「「おぉーー」」
駅前全体が見渡せるカフェに、サングラスを掛けた怪しい2人組。
「いやー、にこっち気合い入ってるなぁ」
「可愛いですね。今日はツインテールじゃないんですね」
「そうやねぇ、髪を下ろしたにこっちなんて珍しいんやけど……。ムフフ、楽しみやわぁ」
コーヒーを飲みながら嫌な笑みを浮かべる少女と、それを見て苦笑いをする少年。
「お、動き出したみたいやね。うちらも行こか」
「はい。こういうのドキドキしてちょっと楽しいですね」
にこ達が移動したのを確認すると、2人も席を立ち、後を追うように店を出た。
「サ、サイゼ? 会って最初に行くところがサイゼ?」
「は、ははは。恐らく八幡の提案かと……」
前を歩く2人が入っていった店を見て驚愕する少女とまたも苦笑いをする少年。
「八幡、サイゼリヤ好きですから」
「う、うーん。まぁ確かに高校生には良い場所だとは思うけど、デートにはどうなのかな」
「八幡はそういうの気にしませんから」
「それを提案するってだけで鋼のハートの持ち主やね」
2人はサイゼの反対側にある喫茶店に入ると、サイゼが見える窓際に座りメニューを開く。それにしても、店内に入ってもサングラスを取らないこの2人組の怪しさは申し分ないほどである。
「お、でも意外と楽しそうやね。あの2人」
「あ、そうですね。八幡も結構喋ってるみたいだし」
2人はサイゼのにこ達を見ながら、コーヒーを注文する。
「あ、そうそう。にこっちから聞いたんやけど、比企谷くんってまだうちらのグループ名覚えてくれてなかったんやね。ひどいなぁもう」
「……え? えっとそれっていつのことですか?」
「ん? にこっちと2回目に会ったときって言ってたよ? 神田明神で」
「八幡が矢澤先輩とアドレスを交換したときですか?」
「そうそう」
少女は頷き、肯定する。
「んー、何かの間違いじゃないですか?」
「……どゆこと?」
「だって八幡。初めて秋葉原で矢澤先輩たちと会ったあと、ぼくがμ'sのPVのこと教えてあげたらそれからμ'sのファンになってましたもん」
「…………へ?」
「ていうか、今日は何で呼んだんだ? 何か用事か? また歌うのか?」
「いや、歌わないわよ。今日はね、あんたにアイドル講座を受けてもらおうと思ったの!」
「お疲れっしたー」
「まってまって」
席を立ち上がった彼の服の裾を掴んで引き留める。
「いや、アイドルとか興味ないから」
「大丈夫よ。これから興味持つことになるから」
「大丈夫だと思える要素が1つもねぇ」
私の引っ張る力に恐れをなしたのか、比企谷は再び席に座った。
「それにあんたは将来、にこのマネージャーになるんだから。多少アイドルのことも知ってないと」
「……だからね? 何で俺の将来が既に決まっちゃってるの? 一体いつから俺はお前のマネージャーになったのん?」
「まだなってないわよ。これからなるの」
「うん、そこはどうでもいい。何で俺がお前のマネージャーをやるのが決まってるみたいになってんだよって話」
はぁ、鈍い奴ね。
「そういう夢を観たのよ」
「お疲れっしたー」
「タンマタンマ」
私は再び、帰ろうとする彼の服の裾を掴む。
すると、いきなりポケットのスマホが震え出す。
私は比企谷を何とか座らせてスマホを見る。
「とにかく、アイドルに何の興味もない俺が、マネージャーなんてやるはずないだろ」
ブスッとした顔でガムシロップを大量に入れたコーヒーを飲む比企谷。
「……………………でも、あんたμ'sのファンらしいじゃない」
「ブフッーーっ!!」
「ちょっ、うわっきたなっ! あんたね! 危ないでしょうが!! にこは今日白い服なのよ!?」
比企谷がにこの言葉にいきなりコーヒーを吹き出した。
え、このメールの内容ってマジなの? ていうか希は何でそんなことを知ってるの?
(カードがうちに告げたんや)
心の声に入ってくるのやめなさいよ!
ていうかあんたのカード何でも告げ過ぎでしょ。
(スピリチュアルやね)
スピリチュアル過ぎるわよ。
(にこっちにこっち)
何よ。ていうかだから、心の中で私に話しかけてこないでよ。
(ファイトだよ!)
何が!?
「え、マジでファンなの? しかも神田明神で会ったときにはもうファンだったっていうタレコミが」
でも、もしこれが本当ならあの帰り際の台詞が、あの曲の名前を知っていた理由が繋がる。
「な、なんだよその意味不明なタレコミは。誰からだよ」
「匿名希望だって」
そう言い私はスマホの画面を比企谷に見せる。
From: 東條 希
To: 矢澤 にこ
件名: 大ニュース!
にこっちにこっち! 何かね、比企谷くんはにこっちと神田明神で会ったときにはもう既にμ'sの大ファンだったらしいよ! 素直じゃない彼のことだから、きっと恥ずかしがって知らないフリをしたんじゃないかなっていう情報をGET! これはスクープだー!
匿名希望♪
「……いや、差出人のところに名前が書いてあるんだが」
「あ、ほんとだ」
ごめん希。普通に見せちゃったわ。
それはともかく、にこはニヤニヤ顔を作る。
「なぁんだ~。比企谷君ってば既ににこ達のこと知ってたんじゃない♪ しかも、大ファンだって~。そう言えばぁ、ぼらららの名前も知ってたもんねぇ」
「ぐっ……」
「あれれぇ~? アイドルとか興味ないんだっけ~? でもおかしいなぁ、比企谷君の大好きなμ'sはスクールアイドルなんだけどなぁ」
「…………っ」
「あ、もしかして、あのとき続きを歌えって言ったのもぉ、μ'sの1人であるにこの生歌が聞きたかったからなのかなぁ?」
「」
「つまりぃ~、比企谷君の推しメンは、にこってことなのねぇ」
「いや、小泉花陽」
「ぬわぁんでよ!!」
一応名前は出していませんが、誰かわかりましたよね。
実はこの2人が繋がってて、希は八幡が千葉暮らしだのなんだのを知っていたということてす。
つまり、希にいろいろ告げていたのはカードではなく、なんと彩ちゃんなのでしたぁー!!
と、いうわけで次回もお楽しみに
近々、アニメ2期と同じ時期に入っていくつもりです。
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