最近ハンターが忙しくてアークスやれてない作者です。
ようやくの戦闘シーン、あっさりでよければお楽しみを。
風呂付宿屋でしっかりと身体も精神も休むことができた翌日、装備の耐久値や回復アイテム・攻略本にまとめられている大まかな情報を再確認してから、キリトとアスナと共に宿屋を出る。
「一応の確認だが、俺たちの役割は周囲の取り巻きの排除と下がってきた前衛が回復するまでのガード、指示があればボスとの戦闘だったな?」
「その認識で間違ってない。俺たち三人ともが軽量防具の盾無し剣士だからあちこちから湧いてくる取り巻きを排除するにはもってこいだし、人数の少なさで脚も軽いからな」
「それじゃあ、どっちかとサポートよりなんだね」
その後もキリトからゲームでの役割、壁役であるタンクや攻撃役であるダメージディーラー、サポート役のバッファー、回復役のヒーラー等の説明を受けていく。
「つまり、最初から役割を明確しておいて各々が専念するというわけか」
「ほかのゲームだと兼任したりするのもあるみたいだけど、SAOはスキル制だからどれか一点を伸ばしていった方がいいな。できるだけ早めに方針を決めておかないと、ポイントの振り方でも悩むし」
アークスだと年に一回はスキル全体の見直しとそれに伴うスキルリセットパスの配布でスキルを振りなおす連中も多いが、SAOではそうもいかないらしい。
「キリト君、あとでいろいろ教えてもらってもいいかな?」
「あぁ、このボス戦が無事に終わったら、だけどな」
「うん!」
そうして喋りながら歩くうちに広場に到着し、前日の攻略会議から一人も減らずに攻略が行えることにディアベルが感謝して、ダンジョン内のボス部屋に進むことになった。
「長い、ワープとかポータルとか転送装置はないのか」
小一時間広場からダンジョンの入り口まで歩き、さらにそこからモンスターたちを相手にしながらボス部屋まで30分、いくらなんでも長すぎるのではないか?
「ディアの言うことももっともだけど、俺がベータで行ったときもその類は無かったからな。たぶん、ダンジョンはこれからも徒歩移動だろうな」
「ボス戦の前に少し休憩しないとダメだね、みんなも疲れているみたいだし。」
アスナの言う通り、ボス攻略に参加したメンバーのほとんどはボス部屋前の安全地帯で腰を落として一段落ついていた。
肉体的な疲労はなくとも、散発的な戦闘を経ながら1時間半の移動をするのはさすがに疲労が大きい。俺もアークスとしてその程度の任務は経験しているが、それも特定の戦闘区域の中だけでありこのように長距離移動を兼ねた戦闘というのは不慣れだ。
「とは言っても、ここまで来た勢いというのもあるから、あまり長く休み過ぎないようにした方がいい。少し、ディアベルと話してくる。」
「そうだな、俺も付き合うよ」
ディアベルのところにキリトと一緒に行くと、ちょうど近くにいた昨日の男、キバオウがその近くにいた。
「確かキバオウだったな、昨日はこちらも不躾な言い方をしてすまなかった。それとディアベル、少し話をしたいんだがいいか?」
「構わないよ」
毒気の抜けたような、驚いた顔をしたキバオウを横目に話を続ける。
「あまり休憩するとここまで来た勢いや気持ちが落ちるかもしれん。実際にボス戦を始める時間を早めに決めたい」
「俺もディアと同じ意見だ。今から一度アイテムのストレージからポーチへの入れ替えや確認を考えると、5分後でどうだ?」
俺とキリトの言葉に少し考え込むような仕草をして、ディアベルが答える。
「分かった、みんなにもそう伝えてくれ」
「いや、お前が言った方がいいだろう。今回のリーダーはお前だし、そのリーダーから伝えた方が全体の統率が取れる」
「そ、そうか。昨日もそうだけど、君は結構物言いがストレートだよな」
「昔から、話して伝わることは直接的に言う主義でな。悪意はないから気にするな」
誤解を招きやすいことは承知だが、変に伝わらずにいるよりは多少悪感情を持たれても、はっきりと物は言った方がいい。
「それは分かっているよ、そうでなければキバオウ君に謝るなんてできないからね。」
「そうか、ではついでにもう一つ。戦場ではイレギュラーがレギュラーだ、相手の動きが変わった時はそれが予想内でもいったん引いて様子を見た方がいい。特に第一層のボスならば、ほぼ確実にベータからの変更点が盛り込まれているはず。仮にこれがデスゲームでなくとも、一度クリアされたものをそのまま製品版に入れてくるとは考えづらい」
どんなものでもそうだが、一度攻略されてしまえばその後はその時の方法を洗練させて無駄を省いていけばより単純で効率的に進めることができる。今回は一度きりの階層ボスだが仮にもベータで攻略されたエネミー、そのままではベーター中心のレイドで容易に攻略されることは目に見えている。
「開戦と武器の持ち替え時には、多少でも様子を見た方がいいのではないか?」
「そうだな、攻略を急ぐあまりに基本的なことを見逃していたかもしれない。ほかのオンラインゲームでも調整目的でテスト時と挙動が変わることはあるし、これまでにゲーム内で手に入れた情報以外は参考程度にとどめておいた方がいいな」
少なくとも何かしらの変更点があるという前提のもと、ボスのHPが半減した時点で全員に後退の指示を出すことでディアベルが結論を出し、それを全員に伝える。
ここにいるのはそれなりのレベルのプレイヤーだが、俺のように命がけの戦いを潜り抜けてきているわけではない。功名心や慢心で前にいるプレイヤーが出た際にはそれをどうにかすることも考えながらキリトと共にアスナの元に戻ると、エリスとノエル、加えて二人と同じパーティのプレイヤー二人が話し込んでいた。
取り巻き担当の交代について事前にディアさんたちのパーティと打ち合わせをしておこうと思ったのですが、あいにくディアベルさんと話したいことがあるそうで不在。仕方がないので、その場にいたアスナさんに伝言のような形で話し終えると、ちょうど彼がキリトさんと共に戻ってきました。
「ディアさん、お話は終わりですか?」
「エリスとノエルか、少しばかり打ち合わせておきたいことがあってな」
「なるほど」
確かにリアルでは軍人のようなものであるディアさんの視点から気になる点が出てもおかしくないし、その点を指摘していたのだろう。
「それで、エリスの要件は何だ? もう少しでボス戦を開始する時間のようだが」
「っと、そうでした。私たちのパーティは取り巻きの排除が役割ですが、その分担について決めておきたいんです」
「ならば……」
先程アスナさんに話したこと、交代のタイミングやボス組へのサポート、その際のボスへの対処などをそのままお二人に伝える。
「分かった、基本的にはそのままで行くが何かあれば外れて動く。その時はフォローを頼む」
「いえ、こちらも何もないとは言い切れませんからあくまでも目安程度で構いません。むしろ、ディアさんの場合はある程度自由に動いてもらった方が戦力として期待できますし、アスナさんとキリトさんではどうにもならないときは私とノエルにも指示を飛ばしてください。手が空き次第手伝いますから」
「そうならないことを祈っているがな」
「では、お互いにベストを尽くしましょう」
改めてアスナさんとキリトさんに向き合ってお願いする。
「このボス戦の間かもしれませんが、ディアさんのことをよろしくお願いします」
「うん」
「おう」
やれやれと言いたげに苦笑するディアさんは、私のお節介を嫌っているわけではなさそうだった。
「このボス戦が終わったらまた俺のナビを頼む、ナビゲーター」
「お任せください、不肖エリス、しっかりと務めさせていただきます」
ディアベルさんのボス戦開始を告げる号令をきっかけに別れようとすると、ディアさんが一言。
「安心しろ、少なくともお前とノエルの二人だけは殺させない。生きて現実に返すと約束している」
これから死闘に赴くにもかかわらず、普段と変わらずに話しかけてくる彼の表情は落ち着いていて、その言葉を信じるには充分です。
「はい!」
ディアベルを先頭に立つボス攻略集団、その目の前のフロアボスの入り口は如何にもといった雰囲気の青銅らしき巨大な扉。開けるのに力がいるのかと思ったが、ディアベルが触れると内側に開き俺たちを中に招き入れた。
「暗いな」
「油断するな、明かりが点いたら開戦だ」
キリトがそう言うと壁面のトーチに青い炎が灯り、部屋全体を照らす。その最奥にいたのは肥満体の赤く巨大なコボルト、視線を上の方に上げると4段のHPバーとボス名【Gill Fang The Cobalt Load】が表示される。
その体系と右手に片手斧、左手に盾の容姿からあるエネミーが想起される。
「なるほどな、小柄で太ったナイトギアといったところか」
赤い巨体を揺らして迫ってくるコボルト、イルフォング・ザ・コボルトロードを眺めての感想はソレ。騎士鎧のようなナイトギアに対して粗暴な風貌だが、身長はやや小さい程度で手持ちの巨大な武器と素早い動きというのは共通している。体系は逆三角と三角で真逆だが。
「全軍、突撃!」
ディアベルの声に従い、攻略参加者はそれぞれ担当する場所に向かっていく。
「ディア、アスナ、俺たちは取り巻きの除去だ。片づけたら消耗している奴との交代、HP少ない奴とはすぐ変われよ」
「分かったわ」
「任せろ」
キリトとアスナと共に取り巻きのラーカー・コボルトに向かっていく。
「ウォー・クライ、というわけじゃないがな」
ヘイト取りのために足元の石畳に思いきり曲刀《ヴィタシミター》を打ち付け、大きな音を鳴らす。すでに何人かが取り付いているイルフォングは見向きもしないが、取り巻き3体すべてがディアたちに向かってくる。
「一対一で片づける、俺は奥のをやるから二人は手前のを頼む」
「無理はするなよ」
思い切り踏み込んで最初2体の脇を通り過ぎ、後方のコボルトに袈裟と逆袈裟を交互に、サクラエンドのような動きで打ち込んでヘイトを取る。
背後の2体はキリトとアスナが相手を始め、幾合か打ち合う音がする。
「クォーッ!」
「テッセン、と」
雄たけびと共に振るわれるメイスの一撃に対してカウンター気味の居合を懐に潜り込むようにして撃ち込み、その勢いを殺すことなく後方へと回り込む。目の前から急に標的が消え、がら空きの胴体に抜刀の一撃を喰らったラーカー・コボルトが怯み状態に陥る。
その隙を逃さず再び居合、今度は十分な腰の捻りと腕の振り抜きを備えた強撃、曲刀の形状では鯉口を切ることができないので不十分な再現だが、PA:グレンテッセンを模した一撃でラーカーのHPを3割ほど削る。
「フンッ!」
そのまま踏み込みながらの斬り上げ・斬り下ろし一発ずつの二連撃ソードスキル《ツインクレセント》、すぐにスキル硬直が入るが、その硬直を利用して身体を可能な限り捩じる。
「もう、一撃!」
ひるみ状態から復帰したラーカーが振りかぶると同時、スキル硬直から解放されたディアは体の捩じりが解かれるに任せて、ラーカーを思いきり斬りあげる。
「セイッ!」
僅かに残ったHPから弱攻撃で十分仕留められると判断、そのまま曲刀を振り下ろしてラーカーをポリゴン片に還元する。
「ふぅ、一撃が軽いな」
腰に吊った鞘にヴィタシミターを収めるとポーションをオブジェクト化し、後退してきたアタッカー連中に渡す用意をする。
「こっちも、片付いたぞ」
「大振りだからカウンターが取りやすいわね」
アスナとキリトも取り巻きを仕留めたらしく、同じようにポーションを用意していた。
「多分、次の連中が来るまで間があるはずだ。その間、こっちもカバー入るぞ」
キリトが何人かのHPが減ったプレイヤーを指さしながら話す。
「分かったわ」
「任せろ」
イルフォング近くでHPが一番低いプレイヤーとイルフォングの間に入り、ポーションを投げ渡しながら後ろに下がるように告げる。
「すまない、思ったよりも動きが素早いから気を付けろよ」
「そっちもHP管理には気を付けろ。それと取り巻きが出たら言ってくれ、手の空いてる奴を行かせる」
「ヤバくなったら呼ぶさ。一対一なら、取り巻きに負けるつもりはないしな」
後ろに行くことを確認してから、イルフォングの懐に潜り込む。
「やれやれ、本来ならカタコンやテッセンで動き回りたいところだが、そうもいかないからな」
何度か斬り付けると間合いを取り、技のすきを狙い再び近づく。
キリトやアスナ、ほかのプレイヤーたちも同じように安全策を取り確実に狙っていくが、時たま深追いし過ぎてオレンジゲージに近づくHPになる連中もおり、そこには遊撃手となる俺たち三人が代わる代わる入ることで戦線復帰まで受け持つ。連携はそれほどでもないが、個々のプレイヤースキルが高いためか安定して代わりを務め、取り巻きが増え始めれば再びそちらに向かうということを繰り返していた。
「お前たち二人、結構息があっているな」
「そうか?」「そうかしら?」
取り巻きやイルフォングの攻撃で無傷とはいかず、ポーションでの回復を待つ間にキリトたちと雑談を交わす。息が詰まるほどではないが、ここまで気を張り過ぎている感もあり、少しずつ動きが悪くなっている二人の気を紛らわすためだが、本音でもある。
生来の呼吸が合うのか、即興コンビにもかかわらずお互いにうまくカバーや連携ができている。
「無理せずに呼吸が合うのはいいことだ、自分のやりたいことをやってるだけでお互いの隙が埋まる」
もちろん、それでも生じる隙は俺がカバーするが、と付け加えて再び取り巻き退治に向かう。
「しかし、一撃が軽い……」
普段使っていた武器、エギルオービットはブレイバー専用武器カタナの中でも最上位に位置するレアリティ13。対して今持つシミターは下から数えた方が速いランク2。
普段使いの武器との相違点は納得するしかないが、いきなりそこまで武器の威力に差が出れば違和感というレベルでは済まない感覚の違いがある。
「慣れるしか、無いな」
今度は一体、攻撃をギリギリで躱してからガラ空きの胴体を横薙ぎ、逆手に持ち替えて逆袈裟、再び順手に持ち替えて追撃をしようとしたタイミングで相手が態勢を整えたので一度ステップで間合いを離して回避。残りのHPから見て一撃で決められると判断してリーパーを発動させて直撃させる。
「ちっ、足りないか」
ほんの数ドットHPを残したラーカーが怯んでいる間にスキル硬直から回復、蹴りを入れて仕留める。
「微妙なところが見極められんか、まったく」
愚痴りながらも戦闘を進め、10分が経過する頃にようやくイルファングのHPバーがラスト一段に突入。事前情報によると武器の持ち替えのタイミングだが……。
「曲刀に持ち替えるかどうか」
見極めようと後退や防御をする大多数のプレイヤー、しかし、ただ一人だけがイルフォングに向かって行く。
「ディアベル!?」
そして、抜き放とうとする構えを見て気づいた俺とタイミングを同じくしてキリトが叫ぶ。
「タルワールじゃない!」
「抜刀攻撃が来るぞ!」
ディアベルに攻撃が来る警告をすると同時、足を止めたディアベルに向かって全力で走り出す。
イルフォングが武器を持ち構えるタイミングで持ち出したのは曲刀に見えたが、その先端は曲がることなく直線。そして、鞘も革製ではなく硬質な木か何かでできているように見える。
「タルワールじゃない!」
「抜刀攻撃が来るぞ!」
イルファングが抜いたのは《刀》の《野太刀》、ベータ版じゃ10層で出てきたエネミーが使っていた武器だ。
隣のディアが駆け出すのに気付いて、俺も何かをしなければとその後に続いた。
理由は分からないが、妙な胸騒ぎがした。
「ちぃっ!」
イルフォングは広範囲を薙ぎ払うために刃をほぼ水平にして構えている。
「総員後退! タンクは下がれないのを庇え!」
叫びながら全力でディアベルめがけて駆け寄り、抜刀より僅かに遅れて首根っこを掴んで後ろに引き倒すと同時に左手でアルバシミターを逆抜きにしてイルフォングの斬撃を反らし、それに合わせてバックステップすることでうまく吹き飛ばされる。
「土産だ!」
「ぐぁっ!」
ついでに一度納刀してからカウンターを撃ち込んでおいたが、薄っすらと傷をつけたに過ぎない。カウンターエッジがあれば腕の半分までは食い込んだろうが、無いものねだりか。
ディアベルの首根をつかんだまま、おおよそ5mほど床と水平に飛んでようやく着地。
幸いにも、他に近距離で喰らったのはタンクのみで全員ガード成功という形で被害を留めることができた
「ディア君!?」
「気にするな!」
残りがレッドに突入したHPバーを見て、ポーションを一気に飲み干す。
じわりと回復するそれを横目にディアベルのHPの具合を見ると、まだ余裕はあった。
「見てのとおり回復までしばらくかかる、しばらくは後ろに下がらせてもらう。指揮の方、今はキリトが支えてるが時間はあまり持たないだろうから、そっちを頼む」
「あ、あぁ」
そうして、後衛の指揮を取るディアベルを見送るとHPが回復するのを待つ。
戦線復帰まで2,3分といったところだが、持ち直した戦線を見る限りはそれまでには大勢は決しそうだ。
「ディアさん、ご無事ですか!?」
「エリスか、見ての通りまだ生きてるぞ」
「良かったですけど、次回からはあんな無茶は···」
「するさ、無理でないならいくらでも無茶を通すのが俺のやり方だ」
さてと、と言いながら手近に湧いた取り巻きに向かって連撃とリーパーを撃ち込んでポリゴンにしてから再び下がる。
「死にさえしなければ、どうとでもなるさ」
「それは、そうですが···」
不満そうに見えるエリスとポットローテのために戻ってきたノエルと壁際で待機する。
「武器は想定外だったが、キリトとディアベルが立て直してるな。さすがはベータテスター」
「ベータテスターって、あのお二人が!?」
「そう、キリトはもともと知り合いだから知ってたが、ディアベルのやつはさっきので確証できた。多分、エリスの話してたLAボーナス狙いだろう」
LA、ラストアタックボーナスは一部のボスエネミーが持つシステムで止めを刺したプレイヤーに数階層上の性能の装備品が落ちるというもので、当分の間は装備の更新が不要になるというメリットがある。
一方で、10も階層が上がれば一般化する装備とのことで、一時的なブースト程度というのが主だった認識だった。
「それで、突撃を・・・」
「武器が変わっていて死にかけたがな」
呆れ顔のエリスを横目に、HPバーの回復具合を見やる。ようやくオレンジというところで全快までしばらくかかるが、そろそろ取り巻きのリポップ時間である。
「最後の取り巻き位、倒すとしますか」
「私がメインで入りますから、ディアさんはサポートです」
「エリスの言う通り、ディアはHPがイエローになるまでサポート」
有無を言わさない迫力と、といっても船団の管理者のそれすら無視してきた俺にとっては気にするほどでもないが。
「あっ、はい」
心配させた手前、素直に後衛として二人をサポートする。
最後の取り巻きを光の破片に還元するとイルフォングは転倒状態で、俺とエリス、ノエルも含めたHPに余裕のある全員が一斉に攻撃をかけることで撃破、LAはキリトが取ったらしく手元のリザルトには経験値やアイテム、コルと共に【Last Attack Bonus “Kirito”】と表示されていた。
「お疲れさん」
「あぁ、ディアベルのこと、ありがとな」
「そんなことよりも・・・」
そうやってキリトと話をしたのも束の間、そこから先の数分はキリトがLAを取って皆の前でボーナス品を披露し、ディアベルがベーターであり先走ったことを謝罪し、という今日一日の清算作業が待っていた。
幸い、ディアベルが非難されてもその場で終わり、キリトも自分がベータ―であることを明かしても驚かれず、むしろキバオウが謝罪するという結末に終わった。
「では、ここらで失礼するとしよう」
そうして俺が向かうのは解放された第二層ではなく先程入ってきた第一層のダンジョン。
「そっち、逆じゃない?」
「少し、気になることがあってな。確かめたら行くから気にしないでくれ」
噂話をきっかけに、鼠のアルゴに調べさせたとある部屋。
黒い仮面のNPCが不定期に出現し、プレイヤーを見つめては消失するという部屋に歩を進める。勘が正しければ、なぜここ居るのかという点を除くと、正体は限られる。
「【
成りえたかもしれない自分、過去の自分がこの世界にいるかもしれない。その疑念を解消するため、ディアはダンジョンを逆走していく。
以上のような話となりました。
次回はちょっと説明回になりそうですが、その分キャラの会話に頭を抱えております。
今後もちょくちょく更新していきますのでゆっくりお読みになってください。
では、また次回。