同じコンセプトで二人が小説を書くというのは、競作ということになるのでしょうか。
後々彼も同じ柳沢憑依の小説を書く予定なので、楽しみに待っていて下さい。
おそらく私より上手いですし……
うたたねさん、この場を借りて、感謝を申し上げます。
ー全ては、ここから始まったー
「所詮俺は、ただの偽善者だったんだよ。全く、変わっていない……!」
その言葉は、俺の心にどこまでも深く爪痕を残していった。
***
俺はしがない大学院生。研究に追われる多忙な日々を過ごしている。
彼女もいなければ友達も少ない。趣味といえば、漫画を読みアニメを見ることだけ。そんな俺が今ハマっているのが、この暗殺教室。
黄色い超生物が生徒に暗殺を教え、自らを殺す為に訓練を行い暗殺を通じて生徒を教育する。そんななんとも奇妙な漫画だ。今週もジャンプの最新刊を手に取り、僕は暗殺教室を読みふける。そして今週の話は、なんとも言えないやるせなさを感じた。
「どうにも、ならなかったのかな……」
心を通わせた死神と雪村あぐり。しかし、死神は、自らが柳沢に処刑されるとわかった瞬間、間違った悟りを開いてしまう。どうせ死ぬ命なら、この能力、使わないのは勿体無いと。脱走する死神、激昂する柳沢。死神は暴走し、研究所を破壊し尽くす。彼はどす黒い破壊生物になりかけていた。だが、そんな死神を止めようと、あぐりは身を挺して彼を止めようとした。しかし、彼女に対して作動した対触手地雷。彼女は致命傷を負う。深い後悔を負う死神に、彼女が託したのは、椚ヶ丘高校3年E組の担任だった。
この話を聞いて、俺は思った。なんて柳沢という男はクズなんだと。
実験のために非人道的行為を行い、婚約者のあぐりにはDV行為をして、
殺せんせーを逆恨みして幾度となく復讐をして。
この男さえもっと良心的だったら、こんな結末は産まなかっただろうと。
自分だったら、柳沢のような酷い行いはしなかっただろう。
そう思い、俺はジャンプを閉じて寝た。
そして、翌朝眼が覚めると。
そこには見知らぬ部屋があった。明らかに俺が住んでいる家より高級な。
「ここはどこだ?」
俺は疑問を隠せなかった。そもそも何故見知らぬ部屋にいる?誘拐でもされたのか?いやそれはない。身代金を要求しようにも俺の親は年金暮らし。
俺の研究結果が欲しかった者の犯行か?それもなかった。
そんなのは教授を誘拐した方が早いし効果も大きい。
尚更信じられない。取り敢えず、俺は歯を磨き、顔を洗うために洗面所へ行く。
意識を覚醒させて、もっと冷静に考えるべきだ、と。
だが、俺はむしろ冷静さを失う羽目になった。
それもそのはず。鏡を見て気付いたこと、それは。
俺は柳沢誇太郎になっていた。
冗談に聞こえるかもしれないが本当である。その冷酷な瞳と縮れた頭髪、それはどう考えても彼の容姿である。そして何より、洗面所を出て、リビングに入ると掛けてあった白衣、額縁に飾ってあった、彼の名前が書かれた賞状からして、
この部屋の主は柳沢誇太郎で間違いなかった。
どうやら俺は、暗殺教室の世界に転生し、柳沢誇太郎に憑依したようだ。
だが、それ以上に衝撃的だった事実があった。
それを俺に知らせたのは、壁に掛けてあった時計に表示されたその日付。
3月13日
そう。今日は丁度あの悲劇から一年前、柳沢が反物質の研究のための人体実験を始めたその日だった。
第1話は短めです。ここからどうなっていくのでしょうか……
主人公は
理系の大学院生で、柳沢と同じく生命科学の研究をしている
よって反物質や人体の構造については深い知識がある
ということで。