プチファンタジー・ストーリー   作:クリステリアン

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第26話 暑い道のり

 

 次の日の朝──

 4人はまた支度をして町を出る。次の町を目指して歩いていった。森や草木の多かった荒野はだんだんと乾いた土へと変化していて、草木も少なくなっていた。気温も上がってきているようだ。4人はそんななかを歩いていて、暑さを感じ始めた。南へ向かっている上に季節もちょうど暑い季節になりかけていたのだ。4人は耐えられず木陰で休憩し、水分補給した。

 その後も4人は木陰や、通りがけに見つけた店に立ち寄り、普段よりも多く休憩をとっていた。おかげであまり歩けなかった。

 

 

 

 その夜はテントで野宿し、次の日も歩く。きょうも晴れており、気温も暑い。

 ちょうど木陰があり、そこで休憩をとることにした4人。

 

 岩に座ってサンクとユードーとラファエロは喋っていた。

「いやー暑いなー」うちわでパタパタ。

「ほんと、こうも暑いとまいるよなー」

 サンクとユードーは持ってたハーフパンツに履き替え、ラファエロは夏用の薄い半袖ローブを着ていた。

「そういやフィリナのやつ遅いな、なにしてんだ?」

「さっき向こうの岩陰にいくの見たけど」などと喋っていた。

 その時、後ろから……3人はだれかがそばにきた気配を感じて振り返った。するとそこに、フィリナが立っていた。なんとフィリナは服はいつものローブだったがタイツを脱いでいたのだ!暑かったのかお尻まである長い髪はアップヘアにしている。

「おおっ!」3人は驚いた!取り憑かれたようにフィリナを見つめる。

 短いローブからフィリナの素肌の足がすらりと伸びており、艶かしい肌の質感がもろに感じられた。ローブの丈はほとんど足の付け根までといっていい。太ももはむっちりと程よい太さで、男の足とは明らかにちがう、女の子の足だ。

 サンクとユードーは見とれ、ラファエロは赤くなりながらも、「いけない!」と後ろを向いた。

 フィリナは顔を赤らめ、恥ずかしそうにしていた。彼女は丈の短いローブを好んだし、どうせタイツと合わせるのだからと丈の短いローブしか持っていなかったのだ。暑い地方にくるつもりもなく、ずっとタイツでいるつもりだったので暑い場所用の服を買っていなかったのである。それがいまになってこんな恥辱を晒す羽目になるとは……。

「フィ……フィリナ……そのかっこ……」フィリナはカアッと赤くなった。「脱ぐとそんなにすごいんだな」とユードー、「そっそんなこと……」赤い顔でフルフル、「中はパンツなのか?」サンクにきかれ、「どうだっていいわ!」と怒るフィリナ。ラファエロは気持ちを鎮めていた。

「それで!次の町にはあとどれくらいで着きそうなの!?」恥ずかしさを取り払うように大声でいった。

「あっあぁ……この調子なら、昼前には……」

 

 その後たわいないことを話しながら、4人はまた歩いていったがサンクたちはフィリナのことが気になって仕方なかった。ついうっかりパンツといいそうになって仕方なかった。

 

 そして昼食前に次の町へとたどり着いた。4人はまず食事を取ろうと町を歩いていった。町の人たちの何人もが振り返ったり遠慮しながらもフィリナのことを見ており、フィリナはなんとなく視線を感じて恥ずかしかった。サンクはそれに気づいて、あわててフィリナを壁側にし、できるだけ隠した。

 昼食がすむと4人はさっそくギルドにいき、仕事を探してみた。ギルドでもやはりフィリナは注目を浴びていた。ちょうどよさそうなのがあったので、4人はその依頼を引き受け、さっそく午後に向かうこととなった。

 

 町を出て歩いていく。目線は、どうしてもフィリナの足にいってしまった。あまり風のない日だったが、時折風が吹いたときは、フィリナは気にして手をあてていた。スカートの中は、見えそうで見えなかった。

 後ろを歩いていたユードーがニッとしてこそっとラファエロに、「風のロッドでだな……」「いけません!」ラファエロは真っ赤になってバッグを死守していた。

 サンクは横のフィリナをちらっ、ちらっと見ていた。いつもとちがいタイツを脱いだ短いローブ……女らしくて美しい足にその上の大切な部分……あのスカートがめくれればその部分がたったパンツ1枚越しなのだ!サンクは思わずカアッと熱くなった。

 

 しばらく歩くと依頼の場所にたどり着き、4人はクエストをこなした。

 ──その日のクエストで、4人は魔物と戦ったのだが、魔物が素早く逃げ回り、フィリナの足の近くを通るたびにフィリナはヒヤッとした。その度におおっ!と男たちの目線は思わず惹きつけられていた。

 サンクは気持ちを振り払い、急いで駆けつけると魔物を倒した。

 

 クエストの帰り道、フィリナは赤くなってむっすりし、3人が話しかけてもツンとした返事しかくれなかった。町にもどり、ギルドに報告して報酬を貰った。

 みんなで町を歩いたとき、フィリナは洋服屋によってなにかを買っていた。それはブルマであった。ほかの服に比べればずっと安い。少し痛い出費だったが仕方がない。たまにこれ1枚で歩いている人もいる。これでもう恥ずかしいことなどなにもない。うん。フィリナはそう自分を納得させた。

 

 

 

 4人は宿屋に泊まり、次の日はまた出発した。フィリナはきのう買ったブルマをローブの下に履いていた。これでもう、たとえローブがめくれてしまっても平気になったのだ!フィリナはきのうよりも堂々としていた。サンクたちにとっては見た目は全く変わっていないので特に問題なかったが。相変わらず、たまにみんなから見られるのは変わらないのだった。

 

 さて、サンクたちは町を出て、また南を目指して歩く。日中、太陽がジリジリと眩しく、4人はヘロヘロになり、やはりきょうも暑かった。サンクたちはうちわで自身を仰いだり、帽子やタオルを頭にのせたりして暑さをしのいだ。食料を買ってしまうと交通費がないので、歩いてゆくしかなかった。

 やがて、新しい町に着き、4人はようやくほっとして飲食店で休憩した。そしてその後はギルドにいった。掲示板を探してみると、ちょうど報酬のいい悪魔討伐の依頼があったので4人はそれを受けることにした。討伐にはあすの朝いくことにした。

 

 そして次の朝依頼の悪魔を探しにいった。きょうは天気が曇っていたのでそう暑くなくてよかった。

 しばらく探し歩き、ついに悪魔を発見し、バトルする4人!みんなは攻撃するが、悪魔はなにか不思議な波動を放ってきた。すると……

「?」

 フィリナとラファエロは超能力が使えなくなっていることに気づいた!

「これ、エスプ封じの技だわ!」

「なんだって!」

 この世界にもいわゆるマホ○ンやサイ○スに準ずるものは当然ある。フィリナとラファエロは困った。今回はエスプなしで戦わねばならなかった!そこでユードーとサンクが攻撃する!フィリナとラファエロは無駄にダメージを受けるのは避け、後ろに下がったほうがいいと判断した。

 この悪魔はエスプを封じる技を持っていたが、そう強いわけでもなかったのでユードーとサンクの魔物の攻撃だけで倒してしまった。

「ギニャア!」

 ユードーは魔石を拾った。

「討伐完了だな」「それじゃ、ギルドにもどろう!」4人は町のギルドへもどった。

 

 ギルドに報告し、報酬を受け取る。

「今回これだけおれの分な」

 ユードーはほかの3人より多くお金を取っていた。ずるいずるい!と文句をいうサンクとフィリナ。

「うるさい。おれが一番活躍したんだからいいの!」とユードー。

 ユードーはよく報酬からちょろまかして多めにとっていた。確かにそうゆうときはユードーが一番活躍していたが。まぁそれでも生活できるお金は残ったのであまり文句はいわなかったが、なんか腑に落ちなかった。それからユードーはたまに1人になりたいと1人部屋を希望することもあった。みんなで町を観光するときや、夜などにも時々どこかにいってしまうこともあった。そんなユードーにフィリナは不思議に思っていた。そしてその夜もユードーはどこかに出かけていった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 さて、4人はまた歩いて新しい町にきていた。そこの町のギルドにちょうどいい依頼があった。それは南へ向かう人を護衛する仕事で、4人もちょうどそちらへ向かうところなので都合がよかった。

「こちらが依頼人のマーロンさんだ」

「よろしくお願いします」

 依頼人は、穏やかそうな若い青年だった。

「マーロンさんをこのブレールという町まで連れていってくれ」ギルド職員は地図を差しながらいった。

 4人は了承し、さっそくマーロンと一緒に町を出て歩いていった。

 だんだんと日が照ってきて暑くなってきた。彼らは休憩しようと提案し、日陰で休憩をとった。昼食もそこでとり、町で買ったお弁当を食べた。その後も暑いなかグダりながらも少しずつ歩き、やがて途中にある町に到着した。みんなはマーロンも一緒に町を観光してから宿屋にいった。さすがにパーティではないのでマーロンは別の部屋である。

 

 そして次の日も歩く。やはりきょうも晴れていて歩くと暑い。ときどき魔物も現れたが、みんなで追い払った。サンクたちは度々木陰などで休憩を取りつつ歩いていった。

 昼食が終わったあとも歩いていったが、みんな突然前方になにかが飛び出してきたことに気づいた。

「フウッ!」

「うわ!」

 見ると、それは丸いからだに短い手足がついているものだった。

「悪魔です!」

 4人はマーロンを守るように身構え、マーロンには離れるようにいい遠ざけた。

 ユードーは「ハア!」丸い悪魔に蹴りかかった。サンクも、「ポロ!チビドラ!そいつをやっつけるんだ!」と攻撃させた。攻撃され、ダメージを受けヨロめく悪魔、だが……

 とたん、悪魔のからだを光が包んでいき見る見る回復していった。

「フウッ!」そして勢いよくこちらに攻撃してくる悪魔!

「イテテッ!」「なんだ!さっき与えたダメージが回復したみたいだぞ!」

 ユードーは攻撃してくる悪魔を殴り返した。ユードーとサンクはまた悪魔に攻撃し、ダメージを与えたが、悪魔のからだを光が包み、また回復したようだ。それを見ていたフィリナは「この悪魔にはアレがいいわね……」と、なにか集中して手を組んでいた。

「フー!」また悪魔がこちらに体当たりしてきた。

「わあっ!」サンクとユードーはあわててよける。

「こいつめ!」ユードーとサンクは再び攻撃!ダメージを受けた悪魔はまた回復する。回復している間は攻撃できないのでユードーとサンクはその分多く攻撃していた。そしてその分のダメージは悪魔にかなり蓄積されてきたようだ。

 先ほどから なにかに集中してたフィリナは、「いでよ!テネブローム!」と両手を広げた。薄暗い部屋で……そこにあった棺がじわじわ開いた。そしてなかから出てきた黒い影が朽ち果てた洋館から飛び出した。フィリナの目の前に宙に浮く黒い渦が現れ、それは耳のとがった細長いからだのものになりポーズをとった。

「冥界よりの扉を開け!ヘルスプリット!」

 黒い魔物が爪で空間を引き裂くと、そこから黒いもやがわき出した。その黒いもやが悪魔のもとまで進んでいき、やがて悪魔のからだを包んだ。

「フォ……」小さく声がし、もやが弾けると……悪魔の姿は消えていた。

 フィリナは魔物にお礼をいい、魔物は帰っていった。例のごとく呼び出すのに時間がかかり、悪魔はもうだいぶ弱っていたのだが、どうにか間に合って最後とどめをさすことができてよかった。

 

 後ろのほうにいたマーロンがやってきて驚いていた。

「いやぁ……すごいです、みなさん。悪魔との戦いをこんなに間近で見たのは初めてですよ」

「なに、これがおれたちの仕事なんでな」とユードー。

「いまの、フィリナの魔物か?」

「えぇ、わたしの召喚獣のテネブロームよ。アンデッドなの」サンクにきかれ、フィリナは答えた。

(相変わらず派手だなぁ(汗))とサンクは思った。

 

 サンクたちは再び歩き出した。ラファエロが横で感心するようにいう。

「でも、フィリナさん、魔物の召喚もできるなんてすごいです」

 サンクが、「そんなにすごいことなのか?」

「ハイ、フィリナさんは攻撃技に加えて回復技もできます。普通は1人の人間があんなになんでも覚えられません。優れたエスパーですよ」といっていた。

 

 

 

 次の日になっても彼らは歩き続け、やがてブレールという町が見えてきた。マーロンは町に着くとよろこび、4人にお礼をいった。

「ここまでありがとうございました。短い旅だったけど楽しかったです」

 サンクたちもマーロンと挨拶を交わし、手を振って別れた。

 


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