個人的にはめっちゃ見てみたい。
朝、仕事に行く前揺光に会ってしっかりと話したいと、エリアワードを添えてメールをする。
θ隠されし 禁断の 展覧会で待つという旨を連絡してから仕事へ行く。
最近、CC社が出した新型HMDのせいか電車内やバスなどでもThe Worldをプレイしている人を見るようになった。何も知らずに見たらそれこそ不審者の集団なんだけど、よくやるよなほんと。つーかあそこまでやるってことはだ、ネットがリアルより大事ーなんてほんとに言いそうだよなぁ。
仕事が終わって家へ帰る。その途中でも学生やリーマンがHMDをして嬉々としてThe Worldをプレイしていた。……そこのリーマンなんて電車乗るまで死にそうな顔してたのに今やノリノリでプレイしている。
そう言えば揺光に言った待ち合わせ時間がそろそろだった気がする。とりあえず少し遅れることをメールで伝えておいて、最寄りまで機械のゴーグルをした人たちと別れを告げて寝ることにした。
待ち合わせ場所であるバル・ボル美術館のゲートの前に揺光が待っていた。
「ごっめーん!お待たせ☆」
「殴ってくださいって言ってる?」
「いやいや、ノリだから。ほら、もっとノッて行こうぜ」
「はぁ、ほら行きましょ」
そう言い、美術館へ入っていく揺光。
ここの美術館はR:2で唯一R:1時代の物をガッツリ見ることができる場所だと言えるだろう。いやー、ほんと懐かしくて涙でそう。このエリアにのみプチグソが生息していて、愛でることが出来る。そして、女の子を連れてくればプチグソと戯れる女の子が見れて大変眼福なわけだ。プチグソが生息するための草原もきちんとある辺り結構プチグソに優しいと思う。
「キャー!かわいいーっ!何この生き物!ライ知ってる?」
「プチグソっていうんだよ。前のバージョンの時にいた生き物で餌を与えて大きくすると背中に乗って移動もできたんだけどな」
「へー、やっぱ知ってるんだ。さすがR:1は良かった〜なんて言ってるだけは有るわね」
「まぁな、でもここのプチグソは育てられないんだよ。餌がないから」
「そうなの。……でもこんなかわいいならこのままでも良いかも?」
「それで?なんでここに連れてきたのよ?……プチグソを見せたかったって理由でもないでしょ?」
「あぁ、そうだな本題に入ろうか。昨日のことなんだけどさ」
「えっ、昨日のことの話は無しって言ってなかった?」
「確かに。でもまぁ一つだけ言っておかないと気が済まないからな」
「何よ勿体ぶって。とっとと言いなさいよ」
「あぁっとそうだな、俺はオジサンだろ?いい年こいてる訳だ。つまりだな、俺より若くていい人が出てきたらそっちに走れ。いいな?」
「ハァ?訳わかんないんだけど。なんで私がライにそんなこと言われないといけないわけ?……それにそもそも、アンタのことが好きになったのに年齢とかそう言うの関係ないからっ!」
「……もうっ、こんな素敵な所に連れてきてくれたのに、なんで怒らないとなのよ」
「ごめん……」
「ん、許す!だから、手、握って?」
「?別に何も起きないぞ?」
「気分の問題!ほらっ、握る!」
その後は機嫌がよくなったお姫さまと一緒に美術館を探索して行った。……途中ガラスケースの中に黄昏の守護者(ガーディアン)みたいのがいた気がするけどきっと気の所為だ。うん、気のせい気のせい、気にしない気にしない。うん、司さんから聞いた話と寸分違わず同じ姿だった気がするけどあんなの見間違いさ。そうだろう?
それなのになんで攻撃を仕掛けてくるんですかね……。
「何よコイツ!ライなんかしたの?ほらっ、ごめんなさいしなさいよ!」
「はっ、何のことかさっぱりですね!……つーかコイツ堅すぎだろ!」
「ダメージ入ってるだけマシでしょう?!こっちなんて1ダメージも与えられてないわよっ!あぁもうSPの無駄っ!」
「はぁーなんなんだよマジでこいつ何もんだよ。揺光サポ頼んだぞっと!……危ねぇーなんだあの触手気持ち悪ぃな」
それから体感で30分ぐらい金色の触手と戦っていたと思う。……クッソ強かった。うん、レベルもうちょっと上げとこうかな。
「ふぅー、お疲れ揺光。……とっとと@HOMEに帰るぞ」
「りょーかい。早いとこ引き上げましょ」
「お帰りー二人共。あれ?なんか疲れてる?」
「おかえりなさいお二人共。お邪魔してますよー」
@HOMEに戻るとクビアと欅がカードゲームに興じていた。……のどかだ。
「私、今すっごい疲労感なんだけど」
「俺もだよ、ったくお前ら呑気だよなぁ」
それからクビアと欅に先ほどあったことを話した。もう死ぬかと思ったとか言うことを早口で捲し立てながら。
「へぇー仕様外モンスターですかぁ。興味深いてすね」
「あぁ、モルガナが動いちゃったのかなぁ?うーん、でもなぁ」
素直に興味津々と言った感じの欅と違い、何か裏を知っていそうなクビア。……ダメ元で聞いてみようか?
「クビア、なんか知ってるなら──」
「うーん、教えておこうかな?どうしよ、うーん、今お兄さんが居なくなっちゃうとツマンナイし教えよっか!」
それからクビアからされた話はまぁなんだ興味深いとかいう次元の話では終わらず、The Worldの裏を教えられることに等しかった。
「──とまぁ、僕が知ってるモルガナについての話はR:1時代のここまでかな。前のバージョンで既に倒されてバラバラになっちゃったはずなんだけど……まぁ偉い人が考えることはいつもしょうもない結果を産んじゃうってことかな?サルベージなんかしても扱い切れる筈ないのにねーwww」
「で、それで何で俺が狙われたんだよ?」
「さぁねーそれについては何とも言えないかなぁ。前回未帰還者にした時の本能が残っていて襲ったって所じゃないかな?……ま、もう無いとは思うけど気をつけなよ?」
「あぁ、分かったよ。……ったくメンドクセェことに巻き込まれそうな気がするんだけど」
「あっ、質問!じゃあなんで、ライの攻撃だけあの金色のよく分かんないやつに効いたの?」
「あぁ、それはねライには一つ、特別な力があるんだ。……あぁ、それで襲われたのかもね?」
「はぁ?特別な力なんて一個も持ってないぞ?あっ、情報とかか?それならアホほど持ってるぞ」
「違うよ。『腕輪』さ。……あの日、アウラから貰っただろ?あれは、八相を滅ぼす力に成りうるからね、モルガナとしては面白くないんじゃないかな?」
「腕輪……?俺そんなの装備してないぞ?」
「そうよね。私もコイツがそんなの持ってるとこ一回も見たことないわよ?」
「うーん、ちょっと痛むかもしれないけど我慢してね?」
そう言い、俺の腕に手を添えるクビア。……っ!なんだ?今腕に痺れみたいな。
「ほら、これが腕輪さ。……まだ覚醒してないから僕がいないと見ることも出来ないけどね?」
そう得意げに話すクビアの話は耳から通り抜けるようで。自分の腕にあるはずがないその腕輪を見て、俺は──
「なんなのよ、これ……。こんな装備仕様にないでしょ?」
「うん、そうだね。……これは女神の祝福みたいなものだから。気にしなくても」
「でもっ!これがあったせいで、コイツはあの化け物に襲われたんでしょ!?気にしないなんて、そんなの出来るわけないじゃない!」
ははっ、手、震えてるよ。コントローラー持つ手が汗ですげぇ気持ち悪いな……。
「て、ことは何だ?アウラは俺に勇者カイトのようになれって言ってるのか?」
「うーん、それはちょっと違うかなぁ。女神アウラはThe Worldから飛び立っていった。その間、彼女が居られない間だけキミが少し役になってくれればって思ってるんじゃないかなぁ」
「はぁ、中々けったいな依頼で。……今まで通りでいいんだよな?」
「まぁ多分だけどそれで良いと思うよ。腕輪が覚醒状態じゃないのに渡していることからして、使わせる気は元からなさそうだしね」
そう言えば、こういう話題にいの一番に食いついてきそうな欅が静かになってるのが気にな──
「凄いですね!ライさん!いやー腕輪かぁ、しかも女神アウラの腕輪なんて伝説中の伝説じゃないですか!いやーいいなぁ、解析したいなぁ……どうです?今ならちょっとキャラクターの方もお好みに弄って差し上げますけど」
「いや、そんな物欲しそうな顔しても解析させないしチートキャラにするのは無しだからな?モルモットは嫌だからな?……クビアに聞いてくださいお願いします」
「ケチー。……じゃあクビアくんもっと詳しく聞かせてくれるかな?」
この時の欅からは逆らっちゃいけない何かを感じたと後にクビアは言っていた。「この僕が何かに恐怖するなんて」とも言っていた。若干厨二が入っているような気もするけど、あとで自分の黒歴史に悶えてほしいから黙っていた。
「まぁ、なんだ話しの規模がおかしいぐらいデカくなったけど、付いてこれてるか?」
「全っ然!……でもまぁ、私たちの前に立ちはだかる奴は全員敵っ!──てことで良いのよね?」
「うっ、うん。それでいいと思うヨー」
忘れてた、基本コイツアホの子だった……。
バル・ボルにはR:1時代の各種装備がオブジェクトとして飾られてるっていう設定を思いついた。懐古厨の溜まり場になりそう。
あれ?これ美術館じゃないぞ…?
腕輪持ちならガーディアンにダメージ与えられるんだよね?大丈夫だよね?ちなみに腕輪が覚醒してないせいでガーディアンに与えられるダメージは微々たるものです。
今回またこじつけがあるんでタグにご都合主義を追加します。
センセンシャル!