夢から始まる君とのLIFE   作:U.G.N

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 第5話

 どうぞ



2度目の遭遇

「はぁ……」

 

 一気に暇になった。穂乃果が生徒会長になる気になったのはいいが、説明やらなんやらで絵里、希、穂乃果、海未、ことりが部活欠席。真姫は作曲に専念したいとかで音楽室に篭り、りんぱなはアルパカの餌を買いに行ってしまった。

 

 つまり、

 メンバー全員休み=練習休み=私、暇

 という公式が成り立ってしまう。

 

「今日はママが早く帰ってくるから買い物もしなくていいし。……本当に暇ね。お参りでもしていこっかな」

 

 神田明神に行くとしよう。希は生徒会でいないんだから、こんな微妙な時間帯には人は滅多にいないだろう。

 

 

 

 

 ガランガランガラン

 ペコペコ

 パンパン

(トップアイドルになれますようn……、いや、これは自分で叶えるんだから神様にお願いすることでもないか。じゃあ、μ'sの皆がいつまでも元気で仲良くいられますように……)

 ペコ

 

「……さてと、いい感じで人がいないわね」

 

 一応回りを確認。よし、誰もいない。

 

「……確かな今よりも~♪」

 

 ダンスは無しで、できるだけゆっくり歌う。まるで詞を朗読するような、そんな歌い方。

 実はこの歌、すごいゆっくり歌うとまた違った良さが出てきて、私好きなのよね。

 

「~~ぐんぐん、前に進むよ~、君が~~♪」

 

 やっぱりダンス無しでしっかり歌うのもたまにはいいわね。目を瞑ると、風に揺れる木の音が良く聞こえて、心地よいメロディーを奏でてくれる。

 

「憧れを語る君の~、譲らない瞳が~~♪」

 

 

「……大好き」

 

 

 左手を胸に当て、右手を前に伸ばす。自然とそんなポーズをとってしまう。

 

 突然ですがここで、にこがしてしまった失敗をご紹介します。

 ①ここは外だということ。

 外だというのに、思いっきり気持ち良く歌ってしまった。

 ②ノリノリになってついポーズをとってしまったこと。まるで歌詞を語りかけているかのようなポーズだ。

 ③気持ち良くなりすぎて目を瞑ってしまったこと。

 ④選曲がぼらららだったこと。

 

 これらから導き出せる答えとは……

 

「いや、そんなこと言われても、お前に俺の憧れを語ったことなんてないんだが……」

 

 …………。よし、状況整理だ。

 

 まず1度回りを確認したこともあってか、①を完全に忘れていた。②のせいでこいつに語りかけているようになってしまった。さらに③のせいでこいつの接近に気付かなかった。そして④……

 

 もう1度ぼらららのサビの最後の歌詞を確認してみよう。

 

『憧れを語る君の、譲らない瞳が、大好き』

 

 この歌詞を、目の前にいるこいつに手を差し出しながら語りかけるように歌うにこ。

 

「ぬおおぉぉぉぉぉ!!!!???」

 

 叫ぶしかない。死んだ。もう駄目だ。ママ、先立つ不幸をお許しください。にこは今から……

 

「……こいつを殺してから、私も死にます」

「ちょっとまて」

 

「待てるかぁぁーー!!! は? え? 何であんたがこんなところにいるのよ!!??」

 

 イミワカンナイ! ホントイミワカンナイ!!

 

「妹に頼まれたんだよ。何でもここの神社は妙にご利益があるらしくてな。お守り買ってこいって言われた」

 

 そう言いながら今買ったと思われるお守りを見せてくる。

 はぁ? 妹にお使いを頼まれた?

 

「あんた、家この辺なの?」

 

「いや? 千葉」

 

「……千葉!? 千葉から来たの!? 学校は?」

 

「いや、学校の後に」

 

「学校の帰りに東京までお使いさせる妹とか、なかなかね」

 

「受験生だからな。俺が受験のときはいろいろ面倒見てもらったし、これくらいわな」

 

 ふぅん、意外とお兄ちゃんしてるのね。

 

「まぁ今でも面倒は見てもらってるけどな」

 

「駄目じゃない!?」

 

 私の感心返して!

 

「んで? 何でこんなところで俺は愛の告白されたのん?」

 

「ち、違うわよ! 歌! 歌を歌ってたの!!」

 

 違う違う! 違うんだから!

 

「歌?」

 

「そうよ! 私たちの歌」

 

「私たち? ああスクールアイドルね。なんだっけ、えーと、みゅ、みゅ、なんだっけ?」

 

「μ'sよμ's! そのμ'sの歌!」

 

「ふぅん」

 

 まったく、ちゃんと覚えておきなさいよ! A-RISEのグッズは買ってたくせに!

 

「じゃあどうぞ」

 

「へ? 何が?」

 

「続き」

 

「続き?」

 

「歌の」

 

「歌の?」

 

 ん? 歌? 歌うの? ここで? あんたの前で?

 

「な、なんで?」

 

「いや、練習してたんだろ? どうぞ俺に気にせず続けてください」

 

「うっ、だったらどっか行きなさいよ」

 

「ライブだったらもっと人が多いとこで歌うんだろ? 何だ? 緊張でもするのか? 俺1人相手に」

 

 む。カチンときた。

 

「はぁ? 何でにこがあんたなんかに緊張しなきゃ、」

 

 

『結婚しよう』

 

 

「……っっ」

 

「……あ? どうかしたか?」

 

 な、何で今あの夢を思い出してんのよ私は!

 

「な、何でもない! いいわよ、歌ってやろうじゃないの!」

 

 そう言い、ぼらららをダンス付きで思いっきり歌ってやった。

 

「…………」

 

「はぁ、はぁ。……何か言いなさいよ。にこのソロライブを独り占めできるなんて滅多にないのよ」

 

「それさっきの曲?」

 

「……? ええ」

 

「何かさっきとはだいぶ雰囲気が違うな」

 

「こっちが本当なのよ。さっきのは私がアレンジっていうか、ただゆっくり歌っただけよ」

 

「へぇ。今の歌い方もいいけど、さっきのも良かったんだけどな」

 

「……っ。あ、ありがと」

 

 な、何普通に感想とか言ってんのよ。

 

「ま、いいもん聞けたし、そろそろ帰るわ」

 

「あ、ま、待って!!」

 

「あ?」

 

 あ、やば。何で引き留めたんだろ。えっと、何か言わなきゃ。

 

「アドレス! アドレス交換しましょ!」

 

「……? 何で?」

 

「いいでしょ、別に!」

 

「知らない人に連絡先を教えちゃいけないって親から言われてるから……」

 

「いいのよ! あんたは将来、私のマネージャーになるんだから!」

 

「いやだから何でお前の中での俺は前からマネージャーなんだよ」

 

 ブツブツ言いながらもスマホをにこに渡してくる。

 

「……にこが打つのね。ていうか、よく他人に携帯を渡せるわね」

 

「見られて困るものはないからな」

 

 うわ、アドレス帳少なっ。……いや、でも私も家族とメンバーを抜いたら変わらないかも。

 

 あ、こいつヒキタニ八幡っていうのね。苗字初めて知ったわ。

 

「ちなみに俺の苗字はヒキガヤな」

 

「そ、それくらい見ればわかるわよ」

 

 っぶねー。いや、わかってましたけど? 読めてましたけど?

 

「はい。登録完了」

 

「……これ、使うときあんのか?」

 

「ま、念のためよ、念のため。にこの気分次第で、またソロライブが聴けるかもしれないわよ?」

 

「ふぅん。じゃあ次は僕らのLIVE 君とのLIFE以外の曲も楽しみにしとくわ」

 

 そう言い残して、比企谷は歩いて行ってしまった。

 

 

「………………………………あれ?」

 

 曲名、あいつに言ったっけ?

 

 

 

 

 

 





 八幡登場。でした
 次回もお楽しみに

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