行商人に言われ、過去を振り返り、感傷に浸っていた。
(父さんと母さん、元気かな?師匠は・・・・・・まぁ、殺しても死なないし大丈夫か。)
と考え、煙草を焚き火の中に捨て、もう1本と思っていたら
(・・・・・・・・・!殺気!)
次の瞬間馬が嘶き、行商人もそれに釣られて起きだした。
「兄さん、どうした!?」
「敵だ!多分、蛮族!隠れてろ!」
シュウェは腰の愛刀を抜き妖精達を呼び出した。
(・・・来る!)
シュウェは敵の気配に向かって妖精魔法を打ち込んだ。
「グギャァ!」
明らかに人の声ではない。汚れた種族、蛮族だ。
(ボガードか、束になっても怖くはないが・・・依頼主の方が心配だ。)
と思ってはいたが。
「こっちは大丈夫でさぁ!兄さん!頼むぞ!」
と言い、馬を使いこなし蛮族を寄せ付けない。
「安心してくれ!3分もかからん!」
と叫びつつ目の前のボガードを切り捨てた。
(あと4匹!)
ボガード達は行商人を諦め、先にシュウェを、倒そうとするらしい。4匹でシュウェを取り囲んで逃がそうとはしない。
しかし、シュウェも一角の冒険者。ボガード4匹など敵ではない。
「はぁっ!」
強く踏み込んでボガードに袈裟斬りを食らわす。
「グギャァァ!」
と叫び声を上げ、ボガードの一体が自身の流した血の中に沈む。
(あと3体!)
シュウェは飛びかかってきたボガードを蹴りとばし、水平切りで真っ二つに切り裂いた。
「妖精達!力を貸してくれ!」
と、シュウェは妖精達との契約の証である宝石が着いた指輪に魔力を注ぎ込み、妖精魔法でボガードを狙い打った。
「ガァッ!?」
魔法などろくに見たことすらないのだろう。抵抗もできずにボガードは地に伏して動くことは無かった。
(最後!)
シュウェは飛びかかっくるボガードの攻撃をよけ後ろから首筋を切り捨てた。
「・・・ふぅ。」
「やれやれ、大丈夫かい?兄さん?」
「護衛対象に心配されちゃあ形無しだよ。」
「そりゃそうだ、見事な戦いだったよ。」
「どうも、それより早く出発しよう。」
「何故だい?」
「あれは多分様子見の斥候っといったかんじだろう。すぐにより上位の蛮族がやってくる。」
と言いながら焚き火を消し、手早く準備をした。
翌日、昨日までとは打って変わって緊張した様子で2人は道を行く。
「兄さん、このまま無事に着くと思うかい?」
「有り得ないね、まず間違いなく戦闘になる。」
「大丈夫なんだろうね?」
「当たり前だ。昨日は奇襲だったからあんなことになった。アンタの言うことが正しいならここから先は背の高い草木のない平原。見晴らしがよく奇襲はできない。」
「昨日言ってた蛮族の親玉には勝てるのかい?」
「何が出るかは予測つかんが余程のやつじゃない限り大丈夫だ。」
ぽつ・・・ぽつ・・・
「雨か・・・」
「この雨が吉と出るか凶と出るか、だな。」
雨が降れば2人の匂いが薄れる。しかし、荷馬車が通りづらい。
「とにかく急ごう。」
「ああ、そうだな。」
しかし、二人の祈りが届くことは無かった。
「・・・!やばい!」
「ブルルル!」
シュウェと荷馬が同時に気づいた。
「見えた!検問だ!」
行商人が叫ぶ。
シュウェは抜刀しながら
「ここは俺に任せろ!あんたは検問で衛兵を連れてきてくれ!」
と叫びつつ妖精魔法で後ろに氷の壁を作り蛮族語で
「ここを通りたければ俺を倒してからにしな!」
と叫んだ。
「おいおい、こいつはやっすいセリフだなぁ!」
「お前らの下賎な言葉だと人間様の高貴な言葉は使えないからな!」
「き、貴様ぁ!殺す!」
「上等!かかって来い!」
多分次には街にたどり着きます。