赤いポケマス   作:たんぽぽ

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プロローグ ポケモンリーグ II

「4:2、そろそろ仕上げに掛かるぞ———」

 

 モンスターボールを投げ上げながら目をあげると、グリーンと目が合った。

 その目を見てマズイ! と脳が警報音を鳴らすが、既にキュウコンがフィールドに出ている。少しずつ弱まって来ていた太陽の光が強まるのを感じながら、相手のポケモン———ギャラドスを見る。

 

「おにび———」

「ハイドロポンプ!」

 

 こちらの指示を上書きするような声で指示が出される。高威力の水タイプ技がキュウコンに決まり、それを気合いで耐えてギャラドスに火傷を負わせる。

 キュウコンと目が合った。あぁ、お疲れ、そうレッドは思って、力尽きたキュウコンを回収する。

 ひでりが続く時間は限られている。ここはさくっとギャラドスを倒し、相手のエースを引っ張り出すべきだろう。カビゴンもキュウコンも瀕死だから、ほえるは使えないし。

 

「よし、もう一度頼んだよ、ピカチュウ」

「ピッカ!」

 

 無難だが、先発出場したもののノーダメージなピカチュウに活躍してもらうことに決め、帽子を被りなおし、グリーンをビシッと指差す。

 

「悪いな、グリーン。この試合は勝たせて貰う」

「そんなこと言ってられるのは今のうちだぜ」

 

 言いながらも焦っているグリーンを見て小さく笑い、

 

「決めるぞ———らいげき」

「ピカッ!」

 

 ピカチュウが大きく息を吸い、天に祈りを捧げるポーズを取った。次の瞬間、天気は快晴だというのにかみなりがピカチュウの上に落ちる。その電撃を全て受け止め、———ギャラドスに向かって放った。

 電気タイプが4倍弱点のギャラドスがダウンするのを見届け、その小さな体で伝説の専用技を放ったピカチュウが倒れる。お疲れ、と呟き、回収し、

 

「さぁ、最後の戦いだ———」

「俺のエース———」

「———行け! リザードン!!」

「———頼む! カメックス!!」

 

 残りポケモン2:1という状況で、エース同士の対決が始まる。

 こちらはリザードン、相手はカメックス。タイプ相性ではグリーンの方が有利だが、最後に出てくるのはカメックスだと承知の上で、敢えて早い段階からほえるで敵を引っ掻き回してカメックスを引っ張り出すことはしなかった。うちのエースがこの対決を楽しみにしてるのに、そんなことをするのは野暮だと思ったからだ。

 それに、こちらにはタイプ相性をひっくり返す秘密兵器がある。

 

「リザードン! メガシンカ!!」

 

 絶縁グローブにはめ込んであったキーストーンと、リザードンが隠し持っていたリザードナイトが反応する。

 この時代、基本である居座り型の戦術がメジャー———というか、レッド以外は全員それに当てはまる。変化技もまだほとんど浸透していないような世界観だが、実際にお目にかかれはしないものの、海外でメガシンカというものが存在しているということは大体の人が認識している。もちろん、リザードンのメガシンカが二種類だということも。

 だが、このメガリザードンは、どちらにも当てはまらなかった。黒と青の体からメガリザードンYではないとわかるし、メガリザードンXにしては翼が大きく、体つきもシャープだ。

 

「レッド、これは……」

 

 グリーンの問いに、レッドが満足気に答える。

 

「メガリザードンZだ! 隕石のかけらを媒体にした絆の進化。世界で唯一無二のメガシンカだ。メガリザードンXに比べて攻撃と特攻、あと素早さが上がってるから気を付けろよ」

 

 言葉では気を付けろと言っているが、レッドの目を実際に見ればそう思っているのかは疑問だ。だが、レッドの表情はこれまでに無いほど輝いている。唯一無二のメガシンカ、それを扱うことにワクワクしている。

 

「よし、メガシンカだろうがなんだろうが、叩き潰してやる! カメックス! ハイドロポンプ!!」

「だいもんじで相殺しろ!」

 

 ハイドロポンプとだいもんじがぶつかり合い、煙を上げる。

 

「カメックス———」

「今だ、ドラゴンクロー!!」

 

 煙に紛れて一瞬でカメックスに接近したメガリザードンが、エネルギーが溜まった爪をカメックスの腹部に振り下ろした。ダメージを受けながらも反射的にメガリザードンを掴み、カメックスは自己判断でハイドロポンプを吐き出す。

 

 ———残念、メガリザードンZはドラゴンが入ってるから、等倍なんだ。

 

 心の中で呟くレッド。

 水の勢いでフィールド半分ほど吹き飛ばされたメガリザードンは体勢を立て直し、レッドを見る。

 

「そろそろやりたいか。けどもう少し待て、かみなりパンチ!」

「ハイドロカノン!!」

 

 互いにかみなりパンチ、ハイドロカノンを叩き込む。一度距離を取った両者を見てみると、メガリザードンは少し息が上がっている程度だが、カメックスのダメージは深いようだ。

 グリーンもそれは分かっているのだろう、だが最後まで諦めるつもりはないようだ。

 

「もう一度だ、ハイドロポンプ!!」

「行くぞ! Vジェネレート!!!」

 

 Vジェネレートがフィールドの真ん中でハイドロポンプとぶつかり合い、ハイドロポンプを蒸発させてカメックスを襲う。誰もがカメックスが負けたと思ったが、

 

「カメックス、立て!!」

 

 グリーンの言葉で、ふらつきながらもカメックスが立ち上がった。その目を見て、

 

「……耐え切ったか……」

 

 メガシンカしたものの、あともう一度奥義を放ったら瀕死確定だろう。これで決めたかったのだが、仕方がない。

 

「カメックス!」

「リザードン!」

 

 カメックスがハイドロカノン、リザードンがブラストバーンを放った。お互いの体に技が叩き込まれた時、カメックスが置き土産のつもりだろうか、みずでっぽうを吐き出す。それがリザードンの体に当たり———

 

「カメックス、リザードン共に戦闘不能! よって勝者、マサラタウンのレッド!」

 

 リザードンの体力を最後に削り取り、共に戦闘不能に陥った。

 

 ———ポケモンリーグ、優勝。

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