水の如く生きる   作:大葉景華

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第6話

海賊との戦闘での危惧はシュウェとフィオーレは初めての共闘であるから上手く連携が取れない事であったが、それは杞憂に終わった。

フィオーレはシュウェの動きに合わせシュウェが相手の体制を崩した所に的確に弓を放つ。そしてシュウェの後ろから来る敵に向かってやで怯ませ、その隙にシュウェが相手を切り捨てる。他の冒険者や雇われの傭兵も手練であったために海賊達は見る見るうちに捕縛されていく。

「ふぅ・・・そろそろ終わりか。」

「そうだね。」

と、2人が俺は話していたら

「ぐわぁぁ!」

「ぎゃぁぁ!」

と悲鳴が聞こえた。

「どうした!」

と2人が声のした方に武器を構えると、刀身が背丈ほどある大剣を振り回している男がいた。海賊船の船長らしき男が得意げに叫んでいる。

「はっはっはっはっはっ!凄い!凄いぞ!先生!やっちゃつてくだせえ!」

「うるせぇよ、俺はただ暴れたいからお前らの作戦に乗っただけだ。お前らの味方じゃねぇよ。」

「はいはい、分かってますって。」

「ちっ、狸ジジイが。まぁいい。俺は思うように暴れさせてもらうだけだぜ。」

 

「まずいぜアイツ。」

「はい。相当の手練ですね。」

「おそらく雇われのゴロツキだろうな。」

「どうする?」

「もちろん!俺がやる!手出すなよ。1体1だ。」

「やれやれ、そう言うと思ったよ。」

そうして、シュウェは武器を構え

「おい!そこの大剣使い!強いやつと戦いたいんだろ?俺が相手だ!」

と叫んだ。

「うん?ほーう?お前、なかなか強そうだな。楽しめそうだ!」と相手も剣を構えた。

(この前のボガートトルーパーと同じ。パワーは負けているが、スピードはこっちの方が上。ただし、トルーパーなんかより断然強い!最初っから全開だ!)

シュウェの集中力がどんどん増してゆき、トルーパーと戦った時のように周りの景色が見えなくなり、音も自分とあの青年の出す音しか聞こえなくなった。

「俺の名前はシュウェだ!名前を聞こう!」

「俺の名前はヴィズ!」

「さあ!行くぜ!」

「おう!」

と両者ともに剣を構えて突進する。丁度甲板の真ん中でお互いの武器が交わる。

ガキィィン!と激しい金属音をならし打ち勝ったのはやはり重量のある武器を使うヴィズ。たたらを踏んでシュウェは後ろに下がった。

(やっぱり正面からは不利か・・・いやあの時みたいに考えずに感覚に任せた方がいい!)とさらに集中を深める。

「ウォラァ!」とヴィズが大きく踏み込み水平切りを放つ。シュウェはそれを後ろに飛んでよけ、振り切った方とは逆の方に走り込む。そして、ガラ空きとなった部分に剣を打ち込むが、

「遅いぜ!ウラァ!」

と、ヴィズが片手で剣を持ち直し再び水平切りを放った。

しかし、シュウェは今度は下がらずにスライディングで水平切りを、避ける。

「何!?」

(これなら届く!)

シュウェはスライディングの勢いを利用して、ヴィズの足を切り裂いた。

「ぐっ!」

大分深く切り裂いたが、ヴィズは膝を付かず再び剣を肩に担いで構えた。

「おい、その足では満足に踏ん張れないから剣のスピードも落ちる。決着はついただろう。もうやめよう。」

「うるせぇ!こっからが楽しいんだろうが!」

と、構えるが、やはり足にきているのだろう。先程のように豪快な攻撃は出来そうにない。

「・・・こっちとしても楽しい戦いに水を差すのは心苦しいが、任務なんでな。悪く思うなよ。」

と言って妖精魔法を打ち込んだ。

「ぐっ!?魔法?クソ・・・がっ・・・!」

と言って倒れた。

「フィオーレ、こいつを縛って手当してやってくれ。」

「構わないが、君は何をするつもりだ?」

「後始末が残っている。」

と言って、海賊船の船長に剣を向ける。

「ひっ!クソ!殺ってやる!」と剣を振り回すも、シュウェは軽くいなし手首を切り裂きそのまま船長を真っ二つに切り捨てた。

「ふぅ・・・これで終わりだな。あとは全員縛って港で衛兵に引き渡すだけだな。」

疲れた、と言いながら煙草を吹かしながらシュウェはもうすぐ見えるであろう港を見つめていた。


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