PSO2×SAO VR世界に入り込んだ守護輝士   作:のーん

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ドーモ作者です、細々と書いていたのが上がりましたので投稿させていただきます。


第22話 欠片

第10層《ズィーレバン》の森でエヴェイユとベティの2人を鍛えていたノエルだが、先ほどから何度かメニューを開いては何事も無いようにふるまっている。

最初はエヴェイユとベティも特に気にしていなかったが、何度もそんなことをしているとさすがに気になってきた。

「あの、エリスさん? 先程から何度もメニューを確認して、どうなさったんですか?」

「いえ! なんでもありません。ちょーっと気になることがあるだけで」

そう言ってメニューを確認したエリスは先程までより少しだけ穏やかな表情をしている。

「それより、一度街に戻って休憩しませんか? 結構な時間狩りをしていますし、時間も時間ですし」

言われてみればもう4時近い。さすがに日も落ち始めているし、一応戦えるとはいえ日が暮れてからエヴェイユとベティの二人を連れてフィールドを移動するのは得策ではない。

「そうですわね。今日は結構な時間をフィールドで過ごしましたし、早めに街に戻るとしましょう」

「美味しいお菓子でも食べてぇ、ゆっくりしたいねぇ」

街に戻ろうと3人は歩みを進めるが、ベティは忘れていなかった。

「それで、なんでメニューを確認なさっていたのですか?」

「……やっぱり気になりますか?」

悪戯っぽい笑みを浮かべ、ベティはエリスの回答を待ち構えている。

やれやれと、観念したようにエリスも訳を話す。もとより隠す理由も今となっては無くなったわけだし、そのことについて問題は1つもない。

「ノエルとディアさん、二人の所在が分からなくなっていたんですよ。私達と別れた後にインスタントマップに入ったせいだと思うんですけれど、無事か心配でちょくちょく確認していました」

少し恥ずかしげにエリスが白状する。

それも先程の確認で主街区内に移動したことが分かったため、二人にも一度戻ろうと提案したのだ。

「それなら私達のことを放っておいて、ディアさんたちの所に行っても良かったんですよ?」

「うん。エリスお姉ちゃん、スゴク心配してたんでしょ」

「助けに行ければそうしたかったんですが、お二人を放っておく訳にも行きませんし、インスタントマップだと私がソコに行く方法を見つけても、同じマップに入るとは限りませんから」

そうかと、二人共納得したような顔をする。

クエスト中のインスタントマップなら先ずはクエスト中の条件を達成しないとならないし、同じクエストでも別のプレイヤーが受けているなら違うマップが用意される可能性もある。それなら、下手の動かないのも一つの策だ。

「……私達が居なければ、エリスさんにこんな心配をさせずに済んだかもしれませんわね」

「ベティちゃん……」

余計なこと、というより前線に出てきたことを悔やんでいるようだが、当然エリスはそれを否定する。

「そんな事はありませんよ。お二人について来たのはそれこそ私の勝手ですし、気にしないで下さい。それに、お二人のような強いプレイヤーが攻略組に興味を持ってもらえたらなんて下心も私にはありましたから、お互い様です」

そう言って笑うエリスに納得したのか、ベティとエヴェイユも軽い笑みを浮かべていた。

「それなら、早くノエルお姉ちゃんとディアお兄ちゃんにごーりゅーしよう」

「そうですね、主街区まで競争ですよ。ヨーイ」

「ドン!」

駆け出した二人にあっけにとられたベティもそれを追いかける。

「チョット、エリスさん、ベティさん、反則ですわよー!」

「ベティちゃんおそーい」

 

一方、ディアとノエルの2人は上へと上がる祭壇の上でポーションを飲んで回復しながらグッタリとしていた。イベント中は戦闘後のテンションで追いやっていた疲労感が、安堵感と共に押し寄せてきたのだ。

「ノエル、さっきはすまなかった」

「ううん、生きてるから大丈夫。怖かったけど生きてるし、ディアが一生懸命だったから私も少しでも逃げなきゃって思えたし」

「ならいいが、それにしても危なかったな」

「本当だよ……」

数分もしないうちに祭壇が頂点まで達すると、そこには一人の女性NPCが待ち構えていた。

彼女のどこか高貴な佇まいや服装から察するに、主街区中央にあった城でかなりの地位にいる人物か、あるいは主に類するものだろうという事は察しが付く。

「騎士様に選ばれた旅の剣士様、そしてその同行者様、よくぞ此処へ参られました。私はこの城の主テンイと申します」

「これは、見苦しいところを見せてしまった。ディアという者だ」

「ど、どうもすみませんでした! あの、私ノエルと申します」

神や全知存在、未来であり過去である自分など目上や超常の存在と知り合いのディアは敬意や礼儀という面で姿勢を正す程度だが、NPCとはいえ女王に初めて対面したノエルはガチガチに緊張していた。

「そのように緊張されなくて結構です、私の役目は巫女様、初代より託された物をディア様にお渡しすることだけですから。私について来てください」

そう言って歩き出した女王に二人も付いて行く。通路の両側には水が張ってあり、時折魚が撥ねていた。その端まで辿り着くと一見行き止まりのようだが、女王が手をかざすと複雑な術式陣が展開されてそこが通れるようになり、広大な部屋の中央に何かの殻のようにも見える物が付いた棒状の欠片が安置されていた。

「どうぞ」

「あぁ」

勧められるままに進み、クラリッサの先端を掴むと一瞬【仮面】の姿とともに何かが衝突するようなヴィジョンが視えた。それが何を意味しているのか分からぬままではあるが、とりあえずディアの目的の第一段階、クラリッサの破片回収は終了した。

「これは私の願いです、独り言だと思ってください」

ノエルに向かって頷き、ようやく一区切りとなったことを伝えると唐突に女王がそんなことを言い出した。

「初代様の御遺志はその神器に宿っています。もしそれ果たせるのであれば、願わせてください。神器に触れるたびに伝わってくる御遺志はとても悲しいものでしたから」

まぁ、それはそうだろうとディアは思う。

自身もマトイが全てのダーカー因子を引き受けて【深遠なる闇】と化したときに感じ、【仮面】がその命を断った時に感じたものと同質のものだ。

何よりも大切な相手を自身と相手にために滅せねばならぬ絶望と悲哀、それに触れた女王の気持ちも分かる。

「それでは失礼するとしよう」

「うん、独り言なら聞いてちゃまずいもんね」

此方に背を向けた女王が軽く手を振ると、それが何らかの術式を発動させたのか一瞬視界が光に包まれると城門付近まで転移していた。この世界の設定では魔法は失伝したと聞いているが、制限付きとはいえ女王は魔法のような技術も使えるのだろうか。

「ディア、巫女さんの心残りを果たさないとね」

「その前に、これを修復する方法を見つけるのが先だ。よほど腕のいい鍛冶師、少なくともこれと同等のものを作れるのを探さなければ」

オラクルではジグに修復してもらったクラリッサだが、この世界で鍛冶屋の伝手は生憎一人しかいない。

「リズさんに訊いてみよっか」

「だな、もしかするとこのクエストのように一般のクエストの中に紛れている可能性もある」

 

とりあえず一度エリスに連絡を入れた方が良いかな。勝手に、でもないけど主街区まで戻ってきちゃったし、イベント中は場所も分からず不安にだったろうし。

エリスに主街区のお城近くにいるよー、とメッセを送ろうとしたら何処からともなく本人の声が聞こえてきた。

「ノエル、ディアさん、大丈夫ですよね!? お二人ともいつも、いーっつも心配させて、またですか!」

そう叫びながらこっちにやってきて私とディアの腕を掴むと、そのままぎゅっと握りしめる。

「スマンな」

「ごめんなさい」

うん、悪いのは私たちだし、エリスが言うにはメッセを送ったけど返事が来なかったみたいだし、仕方ないよね。

「まぁまぁ、エリスさんも落ち着いてください。お二人から離れたのは貴方ですし、心配したのは分かりますけれどその位に」

「いえ、今回ばかりはハッキリ言わせてもらいます。今度から危険な時には私も巻き込んでください、お二人の心配をするのはこれっきりにします」

今回の件はさすがにお冠だね、後ろに鬼が見えるよ。ベティちゃんの言葉を一刀両断したエリスの気迫にはディアもさすがに反論するのは諦めたみたいで、仕方ないと言いたげな雰囲気で分かったと言っていた。

 

 

幕間

とりあえず、今日心配させた分としてベティとエヴェイユを含めた全員分の夕食代をディアとノエルが折半することで今回の件は水に流してもらい事情を説明する。

二人は断ろうとしたのだが。

「どうせなら食べていけ、3人払うも5人払うも同じようなものだ。それに、今日はうちのナビゲーターに付き合わされたのだろう? その礼だ」

というディアの言葉で半ば強引にレストランに連れ込まれていた。

「大皿の料理を2、3頼む、それと取り皿を人数分。金額はこのくらいだと助かる」

「はい、他にご注文はありませんか?」

ウェイターのNPCに頼むとに普通の人間と変わらずに応えてくれる。SAOのAIはこういったファジィな注文も金額を明確にすれば、それなりに応えることができる。普通のシステムだと注文を決めなければいけないが、そういったところは他のシステムへの応用が利くためか結構出来が良い。

「あ、私はハンバーグ」

「私も食べるぅ」

どうせ自分が払うのだからとノエルも注文し、エヴェイユがそれに便乗する。

「それなら、私はクリームパスタを」

「私はフィッシュアンドチップスですね、ディアさんは?」

「ポトフを頼む、それと食後にコーヒーを2つに紅茶を3つでいいか?」

ディアとエリスはコーヒー派、ノエルは紅茶派、ベティとエヴェイユは年齢的に紅茶の方が良いかと人数分注文すると特に異論はないらしく、ウェイターに注文は以上だと伝えて食事が来るのを待つことにする。

「二人共、もっと高いものを頼んでもよかったんだぞ? どうせ他人の金だ、下手に遠慮するな」

「それはディアの金銭感覚のがおかしいと思うよ。普段は全然お金使いたがらにくせに、この前のギルドホームとかそこの家具一式みたいなのはポンッって買っちゃうんだもん」

まぁ、あれは確かに中々の買い物だったな。ギルドホームは全員で出したとはいえ、ギルドの財布に放り込んだコルの半分近くは元々俺のモノだったし、家具はほぼ自腹だ。

普段金を使うのが武器メンテとその多消耗品に最低限の食費、収入は見敵必殺プレイのおかげでそれなりにあるので気が付いたら結構な額が懐にあり、どうせならと使ってしまったのだ。

「金はあって困らないが、使う時は思い切り使った方が良いぞ」

「いや、ディアは使う時の思い切りが良すぎるから」

そんな二人の会話を見ながら、3人が苦笑していると大皿料理が2つ運ばれてきた。

「チキンサラダとサルディフィッシュのアクアパッツァです、他のお料理もすぐにお持ちしますね」

 

 




少し短めな22話、お楽しみいただけましたか?

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