気付くと、そこは幻想的な海の中だった。―――うみぃ!?
慌てて口を押さえて……普通に呼吸出来ている事に気付く。
ほっと一息付いていると、目の前に美人が現れる。
綺麗だ。水の中故に、長い水色の髪が広がり、小さく
その姿に暫し見とれる。
――――――いや、何故だ? 見たことあるなこいつ。それもつい最近。
「ここは水の神殿……ようこそ、異世界からの旅人よ」
「あ、はい……あぁっ! そうだお前車の!」
「ギクッ」
思い出した! あのスポーツカーに轢かれた瞬間の事!
轢かれて水に落ちる直前に見えたスポーツカーの運転手!
「バカに可愛らしい運転手だと思ったんだよ! 俺を轢いたのお前じゃねぇか!」
「人違いですよぉ~ラララ~♪」
「無駄に美声!……だがな。さっき『ギクッ』とか言ったろ?」
「な、なんの話かしら?」
「明らかな動揺! その上『異世界からの旅人よ』って……お前、自分の罪を誤魔化すつもりだったな!?」
あたかも探偵のように指を突き付ける。
あ、泣き出した。
「だっでぇ~! やっとローン組んで車買えたんだもん~!」
「うるせえ! こちとら殺されてんだぞ! どうしてくれる!」
怒鳴り付けてやると、この殺人犯は泣き止む。
「うぅ……私、これでも上位の精霊だから……幾つかの世界に存在できて……」
「つまり? 一言で言うと?」
「…………あなたは異世界の旅人に成りました」
まさかの過去形。決定権なんて無かった。いや良いんだけど。ほら、異世界とかいう言葉だけでテンション上がってくるじゃん。
だがそんなことはおくびにも出さない。
「ふん、で? つまり俺は何がどうなるんだ」
「私の加護を使うことで複数の世界を渡り歩けるようになります」
「そのメリットは?」
「その、上手くすれば英雄になれますし、水さえあれば生きていけます。不老にもなるし、私が使える魔法の一部を使えます」
「よし許してやろう」
決め手は魔法の部分だ。魔法、最高。科学とか
「あ、あ、ありがとうございます!」
「うむ。では色々な説明をしてくれ。どんな魔法が使えるかとか、どんな異世界に行くかとかな」
「はい!」
……ってかこいつ。本当に上位精霊なのか? 威厳の欠片もないんだが。