意識が高すぎて魔法科高校に入学したが劣等生だった。   作:嵐電

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入学編 15

「テロリストの狙いは、おそらく学校の図書館。と言うよりも図書館で得られる情報だと思う」

僕が、自称学生の有志同盟達をテロリスト呼ばわりしても四人とも何の反応を示さなかった。

 

「だったら、警察や学校に通報した方がいいんじゃないか?」

白石くん、真っ当な考えです。

 

「じゃあ、白石くん通報よろしく」

僕の言葉にみんな呆気に取られている。テロ等準備罪(いわゆる共謀罪)が整備されている今は、それ用の窓口もある。広域通報制度も100年前から整え始められ公安、警察、国軍等通報先は選り取りみどりだ。もちろん、匿名での情報提供も可能だ。ただし、この場合は報奨金がもらえないが。

 

「学校には知らせないの?」

朝田さんが、質問して来た。

 

「学校は、今回の件を生徒会に一任しているから通報するなら生徒会だね」

 

「あたし達で、テロを防げないかなぁ」

やはり、涼野さんは常春の頭だった。そんなことしてたら命が幾つあっても足らない。朝田さんはいつも相当苦労されているのがよ〜くわかった。

 

「僕等の中にA級魔法師がいないから、テロリストが重武装していたら対処出来ないよ」

朝田さんが、ほっと胸をなでおろすのが見えた。一方、涼野さんは残念そうだ。

 

これで、警察と公安と軍関係と皇族関係に一高図書館テロの情報は出回るだろう。この妄想ブログをご覧の方々も、もしお知り合いに一高関係者がおられましたら明日は学校を休むか、図書館には絶対に近寄ってはならないとご注意下さい。

 

もちろん、テロリストを一網打尽にして出世の糧にお使いになるのも大歓迎です。

 

「本当に明日なのかなぁ」

涼野さんが疑問に思うのもごもっとも。やるとしたら討論会のある明日が良いと感じただけだ。日を置くとエガリテのメンバーに脱落者が出てくる。メンバーの士気が高まっている時に決行するべきなのだ。

 

と偉そうに語っているが昨日の夢で初めて解った事だ。夢見については今は省略する。

 

「明日、師匠くんはどうするの?」

朝田さんが尋ねる。

 

「途中で抜けるよ。僕は帰宅部のエースだから!」

 

◇◇◇

 

「うるさいぞ!同盟」

と野次って僕は討論会を抜けて来た。

 

今は、図書館の前の中庭で寝転がっている。僕は嘘をつくのを好まない。

「途中で抜けるよ。僕は帰宅部のエースだから」と言ったが、途中で討論会を抜けて帰宅するとは言ってない。

 

 テロリストが、動き始めたら適当に邪魔をして連中に排除されて、全治一週間程度のケガをして連中を障害で刑事告訴する。刑事告発ではなく直接被害を受けて刑事告訴するのが重要なのだ。罵声を浴びせられれば名誉棄損も追加しておく。意外なことに名誉棄損は刑法にもあるのだ。民法だけでなく。

 

 そして、最先端の魔法技術や国家機密に関連する事項を盗み敵国に渡すのは明らかな売国利敵行為であるとして外患誘致罪等も告訴状に追加しておく。外患誘致罪は死刑しかない。テロリストは全員死ねばいいのだ。

 

あっ!やられた!

 

「師匠。抜け駆けズルい」

長岡さんが視野の外から声をかけて来た。

 

 

「あーっ!!いた。いた~!」

皆がぞろぞろと付いて来た。仕方ないので掻い摘んで身振り手振りを交えて作戦を皆に伝えた。目立つことこの上ない。エガリテのメンバーにも当然睨まれている。二人組だ。

 

『何だ?あいつら?』

『1年のお笑い五人組です』

『世界初のお笑い魔法師ユニットを自称する連中です』

『で、あいつら何をしているんだ?』

『コントの練習だと思います』

朝田さん、読唇術ありがとうございます。エガリテ!お前ら、名誉毀損を民事でも訴えてやるからな。賠償金覚悟しておけ!

 

ドン!ドン!

 

爆発音が聞こえて来た。

 

「ひゃー、怖いー。図書館に避難しよう〜(棒)」

僕がコントを開始した。

 

「やべーよ!やべーよ!図書館に逃げよう(棒)」

自称E組のトリックスター白石くんがアドリブで乗っかって来る。日頃の鍛錬の賜物だ。

 

僕等は、命からがら和気藹々と図書館に入って行こうとした。エガリテメンバーに制止された。

 

「何で、止めるの?君らも一緒に図書館に逃げようよ〜(棒)」

エガリテメンバーが僕を突き飛ばした!

 

「親父にもぶたれたことないのに!(棒)」

白々し過ぎて、エガリテメンバーもさすがにおかしいと感じ始めている。

 

「お兄ちゃんに言いつけてやるんだからぁ〜〜〜!うわぁ〜〜〜ん!(棒)」

はい、全員撤収。

 

予定通りテロリストから打撲と擦り傷をありがたく頂きました。あとは、病院で医師に診察してもらい全治一週間と書かれた診断書を三千円払って書いてもらうだけだ。

 

◇◇◇

 

月曜日、登校するとカウンセリングルームに来て欲しいと伝えられた。

 

「何か、悩んでいる事とかあったら教えてちょうだい」

目の前にいる小野教員(この人は教員免許保持者なのだろうか?それとも医師免許保持者なのだろうか?職業のわかりにくい人物だ。グラビアアイドルかも知れない。)

 

やはり、そう来たかと思った。そこで、このように応える。

「悩んでます。今、自分が書いている小説のことで」

 

カウンセラーは、クランケの言うことを頭から否定しない。クランケに話させなければならない。

 

「主人公ヒーローは、正義の為に我国の防衛の為に戦い続けているのですが、主人公の戦い方を押し通そうとすれば知り合いの美少女サブヒロインが犠牲になるのです。それでも、主人公に戦いを続けさせるべきかそれとも戦いに勝ち彼女も救うべきなのか?どちらの方が、今の読者は喜ぶのか支持するのかで悩んでいます」

 

小野先生は、僕の小説の話をじっと聞いている。そして、慎重に答えた。

「今の読者の多くは、主人公に敵にも勝ち彼女も救うのを支持すると思うの」

 

僕も、慎重に答える。

「それでは、主人公があまりに超人的になってしまい現実離れします」

 

「どうしたら、主人公は問題を現実的に解決出来ると思う?」

少し、小野先生は前のめりになった。本気になって来たようだ。本性を現して来たと表現しても良い。

 

「味方の協力が必要です」

 

「なるほどね」

 

「では、これで失礼します。味方の協力で主人公は敵に勝ち彼女も救う話を考えます」

 

◇◇◇

 

 土曜日は色々とあったそうだ。また、詳しいことは白石くんに聞いてみよう。まるで、何かのレポートを読んだくらいに詳しく教えてくれるだろう。主人公には『味方の協力』が必要なのだ。もしなければ、主人公の好きな方法で戦い続けるしかない。サブヒロインは最低でも懲役だ。もちろんこれは、僕の小説の話だ。

 

「あ、おれおれ」

「はぁ?あんた、とうとう詐欺師になったの」

スピーカから聞こえてくる音声は、二高に行った河村さんだ。相変わらずのツンデレさんだ。僕にデレたことは一回もないが。

 誰?誰?美波の彼氏?などと黄色い声が彼女の背後から聞こえてくる。

 

「ちょっと、聞きたいことがあるんだ」

えーっ、もしかして告白ー!なんて河村さんの友達が盛り上がっている。河村さん、少し上機嫌になった。遠くに親しい異性の友達がいるのは女子力の高さの証だ。(と今考えた。)

 

「あらたまって、なによ。あたし忙しいんだからね」

「美波の行った二高で、テロリストが暴れたりしてる?」

「はぁ~あ?!」

 

 それから、僕は一高であった過激な出来事を話して、河村さんから二高の話を聞いた。

 

 二高は、一高に比べれば何もないに等しかった。僕は、ガッカリした様子が伝わってくる河村さんに丁寧にお礼を言って回線を切った。

 

 

 これは、一体どう理解すれば良いのか?

 

 一高で起きたテロをもみ消したのは、大人の事情である程度説明できる。しかし、僕の個人的なテロリストを葬り去る外患誘致罪刑事告訴まで教員が止めた。僕は誰にも告訴するとは言ってない。四人にも通報しか伝えてないにも関わらず。

 

 最初から、学校は事件が、起きても全力で表沙汰にならないように準備をしていたとしか解釈できないのだ。何せ諜報まで使って表沙汰になるのを止めてみせたのだから。

 

 では、なぜそのような準備までして事件を表沙汰にしない必要があるのか?

 

 

 一高には、テロのような事件を欲しているのだ。

 

 もっと言えば、一高では事件そのものが教育カリキュラムの一つに入れられているに違いない。とは言え、自作自演は出来ないから本物のテロリストをわざと野放しにしていたのだろう。

 

 レベルの高い魔法師育成のために実戦を若いうちに経験させるのが一高の教育方針ということか。

 

 

 僕の学校は戦場だった。文字通り。

 

 

 

 今夜は最高。

 

 

 今日も眠れそうにない。寝る前に座禅をしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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