どうぞ
『それは″恋″よ』
ソレハコイよ? ソレハコイ……何かしら、ポケモン?
「ねえ真姫ちゃん、悪いんだけど、私最近のポケモンわからないのよ。アドバンスジェネレーション辺りまでならわかるんだけど」
「は? ポケモン? にこちゃん何の話してるのよ」
「いや、真姫ちゃんがいきなりソレハコイとかいうポケモンの話をしだしたんでしょ?」
「してないわよ! そ・れ・は・恋! って言ったの!」
「あ、もしかしてコイキングの進化前とか?」
「いい加減ポケモンから離れなさいよ! 恋よ恋! 恋愛! にこちゃんはその男のことを好きになってるのよ!」
コイ? あー、もしかして恋のこと? 恋愛かぁ……
「……………………はああぁぁぁぁ!!!???」
「うわっ、いきなり大きな声出さないで!」
私の声にビクッと肩を震わす真姫ちゃん。
「ちょっとストップ。オーケーオーケー、落ち着こう真姫ちゃん。真姫ちゃんが言っていた″ソレハコイ″とは、″それは恋″のことであり、つまりは私があいつのことを異性として好きになっているって言いたいのね?」
「だからさっきからそう言ってるじゃない」
「…………」
「…………」
「んなわけないでしょうが!!」
「ヴぇぇ、な、なんでよ。さっきのにこちゃんの話を聞く限りだと、その可能性が1番高いと思うけど?」
ふむ。なるほど。
「そう言うからには、真姫ちゃんも経験があるってことでいいのよね?」
「は、はぁ? ないわよそんなの」
「じゃあ何でわかるんですかー? 初恋もまだの人に何で恋だの愛だのがわかるんですかー?」
「花陽から借りたしょ、少女漫画とかで読んだからよ! 悪い!?」
少女漫画。真姫ちゃんが少女漫画ね。
「……………………ぷっ」
「なあ!? な、なによ!! 私が少女漫画を読んだらおかしいっていうの!?」
「言ってませーん。にこはそんなこと一言も言ってませーん」
「とにかく! にこちゃんの話を聞いたら誰だってそう言うわよ! それは恋! にこちゃんはその男子に恋してるのよ!」
「してませーん。にこはアイドルなので誰かと恋愛はしませーん。あいつはただのにこのファンですー」
まぁ、実際は花陽のファンなんですけどね。
……ちっ、また腹が立ってきた。
「……で? どんな男なの?」
「は?」
「だから、にこちゃんが気になってるその男よ。どんな奴なの?」
「うーん………………捻くれボッチ?」
「……? にこちゃんの仲間?」
「あんたにだけは言われたくないわよ!!」
「なんですって!?」
「なによ!!」
ガルルルと睨み合うにこと真姫ちゃん。
「…………はぁ、写真とかないの?」
「は? ないけど」
「何でないのよ!」
「何であると思ったのよ!」
「一緒に遊んだならあると思うじゃない!」
なるほど、確かに。
「でも、ないものはないのよ」
別に欲しいとも思わないしね。な、何よ、本当よ本当。だいたい誰があんな奴の写真なんて欲しがるのよ。
あ、でもあの眼は写真に写るとどうなるのかは知りたいかも。
にこがそんなことを思っていると、突然音楽室の扉が開き、
「呼ばれてないのにジャジャジャジャーン!!」
本当に呼んでない奴が教室の中へと入ってきた。
「ヴェェ!? の、希? ビックリしたじゃない!!」
真姫ちゃんは鍵盤の上に手を置いていたため、ビックリしすぎて、ヴァーン! と音を鳴らしてしまう。
「ていうか、本当に呼んでないわよ? あんた何しに来たのよ」
「いやいや、可愛い可愛い後輩が比企谷くんの写真を見たがってるってカードが告げてきたもんやからね。せっかくやし、見せてあげようかなと思ったんよ」
「は? なにそれ、どういうこと?」
よく意味がわからなかったので希に聞き返す。
「だぁかぁらぁ、ホイっ、これが比企谷くんだよ真姫ちゃん」
そう言うと、希はスマホの画面をこちらに向ける。
そこに映っていたのはプリクラで撮られた比企谷と例の男の娘のツーショット。
何であんたがこんな写真を持ってるのよ。
「ヴえぇ、この子本当に男なの? どう見ても女の子にしか見えないんだけど」
ん?
「あー、2人とも男の子だよ。ちなみに比企谷くんはこっちね」
言いながら比企谷を指差す希。
「え……でも……え?」
どうやら真姫ちゃんは少々混乱しているようだ。
それはあの男の娘が男だという事実に驚いているのか、それとも男の娘じゃないほうが比企谷だということに驚いているのか、はたまた比企谷の眼の腐りように驚いているのかはわからない。
まぁ恐らく最後のが妥当だろう。
「え、この子本当に男子なの? ていうか、こっちが例の男!? って何この眼!」
全部でした。
「そ、この男の子が比企谷八幡くん。にこっちのお気に入りだよ」
「別にお気に入りじゃないわよ。ただ将来にこのマネージャーをしてもらうつもりだから、今のうちに唾をつけてるだけ」
「は? 何でマネージャー?」
「そういう夢を観たのよ」
「お疲れっしたー」
「待って! この流れ前にもやったから! ていうか真姫ちゃんいつもそんな口調じゃないでしょ!」
「何故かやらないといけない気がして」
それは絶対に気のせいだ。
「それにしても……こっちなのね。いや別に否定するつもりはないし、これはにこちゃんの好みだから私には関係ないんだけど、ちゃんとした男なの?」
ちゃんとした?
「いや全然」
「は? えっと高校生よね? 勉強はできるの?」
「今2年生ね、穂乃果たちと一緒。勉強は国語は学年で3位らしいわ。まぁ数学はドベらしいんだけど」
「……性格は?」
「さっき言ったでしょ? 捻くれボッチ」
「………………将来のこととかちゃんと考えてる人?」
「確か、専業主夫」
「ちょっとその男に会わせなさい!!」
「ええ!? 何で!?」
次回、真姫ちゃん八幡に会いに行く。の巻(真姫ちゃんだけに)
お楽しみに
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