お互いが落ち着いて自分らしく居られるそんな存在。
そんな二人が一緒に居られるのは卒業までのあと3か月。
綾の一言で友達としての関係は、変わっていく。
変わらない毎日に嫌気がさしてどこかへ逃げ出したくなる。
高校卒業を3か月後に控えても何も大きな変化はない。
みんな同じ毎日を繰り返している。あと少しで卒業、という言葉を噛み締めながら。
なんでこんなにも、似たような毎日なんだろう。
なんでこんなにも、
私達は変われないんだろう。
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「やっと5限終わった~早く帰りたいー。あ、数学当たるんだった。やべ…」
遠くを見ながら呟いた私に綾は笑いかける。
「また自分当たるとこやってないの~?でも絵美って成績良いよね。本当ずるい!!てかさ~」
綾は、可愛い。綺麗と言うよりも、可愛い。
女の子らしい女の子で、黒くて長い髪がよく似合う可愛い子。男の子に人気があるのも頷ける。
人気あるけど、今まで彼氏居たっけな…。んー…。全然知らないや。
綾はあまり自分の事を話したがらない。恋愛に関しては本当に話したがらない。
そんな綾にとってあまり詮索しない私は付き合いやすかったんだろう。仲良くしてくれてる。
私も綾と居ると楽だった。楽だし、楽しくて、安心して、自分らしく居れた。
「も~~!!聞いてる!?」
「あーごめんごめん。なに?」
「だから~もうちょっとで卒業だよねーって!!」
「…またその話?」
「だって、あと、3か月もないよ」
綾の声色が変わって少し心臓がきゅっと締め付けられた。
綾は最近この話ばかりしてくる。確かにあと3か月で私達は卒業だ。
「絵美とは、離れ離れになるね~~さみしーーい!!」
「お互い地元の大学なんだから、大袈裟すぎ。」
「そうだけど~~!!!でも、」
「悪い悪い~!遅れた!!授業始めるぞ~~」
綾は、何を言いかけた?
相変わらず綺麗な黒髪を見つめながら、ぐるぐる考え込む。
あーーーーーー、だめだ、やめよ。あとで聞けば良いか。
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いつも通り私達は帰り道を歩く。いつもと同じ道を。
「ねえ絵美。」
「ん?」
「どこか寄って行こうよ!!」
「いいけど、珍しいね。」
「ちょっと話したい事があるの~~」
「おっけ、んじゃそこのファミレスで」
「ごめん、人居ないとこが良いな~~カラオケとか!!」
「? わかった。」
綾が自分から話したい事ってなんだ…?
考え込む私をよそに本人は歌いまくる。やけにテンションが高い。
話したいと言ったくせに一向に話さない綾をじっと見る。
「な、なんですか…」
私の視線に気付いた綾は歌うのをやめて気まずそうに目を逸らした。
「綾さん綾さん、そろそろ話してくれませんかねえ~」
「や、やっぱなんでもないいいい…」
「それはなしーー!!!」
綾の頬をつねる。
「い、いひゃい!!わかったわかった!!はなす!!!」
何曲も入れてたカラオケの音源だけが部屋の中に流れてる。
入っていたジュースを一気飲みして綾は深呼吸をした。
「あ…あのね!!」
「うん」
「えっと…」
「うん」
「なんて言うか…」
「うん」
「決めた、言う!!」
「どうぞ」
「 」
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家に帰ってから私はずっと考えた。自室のベッドに横になりながら。
綾の事を。ずっと考えた。
「私、絵美のことが好き。」
大きな瞳が私を見つめて、私の事が好きだと言った。
綺麗だと思った。
どきっとした。
けれど、綾を恋愛対象として見た事は今まで一度も無い。
一緒に居ると落ち着くし、傍に居てくれるだけで癒されてた。
綾が男の子と話してるのを見ると少し複雑だったけど、それも友達として、だと思う。
ただ、自分でもずるいと思ったのは
好きだと言われると、こっちまで熱が伝わって来てどきっとしてしまう。
綾の事を好きなわけではないのに。
綾の顔、声、仕草、匂い、綺麗な黒い髪、頭に浮かんでくる。
心臓がうるさくて、止まらない。顔が熱くなる。
綾の事を好きなわけではないのに。
私はずるい。
こんな風にさせる綾は、もっとずるい。
変わらない私達の毎日に、少しの変化が訪れた______。