百の家から出発した武昭達は宮城の山中にいたが……
「ふぅ、やっぱり……体が鈍ってるみたいだな……」
「こ、これで……体が鈍ってるんですの?」
「百ちゃん………武昭は暇さえあれば体を鍛えてるから………」
武昭は体を伸ばしていて百は息が荒く唯は平然としていた。
「それに……何故……唯さんは……あの様な状況だったのに………
平然としているのですか!?」
「うーん………ちょっとした慣れって奴?」
「唯はたまに俺のトレーニングに付き合ってもらってるし………
時たま一緒にトレーニングをしてるからな」
「そう……なの……ですか………
(ハァハァ……武昭さんだけでなく、唯さんも……凄いですわ……)」
「ん?百、辛いならオンブでもしてやろうか?」
「い、いえ!大丈夫ですわ!!」
「そうか?まぁ百がそう言うなら良いけど……」
「そうだよ武昭………(武昭ってそう言う事に疎い所があるからなぁ………)」
唯は武昭と百の様子を見て苦笑いしていた。
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山中から移動した武昭達は街中に来ていた。
「さてと……宮城に来たのは良いけど、まずは何かを食べるか?」
「そうだね………武昭が一番体を動かしてたから………」
「でしたら!私にお任せください!ちゃんと色々な場所は調べてきましたの!」
「そうか、なら百に案内を頼むか」
「分かりました!では、こちらへ来て下さい!!」
武昭達は百の案内で観光に向かった。
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百の案内で観光をしていた武昭達は昼食を終えて休んでいた。
「ふぅ、やっぱりコッチは魚が旨いな」
「それでも武昭さんは食べ過ぎですわ」
「そう?武昭からしたら………あれはまだ少ない方だよ………」
「唯の言う通りだな、それに幾ら美味しくても
俺にとって一番のご飯は唯が作ってくれる物だからな」
「た、武昭……そんな事急に言ったら……ダメだよ………」
(なる程………武昭さんは普通に、その様な事を正直に言えるのですね……)
百は武昭と唯の様子を見て微笑んでいた。
「さてと、そろそろ泊まる所を探さないとな……」
「武昭さん、それならば私が調べてますけど?」
「うーん、それも良いんだけど……
ある意味、こういう時は行き当たりバッタリって言うのが面白いんだよな」
「そうですか……すみません、余計な事をしてしまって……」
「落ち込むなよ、百は百なりにやってくれた事は分かってるからさ」
「は、はいっ!ありがとうございます!!」
「けど……本当にどうしよう………キュ〜あっ……」
武昭達が話してると小さな音が聞こえたので見ると唯が赤い顔で俯いていた。
「ハハハ、探す前に軽く何か食べるか………おっ、あそこに笹カマの店があるな
百、悪いけど俺が買ってくるから唯と待っててくれ」
「えぇ、かしこまりましたわ」
「ごめんな唯、気づいてやれなくて……」
「う、ううん……武昭は……悪くないよ………」
武昭は離れる前に唯の頭を撫でていき唯は撫でられて喜んでいた。
「こうして見てると……武昭さんと唯さんは仲の良いカップルに見えますわね」
「ふえっ!?そ、そんな事無いよ!私と武昭は……付き合ってないし……」
「えっ!?そうなのですか!?私はてっきり、その様な関係かと……」
「私と武昭は………幼馴染なだけだもん……」
「ですが……唯さんは武昭さんに好意を持っているのでしょう?」
「うん……百ちゃんの言う通りだよ……けど……私は怖いの……
この関係が壊れるのが………」
百は唯の体が軽く震えている事に気付くと話す事をやめた。
「それよりも……百ちゃんこそ……武昭の事が好き……なんでしょ?」
「なっ!?わ、私はその様な感情は持っていません!!」
「そうなの?……百ちゃんの様子を見てたら、てっきり私はそうかと……」
「た、確かに…… 武昭さん私を“八百万 百”という1人の人間として見てくれてます……
今まで会ってきた男性達は、その………私の体を見て変な目で見てきたり………
かと思えば、家の財産や個性でしか見ない方達でした………」
百は武昭に言われた言葉を思い出していた。
「ですが……私と唯さんが巻き込まれた事件の時に言ってくれました………
私がどの様な人物であっても“友達”であり“仲間”であると………
あれを聞いて私は………嬉しかったんです………
そして……心の中を光が照らした様になったんです………」
「そっか………百ちゃんも武昭に助けてもらったんだ………
武昭はね自分の事はヒーローじゃなく魔導士だって言ってるけど……
私にとっては最高のヒーローなんだ」
「そうですね……唯さんの言う通りですわ………
武昭さんは私にとっても立派なヒーローですわ………」
「おーい、買ってきたぞ………」
「あっ、おかえり………って、その子はどうしたの?」
戻ってきた武昭の方を見ると手には買い物の袋があり、背中には子供を背負っていた。
「あぁ、買い物して戻る時にこの子が転んで足から血が出てたからな、百悪いけど頼めるか?」
「はい!お任せください!!」
百は武昭から子供を受け取ると腕から包帯や消毒液などの治療器具を創造した。
「別に、これ位なんともないよ」
「だとしても、このままではご両親が心配しますわ………」
「それでも良いよ……父ちゃん達は家にいないんだから………」
「いないって……お仕事か何かなの?」
「父ちゃん達はヒーローなんだよ………ウォーターホースって言う……
俺はそのヒーローの息子で出水 洸太(いずみ こうた)って言うんだ」
「聞いた事がありますわ、確か夫婦でヒーロー活動してる方々だったはずです」
「そうか……洸太は両親が仕事で構ってくれないから落ち込んでたのか」
「そんなんじゃ無いよ………ただ、たまには遊んでほしいなって………」
「だったら、俺と遊ぶか?」
「えっ?……良いよ………お兄ちゃん達だって用事があるんだろ?」
「そんな事よりな、俺からしたら洸太を笑顔にしたいんだよ。
だから、俺と一緒に遊ぼうぜ?」
武昭はニッと笑うと洸太の頭を撫でた。
「う……うん!良いぜ!!」
洸太は涙を流しながら笑うと武昭の手を握って公園の遊具に向かった。
「ふぅ……武昭って……昔からあぁなんだよ………
近所の子供が迷子になってたら親を探してあげて、お年寄りが横断歩道を渡ろうとしたらちゃんと手を引いてあげて……」
「そうなのですか………けど……それが武昭さんなのではないですか?」
「うん、それが武昭なんだよ………」
「ホラ!もっと早いボールを投げてみろ!」
「よーし!これでどうだ!!」
「おっ、いい感じだ、今の調子でどんどん来い!!」
武昭と洸太はキャッチボールをしてるのを唯と百は優しく微笑んで見ていた。