2人はガックリしてそのギルドを後にした。
「どうする?これから」
「他の町にいってみましょう。ほら、この町が近そうよ」と地図を示すフィリナ。
そこで2人はその町を目指して歩いた。町まではゴツゴツした岩が転がり、人家もまばらな荒野だった。2人はのどが渇いたが近くに川は流れていないようだった。
サンクが、「フィリナ、たしかテレポートができるんだろ?だったら次の町までテレポートでいけばいいんじゃないか?」といった。でもフィリナは、「だめよ。テレポートは記憶をもとにいくの。初めての場所にはいけないわ」といった。「なんだ」とガッカリするサンク。
「それにテレポートをするととてもたくさんのMPを使うわ」
「MP?」
超能力は、決して無償で使えるわけではなく、使うのにそれなりのコストを払う必要があった(名前は正直なんでもいいんだけど、この世界ではMPと名づけられてる)。テレポートは、目の前であればそれほどMPを食わないそうだが、遠い場所だととてもたくさんMPが必要なのだそうだ。2人は歩いていくしかなかった。昼過ぎに目指していた町に着き、2人は昼食を取り、疲れを癒した。
その日は町をいろいろ見て回ってから、ギルドにいって依頼を受けにいくのは明日にしようということになり、2人は宿屋にいった。
宿屋に泊まり、朝になった。
2人はいろいろかばんのなかを見たり、服装を整えたりして出かける仕度をした。ふと、フィリナは「あっ」といい、「ちょっと待ってて!」とサンクにいった。そしてトイレにいき、しばらくすると出てきて「お待たせ!」といった。「それじゃ、出かけましょう」とフィリナ。
2人はこの町のギルドを尋ね、そこのマスターになにかいい依頼はないかきいた。「ちょうどいま解決してもらいたい依頼があるよ」とマスター。「どんなのですか?」と2人。
なんでも、盗まれた依頼人の指輪を取り戻してほしいのだそうだ。
「どんな悪魔なんですか?」
「悪魔じゃないよ。依頼人は魔物に指輪を盗まれたらしい」
「魔物だって!?」
「そう。アルラウネという植物の魔物なんだが知ってるかい?その魔物に、ピクニックに出かけたときに盗まれてしまったそうだ。追いかけたそうだが、捕まえられなかったらしい。あのあたりでは人に悪さばかりしてる魔物だから、結構有名らしいよ」
「それで、その魔物はどこにいけばいるんですか?」
マスターは地図を見せ、大体この辺りにいるらしいと2人に教えた。場所は町からそれほど離れておらず、そんなに時間もかからなくてすみそうだ。
2人は、依頼を引き受け、さっそくいってみることにした。「きょうは近いところでよかったわ」「そうだな」
2人は、「えーっと、たしかこのあたりでいいんだっけ?」と草原の広がるあたりまできて止まった。
「それにしてもきょうは魔物を相手にするのか。初めてだな」
「たしかアルラウネだといってたわね。とりあえずこのあたりを探しましょう」
サンクはポカンとして、「……そのアルラウネってどんなのなんだ?」といった。フィリナはそれに気づき、「あぁ、サンクはまだ魔物のことをよく知らないのね」彼はずっとせいぜい自分の町の近くしかいったことがなかったので世間知らずだった。
そこでフィリナはサンクに魔物の外見を教えてあげた。「アルラウネっていうのは、こう人みたいな形をした草でー、赤い花が頭に咲いててー」切り株にしゃがんで、地面に絵を書いて説明するフィリナ。サンクはうなずき、理解した。サンクはさっそく探しにいこうと立ち上がるが、ふと後ろに動く植物がいるのに気づいた。
「フィリナ!もしかしてあれじゃないか?」と指差すサンク。「えっ?」フィリナは振り返り、それを見た。するとそれはまぎれもなくアルラウネで、「あっ!あれだわ!アルラウネは!」と叫んだ。そこには頭に赤い花を咲かせた細い根っこのようなものがくねくねと動き回っていた。「いってみよう!」2人はそこまで走った。
アルラウネはやってきた2人に気づいた。相変わらずからだをくねらせて踊っている。
「この魔物から指輪を取り戻せばいいのかな?」
「この魔物かどうかはまだわからないわ、他のアルラウネかもしれない」
そこでフィリナは、「ねぇ、あなたもしかして人間から指輪を持っていかなかった?もしそうなら返してほしいんだけど」
アルラウネはからだをくねらせ、否定のダンスをした。
「違うといってるわ」
「よくわかるな……」
フィリナは、「それなら、誰が指輪を持ってるか知ってる?」ときく。
アルラウネはからだをくねらせ歩き出した。「ついていってみよう!」と2人もついていった。
そして、しばらく歩いて前を指差すアルラウネ。そこには5、6匹のアルラウネが群がっていた。「あれは!」2人はいってみる。2人を導いてきたアルラウネは向こうへいってしまった。2人はアルラウネたちのところへきた。「お前たちだな!?指輪を取っていったのは!」「返してちょうだい」という。アルラウネたちはこちらを見、そのなかの1匹が指輪を取り出した。2人はよろこび、「それだ!いい子だな!お前!」とサンクは受け取ろうとするが、アルラウネはサッと指輪を後ろへやった。そして悪そうな顔で笑うアルラウネたち。サンクはあっけにとられ、「なんでだよ!?返してくれないのか!?」と叫んだ。
アルラウネたちはくねくね踊り、2人に触手のような手足を伸ばし、からだにまきつき2人を縛った!「いやあっ」「なにするんだよ!」アルラウネたちは楽しそうにもがく2人を見て笑って踊っている。アルラウネの手足はすぐまた伸びてもとに戻っていた。
「そういえば、指輪を取った魔物は悪さばっかりしてる有名なグループだっていってたな」とサンクは思い出した。
ポロが縛っている触手を噛み切ろうとしてくれた。フィリナもなんとか手を動かし、念力で触手を引っ張り引きちぎろうとがんばった。そしてやがて触手はちぎれ、2人は自由になった。
サンクは「さぁ!その指輪を渡すんだ!」とアルラウネのところへいき指輪を取ろうとした。だが、アルラウネは触手でバシーンとサンクをたたいた!「いてえっ!やったな!」サンクは怒った。「フィリナ!こいつら口でいっても返してくれないみたいだぞ!力ずくで取り返すしかないみたいだ!」サンクは剣を出し、「ポロ!戦う用意だ!」とポロも戦う構えをした。フィリナは、「えっ?でも……」とたじろぐ。
「たーっ!」と向かい剣を振るうサンク!敵のからだを押さえ込むポロ!
「フィリナ!どうした!?戦わないのか!!」サンクはきくが、フィリナは後ろを向きイジイジしゃがんでいた。「わたし、心のある魔物に攻撃するのって抵抗があるのよ」という。
アルラウネたちはそろって触手を伸ばし、サンクとポロをたたいてきた。「いててっ」サンクとポロはあわてて逃げまどった。アルラウネたちは触手を伸ばしサンクとポロの足に巻きつきさらに攻撃!「わあっ!」
相手の数がこうも多いとやられっぱなしでなかなか攻撃できなかった。サンクもポロも足を縛られ身動きを封じられてしまった。
「フィリナ!こいつら魔物といっても人間に悪さばっかりしてるようなやつらだぞ!指輪だって素直に渡してくれるわけない!」とサンクはいった。フィリナは、「いわゆる不良というやつね」さらに魔物立ちはサンクとポロに攻撃し、今度はフィリナに触手を伸ばしてきた。「そんな子たちにはおしおきをしなくては!」フィリナは手を構えた。
「ライトアタック!」光が放たれ、魔物が倒れた!フィリナはサンクとポロの触手をほどき、助けてあげた。
魔物たちは起き上がり、再びサンクたちに向かってきた!「いけっ!ポロ!噛みつくんだ!」ポロはアルラウネに噛みつき、アルラウネは嫌がった。
アルラウネたちは怒り、頭の花から種を噴射してきた。「いたた!」「タネバクダンよ!」サンクたちはひとまず後ろへ退いた。
フィリナは力をため、「シャインストーム!」と光を放った。その光でたくさんのアルラウネは倒れた!でも、決定打にはならなかったようで、アルラウネはまた立ち上がった。「う~ん……この魔物には火属性が一番効果があるのよね……わたしにもそれができれば……」という。
その後もフィリナがエスパー技で攻撃したり、ポロも攻撃したり、サンクも剣で攻撃したりして少しずつダメージを与えていった。アルラウネたちはタネバクダンや触手でたたいたり反撃したりしてきたが、こちらも攻撃を繰り返し、とうとうアルラウネ軍団のボスが倒れ、ポトリと指輪を落とした!
「やった!」サンクたちは指輪を拾った。アルラウネたちはみんな逃げていった。
「これで指輪を返せるな!」「うん!あら?」フィリナは下に落ちている葉っぱに気づき、拾った。アルラウネが落としていったのだ。「アルラウネの葉っぱだわ!こうゆう物は買ってくれる店があるの」フィリナは他にも、たまに見る死んでいる魔物の皮や牙、それに薬草なんかが店で売るとお金になることを教えてくれた。
サンクたちは町に戻った。
ギルドにいき、依頼をこなしたことを報告すると、依頼人である派手なおばさんもきて、指輪を渡すととてもよろこんでくれた。