時系列は『シーズン2』の第6話と第7話の間です。第7話までのネタバレが含まれます。
戦闘シーンはありませんし、特に事件らしいことも起きません。
第8話以降の内容と矛盾する可能性は大いにあります。

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時系列は『シーズン2』の第6話と第7話の間です。第7話までのネタバレが含まれます。戦闘シーンはありませんし、特に事件らしいことも起きません。第8話以降の内容と矛盾する可能性は大いにあります。


バラアマゾン討伐後、シグマタイプアマゾン・イユの駆除に乗り出した旧駆除班だったが、かつての仲間・福田の妨害に遭う。志藤が経営するクラブに戻った旧駆除班メンバーの心中や如何に……


TEAM. USED CARS

 

 

「まさか、フクさんと対立することになるなんてねぇ」

 

 三崎一也はソファーに座り込むなり、声を漏らした。

 軽い口調とは裏腹に、彼の表情には暗い影が差している。

 三崎の他にこのクラブにいるのは、志藤真、高井望、水澤悠の3人だけだ。

 

「どうして……フクさんだって、ウチらと同じ気持ちのはずなのに……!」

 

 望はどこか苦しそうに言うと、カウンター席に座り込み、顔を下に向けた。

 誰も互いの顔を見ようとしない。別に気を遣っている訳ではなかった。自分以外の人間がどんな顔をしているのか、目で見なくても痛いほどにわかるというだけだ。

 志藤は一人掛けのソファーに深く腰掛け、口を開いた。

 

「俺達とは状況が違うんだ。アイツにはまだ、守らなきゃならないものがある。そのために必要なのは、マモルや俺達との繋がりなんかじゃない。(カネ)だ」

 

「でも、今のマモちゃんを止めるには、フクさんもいないと……!」

 

 三崎がそう言うと、今まで黙って立っていた悠が声を上げる。

 

「人間がアマゾン狩りを止めない限り、マモル君は止まらないかもしれません」

 

「無理だな。少なくとも俺にとって、マモル以外のアマゾンはムシでしかない」

 

 志藤が悠の顔を見ないまま口を挟むと、悠も押し黙る。今度は、望が悠に顔を向けた。

 

「悠も言ってたろ。全部に同じ気持ちなんて持てないって」

 

「……うん。そうかもね」

 

 再び重苦しい沈黙が店全体を包む。

 その雰囲気に耐え兼ねたのか、三崎が悠に話しかけた。

 

「ていうか、坊っちゃまは何でマモちゃん達と別れたの?」

 

「僕一人で行動してた時期があったんです。新しい抑制剤を手に入れるために」

 

「そっか。あの腕輪の薬、二年間分しか入ってないんだっけ」

 

「覚醒したアマゾンは僕も助けてあげられない。でも、4Cに見つかったら殺される……独自のルートで抑制剤を手に入れる必要があったんです。でも……!」

 

 悠が言葉を詰まらせると、志藤は彼に目を向ける。

 

「でも……?」

 

「その間に、4Cがマモル君達を襲撃して、仲間のアマゾンの半分が犠牲になりました。それから僕らの関係がおかしくなって……」

 

 悠はそう言うと、どこか虚ろな目で虚空を見つめる。無意識に、当時のマモルとの会話が頭に響いた。

 

『水澤君は誰を守ろうとしてるの!?僕たちはチームの筈でしょ!何でいつもアマゾンじゃなくて、人間と一緒にいるんだよ!』

 

『でも、薬がないと皆は……』

 

『今すぐ覚醒するわけじゃない。岡村君も山本君も、水澤君が一緒にいれば……死ななかったかもしれないのに……!』

 

『ごめん……!』

 

「最後には、皆僕の前から姿を消しました。多分、マモル君は僕のことを仲間だとは思っていないんです。だから、今のマモル君を止めることができる人がいるとしたら……志藤さん達だけです」

 

 悠は少し笑いながら志藤たちに語り掛ける。声は微かに震えていた。

 

「やるしかないないか。マモルからオリジナルを没収する……先のことはそれからだ」

 

 志藤がそう言うと、望は椅子から降りて三崎が腰掛けるソファーまで歩いていく。

 

「じゃ、三崎さん、飯作ってよ」

 

「俺の片腕義手だよ?ホラッ」

 

 三崎は大袈裟に義手を望に差し出して抗議する。

 しかし、望は無言で三崎の義手を払いのけた。この二人の力関係は7年前に出会った頃から変わっていない。

 

「しょうがねぇだろ。それとも一也、俺や望の手調理食べたいか?」

 

 志藤はどこか皮肉っぽい声で、三崎に声を掛けた。

 

「遠慮しときまーす」

 

「フンッ!」

 

 三崎が即答すると同時に、望が彼の右肩にアームロックを決める。

 

「ちょっと!のんちゃん!ギブギブギブ!!」

 

 悠は、じゃれ合う二人を見ながら少し微笑む。5年前に彼らと道を分かつ前に戻ったような気分だった。

 

「マモル君……」

 

 悠は、ここにはいない仲間に思いを馳せながら、コートのポケットの入った『何か』を握りしめる。

 志藤はそんな悠の様子を目の当たりにして、無意識に目を見開いた。

 

『それが何……?それ、僕達を助けてくれる!?』

 

 志藤の目には、ここにはいない仲間の姿がはっきり見えた気がした。

 

「悠……」

 

 志藤がそう言うと、悠も彼に目を向ける。

 

「守りたいものは守る、だったな……?」

 

「はい。今でもそれが、僕の戦う線引きです」

 

 志藤はその言葉だけを聞くと、そっと悠から目を逸らした。




勢いで書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
感想など頂けると嬉しいです。


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