バイトクビにされたので異世界で勇者のバイトしてくる。 作:ainex
現在俺と謎の彼女(まだ名前を教えられてない)はとてもながい、ながーい道のりを一時間ほど歩いている。どうやらこの世界にも四季があるらしくその四季の中で今は丁度夏に分類される。もう一度言おう、現在俺と謎の彼女は一時間ほど長い道のりを歩いている……このクソ暑い温度の中。
「……だー暑い、暑すぎる」
「もうー情ないな? それでもちんちん付いてるの?」
「付いてるわ! てかなんでアンタはそんな涼しそうなんすか、こんなクソ暑いのに」
俺が今にも溶けそうになりながら歩いていると言うのに隣の彼女は何故か涼しそうな顔で歩いている。
「ん? だって私の周りだけ氷魔法で覆ってるし?」
「なにその便利そうな魔法!?」
「あ、でも君はまだ使えないよ? と言うか君は多分魔法を使えないと思う」
え、俺って異世界来たのに魔法使えないん?素晴らしいほどショック何ですが……
「にゃはは! そんなに落ち込まなくても君には私がこーでぃねーとした鎧と剣があるじゃん?」
「……その鎧と剣のお陰で動きにくいし鎧の中サウナ状態なんですけど……」
しかもその鎧は闇のような漆黒である。そして黒は太陽の熱を集めやすいと聞く、なので現在俺の鎧の中はまさに地獄だ、そして一時間も歩くともはや体が思うように動かない。まぁ、甲冑が無いだけまだマシかも……
「うぇ、もう限界……」
そしてとうとう限界を迎えた俺は道に大の字で倒れ込む。
「はぁ、情ない、じゃあちょっと休憩しようか? 」
そう言うと彼女は近くの木のかげに移動してから俺にも手招きをする。
「よーし、ここで一度君のステータスを確認してみようか!」
「なんでそんなノリノリなんすか……」
「まぁまぁ、細かいことは気にしないでさ、んじゃ君私と同じように手を動かして見て?」
そう言うと彼女は右手で印を切り始める、俺はそれを真似てみると自分の目の前にディスプレイの様なものが表示される。
「うぉ! すげ、これ何なんすか?」
「今君の目の前にあるのが勇者専用のステータス確認様魔法陣だよ、これには自分のステータスとかその他諸々が書かれているからこまめにチェックしてみてね? あ、後その君の目の前にあるだろう魔法陣は勇者にしか見えなくて、他の人には見えないから周りからは変な人に見えるよ? 」
「勇者、つらすぎるぜ……」
そして俺は評価されているステータスを確認するとそこには
平川 優 勇者(見習い)level 1
攻撃258 防御0 魔力0 俊敏9 運-10
スキル 騎士の精神(裏)
スキル詳細 不明
「っておい! なんだこの脳筋ステータスは! 防御と魔力0で俊敏9ってなんだ!? と言うか運に限ってはマイナス補正かかってんじゃねーか!」
「にゃはは! そんなに酷いのか! でもレベルが上がれば何とかなるから気にしなくても大丈夫だって!」
「俺勇者としてやって行ける自信ないっす……」
こうして俺の初めてのステータス確認は残念な結果に終わりました。ちなみにその後謎の彼女が魔法で呼び出したペガサス的なアレで目的地までひとっ飛びでした。……最初からそれをだしてくれ。
×××××××××××
「よし、んじゃとりあえずここで勇者の本分について学んできてね? さっさと研修を終えなきゃ給料ははいらないんだから!」
「うげぇ、それを言わないでくださいよ」
そして俺の目の前には馬鹿でかい建物がそびえ立っていた、なんと言うか白を基調とした建物でアメリカにあるなんちゃらハウス見たいな感じだ。
「んじゃ後でまた迎えに来るからちゃんと勉強するんだよー?あ、あと言い忘れていたけど私の事はテートでいいからね?」
「なんでそのタイミングで……」
色々この人はおかしい! 会った瞬間に自己紹介するのが普通でしょうが!
「なんかタイミング逃しちゃってさ? それで…………君の名は?」
「その某映画のタイトルで俺の名前を聞かないでくれません? 俺の名前は平川 優です」
「なるほどなるほど、んじゃ君は今日からゆー君だね?」
「呼び方はテートさんに任せますよ……」
「分かったよ! ゆーちゃん! それじゃ後でねー」
もはやこの際君かちゃんの違いは容認することにしよう、細かいことで悩んでいたらまじで疲れそうだ……
そして俺はテートさんに手を振り建物の中に入っていく。中に入ると内装はなんというか、ゴージャス(笑)な感じでエントランスでは誰かが待っていた。
「アンタがテートのスカウトした新しい人?」
そう言う彼女は俺の格好をジロジロと見回していた。
んま、そうなるわな、いきなり鎧姿のガチガチな奴が入ってきたら。
「あ、今日から入る新しいバイトの平川 優です! 宜しくお願いします!」
「あーそう言う暑苦しいのいいから、暑苦しいのは見た目だけで十分」
地味に罵倒されているんですけど、と言うかよく見ると彼女は凄い美少女だ。俺と歳はあまり変わらないのではないだろうか、腰まで伸ばしたブロンドの髪と碧眼、そして頭の上には猫耳…………なんだ、この世界は猫耳流行ってんのか?
「ジロジロ見ないでくれる? 気味が悪くて吐き気がするわ」
「そこまで言いますか……」
こうして俺は彼女に勇者の本分について教わる研修?のようなものを行うことになった、のだが……
「だーかーら! 勇者って言うのは適当に魔物をぶっ倒して金を稼ぐ仕事なの! わかった?」
彼女は教えるのがめちゃくちゃ下手でした。もうなんて言うか説明の所々擬音ばかりで肝心な所が全く分からない。誰だ、コイツを任命したの、怒らないから出てきなさい。
「とりあえず金を稼げばいいってこと?」
「ただ稼ぐんじゃだめなの! ちゃんと市民を助けて町の風紀を保ちながら……」
「あーうん、了解、とりあえずは分かった」
「アンタ絶対面倒くさくて適当に流したでしょ!」
チッ、これだから勘のいい金髪碧眼は困る。
まぁ怒ってる間猫耳がピコピコしてて可愛いっちゃ可愛いんだけどさ。
「まーまーとにかく次に進みましょーや」
「なんでアンタが仕切ってんのよ!?」
「チッ、…………あーすいませんでしたー」
「今舌打ちしたし!?」
彼女は少し涙目だった。うんうん、可愛い女の子の泣き顔って何かそそるよね? あれ? 俺だけ?
「とにかく! とりあえずアンタのステータスをこの紙に書いて私に見せなさい!」
「そんな上から目線でいわれても……」
「う、うるさいわね! さっさと書きなさい!」
俺は渋々先程見たステータスの通り紙に書いて彼女に提出した。すると彼女はまるで苦虫をかみ潰した様な顔で唸っていた。いやまぁ、そりゃそうですよね。
「アンタ…………世界救う気あんの!」
「はへ? 世界を救う? だれが?」
「あ、アンタ! 世界を救うためにテートに連れて来られたんでしょ!?」
「いや、全くそんな話聞いてまけんけども……」
「うがあぁぁぁぉぁあああぁぁ!」
すると彼女は我慢の限界が来たのか俺のステータスが書いていた紙をくしゃくしゃしてまた開いてからビリビリにさいた。
その回りくどい破き方意味あるの?
「ふざけてんの!?」
「いえ、至極全うですけれども?」
俺は彼女のそんな問にキョトンとした顔で答える。
イヤ、だってね? 俺テートさんに世界救う云々とか全く聞いてませんですし? タダのバイトだと聞いてましたし?
「うぅ、もうこの際いいわ! とにかくアンタはこれから研修のためモンスターを倒して貰うからそのつもりで!」
そう言い残すと彼女はどこかへ言ってしまった。と思ったら急いでまた戻ってきた。
「け、研修の前にこれ飲んでおきなさい!」
すると今度こそどこかへ言ってしまった。そして俺は彼女が置いていったものを見つめる。そこには 【スキル覚醒ドリンク!!】と書かれたドリンクがあった。裏の説明を読んでみるとどうやらこれを飲んだらランダムでスキルが増えるらしい。フムフム、
ドリンクの蓋を開けて深呼吸、
「今度こそ当たり引いてやんぞ!」
そして俺はドリンクを一気に飲み干す、そして飲み終わりステータスを確認して見るとそこに増えていたスキルは
スキル 盗賊の極意
スキル詳細 稀にモンスターが何かを落とす。
「い、い、い、…………いらねぇぇぇええぇぇぇぇええええええ!!!!!」
俺の運-10の実力は伊達では無かった。
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