旅の終わりから始まる空の旅

1 / 1
マクアフィテルを
入手したため
ユウキが仲間になりました。

出会いの物語が解放されました。


ユウキちゃんがファータ・グランデに行くお話

「いやぁ、いい天気でよかったぜ!」

「はい、ピクニック日和です!」

 

 ビィの言葉に笑顔のルリアが元気よく応えた。

 小道を行く足取りは軽く、まるで跳ねるように歩いている。

 ルリアの肩には水筒が。

 あなたの手にはランチを入れたバスケット。

 今日は依頼もお休み、ピクニックである。

 

 ここはガロンゾ。

 ファータ・グランデ空域の騎空挺修理を一手に引き受ける、職人達の島だ。

 島の中央船渠では、今日も職人たちが威勢のいい声をあげ、空域中から集った騎空挺を相手に仕事に励んでいる。

 

 先日受けた空賊退治の依頼で、あなたたちの騎空挺グランサイファーは不調を訴えていた。

 それは小さなものだったが、ドッグに入れて隅々まで調べてみれば、船体のあちらこちらで様々な部品が磨耗しきっていた。

 ラカムやオイゲンら騎空挺に詳しい面々は予想していたようだが、思っていた以上にグランサイファーは酷使されていたらしい。

 壊れてからでは遅い、と本格的な整備をすることとなり、直すまでの間、あなたたちは羽を伸ばす時間を得たのだった。

 

 空は晴れて澄み渡り、心地好い日光が辺り一面に降り注いでいる。

 騎空挺修理の島とはいえ、中央から外れればそこには穏やかな農村部が広がっていた。

 

「おぉ、辺り一面麦畑だぜ!」

「これがふかふかのパンになるんですよね……じゅるり」

「おいおいルリア、ちょっと食い意地が張りすぎじゃねぇか?」

「はわっ!? そ、そんなことないですよ!」

 

 むくれるルリアとそれをからかうビィ。

 あなたは二人の賑やかな声に頬を緩ませながら、青さを残して揺れるガロンゾ麦の畑を通り抜けた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 麦畑から続く小道を辿り、雑木林を鼻歌交じりに抜ければ、そこには湖が広がっていた。

 中央には小島があり、そこには青々とした葉を揺らす巨木が悠然と聳え立っている。

 

「ふわぁ、おっきな木です……」

「本当にでっけぇなぁ。ルーマシーの木と同じくらいあるんじゃねぇか?」

 

 近隣に住む村人たちから聞いた通り、岸から島までは浮き橋が続いていた。

 ここには魔物たちがなぜか寄り付かず、今は見当たらないが、村人たちの憩いの場となっているらしい。

 揺れる橋をはしゃぎながら、途中で湖に落ちそうになりながらも渡り、小島までたどり着く。

 巨木の根元近くまで寄ると、その大きさがより感じられた。

 幹や枝葉に満ちる生命の力強さが、木を見上げるあなたたちに自然と感嘆のため息を出させる。

 

 しばしの間木を眺めていたあなたたちだが、ここにはピクニックに来たのを思い出す。

 ランチを取るのに良さげな場所を探すため、ぐるりと木の周りを回ることにした。

 

「おっさきー!」

「あー! ビィさんずるいです!」

 

 ビィとルリアは競うように、はしゃぎながら先へ行ってしまった。転んでも草が覆う地面では大きな怪我はしないだろうが、心配になるのは変わらない。

 あなたは二人の後を小走りに付いていった。

 

 ルリアとビィが、橋の反対側辺りに差し掛かったときだった。

 先行く二人から「ひゃわーっ!」「うわぁ!」と叫び声が上がる。

 さては魔物が出たのか。

 あなたは焦り、ランチボックスを放り出して二人に全力で駆け寄った。

 呼吸3つで駆け付け、ルリアとビィを庇って剣を抜く。

 何が掛かってきても対処ように身構えた。が、あなたを襲うだろう衝撃や痛みはない。

 思わず目を瞬かせるあなたの後ろから、ルリアが言葉をかけてきた。

 

「ご、ごめんなさい。その、女の子が倒れてたからびっくりしちゃったんです」

 

 ルリアの言葉で視線を下に向けてみれば、確かに女の子が倒れていた。

 

 紫と黒を基調とした服に身を包んだその少女は、快活さと儚さを同時に感じさせた。

 紫の長髪がかかるその顔にはあどけなさが残り、健康的な印象を受ける。

 だが雰囲気はどこか透き通ったものを感じさせ、純粋さを越してどこか「終わってしまった」と思わせるものがある。

 

 手は体の上で組まれ、まるで祈りを捧げているかのようだ。

 巨木の傍には彼女の物だろうか、細身の直剣が突き立っている。

 木漏れ日が彼女と剣を照らし、まるで宗教画を切り取ったかのような光景を作り出していた。

 

 あなたが魅入るように彼女を見つめていると、不意にぐいと後ろから引っ張られる。

 

「むー……!」

 

 振り返ればそこにはむくれたルリアの姿が。

 頬を膨らませて、何かを言いたそうにあなたをジト目で睨んでいる。

 どうやらあなたの行いがお気に召さなかったらしい。

 あなたは乾いた笑いで無理矢理誤魔化し、剣を収めて倒れていた女の子に近寄った。

 脈や呼吸を確認してみるが、ともに穏やかなものだ。

 怪我の類いも見当たらない。

 素人目だが、どうやらただ寝てるだけらしい。

 

「なんでぇ、寝てるだけかよ」

「あはは……。でも、なんともなくて良かったです」

「まぁな。しっかし、気持ち良さそうに寝てるなぁ」

 

 女の子の無事を伝えれば、あなたの頭に着地したビィが言う。

 確かに少女の寝顔は気持ち良さそうだ。

 よく見れば彼女の口元は微笑むように上っている。

 どこか楽しげな夢を見ているようにも思えた。

 

 近くの村の子だろうか、などとあなたたちが話していると、心地良さそうな寝顔が不意に歪む。

 何度か顔を動かすと少女が薄っすらと目を開き、こちらに寝ぼけ眼のまま顔を向けてきた。

 

「──ごめんね、起こしちゃった?」

「……んぅ、ふあぁ……っ、んはぅ……」

 

 少女はあなたの問いかけに、寝息のような曖昧な声で返事をし、次いで大きな欠伸をして、最後にくにゃりと笑顔を見せた。

 柔らかな表情からは、先程までの儚さは見受けられない。

 気のせいだったのだろうか。

 あなたは小首をかしげる。

 

 少女の気にしていない風を見て安心したのか、ルリアが声をかけた。

 

「おはようございます。よく眠れましたか?」

「んー……そうだね。すごく気持ちよく眠れ──ッ!!」

 

 少女はまだ眠気が抜けていない、気の入らない声で話し出したが、言葉の途中で何かに驚いたかのように飛び起きた。

 そして目を大きく開きながら、自身の体を確認するように触りだす。

 一頻り確認し終えると、今度はあなたたちに食って掛かってきた。

 

「な、なんで! どうして!? あの時、ボクは確かに……!」

「うわぁ! いきなりなんだってんだ!?」

「あわわ、そうですよ。落ち着いてください」

 

 あなたたちは突如叫びだした少女に驚き、落ち着かせようとする。

 が、その試みは上手くいかない。

 あなたたちの言葉が耳に入らないのか。

 それとも言葉だけでは止まらないのか。

 否、それとも止まれないのだろうか。

 彼女は徐々にヒートアップしていく。

 

「アスナは!? スリーピングナイツのみんなは!? それに他の──痛っ!」

「だ、大丈夫ですか?」

 

 髪を大きく揺らしながら取り乱していた少女が、不意に手を引き目を閉じた。

 その指先からは赤い滴が零れている。

 どうやら触れていた草の縁で切ってしまったらしい。

 あなたは持ち合わせていたハンカチを取りだし、彼女の傷口に添えようとした。

 と、そこで少女が溢れた血を食い入るように見つめているのに気づく。

 

「血だ……」

 

 ポツリと呟かれた言葉。

 先程とは様子が変わったことに、ビィとルリアも気づいたらしい。

 興奮していた彼女を落ち着かせようと、逆に慌てていたその動きを止める。

 

「ぅ──ぁあ──!!」

 

 少女が空いていた片手で口を覆うと、抑えきれない嗚咽がそこから漏れだした。

 喜びと、戸惑いと、様々な感情が入り交じって目に浮かび、見る間に涙が零れ落ちそうなほど沸き上がってくる。

 

「こ、今度はなんだよぉ!」

「そんなに痛かったんですか!? えと、えーと……!

だ、大丈夫! すぐに治りますよ!」

 

 ルリアの少しズレた励ましに、少女は頭を振って答える。

 体が揺れた拍子に涙の堤防は簡単に崩れ、彼女の動きに合わせてポロポロと地面に降り落ちていった。

 少女が血が滲む手を胸の前で握りしめる。

 それは胸の内に灯った何かを無くさないようで、あなたの目に尊く映った。

 

「ひとつ……ひとつだけ聞かせて……」

 

 嗚咽の間を縫って、少女が消え入りそうな声を発する。

 顔を上げてあなたたちを見つめる目には、どこか懇願にも似た想いが込められていた。

 少女の願いを感じ、あなたたちは静かに少女の言葉を待つ。

 

「ボク……ボクは、ここで──」

 

 

 

 

 

 

 

 

──生きてるの?




紺野木綿季ちゃん、お誕生日おめでとう!

CD聞いて映画3回キメたら書きたくなりました。
その割にはまだ名前すら出せてない体たらく。
お許し下せえ。

この後は仲間になって、色んなところを冒険して。
夢で再会して、アウギュステでも再会して。
そんな感じで続いていくはず。
せめて仲間になるとこまでは書きたい。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。