PSO2×SAO VR世界に入り込んだ守護輝士   作:のーん

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ドーモ、作者です

2か月ぶりの投稿なんてことになり申し訳ありませんでした、というか謝罪が恒例と化してる。

そんな亀更新ですが今後とも読んでいただければ幸いです。
それでは、お楽しみを。


第15話 堅牢なる真紅の骸甲

先日のクリスマスパーティから3日、おそらく今年最後となるフロアボス攻略戦が始まろうとしていた。

 

「さて、諸君たちも知っての通り今回のボス戦はディア君に指揮を執ってもらう。一応、自己紹介を」

 

ボス戦の相手が相手のため、普段はディアベルが仕切るこの場も俺が仕切ることになった。

 

「ディアだ。ボスと類似、若しくは同一のエネミーとの戦闘経験があるという事で今回はディアベルの補佐のような形で指揮を執らせてもらう。知ってる奴も多いとは思うがボスの名前は【Rigsh-raider The crimson carapace】、HPバーは3段。偵察隊の報告は『どこからどう見ても赤いゼッシュレイダだった』そうだ。この中でゼッシュレイダを知らない奴は?」

 

集まったプレイヤーの内半数ほどが手を挙げる。

非PSO2プレイヤーはもちろんアークスでも遺跡エリアはある程度実績が無ければ入れないエリアだし、そこ以外のフリークエストだとラグネに遭遇することの方が圧倒的に多いから仕方がないか。

 

「知らない奴のために説明すると別のオンラインゲーム、PSO2に出てくるボスエネミーだ。平たく言えばジェット噴射で動き回り、背中の砲から炎弾をバラ撒く巨大な二足歩行の亀だな。弱点は頭部とダウン時露出する胸部のコア、それと破壊した砲。基本的な攻撃は両腕と尾の薙ぎ払い、尾の方は予備動作から始動までが短い上に往復だから周囲からの声かけと、ガードの向きに気を付けてほしい」

 

そんな説明をすると、久しぶりに顔を見た気がするクラインがポツリとつぶやく。

 

「それってガ〇ラ、若しくはカ〇ーバじゃねぇのか?」

 

その言葉に全員が頷く。

カメ〇バは知らないが、昨日説明したときもノエルにガメ〇と言われたな。

地球のトクサツと呼ばれるジャンルの映画に出てくるキャラクターらしいが、結構メジャーなのだろうか。

 

「まぁ、直接攻撃はモーションが大振りだからあまり警戒する必要はないが、注意すべきなのはボディプレスからのコンボ。甲羅に手足と頭、尾を引っ込めてボディプレスをしてから数秒後にジェット噴射で移動。そこで頭を出すが、それを引っ込める迄にダウンを取れなければ誘導付きの炎弾をバラ撒いて再び移動、そこからジェット移動+炎弾バラ撒きに繋げてくる」

 

その他、行動パターンは直線的だが一撃は重く、遠距離攻撃の炎弾は誘導性能付きで弱点部位以外は比較的硬めであること、四肢の殻は破壊でき、攻撃範囲・威力の縮小やダウンが誘発できることを説明する。

あらかたの質問も出尽くしたところで、今年最後の攻略戦が始まる。

 

「よし、みんなで新年を新しいフロアで迎えようぜ!」

 

ディアベルの言葉に全員が賛意の声を上げ、ボスフロアへと向かう。

 

 

 

ダンジョンの最奥、フロアボスの部屋に入ると何も居ませんね。

普通ならば奥に堂々と居座っていたり、すぐに何処からとも無く現れるものですが、その気配もありません。

 

「もしかすると、ディアさんがいるから?」

 

PSO2の大型エネミーが初めてフロアボスとして登場するなら、この前のダークファルス【巨躯】が復活した時のように予想外の出来事が起きてもおかしくない。

 

「可能性はあるな。この前のことが起きてからまだ1週間も経っていない、それで大型ダーカーがボスともなれば何かしらイベントが起きるかも」

 

「そうなると、少し厄介ですね」

 

「レア種がボスの時点で十分厄介だ」

 

呆れたようなディアさんと共に、もう一度を見渡してみると、突然部屋全体を振動が襲う。

何事かと思う間もなくフロアの天井が崩れ、大量の瓦礫と共に所々が赤く光る巨大な影が降ってくる。粉塵でよく見えませんが、あの大きさはするとボスでしょう。

 

「・・・【巨躯】やファルス・アームじゃなくて一安心だな」

 

「いやいや、ボス出てきたんだから戦闘開始だよ!」

 

「それじゃ、戦闘開始! タンクが正面でヘイトを取りつつ、側面から攻撃して右脚から狙っていくぞ!」

 

少し不安になりましたがボスの登場とノエルの言葉で気を取り直し、ディアさんが号令をかける。

今回の作戦は攻撃を一方向に誘引しつつ側面から攻撃。普段よりも人数が多めのタンクは半分ずつA隊とB隊に分け、ヘイト取りと炎弾バラ撒き前の攻撃役を交互に行う。

アタッカーも今回はAGIが高めのプレイヤーで編成し、炎弾バラ撒き前の移動に付いて行く。

 

「とりゃ!」

 

「はっ!」

 

「フンッ!」

 

充分にタンクがヘイトを取った状態で、左右の脚に攻撃を開始する。

幸いにも取り巻きがいないタイプなので、全員が目の前のボスに集中して戦える状況だ。

 

「タンク全員ガードを固めろ!」

 

戦闘開始からしばらく、B隊の指揮を執るプレイヤーの声に反応してA隊がガードを固め、攻撃隊は蜘蛛の子を散らしたようにリグシュレイダから離れていく。

直後、地響きと噴煙を巻き起こしながらボディプレスがタンク隊を襲う。

 

「タンク交代、それ以外は総員で追いかけるぞ!」

 

「よっしゃ!」

 

「急げー!」

 

その言葉が終わらないうち、噴出音と共にリグシュレイダが高速で移動を始める。

とはいっても、広いとはいえ所詮1部屋なのですぐに壁へとぶち当たり、多少跳ね返ったところで動きを止める。

そうして首を出したところを狙って。

 

「一斉攻撃! 何としても止めろ!」

 

その言葉を合図に各々の武器が色取り取りのライトエフェクトを纏って振り下ろされる。

 

「スイッチ!」

 

「スイッチ!」

 

その硬直をカバーするため、そして狭い場所で連続してソードスキルを打つため変則的ではあるがスイッチが行われる。

無数のソードスキルが頭部に打ち込まれ、時間にしてほんの10秒ほどで、1段目の1割ほどが削られる。さすがにそれだけの集中攻撃を受ければ……。

 

「よし、ひっくり返ったな。胸のコアと頭部に分かれて攻撃、打撃武器は今のうちに腕を破壊!」

 

頭部を攻撃していた中から両手武器のプレイヤー数名が胸のコアに取り付き、ハンマーやメイスなどの打撃武器は両腕を攻撃する。

事前に何も知らなければボディプレスからの移動に対応できず一回目は炎弾に焼かれることになっていたろうが、生憎こちらは何度も交戦済み、容赦なく攻めさせてもらう。

 

「ディアの指示、バッチリだな」

 

「初見じゃない敵だからな。思っていた以上に向こうと同じ動きをしてくれて助かってる」

 

レイジング・チョッパーを放ち、スイッチをする時にキリトと短い会話を交わす。

すでに1段目はほとんど削り終わり、この転倒中に2段目まで行けるかと思ったが、

 

「そう甘くはないな。総員後退、復帰時の高速回転に巻き込まれるなよ!」

 

四肢を振り上げる動作を見て、転倒からの復帰に入ることを全員に伝わるよう大声で叫ぶ。

殆どのプレイヤーは無事に逃げおおせるが、ちょうどソードスキルを始動していた何人かがキャンセルして後退に遅れたことで掠めるように攻撃を受け、調子に乗って大技を連発していた胸コア担当の一人が回転で吹き飛ばされる。

 

「大丈夫か!?」

 

「大丈夫じゃないけど、死んではいません」

 

「A隊は負傷者のガードに、B隊はヘイト取り、攻撃隊はさっきより狙われるから技の隙を狙うだけでいい。下手に回復が必要になるとヘイトが他所に向きやすくなるから、タンク以外は攻撃をしばらく控えるんだ」

 

ディアベルの指揮で隊が動き、負傷者のフォローと復帰までの時間稼ぎを行う。

あくまでも俺は攻撃への対処とタイミングを指示するだけなのでそっちに注力。

テク職が居ればレスタ撒いてもらって攻撃を継続できるんだが、今のところは範囲型の回復アイテムもスキルもないので負傷者の回復を優先するしかないのが課題か。

 

「いっそ、誰か一人か二人ソッチ系やりたい奴を探して、仲間に引き入れておくか」

 

そんな独り言を言いつつ、ちまちまと削っていく。

無事に負傷者も回復が完了し、脚部の破壊による転倒と集中攻撃で一気にゲージ2本目の半分まで削ったところでボディプレスからのジェット移動。

 

「今度も撃たせるなよ」

 

再び全員で追いかけ、リグシュが首を出すのに備える。

そうして、首を出したところで再び集中攻撃をかけ、ひっくり返したところでさらに攻撃を重ねる。

これで一気に3本目も削りたいが、最後の一本で今までのボスは確実にパターンが変化して来た。それに加えて5層目のボスだという事を踏まえると、向こうのリグシュと違うパターンが入ってくるか?

 

「ゲージが3本目に入ります。皆さん、一度退いてください!」

 

「了解!」

 

エリスの指示もあり、全員が一度退く。

予想通り、ゲージが3本目に突入した瞬間にダウン状態から強制復帰。

周囲に炎弾をばら撒きながら高速回転で周囲のプレイヤーたちを吹き飛ばすが、先程と異なり大したダメージは入っていない。そのかわり当たり判定があったプレイヤー全員が吹き飛ばされ軽いショック状態になっており、その中にエリスやアスナも含まれていた。

 

「うっぅ、フラフラ、する」

 

「ちょっと、油断しましたかね……」

 

「アスナ!」

 

「エリスッ!」

 

キリトとノエルが二人の方に向かう。

無事なのは10人程度、その面子で時間を稼ぐしかないな。

 

「ディアベル、ヘイトを取るから編成頼む! お前の方がこいつ等のスキルも装備も分かってるだろう!」

 

「分かった! 動ける者は各自で回復を、アイセルは動ける重装備プレイヤーをまとめてタンクを、クライン君たちは俺と一緒にアタッカーを」

 

「任せてください」

 

「応よ! ディアばっかに良いところは見せられねぇからな!」

 

ソロでも動けレベルの高い俺、クライン、ディアベルがメインでヘイトを取り、その3人が避けきれず受けるしかない攻撃をアイセルというプレイヤーを中心とした重装備の5人が臨時のタンク隊を務めて他所に行く攻撃を最小限にする。

 

盾でガードしながら上手く隙を突き上位ソードスキルを撃ち込むディアベル、強攻撃中心に硬直の短い下位ソードスキルを織り交ぜてコンスタントにダメージを稼ぐクライン、攻撃を見切って回避しながら弱攻撃と上位ソードスキルのコンボを繰り出し続けるディア。

ちょうど3人が互いの隙を埋めるようなバトルスタイルであり、ディアがまだ戦闘慣れしていない二人の隙をカバーすることでダメージ量自体は微々たるものだがヘイト取りには成功し、臨時タンク隊の活躍もあってどうにか広範囲技の発動は防げていた。

 

「炎弾来るぞ、タンク隊用意!」

 

「はい!」

 

リグシュの攻撃パターンは向こうでの発狂時とほぼ同じ、動作の高速化と腕の薙ぎ払い時にオーラ追加だが、それにSAOオリジナルで炎弾ブレスとその場で回転しての尻尾薙ぎ払い、背中の各砲台から単発の誘導炎弾。

誘導弾は背中の砲台5つの内、2つが転倒時に破壊されているため3発。

それをタンク隊が盾を打ち鳴らし雄叫びを上げ、場合によっては攻撃もすることで一時的にヘイトを移し、俺たち三人に来る弾の数を減らす。

 

「おわっ!? アブネー……」

 

「近くに来れば回転、離れれば炎弾、最後の一段で急にキツくなったな」

 

「とはいっても炎弾の当たりは重くないよ、片手盾でも十分ガードできている」

 

ショックから復帰してHPを回復するまではそんなに長くはないはずだが、こっちは回復する余裕もほとんどないので如何に被弾せずヘイトを取るかという難しい戦況。

ガードの削りダメや炎弾の爆風もあり、HPがジワリジワリと削られていく。

 

「ディア、俺が変わるからお前も回復して来い」

 

「タンクの人たちも半分は回復して、エリスがそれをまとめて新しいタンク隊にしたから、交代できるよ」

 

その声で振り返るとほぼ満タンまでHPを回復したキリトとノエル、その後方にはショック状態から復帰して再編成を終えた隊が揃っていた。

全員がショック状態から復帰して回復するまでの間、短くはない時間をどうにか8人でしのぎ切った。

 

「そうだな、少し休ませてもらおう」

 

「俺も盾の耐久値が危ないから、一回下がって装備を変えたらまた出させてもらおう」

 

「一回下がって回復だな、ちょーっと無理し過ぎた」

 

ディアたち8人と交代でエリスによって再編成された隊が前に出る。

当然エリス本人やキリト達も攻撃隊としてその中にいるので、攻撃隊は年長者と年少者が交代する形になる。

 

「どうにか、なったな」

 

「とはいっても、最後はキリト君たちに任せることになってしまったね」

 

「まっ、仕方ねーだろ。俺たちとキリト達の立場が逆だったかも知んないしよ、そこは運ってやつだ」

 

二人と苦酸っぱい回復ポーションを飲み干すと、無事に体力は安全圏の8割程まで回復。

クラインとディアベルは6割強、まだ前には出られないか。

 

「じゃ、俺はキリト達に混ざってくるか」

 

「……タフだね」

 

「マジかよ……」

 

終焉なんてこれを30分近く続けるのだから、1WAVE程度の戦闘は大した問題ではない。

あっちだとビブラスを4人程度で仕留めなきゃならんこともある。

それでも、疲れてはいるので軽くちょっかいをかける程度でメインはエリス達に任せてサブアタッカーに専念。

 

 

そこから10分後、最後の1段がようやく削り切れるところまで来た。

 

 

「これで、止めだ!」

 

残りのゲージ量を見て、上位ソードスキル一発で削り切れると踏んだクラインだったが。

 

「グワォッー!」

 

「へ?」

 

「セイヤッ!」

 

ほんの僅かに削り切れなかったらしく、硬直を狙われて反撃した隙をディアが突いてLAボーナスを掻っ攫って行った。

 

「まぁ、運が悪かったと思ってあきらめろ」

 

「マジかぁー!?」

 

ディアの攻撃が決まりリグシュレイダがポリゴン片、ではなく赤黒い粒子と化して消滅する。

ダーカーお馴染みの現象だが、初めて見るプレイヤーたちは何事かとざわめき、ソレが完全に消え去ってから【CONGLATULATION】の表示が出たことでその場は歓声に包まれる。

 

「お疲れ、ボス攻略完了だな」

 

「キリトも、ご苦労様。エリスも臨時の隊編成してくれて助かった、おかげで凌ぐ時間がだいぶ短くなった」

 

キリトとエリスをねぎらっていると、後ろから誰か、多分ノエルが近づいてきた。

 

「ディーアー、私だってエリスのこと運んだり動ける人に連絡して頑張ったんだけど―」

 

不満げな声と共に揺さぶられる、というかノエルのステでも身長差20センチ程度なら揺さぶれるのか、ステータス恐るべし。

 

「分かっ、たから、揺さぶるのをやめろ」

 

適当に、それでも要点をかいつまんで労う。

 

「エリスの護衛とサポートご苦労。今回みたいに誰かが動けなくなっても、ちゃんとやることは分かっているようで安心した」

 

「さすがに5層まで一緒にいれば何をしなきゃいけないとかは分かるからね」

 

流石に2か月近く戦いの中に身を置いていれば、泣き虫だったこいつも成長せざるを得ないか。

 

「そうだな、その調子でこれからも頼む」

 

さて、扉も開いたことだし次のフロアに行くとするか。

 

 

 

リグシュレイダが守っていた扉を抜けて、長い階段を上ってきた攻略組がざわめきだす。

出口の方から冷気と共に白い物が入ってきたからだ。

 

「これは、雪か?」

 

「本当だ、最近寒くなってきたとは思ったけど、雪まで降ってきたんだ」

 

アスナとキリトの会話を聞きながら【巨躯】の封印されていた側のナベリウス、凍土付近を連想してしまう。元々寒冷なフィールドだったのか【巨躯】復活の影響で寒冷化したのか、どちらにせよ第五層で買ったコートが役に立ちそうだ。

 

「ふぅ、さすがに風を凌げるのはいいな」

 

ストレージからアズール・コートを取り出してと着込む。戦闘中に着てもいいのだが、曲刀だと柄が片手ほどしか無いせいで抜きにくく、今回のボス戦では脱いでいた。

 

「サンタ装備、防寒目的に着ておこうかな」

 

ノエルも寒くなってきたのかサンタ装備からケープとセーターを取り出す。

元々コートを着ているキリトはいいとして、アスナとエリスは大丈夫だろうか? 二人の方を見ながら階段を上っていくと、出口が近づくごとに寒そうな顔をしている。

 

「寒いです」

 

「キリト君、ちょっと上着借りたいんだけど、ダメ?」

 

「俺も寒い」

 

「スマン」

 

女性には優しくしろと言いたいところだが寒さには勝てず、男性陣二名とも拒否。

さすがにこの寒さだと女性陣も無理は言えず、出口に到達するまでディアとキリトが風よけになることで手打ちとした。

 

 

 

「風が無いと少しは温かいわね」

 

「それに、ちょうどいい感じでノエルも温かいですし」

 

「……」

 

ディアとキリトさんの後ろを歩きながら湯たんぽ代わりにエリスとアスナさんに左右から挟まれてるんだけど、左右から服越しでもわかる柔らかいものが当たってくる。

思わず自分のソレを見てしまうと、そこまで大きくはないことを確認してしまってなんか悲しい。

 

「せっかくキャラクリでお姉さんキャラにしたのに……」

 

身長の高いディアの隣に、あの格好で並んでいたら少しは相方らしく見えたかもしれないのに。

でも、リアルと同じ姿になったからディアと会えたわけで、そう考えるとちょっと複雑。

 

「でも、今のノエルちゃんも可愛いからいいと思うわよ? 性格を誤魔化してお姉さんキャラを演じるのも疲れちゃうし、ディアさんも見た目とかよりも実力と気が合うかみたいなところでパーティ組んでる気がするし」

 

「あー、それ結構当たってますね。私がパーティを組んで手伝いするときに一緒に来てもらっても、気が合う・合わないでちょっと雰囲気が違いますから。合う時は結構勢いで行っちゃう感じですが、合わないときは基本に忠実な感じですね」

 

確かに私やエリス、アスナさんやキリトさんと戦っているときは少し楽し気に戦ってる感じだけど、キバオウさんやディアベルさんのパーティに混ざってる時は連携をうまく合わせるように気を使ってる感じがする。

 

「ロールプレイもいいけど、生きていく時まで役割を演じるのはつらいし、やっぱりこのままでいいのかな?」

 

 

 

そんな会話をしているとは露ほども知らず、ディアとキリトも会話していた。

 

「そういえば、アークスにも色々いるのか?」

 

「色々、の種類にもよるが割と何でもいるだろうな」

 

見た目だけでも年齢なら幼女から爺、性別と外見が一致しないのは当たり前、変形するキャストや御伽噺に出てくる怪物に扮したデューマン、どう見ても痴女・痴漢としか思えない過激な格好をする連中までいる。

 

「外見もそうだけど、俺が訊きたいのはアークスの世代だよ。こっちだと第何世代とか聞くけど、詳しいことが何も分からないからさ。せっかく本物のアークスがいるなら訊いてみようと思って」

 

ソッチの話か、と言ってもそんなに複雑な話ではないがな。

 

「第1世代型は文字通り一番最初のアークス、オラクル創設時にフォトナーどもが攫ってきた、ある惑星の自分たちに似た姿の人型生命体にフォトンを扱う能力やその他諸々、ダーカーと戦うのに必要な能力を遺伝子操作やら何やらを使って付与された世代だ」

 

現在だとレギアスやマリア、非戦闘員だがジグもその中に含まれる。

 

「結構、エゲツナイな」

 

「当時はダーカーもダーク・ファルスも最大勢力を誇った時代だからな。フォトナーとしては手段を選ぶ余裕もその倫理も無かったようだ」

 

とはいえ、自分たちの不始末が原因でも【深遠なる闇】を放置すれば宇宙全体の生命に対する危機なので、大局から見れば小の犠牲で大を救う判断ともいえる。

現在ではフォトナーはほぼ死んでいるし、自分たちの生まれをどうこう言う相手がいないこともあり、アークス内でもそのあたりを気にするものはほとんどいない。

 

「その次の第2世代と第3世代の区分は曖昧なところがあるな。第一世代以降で特定クラスに対して適性を持つというのが第二世代、複数のクラスに自在に変えられるのが第3世代だ」

 

「って言われても、プレイしてる時は第3世代アークス扱いで、しかもいきなりクエストやらされるから良く分からないんだよな。ライブラリでも突然変異でフォトンを自由に変えられるようになったとしか書いていないし」

 

とはいっても、アークスですらそこの区分は曖昧なので上手く説明できるか分からない。

 

「知っての通りほとんどのアークスはサブクラスも含めれば2~3程度のクラスを鍛えているし、第1世代と違ってクラスではなくて打撃・射撃・法撃の3系統で適性を見ているから、どっちつかずの第2世代は第3世代のように複数のクラスに適性が掛かっているのもいるし、クラス変更しても一応は戦えるからな」

 

前者はハンターからファイターに転向したパティ、後者は打撃と射撃の両方をそこそこ扱えるアザナミが当てはまる。ゼノや一時期のエコーのようにサブが自分の適性と一致していればメインの武器を扱うにも支障も無し。あるとすれば多少威力が落ちる程度だが、それも武器の性能でカバーできる。

 

「結果的にブレイバー・バウンサーみたいな複数の系統にまたがるクラスを創ることになったし、強いて言うなら個人の質が安定しているのが第2世代、その系統を後天的に変更できるのが第3世代か」

 

個人的な所感も含めてだが、外から見る部外者であるキリトに中の世界を少しは知ってもらえただろうか。

 

「なるほどな。しっかりとどこからどこまでが第何世代とかじゃなくて、フォトンを扱う能力で決まってるのか。それだと、細かいところが説明しにくいのも納得だな」

 

一応、キリトなりに納得はしてくれてようで安心する。

視線を上げるともう間もなく出口のようだ。細い通路から出れば、少しは風も弱くなるだろう。

 




今話もお読みいただきありがとうございました。

更新遅いのに読んでくれている皆様には感謝を、初めての方には亀更新でよければお付き合いを。

今回登場の重装備プレイヤー:アイセルですが名前の元ネタは神の使いを2体まとめて相手取る人間、氷川誠です。Ice River → Icer →Icelという感じです。

書けるときに書いて投稿しますので、次回もお楽しみください。
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