リズベットとの話を切り上げて向かうのは迷宮区近くの村。
シャサールとの待ち合わせ場所に少しばかり遅れてディアたちが到着するとすでに準備万端といったフル装備の3人が出迎えた。
「ディアさん、遅い!」
「スマンな、別件が長引いた」
文句を言うシャサールの横にいるルチアとアネットの姉妹を見ると昨日と異なりどこか腹の座った顔でこちらを向いていた。
「昨日みたいなことがまた起きては困りますし、いざという時に生き残るために少しでも強い方が良いです!」
「私もルチアと同じ意見でね、自分の不幸をせめて他人に不幸にしたくないの……」
結局、昨日の事件で思うところがあったのは3人とも同じだったらしく6人パーティでのレベリングを行うことになった。装備もレベルもダンジョンに潜るのに最低限のラインは満たしているし、いざという時に逃げる算段を決めてから迷宮区でレベリングを開始する。
6層はβ時代はパズルと水がモチーフだったらしいがエルダーの影響か製品版の差異なのか氷と獣のフロアに変化していた。とはいえ気候の変化を受けていないダンジョンや迷宮区、街の中は大して変わらず、パズルの仕掛けやβ時代と似た構成のモンスターたちが闊歩している。
「スイッチ!」
「はい!」
ルチアとノエルの槍使いコンビがウォパルあたりに居そうな魚人型モンスターに連続でソードスキルを打ち込む。その隙をカバーするように短剣使いのシャサールが一気に懐まで入ると、急な距離の違いに戸惑うような動きを見せるモンスターにソードスキルを使わず通常攻撃を連続でたたき込む。やっと間合いの変化に対応して攻撃しようとしたとき、シャサールの短剣が紅い光に包まれ単発重攻撃《アーマー・ピアース》が胸元に突き立てられる。
「これでお終いっと」
すでにHPバーが0になったことを確認してシャサールがイクチオイド・スミアから離れる。
ポリゴン片に還元されたそれはすぐに霧散して無くなり、シャサールは経験値を確認する。
「もう少しでレベルが上がるな」
一応はボス部屋探索も兼ねているので未踏区域から先を狩場にしているが、メインの戦闘はルチア・シャサール・ノエル・エリスの四人が行っていた。前者二人については分からなくもないが、そこに居ないディアとアネットが何をしているかというと。
「1、6、7次は9か?」
「えっと、ココに7を動かすと」
互いに別の扉の前でブツブツとつぶやきながら手元で何かを操作しているようだった。
「解けましたー?」
「あと5マスだからすぐに解ける、ここは3か」
「こっちはもう少しかかりそうね、ナンプレならともかく、4×4の15パズルは少し手こずるわね」
「こっちも変則で4×4の16だがな、開けるぞ」
パズルの最後の1マスに数字を入れる前、そう宣言した声に反応してルチアを先頭にノエルとシャサールが戦闘態勢を取る。ディアも片手は腰の曲刀に手をかけており、いつでも抜けるようにしている。
「3,2,1」
最後のマスに数字を入れると同時、パズルが設置されていた壁面がいくつかのキューブ上に分解されて組み替えられ新たな空間へとつながった。
「モンスターは居ないみたいですね」
「ちぇー、せっかく経験値を稼げると思ったのに」
ルチアとシャサールに続いてディアも自分が開いた通路に足を踏み入れる。
先程からディアとアネットのはパズルをとき、残り四人はモンスターを倒すという役割分担が自然と出来上がっていた。
元はレベリングの効率が悪い為ディア一人が解いていたのだが、ナンプレや数独と呼ばれる類のパズルと比べてスライドパズルの類に時間がかかっていたためアネットが助っ人に入っていたのだ。
「こっちも解けるわよ」
他の面々が何もない通路を確認して戻ってきたところでアネットが扉のパズルを解いて開ける。
今度こそはと身構えていたシャサールとノエル、その後ろにディアたち3人がという陣形で扉を開けると予想外の事態が起きた。
「ぬわっ!?」
「うおいっ!?」
扉の向こうから現れたのは黒づくめの人影、一瞬新手のエネミーかNPCかと思ったがその声は聞き覚えのあるものだった。
「なんだ、キリトか」
「って、ディアか、ビックリさせるなよ」
驚かせたのは俺ではないのだがと、どこか釈然としない顔をしたディアに後から出てきた二人が声をかける。
「お久しぶりです、ディアさん」
「私は初めて会うな、二人の知り合いなのか?」
1人はディアにとっても顔なじみとなったアスナ、一言二言挨拶を交わすと他のパーティメンバー、特に初めて会うルチアたちと自己紹介も兼ねて喋りだす。
もう一人はディアにとっても初めて会う女性で、外見上の特徴は浅黒い肌に尖った耳。それを見ても特に気にすることなくディアは話しかける。
「ディアだ、よろしく頼む。キリトとアスナとは迷宮区のボス戦でよく同じパーティを組ませてもらっている。それにしても、その耳は……」
ニューマンなのか? と言いかけたがここはSAO、そんなはずはない。
「あぁ、やはり人族には珍しいようだな。私はギズメル、黒エルフ族の剣士だ、故あってキリト達と天の柱に来ている」
「そうか」
エルフ、というのはエリスに訊いたことがある。地球のヨーロッパと呼ばれる地域ではポピュラーな存在で森や自然の中に生き、独自の魔法や武術に精通している架空の人型種族。アークスで言うところのニューマンによく似た特徴だとは聞いていたが、本当によく似ている。
「にしても、ちょうどいいタイミングで会えたよ」
一通り挨拶を済ませたキリトがディアに声をかける。話によるとある部屋のギミックを解く必要があるが、それには3人で足りずに一度街に戻ってディアたちに声をかけようとしていたらしい。
「それで、そんなに人手が必要なギミックって何なんですか? 実力的に十分なお二人に強力なNPCでも足りないとなると、相当強力な……」
「強力と言えば強力なんだけど、実際に見てもらった方が早いか。ちょっと付いて来てくれるか?」
物は試しという事もあるし、キリト達がPKを仕掛けてくるのは人数差的にもあり得ないのでギミック部屋へと3と6、合わせて9人のレイドとなって付いて行く。この部屋だと言って指し示された部屋をのぞいてみると、急な斜面を下るように螺旋状の坂があるフロアだ。
光量は十分なので底の方まで見渡せるが、斜面に沿って視界を下の方に向けると……
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フロアの底面にうごめく大量のスライム。
レベルは相当低いようだがあの数に襲われたら堪ったものではないな。そう思いながら、静かに離れる。
「どうする」
「いや、俺が訊きたいぐらいなんだけど」
「9人で行ったとしても、あの数では押しつぶされるのがオチだな。何かいい手は思いつかないか?」
黒エルフの女騎士、ギズメルの問いかけに良い答えは出せそうにない。
現実ならユリウス・ニフタやゾンディールで吸ってから一網打尽にするなり、ペネレイトアロウやギ・ゾンデで離れたところから複数を一気に仕留めるなり、範囲系PA全般で寄ってきたそばから潰すなり対処の仕様はある。それが無い以上、何か別の方法があるはずだ。この数のスライムを相手にするのはさすがにレベルやプレイヤースキルでどうにかするのは困難で、何かギミックを解くには、と考えてディアに一つの考えが思い浮かんだ。
「いっそ、纏めて固めてしまえればいいのだが」
ウォパルの海底エリアに時たま発生するETの中にいるポマッグ、あれは個々の個体が一塊になって起爆するという良く分からない生き物だが、それのように一塊にして一掃できないだろうか。
「そういえば聞いたことがある。群れで行動するスライムたちはあまりにも敵が強く逃げられない場合には集まって巨大な姿となることで相手を威嚇し、それと同時に集まった場合は核が一つになるらしい」
思わぬ形でフラグを踏んだのか、ギズメルからそんな言葉が出てきた。
まぁ、9人いれば最悪POTローテ組みながら戦えば行けるだろうという判断もあって下に降りようと坂に足をかけた瞬間、想定外の勢いで滑り始め9人が一気に底まで滑り落ちる。
「ちょっ、早い!」
「やっぱり、私がいると不幸が・・・」
「姉さん、普段以上にそんなこと言ってる場合じゃないって!」
とりあえず、底に着いたタイミングで範囲型のソードスキルを出せるように構えておく。そしてスライムたちよ、素材を目の前にしたアークスの貪欲さを刻み込んでやろう。
「核液寄越せコラァー!」
初撃のソードスキルでまとめて数体のスライムを薙ぎ払うが、核には当たらなかったのか大してHPが減らずに逃げていく。そして、中央付近の一体に寄り集まると徐々に結合し巨大な一塊のスライムが現れた。
《Bonding slime》
巨大なスライムを目の前に全員が身構える中、真っ先に飛び込んで行ったのはディアだった。
「核液寄越せ!」
もはや完全に獲物を狙う捕食者状態になったディアの攻撃でスライムは何度も切り裂かれていく。攻撃をしようと触手状に変形させた体の一部はディアに届く前、曲刀の間合いに入った時点で切り捨てられるか投擲スキルで砕かれるかのどちらかだった。
当然ヘイトのほとんどはディアに吸われてタゲを持つことになるが、キリトを筆頭にした4人の攻略組にギズメル、さらにシャサールたち3人がソードスキルや強攻撃で巨大スライムのHPを削っていく。
「キリト君、スイッチ!」
「任せろ!」
アスナが細剣の2連撃《ダイアゴナル・スティング》でスライムが伸ばして来た触手をまとめて薙ぎ払い、そこにキリトが《バーチカル・アーク》を本体目掛けて放つ。そこにギズメルも攻撃を重ねてダメージを稼いでいく。
エリスとノエルもディアが薙ぎ払った攻撃の隙をついていくつもの強攻撃を放ち、ヘイトを持っている関係で攻撃を捌くディアの分もHPを削っていた。当然、シャサールたち3人も見てるわけではなく、攻撃に参加する。
「そこだ!」
スライムの特性上、核以外の部位は大きなダメージ軽減がかかるが、それでも数とステータスの暴力でどんどんHPが削られていく。ついでに、集合体になったとはいえ所詮は低レベルのスライム。自分よりもでかい相手に獰猛なまでの勢いで向かってくるものはいないという設定なのか、殆どダメージらしいものも与えられずに粘液を削られて露出した核をディアに砕かれたことによって周りの破片ごとポリゴンと化して消滅した。
「ふぅ、どうにかなったな」
「本当ね、人数が居ればそんなに苦戦しないタイプでよかったわ」
一安心といった感じでのんびりしている中、シャサール達3人は自分たちのレベルが上がったことを余所にして圧倒されたようにディアたちを眺めていた。
「皆さん、凄い気迫でしたね」
「特にディアさんは迫力が凄かったよな」
「あんなに強い人に会ってしまうなんて、不幸だわ」
そんな3人とそれを普段はあんなではないとフォローするノエルとエリスを横目に、ディアはログ画面とアイテムストレージをスクロールさせて何かを確認していた。
「・・・ギリギリ足りるな」
「どうしたの?」
「いや、ドロップ判定が単体扱いなのか複数扱いなのかと思ってログを見ていたんだ」
いつの間にか近くに来たノエルの問いにディアが答え、今朝のことを思い出す。
「そっか、スライムの素材が必要だったんだっけ」
「単体扱いならしばらくスライムを狩ろうかと思っていたが、集合体だからかアイテムもかなりの数がドロップしている。経験値やコルもトータルはそれなりだろう」
とりあえず、キリト達の用件も済んだので軽く挨拶をして別れる。ついでに一つ、ギズメルにディアが質問をしていく。
「ギズメル、仮面の男について何か言い伝えのようなものはエルフ族には伝わっていないのか?」
ディが一番欲しい【仮面】関係の情報、プレイヤー間の情報が最も集まる人物の一人であるアルゴから情報を得られない以上、NPCでも何でも手がかりを求めるしかない。
「仮面の男か……、たしか大地切断直後の混乱期に関わるものでそんな言い伝えがあった気がするが、詳しくは憶えていないな。ここより上の砦ならば小さな書庫も備えているから調べることができるかもしれない」
「そうか、いきなり変な質問をしてすまなかったな。感謝する」
ひとまず、手がかりにつながるものは得られたので良しとする。ダンジョン外に向かうキリトたちを見送ってシャサール達のレベリングを再開、ダンジョンを奥に奥に進んでいくと道中のモンスターや壁面の装飾が少しずつ変わってきた。
「もしかすると、もしかするかもしれませんね」
マップを見ながら何か思案していたエリスが呟く。
いまレベリングをしているのは未踏破だった区画、そしてこの迷宮区でまだ見つかっていないのは……。
「皆さん、ボスフロアが近いかもしれません。モンスターやトラップに警戒しながら進んでください」
「ついでに様子見、というのは無理そうか」
さほど気になるほどではないが、シャサールたちの動きが悪くなっている。ディアはまだまだ問題ないが武器の耐久値や回復アイテムを考えるとボス部屋の位置を確認するのが限界だろう。
「それじゃあ、もう少しだけ頑張ろ?」
「おう! ボス部屋まで行ったらまっすぐ帰るけどな!」
そうして歩くこと数分、数体の手強いモンスターの相手をしたがある程度ポーションに余裕を持って巨大な扉の前に到達した。
「ここがボス部屋か」
「はい、この扉の向こうにフロアボスが居ます」
閉じた状態を初めて見るであろうシャサールたち三人は硬い表情を隠せず、少しばかり身構えている。
「心配するな、扉を開けて中に入らない限りは襲ってこない。勝手にボスフロアを抜けて動かれては迷宮区の探索すらままならいからな」
苦笑いのような表情を浮かべたディアの言葉に、少しゾッとしてしまう。これから先もフロアボスがボス部屋にいるとは限らない、というよりもボス部屋が迷宮区の1フロアだけではないという可能性に気が付いた。
「今後も、そうだといいんですけどね」
「そうね、そのうちフロアボスが迷宮区の1階層を丸ごとボス部屋にして歩きだしてなんて、不幸過ぎるわ」
ルチアの心底願うような言葉に、不幸が口癖のようになっているアネットもさすがにそれは勘弁願いたいのか首を横に振りながら応える。
「それじゃあ、少しだけ休憩して帰りましょうか。ディアさん、帰りの先頭お願いします」
「分かった、シャサールたちは俺の後ろに居るといい」
「それなら私とエリスが後ろだね」
少しの休憩の後、エリスのナビゲートで最短距離を進み、道中のモンスターは尽くディアが削ってシャサールたち3人が順番で止めを刺しながらダンジョンを出ると、外から差し込む光で長い影ができていた。
「ようやく出口か」
「うーん、流石に半日も狭い迷宮区にいると疲れますね」
「普段のフィールドレベリングと大分感覚が違うよね」
迷宮区の方が高レベルのモンスターが出るためソロでは美味しいのだが、パーティで分割される関係上数が多く出るフィールドの方がパーティにとっては狩場として向いている。その上ナビゲーターのエリスと詳細不明のクエストを受注しているディアの情報収集で人の少ない場所を優先して回っているので、用が無ければディアたちのパーティはフィールドを転々としながらレベリングする。
「今日でレベルも2つ上げられたし、攻略組の戦いも間近で見られたし、一石二鳥ってやつだな」
「もう、シャサったらダンジョンを出た途端に元気を出しちゃって」
じゃれ合うシャサールとルチアを見つめるアネット、それを眺めていたディアが急に声を荒げる。
「誰だっ!」
そう言うなりいきなり走り出しながらエリスとノエルに指示を出す。
「エリス、ノエル、3人を連れてダンジョン入り口で待ってろ!」
「「は、はい!」」
例外はあるが、ダンジョンの入り口とボス部屋前はモンスターが侵入できない安全エリアに設定されている。前者はボス戦前の用意のため、後者はフィールド内外のモンスターが混ざらないためで当然一切のダメージも生じない。そこに居ろと言ったことは……。
「何か嫌な予感がしますね」
その声に圧倒されて入り口まで戻ったエリスが茂みの中に消えていくディアを見送った。
茂みの向こう、そこから一瞬殺意のような嫌な感覚がした。明確にこちらを狙う、妙にチクチクとする感覚だ。茂みをっ回分ける音と勘を頼りに追いかけていくが、不意にその音が消えた。
「クソ、逃げられたか」
《索敵》にも周囲の気配にも引っかかるものは無し、転移結晶で逃げたかインスタントマップに逃げ込んだか、何にせよ後を追う手掛かりになりそうなものもない。
「昨日のことといい、嫌な感じだ」
吐き捨てるようにそう言うと、踵を返してダンジョン入り口まで戻る。
ドーモ皆さん作者です
最近14拾いました、ガンスラでした。
更新が遅いのにお待ちいただきありがとうございます。
今回のプルプル、前から一度やってみたかったのでやってみました。
スライムがプルプルしてるところを想像してください。