池のほとりにしゃがむサンクとポロ。先ほど、ギルドにいって悪魔退治を頼むつもりだったが、それができないとわかり、ガックリとうなだれていた。
「ハァ……困ったな……あんな大金、とてもおれの手持ちだけじゃ足りないし、かといってあのまま父さんと母さんをほっとくわけにもいかないし……」「クゥ……」ポロも残念そうにサンクを見上げる。「でもあの悪魔を倒さなきゃ、父さんと母さんはもとに戻らないんだ。まさかおれが自分で倒しにいくなんてできるわけないしな……」サンクは一応家から持ってきた腰につけている安物の剣をながめた。サンクは少しだけ剣が使えたが、腕前は本職の剣士には遠く及ばなかった。
そのうしろで、誰かがサンクに近づき、歩いてきていた。サンクがそれに気づきふりかえると、そこには1人の女の子がいた。髪はわずかに青みがかった緑色で、やけに丈の短いローブを着、ウエストをキュッとひもでしめ、タイツとブーツを合わせている。なかなか美しい顔をしており、そして胸が丸々としてパンパンにふくらんでいた。
女の子は「あなた、悪魔を倒したいと思ってるのね?少し話を聞いちゃったの」そして、「よければこれからどうするのか教えてくれない?」とサンクのよこにしゃがみこんだ。
サンクはわけを話した。
「じつは、おれの両親がこのまえ悪魔に襲われたんだ」女の子は真剣な面持ちで聞いていた。「それで、きょう町まできたんだ。町にくればあの悪魔を探して倒す手がかりが得られるんじゃないかと思って……」
「それでどうだったの?」
「さっき、いろんな人に悪魔のことをきいてみたけど悪魔の居所もぜんぜんわからなくて……ギルドにもいってみたけど、悪魔の居場所を調べるのと倒すのでかなりお金がかかるからとても払えないんだ。だからおれ、これからどうすればいいかわからなくて困ってるんだ」と落ち込んだようにいうサンク。
女の子はそれを聞き、「どんな悪魔だったの?襲われたときのことを詳しく教えてちょうだい」といった。
「3日前の夜に、あの悪魔が家に入り込んで両親を襲ってたんだ。なんか大きな赤いヤギみたいな姿で……。おれは離れた場所にいたから無事だったけど、あの悪魔は目から光を放っておれの両親を石に変えて、そのまま逃げていったんだ」と、サンクはあのときの様子を思い出しながらいろいろ話した。
「石に……」
「父さんと母さんはいまでも石のまんまなんだ……」サンクは辛そうにいった。
女の子は考えていたが、「その悪魔を倒して悪魔の術を解きたいと思ってるわけね」
「あぁ……」
「それなら、わたしが手伝ってあげるわ!」
「え?」
「わたしはエスパーなの!それなりに戦うこともできるからあなたの力になれると思うわ!その悪魔を倒しにいきましょ!」
サンクは驚き、「倒すって……!?」自分の力ではとても悪魔を倒すだけの力はないと思っていたのに。
「でもどこにいるかわからないんだぜ?どうすればいいんだ!?」
「いろんな場所をまわればいずれうわさを聞けるわ」
2人はいっしょに歩いた。「わたしの名前はフィリナっていうの。あなたは?」「おれはサンク。こっちの魔物はポロ」「クウッ!」と自己紹介しあった。「サンクとポロね。わかったわ」
2人はいろいろ話をした。「わたしの両親はエスパーはパーティに入って旅をするのがセオリーだというのよ。ひどい両親だわ」とフィリナは自分のことを話した。「わたしの両親も若いころ旅をしてたらしいの。魔物や悪魔と戦うのが一番修行になるんですって」「へぇ……」
この世界には超能力(通称エスプ)という力があった。そもそもこの世界の科学があまり発達していないのは、エスプがさまざまなことに応用されていて、あまり科学が発達する必要がないからであった。
サンクはフィリナの姿をちらりと見た。とても端正な顔をしており、目は青く、肌は自分よりも白くうっすらピンクがかっている。160cmは超えていて、自分と同じくらいはあったが、まだ身長の伸びきっていない少女であるようだ(実際にはフィリナのほうが少し背が高い)。
サンクは、「でも、どうしておれを手伝ってくれるんだ?」ときいた。
「あなた1人じゃその悪魔に勝てないと思ったからよ」とフィリナはいった。