SAOのデバッガー   作:名無しの権左衛門

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15:初心者の終わり、解放の日<主観的俯瞰>

15:初心者の終わり、解放の日<主観的俯瞰>

 

 さて、ここはボス部屋前の扉の前。

ここには迷宮区最寄りの村で、一層ボス攻略会議に参加したプレイヤーが勢ぞろいしている。

 

「俺から言えることはただ一つ。

 勝とうぜ」

 

 攻略組の司令官であるディアベルは、拳を握りしめ反撃の狼煙を揚げる。

重そうな扉に触れると、自然に奥開きする。

そして暗い中の部屋が徐々に明るくなる。

極彩色で非常にきれいである。

 

しかしそんな色彩に目を奪われていると、命を狩る刃が己の肉体を貫くことになるだろう。

 

「A・B隊突撃!C・D・E・F隊は、周辺の取り巻き三体を攻撃しつつスイッチ!」

「「「ウオオオオ!」」」

 

 男共の屈強な雄たけびにより、恐怖と緊張に震えるプレイヤーの心や気持ちを入れ替えさせる。

士気が高い今こそ、大ダメージを蓄積させる絶好の機会。

 

「あーもー、なんでこんな時に脇役なの!?」

「アスナ、落ち着け。きっと、ぼろがでる。

 その時まで待とう」

「こんな時でも冷静ね、キリト君」

「あいつほどじゃないさ」

 

 キリトはユウキ・アスナの指示をしつつ、ラストと戦況を見る。

ラストは周辺のギルドとアリアフィナーレの指示をディアベルから権利を剥奪し、

勝手に周辺取り巻きの撃破を行っている。

ラストワルツは点と線しか不可能な中、アリアフィナーレは面の攻撃も行える。

非常に殲滅速度が違う。

 しかしラストワルツは、尋常じゃないほどのフリースキルとコンビネーションで敵を追いつめる。

これにより、早急にボス一匹のみになる。

更にタンクや遠距離投擲武器のおかげで、普通に殴るより早く体力を削った。

 

 そんな中、体力が1/2になった時異常が巻き起こる。

 

「っ!武器換装!?」

「野太刀だ!」

 

 両手の武器防具を投げ捨て、野太刀に換装する。

これにより、多くのプレイヤーが驚きに見舞われる。

 

「タンクのC隊、防御!D隊、奴の硬直中に中距離武器でダメージを!」

「うっしゃあ!」

「やるぜぇえええ!!」

 

 野太刀を防ぐ複数のタンク。

そして太刀を防ぐことで、相手に鍔迫り合いを強いる。

これにより、相手の無防備が確定した。

この隙に、D隊が突撃し中距離武器ですぐに逃げられる様、逃げ腰になって行動する。

 

「どわあっ!?」

「あっぶねえ!」

 

 数合殴ったと思ったら、ボスが走り出す。

 

「そっちいったぞ!?」

「こっちはダメージディーラーがいるんだ!防御は紙だぞ!?」

「ヤバイ!」

 

 複数人が叫ぶが、そこは人間だ。

動ける者なんていない。だが、一握りの人間は可能だ。

 

例えば、特殊訓練を受けたものとか。

 

「全く……根性がねぇな」

「仕方なかろう?それが、当たり前ェなんだから…よっ!」

 

 走り出して防御の薄い後方へ来るかと思ったボスは、二人のタンクに足止めを喰らった。

名はエギルとマーベリック。

防いで愚痴を云った後、大斧と大剣でスキルを発動する。

これによって、ボスを元居た場所より更に奥のポップ地点にまで押し戻した。

 

ボスに少しの間スタン状態を加えたが、直ぐに回復して走ってくる。

そしてディアベルの指示で、混乱から回復したタンク部隊を先行させ防御を行わせる。

ボスの攻撃は非常に重いが、タンクの防御を抜ける事はない。

全て反射でその攻撃や力を、露散させているからだ。

 

 その隙に攻撃部隊が復活。

ディアベルはA・B隊を攻撃準備にさせ、C・D隊をE・F隊にスイッチさせる。

 

「行くぞ、アスナ・ユウキ!」

「「うん!」」

「アリアフィナーレ、突撃!」

「「おおぉぉお!」」

 

 この攻撃で、一気に最後のHPバーになる。

しかし、あと一歩のところで体力が残ってしまう。

そして最悪の展開へ……。

 

「お、おい……なんやおかしいで……」

 

 A隊キバオウがボスの変化に気づく。

 

「待て、俺がいく!」

「ディアベルはん!?」

 

 ディアベルがラストアタックによるボーナス目当てを、偵察というもので塗りたくり吶喊する。

ボスは攻撃を受ける前に、何かの判定を受けて弾き飛ばされる。

満タンであった体力は、3/4にまで減少する。

 

「なんだと!?」

 

 彼は吹き飛びながら見てしまう。

それはボスが捨てた装備の所に行って、片手剣を左手にとるのを。

それを取って、何をするのか。

すぐにそれは分かる。

 

「まずい、逃げろ!」

 

 キリトが危険を察知して、ボスに近くタンクのいないE・F隊に退避を指示する。

A・B隊やディアベルも、スイッチの準備で近くにいるので共に注意を促す。

 

 ボスは捨てた片手剣と盾と野太刀を、彼らに向かってぶん投げたのだ。

盾は見当違いな方へ行く。

片手剣はラストの受け流しで、壁へ激突させる。

 

そして野太刀は……ディアベルを貫通し、その奥にいるユウキを貫く。

 

「っ!?」

「えっ……」

 

 野太刀はそのまま、入り口の壁を崩落させ退避不可にする。

ユウキとディアベルは、HPを0にする勢いで背景を灰色に染める。

 

「ユウキ、ディアベル!」

「ディアベルはん!」

「ユウキ!」

 

 キリト・キバオウ・アスナは、それぞれ叫ぶ。

 

 キバオウはその場所から動けず、ボスの行動を注視する。

 キリトは指揮官であるディアベルの救助に向かう。

HPバーが0になる前に、回復アイテムを使えば回復する機能がここで生きるのだ。

 アスナはあまりの出来事に床に座り込むユウキを援護しに行く。

 

「ディアベル、お前っ!」

「βテスターなら、わかるだろ……?」

「っ!」

「頼む、ボスを倒してくれ……!」

 

 ディアベルは回復アイテムを持つキリトに、βテスターの業を共感させる。

そして回復アイテムは、自分自身に使うようキリトのアイテム使用予定の手を防ぐ。

 

「嘘…だ。こんなところで……」

「大丈夫よ、ユウキ。今、これを使えば……え?」

<体力0のプレイヤーに、アイテムを使うことはできません>

「どういうことよ……」

「御免、ごめんね……やっぱり、ボク……」

 

 ユウキはアスナに抱えられて、虚ろな目になる。

自分はどんな状況であっても、役立たずだというように落胆と共に絶望する。

 

 

しかしそんな心配なんてうけつけない。

 

 

「なんと蒙昧で愚かな。無意味な行為だというのに」

 

 

 ボスの殴り攻撃を受け流して、スタンを引き起こし行動不能状態にさせたラストが帰って来たのだ。

そして彼はディアベルの肩とユウキの頭に触れる。

二人は白色の光に包まれるのと同時に、体力が二分の一まで回復する。

 

「なっ……!?」

「そういや、そうだったな……!」

 

 愕然とするディアベル。キリトは肝心な事を忘れていたというように、ユウキの傍に座り込むラストを見る。

 

「ラスト……」

「ユウキ、お前は十分役立っている。もう二度と、足手まといだなんていうな。わかったな?」

「うん、ごめんね……」

「よし、アスナもいけるな?」

 

 ラストはユウキの精神ケアを行い、アスナの心理的戦時移行を行う。

この出来事により、前線はともかくディアベルの護衛は勇気と士気を取り戻す。

 

「ディアベルは無事だ、戦線を戻す!行くぞ、キリト!」

「ああ!」

 

 ラストはユウキの頭を撫で、アスナの肩に軽く手を置いてから立ち上がる。

彼の大きな呼び声に呼応するキリト。

そして……ちょうど前線のA・B・C・D隊は、ボスの衝撃波で後方へ大きく吹き飛ばされた。

 

「全員隊列を組み直せ!そして、回復しろ!」

 

 ディアベルが、キリトから打って変わってキバオウの援護を受け、己の命を燃やす。

この雄たけびは、全てのプレイヤーの希望となる。

 

「うおおおおお!」

「回復する!」

「足りない奴はいるか!?二本ほど、予備がある!」

「すまない、それ、くれないか!」

 

 4隊が快復中、ボスは何をしたか。

それは双剣への換装だ。

 

 無表情で童顔なAPP15な若者。

達観にも見えるその冷静な横顔に、ボスへ翔るキリトは苦々しい表情をする。

しかしラストがキリトの方へ目線を配ると、表情と心を切り替えボスの迎撃を敢行する。

 

「スイッチ!」

「OK!」

 

 ラストが敵の双剣を回避して、腕の間接を攻撃する。

『ボーンずらし』による描写座標変化で、ボスの動きが30フレーム程停止する。

このフレームは、一般人であれば大差ないが廃人である二人には大きな機会となる。

 

限界駆動角度を超えたその『ボーン』は、攻撃処理判定の後に再度表示される。

その為、このフレームの時攻撃判定のみで攻撃を行わない。

この隙がどんなに大きいか。

 

 二連撃技である、『バーチカル・アーク』。

これを使って、態勢を整えつつあるボスの腹部を切り裂く。

攻撃痕は赤いエフェクトを以って、軌跡を表示する。

 

「『スイッチコンボ』!」

「チェイン!」

 

 二人は違う技を使用して、スイッチしていく。

スイッチによるスキル硬直のごまかしとタゲの移動を、お互いに紡いでいく。

その攻撃の鋭さと速度は徐々に上がっていく。

そんな中でも、彼らは交代にこれない。

 

 理由の一つが、リポップだ。

つまり再出現だ。倒した取り巻きの雑魚が、快復中のパーティを襲ったので後方は混乱中だ。

しかもβテスト中全く認知されなかった機能なので、その対処に追われている。

冷静なのは、司令官のみ。

 

「One Hundred!」

「『スイッチユニゾン』!」

 

 100回繋いだので、キリトが結合を叫ぶ。

ラストとキリトは、同じスキル同じ言動を行う。

そして、連続技を繰り出す。

 

「「うぉぉおおおお!!」」

 

二人は共鳴し、雄たけびを上げる。

更に一ドットよりも小さい判定を潜り抜け、ボスを『自滅判定』に押し込み行動不能にさせる。

それと同時にクリティカルヒット。

攻撃もリンカーシンキングにより、二乗計算される。

 

 

 この攻撃で、ボスを完全撃破する。

ボスはポリゴンの光を、周囲に放出して大量のコル・アイテム・経験値を捻出する。

後方に出てきた取り巻きも消え去る。

 

 

「「「うおおおおおお!!!」」」

 

 

 男共の野太い声が、ボス部屋を包み込む。

 

 

「攻略完了~やったな、キリト!」

「応、良い呼応だったぜ!」

 

 ラストはキリトと面向かい、拳を合わせる。

お互いが健闘を無事に確認する中、そこにユウキとアスナが駆け寄る。

 

「ちょっとラストさん、キリト。私達も混ぜなさいよ」

「そうだよ、せっかくのボス踏破なんだからさ!」

「おっとごめん、アスナ」

「すまないな、二人とも」

 

 お互いに拳を合わせる。

アスナらは黄色迄HPが減ってしまっていた。

ユウキは赤。

しかしラストやキリトは、碧を維持している。

 

「お主ら、俺らも混ぜんか」

 

 ところどころ損傷しているマーベリックやいかついおっさんのエギルが、ラストワルツの所に来る。

クルールやカーディアンも、お互いの無事を確認しながら来る。

レッドウルフやブラックボアも無事なようだ。

ラストは激昂状態で、スーパーアーマー付与のボスと取りまきによくやられなかったな、と感心した。

 

 

 

 高揚している中、とある人物が叫ぶ。

 

 

「おいあんたら!」

 

 この声に、一気にボス部屋が静まり返る。

 

「人が死にたくないっちゅーて、命を懸けて戦っとるというのにそのスキルはなんや!

 HPバーが無くなって、そしたらそのスキルで半分まで回復してもーた!

 何でや。なんであんただけが持ってるんや!

 そのスキルで、わいらが頑張った事があほらしゅぅて敵わんわ!」

 

 キバオウはラストたちを捲し立てる。

その声に前線に居たプレイヤーらは、彼の言葉を聞いてラストらを睨み付ける。

 

「しかもや!ボスが双剣なのを知ってて突撃したんやろ!

 βテストん時は、タルワールやって云うとった!

 それやのに、いきなり野太刀やと?!あんたらが、情報を流したんは知っとんやで!?」

 

 キバオウはラストとキリトを指して、全力で非難する。

この指摘に、ラストとキリトの大一層ボス部屋前まで強行軍に参加したプレイヤーは、

確かにと納得し訝しむ。

 

何処からの情報だ……と。

 

この剣幕と周囲の非難轟々の嵐に、沈黙を貫くラストワルツとアリアフィナーレ。

しかしその剣幕と野次は、徐々にひどくなるばかり。

しまいには、一番気の弱いユウキが涙目になる位だ。

 

「ぼ、ボクは……」

「関係ないっていいたいんやろ!

 だったら、なんでわいらに情報を渡してくれんかったんや!

 あんたらが強くて、情報もあって……わいらの頑張りは泡沫や!

 無駄もいいところや!あんさんらは、わいらに足労の徒労の賠償を払ってもらわなあかん!

 誠意をみせぇや!」

「ち、違っ」

 

 いつの間にか、ラストとキリトへの非難は全体責任として伝播するようになる。

 

「ふむ。では、一つ説明をしよう」

「なんや、言い逃れか」

「いや、このスキルの抜け穴だ」

「は?」

 

 ラストはユウキの頭に手を置いて、撫でながら彼らに向き合う。

何気に彼等の視線の中に、ユウキが入らない様に思慮している。

 

「この『レスキュー』は、一度助けるとその人物に対して24時間のクールタイムがある。

 更に使用者は、システム割り込みによる負荷がかかり脳や神経に特殊な電波が流れる。

 つまり、使用する度に、死ぬよりつらい半殺し状態にされる。

 一応若い故に、この損傷は大丈夫だが、連続で長時間戦闘中に倒れられると自分は『脳死』することになる」

「う、嘘や!そんなはったり、通用せぇへんで!」

「知らないふりをできるのは、自分以外の他人のみ。

 この事実の是非を決めるは、貴殿ら次第だ。だが私の言葉は、本意であることを留意してもらいたい」

 

 そう云って、ラストは二階への道を歩み始める。

どんな言葉であっても、彼は振り返らない。

ラストだけが、皆の避難の目線を浴びる。

しかし、ラストと他の仲間が離れて行くと、ラストでなく近場の関係者に非難の聲がいく。

 

その中の一つの言動が、今後を決定づけた。

 

「そこの紫の奴!アイツの恋人だ!いつもそばにいるのを見た!

 きっとあいつが、アイツの行動を決定づけた魔女だ!

 殺さないと、俺達も危ないぞ!」

 

 この言葉に、魔女裁判の言葉が出始める。

アスナは彼等の聲を聞き、ユウキを守る位置に行く。

キリトはコミュニケーション能力が低いのか、しどろもどろしていて一向に喋ることができない。

この点はラストから指摘されていて、何もしゃべらないようにと釘をさされている。

最悪の事態にしかならないから、芝居通りに……と。

 

「そこのデカブツ!」

 

 エギルの事だ。

 

「彼奴の肩を持つ奴だなんて思ってなかったよ!

 あの時、俺達アタッカーだけだったから、めちゃくちゃ頼もしくてうれしかった!

 なのに…!」

「ち、違うんだ。お、俺達は脅されていたんだ!

 あの『レスキュー』は、死んだ人間を生き返らせるが、生きている人間に使えば一瞬で殺せるってな!

 お、俺は怖くて怖くて…だから従ったんだ。すまねえ!己の命惜しさに、皆を危険にまきこんじまった!」

 

 地面に頭を擦りつけ、拳を床にたたきつけ懺悔する。

これにより、同情の視線を見せつける。

そして、アリアフィナーレは、許しを請う。

 

「すまぬ!俺も大切な道具と友人を、人質に取られているんだ!

 今もあいつは、一歩でも動けば90階相当の敵に嬲られて殺される状況なんだ!

 あともうちょっとで、有効期限が切れる!すまない、すまない…!」

 

 マーベリックはユナの事を棚上げして、このような事を口走る。

ラストの鬼畜さとチートさを考えれば、不可能でもない事なので後は人の妄想加減によって正確さが増されるだろう。

嘘も方便だ。

 

「僕もこの二匹の魔物が、見張り役なんだ!だから、アイツがいない内に喋るけど、

 このままじゃ、僕が死んじゃう!」

 

 クルールは、走り出す。プレイヤーの方へ。

すると魔物二匹は、牙を剥いてクルールを噛み殺そうと行動を起こす。

 

「か、彼等を救出しろ!」

 

 ディアベルが叫ぶ。

これに呼応して、二匹の魔物を撃破してエギル・マーベリック・クルール・カーディアンを救出した。

その途中、誰かがユウキに対して攻撃を加えようとした。

しかし、その剣はキリトによって防がれる。

 

「……」

「キリト、目を覚ませ!いつまで催眠にかかってやがるんだ!」

 

 エギルは叫んでキリトに対して応答を求める。

 

「催眠に何てかかってないよ」

「じゃ、じゃあなんでだ!?」

 

「アスナの命を吹き飛ばすシステムがかけられているんだ。

 俺はそれを引き換えに、こうしてあいつの仲間としてさせられている!

 すまない、これ以上あいつの事を悪く言うと、お前たちを切らなきゃいけなくなる!」

 

 必死の命乞いに聞こえる悲痛な声に、人質を解放した攻略パーティは行動がとれない。

その時、笑い声が聞こえる。

 

<ククク、フハハハハハハ!!!>

 

 ボス部屋に共鳴することで、さながらボスのようだ。

この凶悪な人間のように聞こえる笑い声で、完全に敵意がラストへ向かう。

 

<最初回限定ボーナスを手に入れてやったぞ!

 ありがとう、我が忠実な僕たち。これで、お前たちは自由の身だ。

 キリト。お前の女は開放してやる。だが、次に私に刃向うのならば、その命はない。

 そして、魔女としてヘイトを稼いだ女、よく時間を稼いだ。

 まさか最初にひっかけ、快楽の中プロテクトを掛ければ簡単に墜ちる愚か者とは思わなかった!>

「え、え、ラストっ!?ぼ、ボクも一緒に行きたいっ」

 

 あまりの豹変に、ユウキは訳が分からなくなる。

状況は把握しているが、離れたくない一心でしゃべってしまう。

これを聞いて、とどめの一撃を放つ。

 

<解除してやろうと思ったが、このまま絶望をみるのも楽しいかもな!

 フンッ、勝手に絶望する足手まといなんぞ、いらぬわ!

 せいぜい、男をひっかけて街で暮らすんだな!>

 

ハハハハハ!!と笑い声が木霊している。

その声が消える時には、皆はラストにのみ怒っていた。

しかしボスを簡単にいなし、撃破する実力があるラストを追って撃破する考えはこの場になかった。

ただでさえ、ポーションが底をついているのだ、そんな無謀な事はできない。

 

「彼奴は、いろんなアイテムやクエストのフラグを知っている。

 βテスターでチーターだ。もう、ビーターって呼んだ方が良いな」

「せやな。しかし、あんさん、すまなんだ」

「いや、むしろ助かったよ。あぁ、そうだ、俺はキリトっていうんだ」

「わいはキバオウや、よろしゅうな」

 

 彼等はビーターの無差別回復と無差別殺傷に関して対策できるように、キリトらは単独行動と情報収集を

キバオウらA隊は一階に行って大規模ギルドを作る事になった。

 

 

 とにかく、次の階へ行って、転移門で階層移動できるように『アクティベート』してから解散という流れになる。

 

そして、現4階層にいる彼、ラストは意気消沈していた。

 

「ぬるすぎる」

 

 彼等が必死に生きる中、デバッガーである彼はドロップ品を見ながらそうつぶやいた。

 

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