SAOのデバッガー   作:名無しの権左衛門

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5:デスゲームの始まり<主観的俯瞰>

5:デスゲームの始まり<主観的俯瞰>

 

「何が起きてやがる!?」

「始まった…」

「キリト?」

 

 デバッガーの一人が、後に有名になる人物を連れて『はじまりの街』の大広間に飛ばされてきた。

黄昏の時刻が少し経過したときだ。

懸念が現実になって今更ではないが、一同に介する機会を作る事に少し動揺する彼。

 クラインという長髪赤髪バンダナ男は、キリトに怪訝な表情を向ける。

 

『WARNING』 警告。

 

 横長い赤い六角形に黒い文字で、警告と英語でかかれたものが空中に表示されている。

 

「キリト!」

「ラス!」

 

 この世界最強のアドバンテージを誇るデバッガーは、この場に邂逅する。

この刹那、この大広間全てに赤い六角形が覆い尽くされ、ポリゴンの隙間から赤い血液のような流動体が出てくる。

 

ラストオーダー…ラストは、右手で何かを操作する。

 

 意識の阻害。これを二進数によるマシンコードで、発信する。

何をするのか、予想できない。

それでも、この全ての視線があの『茅場昌彦』とよばれる紅のローブに包まれる3D素体に集まっているのだ。

 

このれっきとした最後の機会を逃すほど、練習を怠らずやってきた彼等が逃すわけがない。

 

≪残念ながら、ログアウトはできないようになっている≫

 

 茅場の自己紹介とルール変更に、9700人程の人間が恐怖に慄いている。

外道だ。人道的でない行いに、罵り侮蔑侮辱文句等垂れ流している。

 

 そりゃそうだろう。

こんなゲームに投げ出されて、行き成り死ねだなんて。

 

到底受け入れられない。

しかし、既に死人はいるんだ。

今更、如何という事はない。

 

≪既に何百人か亡くなっているが、生贄として君たちに示してくれたはずだ。

 そして、私から君たちへのプレゼントだ。一生の思い出にしてくれ給え≫

 

 デバッガーは驚かない。

コピペに近い容姿に思い入れはないので、直ぐに手鏡により遺伝子情報を取得し己の顔と肉体にする。

 

≪これで君たちは仮想である電脳世界を、現実として認識できるはずだ。

 健闘を祈るのとともに、ソードアート・オンラインのチュートリアルを…≫

 

 刹那。光線のようなものが、ローブ姿の3D素体を貫く。

 

ローブと周囲を囲っていた赤い六角形の結界は、弾け消滅する事になる。

 

「行くぞ」

「ああ」

「え、ちょ」

 

 デバッガーは、クラインを連れ出して狂気に満ちた大広間から抜け出し、プレイヤー同士の喧噪から逃げ切った。

これで身の安全は確保できた。

ネカマの姿を見て、爆笑するラストと反対にクラインに後の予定をキリトが立てさせる。

 

 無理に勧誘せず、余裕を持たせて行動を開始させる。

爆笑を終えたラストは大広間に向かう。

キリトとクラインも、大広間へ向かう。

 

 キリトはラストのやらんとすることを後方で見守るがため、クラインは己の仲間を見つける為。

 

さて大広間では、醜いと思われながら所詮動物といえる行動を多数のプレイヤーが行っている。

そんな中、デバッグの時何の意思も持たない3D素体を大広間に集結させて、拡声器で人を集める練習をしたラスト。

彼が行うのは、一つの希望だ。

 

<ちゅうもおおおおおく!!!>

 

 この大音量に近場の者は耳に手を宛てがい、遠くのものは音の発生源に視線を向ける。

顔だけでも全ての人間が向けたのは、僥倖だろう。

色んな人間の表情を、ラストはあえて視ず発現する。

 

<我が名はラストオーダー!!茅場に一矢報いた者なり!

 これより我らは、フィールドボスを撃滅し即行でボスまでマッピングする!

更に敵陣へ偵察を行い、敵の撃滅の如何を見極める!

 フィールドボスの経験値やアイテムを少しでも取りたいというものは、どんなあさましい理由でも構わない!

 パーティを汲んで、我々の下へ来てくれ!

 この強行軍に参加した者は、勝てば官軍!英雄と勇者になれる!

 誉と勇を抱くものよ、我に集え!栄光は君らの未来にある!

 さあ、ついてこい!>

 

 これはただ単に、切り替えを行わせるだけの一つの暗示に過ぎない。

これにかかれば、少しでも成長でき、この層では死なないだろう。

 

そして、全てのプレイヤーに出現する、『第一層強行軍』のレイド申請。

 

このボタンに賛同したのは、βテスターと初心者を合わせて50人にも満たなかった。

何せログイン時間がばらばらだ。待ち時間が三分なので、この間に用意なんて難しい。

己の心に踏ん切りがついたものだけ、このパーティ申請を押した。

 

 それに、フィールドボスと迷宮区、更に茅場に一矢報いただけの謎のプレイヤーに命を預けるなど…烏滸がましいにもほどがある。

まあ己惚れるのもええかげんにしろという事だ。

 

さて、集まった彼らに何を行うのか。是非見ものである。

 

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