚えのある封印の柱とは異なり華が無数に咲いていたり、水中に没していなかったり、時期も古いものから新しい物まで見事にバラバラな特徴を持っている。それらの中で、唯一見覚えのあるものが指し示している塔だ。

「えっと、あそこのオアシスがある場所には小さなダンジョンがあったはずです。規模も小さく、イベントなども起きないので、経験値稼ぎに一時期使われた程度です」

だとすれば、ベーターたちは見向きもせずに他のオアシスに行く可能性が高いか。

「よし、あそこに行くぞ」

「それなら、ついでに途中の町に寄っていきましょう。いい加減に武具の乗り換えも検討しないといけませんし、ノエルは防具の更新を急がなくてはいけません」

「さんせーい。5層に入ってから重い攻撃をしてくる敵も増えたし、そろそろ基礎防御高いのにしないと」

今のノエルの防具は3層で手に入れた《プリースシリーズ》と呼ばれる軽量布系装備を強化した上で手甲・胴プレートを追加して防御力を高めているが、3層の店売り品ではさすがに2つ上の階層でボスに挑むのは無理がある。

「そうだな、町に良いものが無くても途中のクエストや宝箱で手に入ったものを使ってもいいし、趣味に合わなければインゴットに変換して作り直す手もある。どっちみち、クラリッサの欠片を探すときに素材集めもするだろうし、ちょうどいいだろう」

他の攻略組参加者、《フロントランナー》達も武器強化やレベリングに精を出しているから、そこまで攻略の乗り遅れることも無い。自分が【仮面】に任されたクエストも、他のプレイヤーたちの長期イベント同様にいくつかのアイテムが途中に手に入る可能性もあるので、そこを攻略しつつ装備を更新していくのも悪く無い。

 

 

-オアシス:ルベリ-

道中何体かのサソリや骸骨騎士を相手にしながら30分ほど、特段ボスもいない道を宝箱など漁りながら目的のオアシスに辿り着いた。残念ながら、宝箱の中身はコルや素材ばかりでノエルの装備更新には至らなかったが、それでも経験値はそこそこ美味しい道中だった。

村人NPCの情報によると小さな町とダンジョンがセットになっているらしく、規模のわりに鍛冶屋やアイテム屋など探索に必要な店もあり、他の店も充実していた。

「ふむ、ノエルの好みに合うものはあるか?」

店売りとはいえ最大強化すれば現状よりもステータスが良さそうな装備はいくつかあるが、装備は個人の好みによる部分も大きいので、買うかどうかはノエル次第だ。

「武器はいいのがあるけど、防具は微妙かなー。ほかにAGIの+補正が付くのがないから、とりあえずグローブだけ新しいのにしようかな」

「そうか」

エリスが情報収集でNPCから話を聞いている間にノエルは革製の指ぬきグローブを、俺は投擲用の安い短剣を数本購入する。

「よし、見た目も悪くないしこれはこのまま使おう」

「色はそのままでいいのか? お前は薄青が好きなものだと思っていたが」

今のプリースシリーズもそうだがノエルは装備を基本的に薄い青や紫系の色合いで統一している。それ以外の装備も色変更で似たような色に変更しているが、買ったばかりのグローブは革の地色のままだ。

「後でほかの装備も揃ってから、一括で変更しちゃうから大丈夫。そこらへんは見た目との兼ね合いもあるしね」

「確かに、装備によっては個々に色を変えたくなることもあるだろうな」

「というわけで、色変えるときの素材集めは手伝ってね」

「俺のクエストを手伝ってもらってるんだから、それくらいは当然だ」

さすがに二月近く付き合いがあると気心も知れてくるもので、この世界の中のことについてはこういった軽口を言い合いことも増えていた。

ノエルと共に武具屋を出て、回復ポーションなどの探索に必要な消耗品と軽食を仕入れて合流場所に向かうと、約束より20分近くは早いのにエリスが待っていた。

「お二人とも、もう買い物はいいんですか?」

「うん、武具に好みのが無かったからすぐに終わったよ。エリスこそ早かったけど、どうしたの?」

ノエルの質問に、得意げな顔でエリスが答える。

「よくぞ聞いてくれました、NPCが何も情報を教えてくれなかったのでこんなに早かったんですよ」

「ダメじゃん!」

ノエルが突っ込むが、エリスは表情を変えない。

「いえ、ダメではありません。情報を持っていないではなく、教えてくれなかったんです。私がどんなに調べても、誰もあのダンジョンにについて教えてくれることはありませんでした」

つまり、何らかのクエストの受注者、若しくは別のイベントをクリアしている必要があるという事。

この中で条件を満たしていそうなのは……。

「というわけでディアさん、お願いしますね」

「そうだろうと思っていたよ、NPC見当はつけているのだろう? そいつらに訊けば、すぐに終わる」

「では、こちらへ」

エリスに教えられたNPCたちに話を俺が訊くと、アソコは『闇の巨人を封じた碑』という前置きの後に様々な情報を得ることができた。

やはり、【仮面】のクエストを受注していることが情報のトリガーになっていたようだ。

「ふむ、やはり【巨躯(エルダー)】か」

ひとりの復讐者とその最期を思い出しながら、あのダーク・ファルスの姿を思い出す。

【仮面】とはまた違う意味で風変わりな、ひたすらに闘争を求めたアイツを。

「エルダーって、ダーク・ファルス【巨躯】のこと?」

「それ以外に何がある? あの塔自体が【巨躯】を封印するためのものなんだ、むしろここで【若人(アプレンティス)】や【敗者(ルーサー)】が出てきたら訳が分からなくなる」

「それも当然だと思うけど、私、PSO2でダーク・ファルスと戦ったことないんだよね。ほどほどにしか遊んでないから、緊急クエストもそこまで参加してるわけじゃないし」

とりあえず、ダーク・ファルス【巨躯】の人型体、ファルス・ヒューナルの攻撃で注意する点とアイツの眷属であるダーカー全般の傾向を二人に教えておく。

「それでは、行くとしようか」

「あのダンジョンの中はディアさんの方が分かりそうですね、ナビゲーターはお譲りします」

「よろしくね!」

「実際には何とも言えないがな、中身は元のダンジョンのままかもしれん。その時はエリスにナビゲーターを返すとしよう」

 

 

ーダンジョン内ー

 

所々砂が降ってくる広大な空間、その中には人工物らしい遺物が植物に覆われており、周囲を水が囲っている。

遺跡を地下坑道に落とし込んだらこうなるのではないか、そのような空間がディア達3人の目前に広がっていた。

「うわー、深い」

「底までざっと5階層といったところでしょうか」

「どこまで降りられるかも分からんが、戻れるところまで行くか」

「では、回復アイテムが2/3程度になったら引き返すということで。用心するに越したことはありません」

初挑戦の上に詳細も不明、戻りの安全を考えると妥当なエリスの提案にノエル共々頷く。

「とりあえず、マップ自体は遺跡ベースのようだしグリムモノリスには気を付けろ。二又の大剣のようなもので、何も付いていないなら放置していいが赤黒い玉のような侵食核が付いていたら範囲型の攻撃をしてくる、すぐに壊せ」

「オッケー」

「それでは、慎重に行きましょう」

 

「セイッ!」

「ギュゥ……」

「まぁ、こんなところか」

ダガッチャのコアに連続攻撃を撃ち込むと普段の黒いフォトンとは異なる、青いポリゴン片となって霧散する。

経験値という形で力が流れ込むせいか、現実と同じようにフォトンを喰らうような感覚がするが気のせいだろう。

「速い……」

「あの、私たちまだ一体しか倒してないんですけど」

「ん?」

リアルで何体倒したかは分からない、遺跡でお馴染みダガッチャの群れを一掃するとそんな声が聞こえてきた。

斬り払いで額のコアをまとめて切り裂き、怯んだその隙にさらにコアへの攻撃を重ねる。

俗にいう怯みハメというもので先程から3体ほどのダガッチャをまとめて相手にして一方的に殲滅しているのだが、そこは仕方がないだろう。

「お前たちとはダーカーを相手にしてきた数も経験も違うからな、もはや反射のレベルでできる。っと、ブリアーダか」

今度は空飛ぶ虫型ダーカー:ブリアーダだが、こっちに気づいて臨戦態勢になったころには後ろに回り込み、容赦なく投擲スキルでコアに短剣を撃ち込む。

そして高度を下げたところをノエルに短槍でコアを攻撃させ、墜落したら3人でソードスキルを撃ち込む。誘導+頭上から降る毒弾は厄介なので今のところ優先順位が高い敵がコイツ。このパターンで先程からほとんど何もさせずに倒している。

幸いにもエルアーダやディカーダ系のような高速高火力タイプやガウォンダ系の盾持ち、サイクロネーダのような範囲攻撃持ちは居ないようなので、俺がまとめてヘイトを取ったところをノエルとエリスは各個に、他は俺が一掃というスタイルで先程から進んでいる。そのため、反撃の間もなくダーカーたちが霧散しているため、半分ほど降りても数えるほどしか回復アイテムは使っていなかった。

 

「うーん、戦闘してないのにレベルが上がる上がる。ディアの動きを見るのも勉強になるけど、速過ぎて武器の違いどうこうじゃない無いし」

「ディアさんの本業がアークスとはいえ、その中でもかなりの上の方にいるのではないでしょうか。六坊均衡や創世器のようなオラクル上層部についても知っているようですし」

ダンジョン内の安全地帯、圏内同様にモンスターが侵入せず《犯罪防止コード》が有効なエリアで昼飯のサンドイッチをつまんでいるとそんな話になった。

「それなり、といったところか? 戦闘能力としぶとさで先遣調査に回されることもあるからな」

今から見ると二年以上先だが、扱いも守護輝士で船団司令部直轄の、一般の指揮権とは独立した行動ができる状態を考えると、アークスとしての枠内では権限とは違うが好き勝手出来るという意味では一番上だろう。今回のようにシャオから直々となれば断るのも難しいが。

「さて、休憩もここまでにして先に進むとしようか。あまり休み過ぎると、緊張感や戦闘の感覚が抜ける」

そう言って立ち上がると、エリスが手を挙げてある提案をした。

「ココから先は私とノエルがメインで、ディアさんはサポートお願いします。さっきからディアさんばかりが戦闘していますし、私たちもダーカー相手の戦闘に慣れておくべきですし」

「では、任せるとしよう。ただ、危ないと思ったらすぐに退け、とりあえずは相手の動きとコアをどう狙うかが分かれば良し、だ」

「いざという時は、守ってくれるよね?」

「約束だからな、当然だ」

という事で役割交代。

二人が群れのヘイトを取り、ヘイトを取れなかった・後から湧いたダーカーを俺が相手をする。

「セイッ!」

「これで!」

片手槍のリーチを生かしてノエルがダガッチャの射程に入る前にコアを攻撃し、生じた隙にエリスが片手剣の連続攻撃で仕留める。

即席の役割分担だが片手槍のリーチとピンポイントへの狙いやすさ、片手剣の機動力と手数を生かして上手く相手取っている。

「この調子なら、最初に湧いたのは任せて大丈夫か」

二人の様子を見ながら次に湧いてきたダガッチャを仕留め、二人の連携の良さに安心する。

少し、アイツらのことを心配し過ぎているかもな。

 

適度にメイン戦闘役を交代しながら進むこと1時間ほど、さすがに下層に行くと湧きの間隔が短くなってきたこともあり多少は消耗した状態で最後のフロアと思われる場所に到達した。

「ふぅ、しばらく休んでから行こうとしよう」

「そうですね、回復アイテムに余裕はありますが、先程の連戦で少し疲れました」

「甘いもの食べたーい」

この世界だと実際に体を動かしているわけじゃないから、身体が重たいとか、そういう疲れ方はしない。だけど、身体を動かしているという感覚や、命がけの戦闘をすることが疲れるという感覚を生んでいる。

だから、疲れたときは息抜きの方が休息時間を長く取るよりも大切で、回復アイテム以外のものも持ち込むのが攻略の常識になっていた。

意外とちょっとした程度の菓子ならどの町でも売ってるし、階層が上がるごとに様々なものが売られているため私の好きなものを探す楽しみも増えていた。

その中に当然、イタズラに使うものもあるわけで・・・・・・。

「エ~リス?」

「どうしましたか、ノエ、ひゃあっ!?」

「ん?」

「ビックリシタ?」

4層で見つけた怪物っぽいマスクにイロイロとくっつけて、ダガッチャっぽい感じに仕立てたものを外しながら、エリスに種明かしをする。

「ほ、本当にびっくりしましたからね! 安全地帯でモンスター出てきて、ノエルが食べられたかと!」

む、ちょっと心配させちゃったかも。

ビックリはさせたいけど、笑えるイタズラが好きな私的にはあんまりよろしくないイタズラだね。

今度は服を変えて、背景に紛れることが必要だね。あと、私だってバレないようにしないと。

「ゴメンゴメン、ちょっと心配させちゃった?」

「ふぅー、イタズラもいいですけれど、さすがにアレは心臓に悪いです。せめて、非敵性のMobにしてください」

「なるほど! その手があったか!」

「しまった!」

ふふふ、コレはいいことを聞いたね。まさかエリスからイタズラのヒントをもらうとは。

「ククク、相変わらず面白いことを考えるなぁ」

「おぉ、意外とディアには受けてる!」

「アークスのアクセにはエネミーの頭部を模したのも多くあるからな、その手のはある意味で鉄板ネタだが、この世界で見ることになるとは思っていなかったよ。それに、ククッ、エリスの反応が新鮮でな」

「むしろ私のリアクションにウケていたんですか!? それはちょっとショックですよー」

まぁまぁ、と言いながらディアがエリスを慰める。

うん、やっぱり悪戯はこういう風に騒がしくて面白いのじゃないとね。

 

ひとしきり騒いで、休憩もして、すっかり余計な緊張もほぐれたのでいよいよ最後のフロア、ボス戦へと向かうとしよう。

「行くか」

「はい!」

「行こう!」

先程までと二人の雰囲気も変わる。

この二人も50日近く命がけの戦闘を潜り抜けことで、すっかり冒険者であり戦士として育っていた。

一度顔を見合わせてから最後のフロアの扉に手をかけ、押し開く。

「んっ!」

「眩しいっ!」

「えっ!?」

薄暗いダンジョン内とは比較にならない光量が扉を開けた途端にディアたち三人を包み、ほんのわずかの間3人の視界を塞ぐ。

そこから復帰した3人が目にしたのは、遥か上方から光の差し込む巨大な空間。その中心には外から見たモノリスを2mほどにしたようなものがそびえているが、いくつものヒビと内側から漏れだす赤黒い粒子のせいで今にも崩れそうだ。

「もしかしてしなくても、ボス戦だね」

「その前に、会う必要のあるヤツが居るようだがな」

言い終わると同時に、モノリスの内側から溢れ出す粒子の量が増え、モノリスの崩壊が始まる。

「ボスが出て来るようですね。お二人とも、油断しないでください!」

「当然!」

「ヒューナルでなければいいんだがな!」

完全に崩壊したモノリスから溢れる粒子は徐々に人の形を取り、黒く分厚いロングコートに身を包んだ巨漢の姿を現す。

そこから放たれる威圧感は俺の知るそれと同質だがその程度は俺の知る復活時と同等、本体は未だに別の場所に封じられているという事だろう。

「なんか、寒い…?」

「あのボスが出てきた途端、少し寒くなったような気はしますね」

「当然だろうな、【巨躯】の力は凍結だからその場にいるだけで気温が下がってもおかしくない」

もっとも、当代の【巨躯】依り代の影響と好戦的な性格、強靭な肉体が相まって主に肉弾戦を好む戦闘狂だったため、そちらの方が多くのアークスにとっては印象に残っている。

「貴様らは何者だ? わざわざ、我の居る斯様に深き場所まで来るとは」

「相変わらずの物言いだな、【巨躯】。もっとも、お前は俺の知るお前とは別物だがな」

模倣体に過ぎないが、それでもソコソコ似せてきている。深遠なる闇の中で【仮面】と共にいる以上不思議ではないか。

「面白いぞ、名も知らぬ剣士よ。我が名を知るならば、その力を見せてみよ! 来たれ、剛腕なるものよ!」

【巨躯】の剛腕なる眷属となると、今のステだとなかなかの強敵だな。

「ウォルガータが来るぞ! 腕を使った攻撃に注意、浮かせて連続攻撃や掴んで拘束攻撃につなげてくる!」

「行動パターンの指示お願いしますよ!」

空間に空いた赤黒い穴から飛び出して来たのはダーカー共通の黒と紫を基調に赤のラインが入った、胴体に直接巨大な眼と牙を持つ異形の巨人。

≪剛腕なる眷属≫という通り、下半身と不釣り合いな太い両腕には幾つもの甲殻が重なり合い手甲のような形状をしている。

「グルワァーッ!」

《Wallgurter, The strength fist》

「そのまま、剛腕ウォルガータか!」

「ディアが突っ込んだ!?」

「いやー、私たち的には野獣ヒグマみたいな感じですからね。あまりにもストレート過ぎるといいますか」

そんなことを言っているとウォルガが身を屈めてきた。

「連続突っ張りが来るぞ! アイツ中心に円を描くように回避!当たると痛いうえに最低一発は空中で当たるから回避に専念」

「オッケー、.私がタゲ取りするからディアは回避の指示お願い!」

「私はアタッカーに入ります!」

この世界で初めての中型ダーカー戦、基本は同じでも世壊種のように何か変わっているかもしれんから要注意だな。

 

 




ようやく第5層&クラリッサの欠片の手がかりが出てきた第12話でした。

誤字脱字のご指摘在りましたらどうぞよろしくです。

あと、SAOIFをプレイし始めましたので、そちらの方で会うことがありましたらよろしくお願いします。
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