次の日の朝、ユードーがやってきて合流すると朝食をとり、買い物をしてからまた東のほうを目指して歩いていくことにした。
「この道を歩いていけば、また次の町があるようだ。あすまでには着けるだろう」
町を出てしばらく歩き、休憩したり食事をとってまた歩いた。そしてその夜はテントで野宿した。
朝となり、また4人は歩きはじめた。
だが、歩き出して2時間ほどたったとき……急に雲行きが怪しくなり空が灰色になると、雨が降り出した。4人は驚き急いで走り出した。
「こっちだ!」そして、近くにあった農家の建物の軒下で雨宿りをした。4人は降り続く雨を眺め、雨がやむまでを過ごした。
そしてようやく雨がやみ、4人はまた歩いていった。町に着いたのは夕方近くで、予定より少し遅くなってしまった。さっそくギルドにいき、依頼があるか聞きにいった。
ギルドの職員が、「それならこれはどうだろう?」と1枚の絵を取り出した。
「この悪魔は 最近依頼を受けて居所を探していたんだが、この町の近くにいることが分かった。討伐を引き受けてもらえないか?」
4人はその依頼を引き受け、討伐書を受け取った。
「その悪魔は結構攻撃力が強いということだから気をつけて」
「ふむ……」4人は討伐書を眺めたが、すぐになんでもなさそうにギルドを出た。
そして夕食をとり、宿屋に泊まった。
朝となり……4人は依頼に出かけることにした。
町を出て悪魔を探して歩いていく。悪魔に出会うまでは、結構歩く必要があった。4人はたまに休憩をとりながら歩いていったが、その合間フィリナは手を動かしたりぶつぶつなにかをつぶやいたりしてなにかをやっていた。フィリナは2週間ほど前からこのように、ほとんど毎日暇さえあればこういうことをしていたが、その理由がきょう、ようやくわかった。
とうとう悪魔が現れた!全身毛むくじゃらで骨の棍棒を持った一つ目の悪魔だった。
「グォォーッ!!」悪魔はサンクたちめがけて骨の棍棒を振り回した!
「わあっ!」「危ない!」みんなはさっとよける!ドォォン!と地面が大きな音を立てた!
「……これがきのう聞いた悪魔か……確かに強そうだ!」ユードーは構え、サンクも剣を出す。
「フィリナ、危険だから少し後ろに下がってろ」
ユードーもサンクもしっしっとフィリナに下がらせようとするが、フィリナは、「フッ、わたしがいつまでも低い防御力で困らされてると思ったら大まちがいよ!」といった。
え?と見る2人、「プロテクションバリアー!」フィリナが手を振って叫ぶと、フィリナのからだがパーッとなにかで覆われた。フィリナは2人の前にいった。悪魔が棍棒を振り回してきた!
「フィリナ!」
棍棒がフィリナのからだにあたる!が、棍棒はすんでのところで弾かれ、フィリナは平気な顔をして笑みを浮かべていた。驚く3人!悪魔は続けてフィリナを棍棒で殴った!それでもフィリナは平気な顔をしている!
「おぉ……」「一体どうしたんだ!?」
フィリナは笑いながら、「防御力を大幅にUPさせるバリアーを習得したの!これで物理攻撃を受けても平気になったわ!」
いつものフィリナだったらきっとHPを大幅に削られていたことだろう。
「うがーっ!」悪魔はあせってさらにフィリナのからだを叩いたがフィリナは平気そうだ!
「おぉーっ!」3人は驚き感心するように見入った。
「フフ……」
実際には、防御力を上げるだけなので、攻撃を受けると少し痛かったが、フィリナは得意気に耐えていた。
「それでは次はこっちの番ね!くらえっ!」フィリナは鞭を取り出すとバシーン!と悪魔を叩いた!
「ギャアァァ!」「えーいっ!」さらに叩いて攻撃するフィリナ!「悪魔めーっ!」さらにさらに繰り返す!それを受けているうちに……
「グァァ……」悪魔はうめき声をあげると消えてしまい魔石になった。フィリナは喜んで魔石を拾った。
「すごいな……」
ギルドにもどって魔石を渡し、報酬を受け取った。
その後は4人、町を観光して色々おいしいものを食べにいったりした。日も暮れてきて、宿屋にもどってまた休む。この前占い師にかたきの悪魔の居所を教えてもらい、サンクたちはもう特に節約する必要はなくなったわけだが、1人で部屋に泊まるのは寂しかったらしく、結局同じ部屋に泊まっていた。
翌日はまた町を出発して、次の町に向けて歩いた。町を抜け、街道に出たところで、どこからか声がかけられた。
「お~い!きみたち~!」
ん?4人はなにかと思ってあたりを見回した。すると、ある男が走ってきていった。
「きみたちは冒険者かい?」
そうきかれ、4人は、「はい、そうですが……」「それがなにか?」といった。
男の人は、「そうか!それなら、1つ頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」
「頼みたいこと?」
「あぁ!ある花を取ってきて欲しいんだ!」
「花だって?」
「うん、アミュー草というんだけどその花には不思議な力があってお守りになるといわれてて、ぼくは前からその花を欲しいと思ってたんだ。ただその花のある場所にはぼくの力だけじゃいけそうにないんだよ」
「どういうことですか?」
「あぁ、その花はこの近くにある森に生えてるらしいんだけど、その森はこのあたりでは幻影の森(a phantom forest)と呼ばれている不思議な森なんだ。迷いやすくて魔物もいっぱい住んでるから普通の人はめったに近づかないんだ」
4人は嫌な顔をし、「じゃあおれたちだってやだよ」といった。
「きみたちみたいな冒険者ならそんなに危険じゃないさ。もちろん、もし花を取ってこれたらちゃんと謝礼もする」
ユードーは、「いくらぐらいだ?」ときいた。
「1000マール出すよ」
「ずいぶん安いな!」
だが、「それから、ぼくの持ってる魔物も1匹あげる!」
「魔物?」サンクはその言葉に興味を引かれたように、「魔物が貰えるんですか!?」ときいた。
「うん、花を取ってきてくれたらね。きみ、魔物は好きかい?」
「はい!」サンクは答えた。サンクはみんなを振り返り、「みんな!せっかくだから引き受けようよ!」といった。
「おいおい、簡単に決めるなよ。そんな花本当に見つかるかどうか……」
「サンクったら、魔物が貰えるものだから張り切っちゃって」
「だって新しい魔物が増えるんだぜ!?」
ユードーは、「ま、いいや。今回はサンクに協力してやるよ。で、その森の場所と花について教えてもらえるかい?」と男にいった。
「ありがとう!引き受けてくれて嬉しいよ!えっとね、ほら、これがアミュー草という花なんだ」男はポケットから花の絵のかかれた紙を取り出した。「場所はほら、あの建物がある方向をまっすぐいったところに森があるはずだから」男はサンクたちの持っていた地図で場所を教えてくれた。
「ぼくの名前はセージというんだ。これがぼくの家だから、花が手に入ったら家まで持ってきて」
男は名刺を渡し、去っていった。たまにこのように、ギルドに頼む金がなかったりして直接冒険者に依頼する者もいるのだ。
4人は花の絵を受け取り、お互いの顔を見合わせた。
「……しょうがないなー、じゃ、花を取りにいくとするか」
4人はその森があるという方向を歩いていった。途中、ちょうど時間だったし、昼食をとりまた歩き出すが、なかなか森は見えてこない。もしかしたら方角をまちがえたのかと4人が思いはじめたころ遠くのほうに木々が茂った森があるのが見え出した。
「あっあれが……」「さっき聞いた森ね!」「いこうぜ!みんな!」4人は歩いていき、森に近づいていく。森に入ると、木々が生い茂っているだけあり、なかは少し薄暗く、これまであまり見たことのない植物でいっぱいだった。
「それじゃ、さっそく花を探そう!」
ラファエロが、「たしかこの森は 迷いやすいといっていました。方角を見失わないように歩くとしましょう」
4人は絵を眺め、花を探しながら森を歩いていった。サンクは張り切って探していた。
人気のない森だ。とても静かなのだが、時々、鳥かなにかの鳴き声のようなものが聞こえた。まるでだれかが笑っているようだ……。
4人は花を探し歩いた。そして1時間ほどたったが、まだ花は見つからない。彼らはくたくたになってしまった。
「ふぅ……こんなに探したのに見つからないなんて……一体どういうことかしら……」
「もう少し奥に探しにいこう!」
サンクはいうが、「いけません!これ以上奥にいくと方向がわからなくなります!」とラファエロが止めた。「これまできた道を引き返し、今度は別の入り口から探してみましょう」
そこで、4人はひとまず森を引き返すことにした。みんなは歩いていったが、「あっあれ?」とラファエロは立ち止まった。
「どうかしたのか?」
「この場所、木の壁があって通れないんです。さっきはこんなものなかったのに……」
「なんだって!?」
「引き返す方向をまちがえたんだろ?」
「いや、 どっちからきたかはちゃんと覚えていたつもりなんですが……」ラファエロは困ったようすだ。
「わたしも確かにこっちのほうからきたと思ったけど、でもこの木の壁には覚えがないわね」とフィリナも考えこむ。
「通った覚えのない場所を通るのはおかしいだろ、多分思いちがいをしてるんだ。もう一度さっきの場所にもどって今度はちがう道をいってみよう」
ユードーはさっきの場所までもどろうとする。だがそこも、さっきとはちがう景色が広がっており、ユードーはびっくりした。
「どうなってるんだ……?一体……」混乱してしばらくぼうぜんとしていた。「森のようすが変わるなんて、この森おかしいぞ!」
「そういえばこの森、幻影の森と呼ばれてるって……」
「それでこんなことが起きるの!?」
「冗談じゃない!こんな変な森にいられるか!」
とりあえずもときた道を強引に歩いていくユードー。だが、知らない景色なので、どっちからきたかもわからなくなってしまった。やはり先ほどの方向が正しかったのだと思い、そちらへ進んでみても、知らず知らずのうちに曲がって進んでしまっていたり……4人は完全に道に迷ってしまった。
「まいったな、どうやら迷ってしまったようだぞ」
「こんな森の中で……ぼくたちどうしたらいいんでしょうか?」
「フィリナ!こうなったら仕方ない!テレポートで森から出てくれ!」とユードー。
「けさ出てきた町にもどるの?」
「あぁ!これ以上こんなとこにはいられないからな」
サンクが、「それじゃ、きょう受けた依頼はどうなるんだよ!?」と食いさがった。
「仕方ないさ。こんな森にいられないし、今回の報酬は諦めよう」
4人は諦めてもどることとなった。
「ちぇーっ」サンクは不満そうだった。
「無駄足だったな」
フィリナは3人を自分のそばに集め、手をつなぐようにいった。そして集中し、光でからだを包む。
「テレポート!」
あたりに光が溢れ、4人のからだが光に飲まれる、だが、ふっと光は収まり、目を開けてみると……
「えっ?」サンクたちはびっくりした。あたりは森の風景のまま、さっきと変わっていなかったのだ。
「さっきの森のままだ!」
「フィリナ、テレポート失敗してるじゃないか!」
フィリナは、「おかしいわ……なんだかエスプが打ち消されたみたい……」と戸惑った。
「もう一回やってみてくれ!」
ユードーはいうが、「もう一回やってもムダな気がするわ……。この森、わたしがテレポートしたとき光が消し飛んだ感じがしたの。どうもこの森ではテレポートが使えないみたいだわ!」
「なに!? 」3人はびっくりした。
「……じゃあ、おれたち自分で出口を探すしかないってことか……?」「こんな目印もない森で……」
出口が見つかるかもわからない森の中を、4人はただ闇雲に歩き回らねばならないのであった。