「だぁっ!」
という叫びとともにボガードを横一文字で切り払った。
(くそ!キリがない!)
「グガァッ!」
「くっ!」
一体一体は所詮ボガード、取るに足らないものではあるが、如何せん数が多すぎる。長期戦になればなるほど集中力が途切れ不利になっていく。さらに雨で視界が悪く、余計に戦いづらい。
(魔力もさっき使い切ってしまった。魔晶石はあるが、何処まで持つか・・・)
と、思っていたら
「ぐはっ!」
一瞬の隙をつかれ、ボガードの攻撃を受けてしまった。
(まずい!)
いくら数が集まろうと所詮ボガード。シュウェにダメージはない。しかし、攻撃を受けシュウェが体勢を崩した隙に何匹かのボガードか横をすり抜け、氷の壁に攻撃を始めた。
(くそ!出し惜しみできない!)
そう思いながら懐から魔晶石を取り出しその魔力を使って壁に攻撃しているボガードに妖精魔法を叩きつけた。
「はぁ・・・はぁ・・・これで、大部分は片付いた。」
『それはどうかな?』
「誰だ!?」
シュウェが声の方へ振り向くとそこには他のボガードより二回りほど大きいボガードがいた。
『ボガードトルーパーか、あんたがこの群れのボスだな?』
『いかにも、これ以上無用に部下を死にに生かせるのは心苦しい。一体一で決着をつけよう。』
『よく言うぜ、俺が疲れるまでこそこそ隠れていたんだろ?』
そう言って剣を構えなおした。
(さて、おそらくもう雑魚は襲ってこない。だが、魔力はなくなって魔晶石も使い切った。相手も魔法は使えないはずだから、純粋に剣技のみでの勝負。)
「ふふっ、ははははははっ!」
『何を笑っている?』
「いいねぇ!この感じ!ゾクゾクする・・・さあ!やろうぜ!」
『殺す!』
両者共に得物を担いで切りかかる。お互いに円を描くように動きながら休むことなく剣戟を浴びせる。
「はあっ!」
『うぉらぁ!』
激しい戦いの中シュウェは
(力任せの勝負は体格的に劣っている俺の方が不利・・・ならば!)
と、さらに激しく動き相手に的を絞らせない。
トルーパーはシュウェの動きが捕えられず戸惑っている。
『ぬぅ、小癪なぁ!』
スピードに翻弄され、次第に決着が見えてくる。
だが、
「しまった!?」
『はっ!足を滑らすとは不運だったな!人間の戦士!』
「クソがっ!」
トルーパーが止めの一撃を刺そうとしたが、シュウェがとっさに投げた剣を弾いた隙にシュウェは起き上がり、ぬかるみから脱出した。
『往生際の悪い。だが、武器も持たずに何が出来る?』
『やってみないと分からないぜ?』
『ほざけ!』
トルーパーはシュウェに猛然と襲いかかる。シュウェはなんとか避けているが、攻撃する暇もないからいつか捕まる。
(どうする?いや!考えるな!集中・・・集中するんだ・・・)
シュウェはどんどん集中していき、周りの音が消え、トルーパー以外見えなくほど集中していく。
⦅なぜだ?なぜ剣を持たぬ戦士にここまで苦戦する?なぜ当たらん!?⦆
集中し、さらにスピードを上げていく。
「いいねぇ!もっと速く!もっともっとだ!」
『グゥ!クソォ!』
次第にシュウェも攻撃に転じる。トルーパーの攻撃を避けざまに拳打を加えていく。
そしてついに。
『くそ・・・まさか人間の戦士に・・・剣なしで負けるとはな・・・』
と言い、力尽きた。
「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ。」
と、シュウェもその場にへたり込む。ボガード達はボスが倒されたことに意気消沈してその場から動けないでいる。時期に衛兵が来るだろう。
「」←普通の言葉(共通交易語)
『』←その他の言語、今回は汎用蛮族語です。