何時の間にか無限航路   作:QOL

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~何時の間にか無限航路・第24話、カルバライヤ編~

■カルバライヤ編・第二十四章■

 

 

 は~い、前回は情報収集の為にグアッシュ海賊団の幹部ダタラッチを捕まえました。いろいろと情報は聞きだせたので後の処理は保安局に放り投げましたー。餅は餅屋、犯罪者は司法局、宙域管理局は司法局とつながりがあるのでとても楽である。

 

 そんで、ダタラッチを引き渡す際に連絡を入れたところ、通信を対応した人にすごく微妙な顔をされたのは、おそらく自分達が梃子摺っている海賊の、しかも幹部をあっさりと捕まえて引き渡したからだろう。立つ瀬がないとはこのことだって話。

 

 おまけにヤツが持っていた情報には宙域保安局に根差した裏切りの根の深さが垣間見えるわけで、情報を渡した時のシーバット宙佐は次のような一言を述べている。

 

「ううむ、まさかザクロウが、そこまでグアッシュに牛耳られていたとは、不覚」

 

 まさか己が所属している組織の一端が組織ぐるみで犯罪行為を平然と行っていたというのは相当応えた様だった。通信で伝えたらシーバット宙佐の顔にある皺が更に深くなって、おまけに胃の上を手で押さえたあたり胃痛もあるようだ。苦労人は大変である。

 

 だが、残念ながら旦那。どうやら事実らしいですぜ? 情報によれば海賊船の中にはオールト・インターセプト・システム(以下O・I・S)の認証コード持っている奴らもいたらしい。残念ながらダタラッチは管轄が違ったので物的証拠となるのは持っていないが証言だけで十分に価値がある。

 

 なんせ今、送り込んだ宙域保安局の局員であるバリオさんと連絡が取れないのだ。ここにきて組織ぐるみの隠ぺいが平然と行われてたという情報があったとなれば、ザクロウはほぼ真っ黒だろう。ダタラッチが嘘をついているなら別だけどな。

 

 ちなみに余談なんだが、連れて来た海賊幹部ダタラッチは保安局に引き渡すまで、何故だか知らないが何時の間にか何気にウチの艦の中に馴染んでいたのよね。何気に艦内清掃とかを自主的に手伝ってたし、偶に食堂に現れては海賊をしていた頃の話をしてくれた。

 

 いや今も現役の海賊だが、ダタラッチが幹部の地位に至るまでの話とか、下っ端時代の下積みの話が、これまた涙と笑い無しには語れない面白さが……。

 

 そんなこんなでいい感じに馴染んだダタラッチは掃除したり食堂で面白い体験談を語ったり艦内自然公園で昼寝してたりと、捕虜とは思えないくらい満喫していたようだ。

 

 やつの監視は基本的にユピが監視システムを使って24時間視ていたので、重要区画以外は保安部員なしで出入り自由にしていたら、こうなってたんだそうな。保安局に引き渡すときなんかお別れ会開かれていたし、うーん出所して機会があれば勧誘してみるのも手かもしれない。面白かったし。

 

 

コホン閑話休題。

 

 

 さて話は保安局と相談していた時に戻る。俺はダタラッチを宙域保安局に引き渡すとき、序だからと地上の保安局に降りて直接ダタラッチが語った情報を宙佐らに渡した。

 

 上記のように組織ぐるみの犯罪が行われている可能性を鑑み、どこに眼があるかわからないので、直接会って話した方が良いと判断したからである。

 

 ダタラッチからもたらされた情報は、宙佐らも無視できない話であり、色々それらの情報を話し合った結果、ウィンネル宙尉はザクロウを強襲すべきと発言した。

 

「バリオたちだけじゃない。もしも“例の人物”があそこにもしも送られていたら大変です」

「うーむ、司法局の許可を待っている場合ではない―――止むを得んか。第3、第9管域の保安隊、および惑星強襲隊を緊急呼集! 準備が出来次第出発する!」

「は!」

 

 宙尉はシーバット宙佐に敬礼をすると踵を返して部屋から出ていった。何やら迂闊にもウィンネル宙尉がしゃべった中に俺達への隠し事ととれる物が含まれていたが、俺は華麗にスルーした。聞き返したらフラグ立つやんけ。面倒いのは嫌ズラ。

 

「ユーリ君、君たちにも――」

「ウチも仲間がザクロウに居るッスからね。そっちがダメと言っても勝手に行きますよ。何せ0Gドッグはアウトローッスからねぇ」

「助かる。今から12時間後に指定の座標で合流したいのだが?」

「ウッス。それまでに準備しておきます。後で合流座標送っておいてください。ではでは」

 

 そういって俺も保安局を後にし、すぐさま宇宙に戻った。

 

 補給や整備を惑星ブラッサムに到達した時から始めていたので、通商管理局では修理部品や材料を多めに搭載(補給ではないので別途料金)。その後、惑星を出た俺達はOISが展開されている宙域のすぐ近くの指定された座標へと飛んだ。

 

 その座標は保安局側から提示された合流座標であり、ここで合流後に作戦が開始されるという手筈となっていた。組織ではない俺達の方が、フットワークが軽かったらしく、保安局側の艦隊がこちらと合流したのは俺たちが座標に到達してから3時間ほど経過した後であった。

 

『私は艦隊指揮を取るシーバット宙佐だ。諸君、聞いてほしい。今回、緊急性を持つ事態が発生したことにより、現時刻を持って我々は超法規的手段として監獄惑星ザクロウへの突入を敢行する。

 召集されし諸君は惑星強襲の猛訓練を積んだ精鋭である。諸君らの奮闘こそが明日のカルバライヤ宙域の平和を齎し、諸君らの死力がカルバライヤ国民の享受する安寧を確固たるものとするであろう。

 諸君、その身を犠牲にしろとは私は言わない。されどその働きを持って平和と安寧の礎と出来ることを誉れとせよ。以上である―――全艦出撃!』

 

 合流後、シーバット宙佐はディゴウ級重巡洋艦を旗艦とする、主にバハロス級高速巡洋艦やシドゥ級高速駆逐艦で構成された20隻以上の艦隊に向け演説を行い、指揮下の突入艦隊の戦意を高めていった。

 

 近距離にいたからか宙佐の演説は俺達のフネにも届いていた。内容的にはやはりカルバライヤの身内なら士気向上する内容だが、まぁあんなのが俺達向けに発せられたところで、もとより国を持たない根無し草である0Gドッグの士気は上がらないので、演説内容に俺達外部の人間が居ることへの言及がないことに特に問題ない。

 

 さっきの演説はあくまで戦意高揚の為の演説であり、俺達が協力しているというのは事前に各艦に回された作戦計画ですでに他の艦も既知しているのだ。実際、この後演説が終わるとすぐにこちら向けの通信が宙佐のフネから届いた。内容は、まぁ要約すると戦力として大いに期待してるから頑張れってさ。

 

 流石は保安局の上位に位置する人。自分らの正義を信じる保安局員の扱いと、俺達部外者である0Gドッグの扱いを完全に制御している。まぁ、そうでなければあの地位にはいられんだろうがな。苦労も絶えないだろうに、お疲れ様です。

 

 さて、中佐揮下の突入艦隊に号令が下され、巡洋艦や特殊艦艇を含んだ保安局の艦隊が動き出した。合流前に通信で送られてきていた作戦概要では、このザクロウ突入は時間こそが勝敗を決するとし、OISを強行突破するという。

 

 この作戦内容を知ったとき、あの冷静に見える宙佐もかなり熱い戦い方をするじゃないかと感心したものだ。伊達に熱血なバリオを部下に持つ男ではないということか。冷淡にも見える男だが、根っこの方はやはりカルバライヤ人なのだとヒシヒシと感じる。

 

 まぁこういう実に単純かつ明確な作戦は嫌いでは無い。様々な策を弄する時間が無かったのだから、変に考え込むよりもずっとやりやすい。俺って結構カルバライヤの気質にあっとるかもしれんな。

 

 

 

 さて、保安局の突入艦隊が先行し、俺達も後に続いて進んでいくと、OIS影響圏ギリギリの境界線に近づいたあたりで保安局艦隊が減速し始めた。俺達もそれに倣い減速していると、こちらのセンサーが保安局の艦艇からいくつかの物体が投下されOISに先行していくのを観測した。

 

 それは、この場に集った保安局の各艦が搭載していたインフラトン・インヴァイターを搭載した小型囮ロケットである。監獄惑星ザクロウを閉ざす檻の役目があるOISは、インフラトン機関などの高エネルギー体を検知して迎撃する機能が備わっている。

 

 認証コードが無いフネが押し入ろうとすると容赦のない迎撃が来るのはそんなわけだが、それを利用するという作戦だそうだ。このインフラトン機関を積んだだけの特殊なロケットは囮(デコイ)となり、艦隊に先駆けて突入するのである。

 

 仮に一隻が一個ロケットを発射したとする。すると単純計算で40隻以上の大艦隊がレーダー上に出現するわけだ。これでは如何にOISが優秀な迎撃装置といえども、接近する物体が多ければ多いほど迎撃に割ける攻撃頻度が低下するのだ。

 

 そして、後に聞いたところによると、この囮ロケットは最低5つ積んであったらしい。これだけのデコイを用意するのに少し手間取ったのだと宙佐は語っていた。

 

「保安局艦隊、デコイ射出しました。保安局各艦も進撃開始」

「白鯨も保安局に合わせて進撃する。デフレクター同調展開! 両舷最大戦速! 球状輪形陣を取りつつ保安局に遅れるな!」

「「「アイアイサー!」」」

 

 保安局の突入艦隊がデコイとなるロケットを発射し、その後を追いかけるように動き出した。俺たちも機関出力を上げ、デフレクター及びAPFSを最大にして、保安局の突入艦隊の後を追ってOISの影響圏へ突入した。

 

 動きながらユピテルを中心にKS級汎用巡洋艦、S級航宙駆逐艦、K級突撃駆逐艦の順に一定間隔に艦が追従する形で球状に広がる陣形を取った。これは宇宙用の立体的な陣形である球状輪形陣を組んだからである。

 

 宇宙空間を航行するフネはフネとはいうものの、実際の運用は水上艦とはだいぶ異なる。なんせ水平な水上という概念がない空間なので戦闘中は上下左右どこでも警戒しなければならないのだ。自然と互いの死角をカバーする立体陣形を取るようになった。

 

 この陣形はある意味で爆撃機のコンバットボックスに近いのは、やはり三次元な空間を動き回るモノ同士似てしまうのであろう。俺的には水上艦的なイメージの方が好きなんだけどなぁ。宇宙戦艦って言ったら大和を思い浮かべる人、それが私です。

 

 それは置いておいて、立体陣形を取った後、俺達はマッドの巣が作り上げたある防御システムを起動させた。それはデフレクター同調展開システムという防御システムである。

 

 これは各艦のデフレクターを同調させることで複数の重力子防御圏を重ね合せて広い範囲を防護する防御圏を形成するシステムで、これにより防御力を高めて一気に突破する予定であった。

 

 影響圏に突入してすぐ、迎撃衛星群のセンサーがこちらに照射されている警報がブリッジに木霊する。いたるところに浮かぶ多数の衛星砲が此方に照準を向け、自動で発進される無機質な警告が全周波数帯に発信されているが無視して突き進んだ。

 

 三度目の警告が発信されても停船しない各艦隊への照準センサーの照射が、さらに強くなった。直後に先行していた囮ロケットへ幾条ものレーザーが降り注いだ。どうも、この世界でも仏の顔は三度までらしい。

 

 攻撃を受けた囮ロケットであるが意外なことにすぐに爆発はしなかった。囮として必要最小限の機構しか持たず、エネルギー反応を出すだけの極小インフラトン・インヴァイターしかないお蔭で逆に爆散しなかったようだ。

 

 スカスカ過ぎて逆にタフとは、まるで英国の布製艦載機のようなヤツである。とはいえ、所詮は穴開いても壊れにくいというだけで壊れない訳ではなかった。囮へと殺到するレーザー砲は、進めば進むほど量が増していき、ついには小型インフラトン・インヴァイターに直撃するレーザーもチラホラ現れ始める。

 

 さすがの囮ロケットが次々と青い火球となって散っていく中、後を詰める俺達の艦隊にも数多の光線が降り注いでいた。囮ロケットが衛星砲の大半を引っ張ってくれていたが、それでも十分に多量のレーザーの雨である。

 

 幸いなことに小さな迎撃衛星が放つレーザー砲一発の威力は、せいぜいが駆逐艦の小型レーザー砲と同じくらいなので、あまり強くはない。少なくとも俺達の方はシールドジェネレーターの許容量を十二分に気をつければ何とかなりそうであった。

 

「流れ弾が右舷側に命中、デフレクターおよびAPFS順調作動、損害なし」

「K級、S級、KS級側のデフレクター防御帯にもレーザー直撃しました。重力子の展開効率が12,07%低下します。されど同調システム許容範囲内です」

 

 ミドリさんとユピからも被弾報告が上がるが、艦隊ごと包み込む重力子防御帯へ命中したレーザーの殆どは重力レンズ効果で屈折し逸れていた。完全に防げるわけではなく、時折変な風に屈折したレーザーがこちらに流れてくるが、それもAPFSが減衰し、装甲板に到達する頃にはただの低出力レーザーと化して影響を殆ど与えない。

 

 影響があるのは装甲板くらいで、時折屈折して到達するレーザーにより少しずつ装甲板が温められて熱が溜まっているが、これも放熱装置や冷却装置を使えば十分に対処できる範囲なので問題にはならなかった。

 

 デフレクターの重力子防御帯圏内に命中し、重力子防御帯のある空間に波紋を浮かべながら拡散していくレーザーを尻目にズンズンと進んでいく。

 

 俺達に負けず劣らず、保安局の突入艦隊も3隻から5隻の単横陣を組み、高速巡洋艦や高速駆逐艦の名に恥じない速力で、果敢にOISへ突入していった。

 

 あちらさんには俺達のような重力子防御帯デフレクターが無いが、代わりにカルバライヤ自慢の特殊鉱物で出来たディゴマ装甲がある。このディゴマ装甲は鱗のように重なり合って配置されることで、レーザー被弾時に原子ディスロケーター現象を起こし被害を軽減させることができる……らしい。

 

 正直よく解らないが兎に角頑丈であるのは確かであり、その装甲に物を言わせて砲火の雨霰の中を限界速力で駆け抜けていく。むろん装甲頼りだけではなく、巧みな操艦で攻撃を躱しつつ小破ないしは中破に留めていた。

 

 そんな彼らにはOISの奥、監獄惑星ザクロウに浸透していく姿はまさに勇猛果敢という言葉がふさわしいだろう。俺達も負けられない。

 

 競争していた訳ではないが、先行していた突入艦隊とほぼ時を同じくして、俺達はOIS影響圏を突破した。最大戦速でおまけにデフレクター同調システムが上手く機能してくれていたお蔭だ。マッドたちは良い仕事をするよホント。

 

 さて、OISを突破したので、次はザクロウにのりこめ~^^

 

「ザクロウの宇宙港から大型艦の発進を確認~!突っ込んできますー!」

 

 そうはすんなりと進まないのが人生ってもんである。レーダー班長エコーが発見したのはザクロウの軌道上ステーションから出港した艦隊。それはダガロイZA級装甲空母と中心とした機動艦隊であった。

 

 ダガロイ級はカルバライヤが国内で唯一建造している装甲空母である。全長680m全幅130m全高170m、巡洋艦と同程度の大きさがある空母で、艦載機搭載能力は低いが火力は巡洋艦並み、装甲に至っては戦艦並みというのが触れ込みの、何かを間違えてしまった設計を持つ空母である。

 

 もしかしたら設計者は多量のブリタニウムを摂取して英国面に墜ちたのかもしれないが真相は謎である。兎も角、そのダガロイ級が艦首6連カタパルトから艦載機を吐き出しつつ、護衛であろう巡洋艦と駆逐艦を引き連れて突撃してきたのだ。

 

 というか、護衛艦隊よく見たらグアッシュ海賊団じゃねぇか。ダガロイ級はカルバライヤらしいクリーム色に近い色だが、他はグアッシュ海賊団のイメージカラーである紅色で塗装された艦ばかりである。

 

 どうやらOISを無理やり突破した俺達を見て、ザクロウ側も慌てて戦闘艦を発進させたのだろう。大慌てでおまけに艦隊を急遽編制したって感じなのか、迫る艦隊の挙動は見て解る程に不安定だった。あれじゃあ碌な戦いが出来ないだろう。

 

 だが、容赦しません。

 

「敵艦から艦載機多数来襲、迎撃の航空隊は発艦位置にて待機中です艦長」

「ではこちらも盛大にお迎えしよう。トランプ隊を中心に各機発進! エステバリス隊は艦隊の近接対空にあたれ!」

「「「「アイアイサー!!」」」」

 

 敵さんが航空隊を出すなら、こっちも航空隊を出すまでである。OIS突入からすでに待機しているトランプ隊やVF達が次々とユピテルの大きく開いた発艦口から発進し、編隊を組んでダガロイ航空隊へと進んでいく。

 

 丁度ダガロイ級と本艦隊の中央で両者は激突……が、ダガロイ航空隊は溶けるように壊滅する。それはVFの基本性能もさることながら、先鋒を務めたトランプ隊の操縦技術が段違いなのだ。鎧袖一触という四文字熟語をこれでもかと見せつけた形となった。

 

 こちらの航空隊と攻撃隊はダガロイ航空隊を蹴散らしたその足で敵艦隊に突撃し、攪乱を兼ねた対艦攻撃を開始した。特にガザンに率いられた対艦隊は怒涛の攻撃力を発揮し、護衛艦隊の駆逐艦2隻と巡洋艦1隻を平らげていた。

 

 とはいえ、流石に機動部隊の護衛艦隊に回されているフネだけはあり、対空レーザー砲が積んであるらしく、無人機のVF隊にいくらか損害が出た。にゃろう、そろえるの大変なんだぞ……と八つ当たり気味に敵艦隊を睨み付ける。

 

「敵艦隊、対空迎撃中、速度低下しました」

「止めを刺すッス。ホーミングレーザー砲シェキナ発射用意!」

「了解、主機からシェキナ砲列群ジェネレーターへのエネルギー回路を開きます。機関出力上昇、圧力安定」

「重力井戸……グラビティウェルからの空間回廊形成よし……重力レンズ空間固定、よし」

「各砲列、FCSデータリンク。重力レンズとの射撃諸元同調完了。シェキナ発射準備用意より」

「全砲列一斉射! 発射後は艦隊含め全砲座各個に自由射撃! トランプ隊に通達、30秒後に砲撃を開始するッス」

「トランプ隊に通達します」

「カウントダウンを表示、発射に備えジェネレーターに出力を回します」

 

 正直、30秒も敵艦隊持つかなと思ったが、戦艦並みの装甲といううたい文句は伊達では無いらしく、カタパルトを航空隊により潰されて、艦載機発艦が不可能になったにも関わらずダガロイ級はまだ沈んでいなかった。タフなフネである。

 

こちらの航空隊がUターンしていくなか、ユピが操艦する無人の駆逐艦たちも砲撃戦に対応するように単横陣にシフトする。そしてシェキナ発射までのカウントが0になる頃には回避もままならない鈍い獲物だけが残されていた。

 

「ほいよ、ほら来た。ぽちっとな」

 

 砲雷班長ストールが久々に『ぽちっとな』と発言しつつ、ユピテル両舷に設置されたレーザー砲列から多量のレーザーが発射され、空間展開された重力レンズにより曲射。ホーミングレーザー砲シェキナとしての能力をフルに発現した。

 

 シェキナ発射後、艦隊の砲撃も行われ、各艦のレーザー砲、アバリスのリフレクションレーザー砲およびガトリングレーザー砲が火を噴き、弾幕と呼べるレーザーの雨霰を降らせて敵艦を蜂の巣に変えた。

 

 インフラトン粒子の青い火球が輝き、エネルギー衝撃波がフネを軽く揺さぶる。さしもの戦艦並みの装甲も蜂の巣にされてはたまらなかった様だ。

 

『ユーリ君!無事かね?!』

「宙佐。こっちは平気です。其方は?」

『こちらも装甲空母を片付けた。このままザクロウを強襲するぞ』

「了解しました」

 

 保安局の突入艦隊も装甲空母を下したらしい。彼らと合流した俺達は、そのままザクロウへと舵を切る。敵の航空戦力は先程撃破したので妨害を受けることなく俺たちは惑星ザクロウ上空へと接近した。

 

 大気との摩擦が起きるギリギリの高度に到達した時、保安局の突入艦隊から数隻のフネが赤道上空の軌道へと移動していく。前足だけ生えたトカゲのような形状をしたそれら艦艇はグルカ級という海賊本拠地制圧ように開発された強襲揚陸艦であった。

 

 全長500m、全幅150m、全高155mと比較的小柄な彼女は、前足のように見える艦首下部から直下へと伸びる二対のバルジを展開し、内部から兵員降下用HLVをザクロウへ目掛け投下した。10数機のHLVはすぐさま大気摩擦により赤熱化し、赤い流星となってザクロウに降下していった。

 

「保安局艦隊、大気圏突入部隊が降下します」

 

 HLVの軌道から計算したところ、降下地点は軌道エレベーター基部。強襲部隊を乗せたHLVは軌道エレベーター基部を確保するつもりなのだろう。実に命知らずな連中である。あれじゃあまるで○DSTのようだなぁとその光景を見ていたが、このまま何もせず見ているのは性に合わないな。

 

「VF隊に通達、降下部隊を援護せよ。VB隊も発進ッス!」

 

 ふふ~ん、俺達のVFも、ちゃんと大気圏突入が可能なのだ。ザクロウ大気圏内に少なくない数の敵戦闘機が飛んでいるのをレーダーでとらえているので、降下中は動けない降下部隊を守らせようじゃないか。

 

 ついでに変形すると砲戦能力が高いVBも惑星へと降下させた。あのモンスターたちなら圧倒的な火力をもって降下部隊を守りつつ後方から支援できるだろう。海賊がナンボのもんかと。

 

「艦長、シーバット宙佐から通信です」

「通信つないでくれッス」

『ユーリ君聞えるかね?先行して降下部隊が軌道エレベーターを占領する。我々はステーションを制圧するぞ。ただ海賊とは関係ない正規職員も多い』

「解りましたシーバット宙佐。兵装はパラライザーに限定します」

『ソレで頼む。通信終わり』

 

 シーバット宙佐からの要請に快諾しておき、宙佐の艦隊が軌道ステーションの宇宙港に殺到する中、俺たちも彼らに続いてステーションに向かった。すでにザクロウ軌道上を防衛していた艦隊は無力化しているので、俺たちは妨害を受けることなくステーションの宇宙港に接舷する。

 

 このステーションの湾口設備部分は空間通商管理局が管轄しており、彼らは敵でも味方でもないいわば中立なので、湾口設備に入るのは容易であった。しかしエアロックを抜けた先は管理局から間借りしているザクロウの管轄となる。

 

 案の定そこから先ではブロックごとにシャッターが下ろされ、ところどころにバリケードが設けられているらしい。つまり、ステーションを制圧するにはそれらをどうにかしなければならなかった。

 

「白兵戦ッスよミドリさん」

「解りました。保安部に連絡します」

 

 こちらも白兵戦に備えて保安部や戦闘技能がある面子を揃え、準備を整えていく。一応宇宙ステーションなので強力な火器は使えないが、マイクロ波で金属を傷つけないメーザー銃やフラッシュバンやトリモチ爆弾といった非殺傷武器がここで役に立つ。

 

 そして扉一枚挟んで敵がいるところに向かうと、装甲宇宙服で固めた保安部たちを先頭に内部に突入する。色は白いが顔が見えない金色のバイザーや体の動きを阻害しない装甲板の配置、それら装甲の合間から見える柔軟性があるインナーアーマー、ぶっちゃけ外見はモロにチーフそれだが、気にしてはいけない。

 

 パワーアシスト機能があるので装甲宇宙服を装着した輩は皆二回りは大きく見えるのだが、そんなのが集団で凄い速さで走り抜けて迫ってくる。敵から見れば威圧感は半端な物ではない。

 

 彼ら保安部員たちの活躍と、軌道エレベーター基部を大気圏突入して強襲した部隊が押さえた事。それにより増援が来なかった上、狭いステーションにあまり人員を置けなかった。様々な理由もあり軌道ステーションにいた敵は全て排除されることになる。

 

 障害となる連中がいなくなればこっちのもの。すぐに地上へ降りる軌道エレベーターのトラムに乗り込んで眼下に広がる惑星ザクロウへと降下したのであった。

 

 

***

 

 

 ユーリ達がまだ軌道エレベーターに居る頃、階下の軌道エレベーター周辺地区は激戦区となっていた。軌道上から降りてきた降下HLVから雪崩のように宙域保安局の強襲降下部隊が現れ、敵は彼らと対峙したからである。

 

 戦っているのは、主にドエスバンの配下とザクロウに潜り込んでいたグアッシュ海賊団であった。彼らは宙域保安局が当然強制捜査を敢行しOISを強引に突破してきたという事情を知っている者たちで、強襲降下部隊が自分達を捕えに来たと思いこんでいた。

 

 その為、各個に応戦していたので、軌道エレベーター基部および周辺設備で激しい戦闘が行われることになった。この事態に困惑したのは、保安局が来る事情を知らない正規職員たちだ。

 

 組織的に犯罪行為をしていたとはいえ、ザクロウにいる全ての人間が悪人という訳ではない。その多くが実直に職務を遂行してきた善良な正規職員たちである。同僚の一部がいきなり変な連中と一緒になって急襲部隊と思われるHLVから出てきた者たちと戦い始めたのだ。どうしていいか解らずに立ち尽くす者が続出した。

 

 一方で我に返った者たちから、緊急事態か何かが起こっていると理解して、あらかじめ決められた避難場所やシェルターに自主退避した。これによって、軌道エレベーター基部周辺のフィールドには、ほぼ敵だけが残ることになった。

 

「くっそう! 何なのあの兵器! 何時の間にあんなモンスターを!?」

「ドエスバン所長からの情報にあんなのなかったぞ!」

「つーか何だよ。あのデカイ大砲。あんなの勝てねえよ」

 

 当初、降下部隊と戦い始めた海賊と配下の連合は、意外にも善戦していた。勝手も知らず降りてきた敵と違い、ホームグラウンドである基部周辺地区での戦いである。どちらが有利なのかは馬鹿でも解る話である。

 

 しかし、そこへ現れたのは、空飛ぶ陸戦兵器と言える怪物だった。

 

 4連装レールカノンを背負い、重ミサイルランチャーを二基、計六発持つ大型の二足歩行機動兵器が突如空から舞い降り保安局側に味方した。降りてくる時はシャトル型であったが一定高度まで降りた途端に変形し、地上のHLVの周辺に降り立ったのだ。

 

 それは、VB-0ケーニッヒモンスター、対艦・対要塞攻撃機として極限まで搭載された重火器と、その鈍重な運動性による被弾を物ともしない重装甲を持つ化け物である。彼らモンスターはユーリが降下部隊の掩護の為に地上へ派遣した火力支援部隊であった。

 

 彼らは強襲降下部隊に混ざり、その重装甲で敵の攻撃を受け止めたり、バリケードを強力な武装で強引に破壊したり、ミサイルに大型トリモチ弾頭や音響弾頭といった広範囲非殺傷兵器を積んで、それを使い降下部隊を支援した。

 

 拮抗した戦線が崩されて困惑する無法者たち。海賊たちから見ると突然現れたモンスターは保安局の開発した新兵器に見えていた。にゃろめちょこざいなと最近勢力が大きくなり活気づいたことで調子に乗っている彼らは、デカい敵がなんぼのもんだと攻撃の手をゆるめなかった。

 

 一方の各セクションの建物に立てこもり、抵抗を続けているドエスバン配下の職員達は困惑していた。管轄は違うが一応は同じカルバライヤの治安維持組織に所属する彼らは、あんな奇怪な機動兵器が存在しているなんて聞いたことがない。

 

 かと言ってお隣の国との睨み合いで忙しい国防軍ですら、あんな兵器は持っていないので、目の前でふざけた威力を持つ機動兵器の出所が解らず、余計に混乱していた。

 

「ヤベ!デカブツがこっち向いた!皆伏せろ!」

 

 誰かが叫ぶのと同じく、強力なレールキャノンと重ミサイルが、敵が潜む建物付近に目掛けて殺到する。レールキャノンから放たれた電気伝導弾体は建物に当たる手前で破裂し、大音量と衝撃波をまき散らして、建物の外にいた海賊達の内耳に直撃し、平衡感覚を狂わせた。

 

 その数瞬後に着弾した重ミサイルの中身はドロドロの白濁した粘着物質が外にいた者たちの身動きを封じっていった。特に音響弾頭は建物の奥に逃げ込まないと、その強烈な音波により気絶させられてしまうので、この無駄に高性能な対艦兵器の所為で、直撃を食らった拠点はほぼ使い物にならなくなっていった。

 

「くそ!収容施設の方に後退するぞ!このままじゃ全滅だ!」

「あそこなら防衛にはうってつけだ!」

 

 そう誰が叫ぶと、まるで伝言ゲームのように次々と防衛していた拠点や建物を放棄し、後退していく配下と海賊。彼らが立てこもった場所はザクロウで一番に巨大な収監施設であった。

 

 流石の機動兵器も建物の最奥に立て籠られると攻撃が出来ない。何故ならトスカやサマラがどの収容施設に捕らわれているのか特定が出来ないからである。故に彼らは基本施設の外に居る敵にしか攻撃が行えなかった。

 

 敵が施設に立てこもる作戦を取ったので、支援部隊は手出しが出来なくなり、弾薬も乏しいことから一度フネへと帰還していった。しかしそうなると、今度は降下部隊と施設防衛戦力との間がこう着状態へと突入してしまう。

 

 降下部隊が持ちこめる火器は良くても迫撃砲程度である。シーバット宙佐から、正規職員に被害を及ぼさない様に、基本パラライズモードでしか使えない様、火器の使用を限定されていたことも、この膠着状態に拍車をかけていた。

 

 2時間が経過した頃、降下部隊がどうにも攻めあぐねいていると、軌道エレベーターを制圧した保安局の第3第9管域の保安隊と、白鯨の保安部が増援として収容施設前に到着した。

 

 保安隊は強襲降下部隊達と合流後、強襲降下部隊と一緒に収監施設を責めるが、やはり同じようにほぼ要塞のような収監施設に手間取る。そんな彼らを尻目に白鯨保安部からも部隊が進み出た。

 

 重装甲の宇宙服と肩に担ぐような重火器を装備しながら、猫のように素早い身のこなしで遮蔽物に隠れて進む白鯨保安部隊は、収容所の入口に到達すると担いでいた火器を躊躇せずに入り口を守る敵に向けて発射した。

 

 その重火器。バズーカから発射されたのは青いエネルギーの塊であった。これはユーリが持つエネルギー式バズーカの量産型であり、試作品であったモノをバトルプルーフを繰り返したことで、そのデータを反映されたモデルである。

 

 その驚くべき特徴として、エネルギー火器の癖に何故か爆発する。そしてパラライズモードが選択可能であるということだろう。それでいてエネバズ一本のお値段はメーザーライフル5つ分で据え置きいうのだからお買い得である。

 

 このケセイヤ印の高火力武器は、特に今回の様な制圧戦で“なにそのチート武器?”と思わず突っ込んでしまいそうな装備であった。マッドの技術力恐るべしである。

 こうして収容所入口はあっけなく、ユーリの保安部員達に抑えられてしまったのだった。

 

 

***

 

 

 スパルタンみたいなウチの保安部員たちが、行く先行く先でかなりの戦果を挙げているらしいと報告が上がって来ていた。宙域保安局の先駆けのように突入し、敵を乱すとすぐさま後退。後からくる保安局に任せ他の設備に向かうを繰り返しているそうだ。

 

 シーバット宙佐から直々に教導でいいから保安部員の何人かを出向させてもらえないかと打診が来たほどである。体の良いアルバイトだし、訓練方法も重力井戸の調整だけで済むから楽なモンだ。お値段交渉をしないといけないな。

 

 それはさて置き、彼らの奮闘のお陰で敵が立てこもる収容所も残すところ3つ。西館と東館の収容設備と中央にある収容施設の管理棟だけとなっていた。早々に宇宙との玄関口である軌道エレベーターを封鎖したので連中も逃げられないと悟り、必死の抵抗を見せているようだが、すでに半数を落としているので負ける道理はなかった。

 

 一番忙しい山場を越えたので考える余裕が生まれた。地上に設置された臨時作戦司令部の近くに集まった俺達は今後について議論する。さて俺達の姉御は一体どこの施設に居るんだろうかねぇ? 俺は近くに控えている二人の女性に顔を向けた。

 

「バリオさんやトスカさん達って、どこに居ると思う?」

「えーと、恐らくですけど、男の囚人と女の囚人は大抵は分けて捕えておきますから」

「バリオの子坊なら東館、トスカ嬢ちゃんなら西館の可能性があるんじゃよー、と」

 

 二人、ユピとヘルガが俺の問いにそう答えた。ヘルガは言わずもがな強力なコンバットドロイドであることから今回俺の護衛を引き受けてくれている。いやぁ敵と遭遇した時は凄かった。手にしたメーザーライフルで瞬く間に敵を薙ぎ払い、エネルギーが切れたら目からレーザーを放つ。もう怖いもん無しである。

 

 一方のユピは直接的な戦闘力はヘルガに数段落ちるが、旗艦ユピテルの中央電算装置と常時遠隔接続されている為、参謀役として期待している。まぁ現状では経験不足なので経験を積ませる目的で連れてきているというのもあるが……。

 

「ふーむ、トスカさんは女性だから西館でッスね」

「それじゃあ、確かイネ坊が車両を回してたから、それに便乗して西館に直行するんじゃよー、と」

「ああ、そうしようっス」

 

 んで、にべもなく目的地は決められた。バリオさんがいる東館はこれまで大活躍してきた筋肉モリモリマッチョマンの変た……保安部員達に任せることにしよう。

 野郎相手に頑張る気なんて起きないさぁ。 なんくるないさー。

 

 

 さて、イネスが調達してきた車両を乗り回し、やってきましたは西館。いうなれば女囚の館である……何かそう書くとエロいなオイ!とか考えていたらユピとヘルガの両人から抓られた。なんでさ?

 

 まぁそないな事は置いておいて、とりあえず入口付近を制圧する。久々の出番である俺の獲物のエネルギーバズ……あ、トスカ姐さんから貰ったスークリフブレードは額縁に入れて飾ってありますよ? 剣術の心得無いから扱えないんだもんアレ。

 

 とにかく黒くて太くてすっごいのを撫でながら車両から降りると……

 

「へるがパンチ!じゃよー、と」

『『『『『ぎゃわぁぁぁぁぁーーーー!!!』』』』』

「目からビーム(低出力)じゃよー、と」

『『『『『ひょぇぇぇぇぇぇーーーー!!!』』』』』

「ヘルガのこの手がまっかにもえるぅ!お前ら消えろと轟き叫ぶー!はぁくねつ!」

『『『『『ちょ!おま!!』』』』』

「ヘルガ・フィンガー!!」

『『『『『めめたぁぁぁぁぁーーーー!!!』』』』』

 

 海賊達が空で舞っていた(誤字に非ず)―――あえて言おう。ヘルガが強すぎる。

 

 イネスや俺や保安部の指揮を副官に任せてこっちに来ていたトーロの三人で攻撃準備していたのに、彼女一人で入り口に居た海賊50人を普通になぎ倒してしまった。しかも無傷で……敵さんはボロボロではあるが気絶させただけで済ませている。

 

「むー、加減がまだ解らなくて焦がしてしまったんじゃよー。テヘ、なんじゃよー」

「「「「「テヘじゃねぇ!!だがいいぞ!可愛いぞ!!もっとやれ!!!」」」」」

 

 そして女囚の館に来たがったウチの男衆にも病気の人間が多い。なんだよもっとやれって。この後もヘルガとヘルガFCの皆様が海賊や敵側の警備員達をバッタバッタと気絶させて行ってしまう為、俺とかがマジで暇になってしまった。

 

「なんか、スゲェヒマッスね」

「まぁ彼女はコンバットドロイドだし、ある意味運用は間違ってはいないんだろうけどね。確かに暇だ」

「しかしイネス、ユーリよう。正直ついて行くだけだと俺達何しに来たんだって感じしねぇか?」

「トーロの言う事も解らなくもないね」

「ま、ある意味楽が出来るって考えれば、儲けもん何スがね」

 

 薙ぎ払われる敵、時折保護される女囚は酷い事されていたので女性陣が丁寧に搬送する。俺達はそれの報告を聞くだけで本当に暇で……ん、報告?

 

「おーいユピさんや。こっちゃ来い来いッス」

「はーい! なにか御用ですか~♪」

 

 ユピに声かけると何故かスッゴク嬉しそう。まぁこれまでヘルガばかり活躍しているので彼女も暇だったから、仕事が出来てうれしいのかもしれない。後俺に呼ばれたのもうれしいんだとか……ナニこの可愛いヤツ?

 

「ヒマだからデータリンクで他の所がどうなったか教えて欲しいッス」

「解りました!それじゃ少しお待ちください!」

 

 俺達の前方20m先でココの所長配下の警備員が宙を舞っているのを横目に、張り切って与えられた仕事を行うユピ、すこしシュールな絵面である。時間にして僅か5秒くらいだろうか、データを収集し終えたユピは携帯端末のホロモニターに情報を投影する。

 

「えーと、飛び交う通信によると、中央の管理棟は相変わらずこう着状態です」

「あそこが一番戦力が多いみたいだしな。所長いるらしいし」

「俺の部下を送り込んでもいいが、こっちの保安部ばかりを活躍させると、あっちの強襲降下部隊の面子が立たねえからなぁ」

 

 そう、組織の面子を考慮しないと後が怖い。トーロも分かってるじゃねぇけ。

 

「それに今、保安局の強襲降下部隊の精鋭はOISの管制塔制圧に忙しいッスからね。シカタナイネー」

「……なんだ今の? 森の妖精のイメージが浮かんだ」

「僕も」

 

 ああん? なんのもんだいですか?っていかんいかん。フザケるのは後々。

 

「あ、たったいま東館は白鯨艦隊の保安部が制圧しました」

「おう、俺のところにも連絡が来たぜ。バリオと他一名を確保したらしい」

「他一名?」

「名前はライ・デリック・ガルドスさん。どうやらリアさんの行方不明だった恋人みたいです。向こうの監視カメラ映像が中継出来ますけど、どうします?」

「おk、ちょっとだけ覗いてみよう」

 

 せっかくの恋人同士の再開なんだから、これは覗かないとダメでしょう?

 

「では、投影します」

 

 ホロモニターに映像が映され……

 

『―――ねぇ!ライ!ライ何でしょう!』

『あ、リア。久しぶり』

『久しぶりじゃないわよ! 何そのフツーのあいさつ! どうして生きてるなら連絡一つくれなかったのよ!!』

『う~んとね。家に男が来て、ここ研究し放題で高価な機材使い放題だっていうから。その前にリアは何で怒ってる?』

『あんたは――前からマイペースだとは思ってたけど……この研究オタク! 急に居なくなるから私、すごく心配したのよ! 連絡の一ついれなさいよ! なんでいなくなるの!?』

『あ…あ、ああ~…。分かったぞ。つまり僕が黙っていなくなったからリアは怒ってるんだね?』

『だからさっきからそういってるだろうがぁぁあああ!!!』

『アベシ!』 

「ユピ、もう良いッス。なんか見てらんねぇッス」

 

 ぼさぼさ頭のライさんなる男性が、リアさんのドロップキックを受けたところでもう見てられなくなり映像を切ってもらった。もういいや。後は二人の問題だろう。

 

「でもま、リアさん恋人見つかって良かったな」

「まったくだ。普段は普通に仕事してたけど項垂れてた時もあったしな」

「うんうん、仲良きことは良いことッスよねぇ。あれはきっとケンカするほど仲が良いんスよきっと」

「どちらかと言えば、あまりにマイペースなライさんにリアさんが怒って入るんだけど、マイペースすぎてライさんが気付いてないの方が正しいよな」

「そこまでッス。馬に蹴られて死にたくない」

 

 古来より、こと恋人関連はあまり顔を突っ込まない方がいいのである。

 

 さて、西館東館共に制圧したが、トスカ姐さんの姿は影も形も無かった。どうも俺達が来る以前に脱走していたと刑務官の日誌にそんな記述があったので無事ではあるらしい。

 

 しかしザクロウの主要な施設では見つかっていないので、残っているのは中央の管理棟だけとなる。しょうがねぇので中央の管理棟へ移動することにした。見つかるかはわからないが骨は拾っておかないとな。

 

 丁度、保安局降下部隊もOIS管制塔の制圧が完了したらしく、中央管理棟の制圧を行うらしいので俺達もそれに便乗することにした。他の設備の制圧に行っていた部隊も合流し、一挙に管理棟を制圧する心算のようである。

 

 合流してくる部隊の中に東館で救出されたバリオさんの姿もあった。若干やつれて疲れている感じだが、まぁ一週間痛めつけられていたという割には元気そうである。元気ついでに中央管理棟突入に参加するというのだ。どうも痛めつけられた仕返しをしたいらしい。

 

「管理棟には所長以下多数の配下が立て籠もっている。気を抜くなよ」

「ウイッス。バリオさんも気を付けて」

 

 そんなやり取りをした後、管理棟へと突入を開始した。とはいえ正面入り口は固くシャッターが下ろされ封鎖されている。バーナーで溶断して突入するらしいが準備が面倒そうなので、宙佐に断りをいれてからVFの一機を呼び寄せて入り口をこじ開けてもらった。

 

 囚人の暴動に備えた堅固な入り口であったが、艦艇の装甲板にグーパンチで穴をあけられるVFの格闘ジツの前では唯の金属シャッターなど無力である。てっとり早く開いた入り口を潜り、俺たちは内部へと突入した。のだが……。

 

「ありゃ? だれも、いないな」

 

 てっきり強固なバリケードでも築いて待ち伏せているのかと思いきや。意外や意外、エントランスには人っ子一人見受けることはできなかった。罠か何かかと思ったがヘルガがセンサーでスキャンしたところ、このフロアに生体反応はないという。完全に無人である。

 

「おかしい。おかしいけど、このままここに居るわけにはいかないぜ?」

「そっスねトーロ。うーむとりあえず情報が欲しいッスね」

「それじゃあ、監視室に行こう。あそこならこの施設の全てのサーバーにアクセスできるだろうしね」

「お! イネスあったまいい!」

「俺たちじゃ思い付かない事を平然と言ってのける! そこにしびれるあこがれるぅッス!」

「艦長! 何言ってるんだ!」

「いや、なんかノリで」

 

 

***

 

 

~管理棟・監視室~

 

 イネスの提案で監視室までやってきた。入り口に人気がなかったのと同様、ここまでの道筋も、そして監視室にも人っ子一人いない。激しい抵抗が予想されていたので、ここまでなんの抵抗もないと逆に不気味である。あれだ、SFホラーで急に人が消えて化物が音もなく動き回っているような感じに似てるかもしれない。

 

 とにかく情報が最優先なので、ユピに監視室の端末にアクセスしてもらい、情報の洗い出しを行わせた。生身の俺達と違いナノマシンで出来ているユピは機械には滅法強い。PCに直接触れるだけで彼女の体表面にあるナノマシンが機械の中に流れ込み、直接PCと接続された状態になるのだ。

 

 この時、周囲に放出しているナノマシンが活性化して、その余剰エネルギーが光として見える為、彼女は燐光に包まれているように見える。この光景はいつ見ても幽玄なものである。そんなユピの幻想的な光景を眺めていると、ややあって彼女は顔を上げた。情報の洗い出しが終わったのだ。

 

「所長室の所に隠し部屋があるらしいです」

「悪者の頭領の部屋に隠し部屋。古臭い設定みたいだぜ」

「回線の集中具合からすると、所長のデスクに何かあるかと思います。多分開閉スイッチか何かかと……」

「それじゃあそこに所長は逃げ込んだ可能性が高いッスね」

「ああ、多分グアッシュもそこに居るだろう」

 

 これまでグアッシュが居た形跡は他の設備から見つかっていないので、隠し部屋があるならばそこに居る可能性が高いということになる。

 

 そしてサマラ様の目的は恐らくこのザクロウに居るとされるグアッシュだ。逃げ出した後の数日間痕跡すら残さない程、潜入能力が高いサマラ様たちなら、所長室の隠し部屋について情報を得て向かったかもしれない。そうなると自然とトスカ姐さんも一緒にそこへ向かったことになる

 

「おし、とりあえず隠し部屋に急ぐッス!」

「「「了解!」」」

「了解じゃよー、と」

 

 監視室で情報を得た俺達は、急いで所長室へと向かった。

 

 

 

 

~管理棟・所長室~

 

 満を持して向かった所長室。ここにも人気はなく無人の部屋が唯あるだけである。されどドアの前にあるプレートには確かにここが所長室であるということを示していた。ドアに鍵はかかっていなかったのですんなりと内部に入ることに成功する。

 

 所長室であるが、思ったよりも整頓されており、無駄な調度品なども置かれてはいない。所長なんて言ったら豪華なイスや机に踏ん反り返り、葉巻でもしゃぶっているのがセオリーだと思っていたが予想を裏切られた気分である。

 

 とはいえセンスは壊滅的であるといえよう。なぜなら部屋の照明は紫色であり、壁も調度品も全て紫色なので眼が痛いのである。とりあえず入ってすぐ正面に置かれた所長のデスクに向かい、そこら辺を探してみた。

 

「あった!隠し部屋のスイッチだ!」

「デカしたイネス!――ってマジでスイッチなんッスか!?」

「引き出しの中とか……テンプレすぎるぜ」

「だけどこれ以外は無さそうだよ?デスクのPCには何も無いってユピが言ってたし」

 

 見つけたのはいいが、あからさまにあやすぃ。

だけどこれ以外手がかりなさそうである。ならば方法は一つしかない。

 

「ぽちっとな!」

「「「ちょっおま!」」」

 

 

 俺が躊躇なく思いっきりスイッチを押すと、部屋の奥の扉が動いて、隠し部屋への通路が現れた。本当に隠し部屋空けるスイッチだったのか……ココの所長さん、ある意味ロマンが解る男だったのか?

 

「とりあえず入るッス!」

「ヘルガは2番乗りなんじゃよー、と!」

「あ、ヘルガずるいぞ! 俺は3番乗りだー!」

「艦長もトーロもヘルガも罠あったらどうするんだー!!」

 

 イネスの突っ込みを背に受けて、俺たちはやや薄暗い通路を真っ直ぐ進んでいく。壁と壁の隙間に造られたらしい通路は配管がむき出しで、そこから垂れる水滴が落ちて通路に木霊する音が、妙に大きく響いている。

 雰囲気ある通路を進むと右に曲がるところに続いていた。ほかに部屋や通路らしきモノは無いのでそのまま右に進む。

 

「何気に長い通路ッスね」

「隠し部屋への通路って言いますけど、どんだけお金を使ったんでしょう?」

「それだけ稼いでたって事だろうさ」

 

 その後も真っ直ぐ直進する道が続き、またもや右に曲がる。コレ最終的に所長室の隣の部屋にでも出るんじゃねぇのとか考えてたら、今度は左折だった。分かれ道が無いので、とにかく道沿いに進むしかない。

 

「あ、あそこに誰か座ってる」

「え? 薄暗くてよく見えないッス。まさかトスカさんじゃ?」

「暗いなら灯りをつけるんじゃよー、と」

 

 ヘルガがバイザーについているフラッシュライトを点灯した。光は俺のすぐ前へ延び、座っている人物の方を明るく照らし出した。

 

「くぁwせdrftgyふじこl;@:」

「きゃっ!」

「げぇ!死体かよ」

 

 上からイネス、ユピ、トーロの順である。ヘルガの明かりで照らし出された先には、白い囚人服を纏い、両腕を手錠と鎖で椅子に拘束されたミイラが座っていた。

 

 骨付きや髭が残っているところを見るとおそらく男。ミイラにしては痩せており、手が拘束されている腕置きに引っ掻いた後があるあたり、拘束されたまま放置されて餓死したのだろう。ここはあれか? ホラーハウスかなんかなのか?

 

「ユピ、イネス、頼むから離れてくれ。クビ絞めてるッス。苦しいッス」

「「あ、ごめんなさい」」

 

 いきなりミイラを見つけてビックリしたのか、俺は飛び上がって驚いたイネスとユピに抱きつかれていた。こいつら思いっきり腕を首に回したもんだから絞められた。特にユピの力が尋常ではなく、鍛えて泣ければ危うく意識が落ちるところだった。

 

「ゲホゲホ、それにしてもこいつは誰なんスかね?」

「―――グアッシュのなれの果てさ」

「むっ! 何奴!」

「アンタは声でわからんのかい。あたしだよあたし」

 

 このミイラが誰なのか詳しく調べようとした時、ミイラの向う側から声が聞こえた。ヘルガが声がした方に明かりを向けると明るみの中にトスカ姐さんがいるではないか。彼女のとなりにはサマラさんの姿も見える、目立った外傷らしきモノを追ってはいない。

 

「はぁまったく。それはいいとして、グアッシュはココに閉じ込められて飢え死にしたんだよ」

「名の通った海賊にしては、哀れな死に方だがな」

 

 サマラさんはそう言って、グアッシュのなれの果てを蹴る。風化しかけていたグアッシュの亡骸はガラガラと骨の音だけを鳴らして崩れてしまった。あおん、いくら敵だったとはいえ遺体にご無体な。

 

 まぁ野郎の死体はどうでもいい。それよりもトスカ姐さんだ!

 

「トスカさん! サマラさん! 無事だったんスね! ボカァもう心配で心配で!」

「はは、心配してくれたんだ「もう辛抱たまらん」ってキャアァァ!!」

「おお、中々情熱的な少年だ。よかったなトスカ婿がいて」

 

 久しぶりに再会した姐さんに喜び過ぎた俺は、気が付いたら鍛えた身体機能をフルに使って姐さんを思いっきりハグしていた。あまりにも長い間彼女と離れていた所為でトスカニウムが不足したのかしらん?

 

 そんでまぁ、再開の喜びに我を失っていた俺は抱き着いた拍子に腕に力込めたのよ。そしたらなんか普段は聞けない可愛らしい悲鳴を上げるじゃないッスか? よけいに腕に力入るってもんで……、ああ柔らかいなぁ、むふぅ。

 

「こんの、バカ! 恥ずかしいだろ! 離れ、離れろっての!!」

「あぎふん!?」

「見事なレバーブロウ。うではなまっていないなトスカ」

 

 普段ならこんなセクハラ染みたことはしないのに、周りの目も気にせず抱き着いた俺は、顔を真っ赤にした姐さんの容赦ないレバーブロウで内蔵を揺さぶられて、そのまま地面と熱いベーゼを交わす羽目になる。

 

 心なしか俺の行動を見ていたユピやヘルガの眼が冷たい……ごめんよぉ、我慢できんかったのよぉ。でも後で冷静になって考えると俺がしたことってセクハラなんだよな。そりゃ女性陣の目も鋭くなるか。

 

「はぁはぁはぁ……と、とにかく私の言った通りだったろサマラ」

「だな、まったく賭けに負けてしまった」

 

 そんなセクハラ小僧の背中に足を乗せて踏みつける姐さんは、サマラ様と何故かマネーカードのデータのやり取りしていた。つーか、賭けって何?

 

「ああん? ユーリが一番乗りでキチンと迎えに来るかどうかって賭けだ」

「そうしたら、本当にお前が一番乗りだ。保安局員がさきかと思ったんだがな」

「でも、お二人とも、よく無事だったよな? ずっとここにいたのか」

「そうだよトーロ。上手いこと脱獄した後で色々調べてこの部屋を運良く見つけたのはよかったんだが、調べている最中に所長に気付かれてね。そのまま閉じ込められちまったんだ」

 

 なんともドジを踏んだとあっけらかんとしているお二方。だけど冷静に考えると二人とも下手したらミイラグアッシュと同じ運命になってたんですけど? いくら医療技術が進んでいるこの世界でも、さすがにミイラからのアンチエイジングは範囲外です。

 

「ということは、やっぱり所長が海賊とつるんでいたんですね」

「そうじゃあないぞ細見眼鏡。ヤツがグアッシュなのだ。収監したグアッシュを殺し、すり変わった所長がココから資金を渡して部下に指示を出していた」

「あの、僕にはイネスって名前があります」

「細くて眼鏡かけているし、名前で呼んでほしいのかい? この無慈悲な夜の女王に」

「すいません。遠慮しておきます」

 

 しかし、聞けば随分と壮大かつ考えられた仕組みだ。これなら幾ら海賊や部下を捕まえても最終的に送られる場所には頭がいる。すぐに秘密裏に釈放されて仕事に復帰できるって訳だ。しかも監獄惑星なんて普段は誰も来たがらないから秘匿性も高い。

 

「とりあえず、シーバット宙佐に連絡しておこうッス」

「宙佐と回線をつなぎます」

「うす、ユピ頼むッス」

 

 ユピが回線を繋げ、すぐに通信に中佐が現れた。俺達はココで知った事をすぐに報告する。報告を聞いている宙佐はさらに眉間の皺を深くしていった。

 

『むぅ、そうか。所長のドエスバンが、な』

「ヤツはまだ見つかって無いんスか?」

『どうやら我々がOISを突破している間に逃げていたらしい。捕まえたヤツの部下だった者からの情報だ』

 

 どうやら、俺達がこの星の制圧に手間取っている間に、ドエスバンはとっとと逃げだしていたらしい。まるでネズミかゴキブリ並みにしぶといヤツである。俺達とすれ違わなかったので、どこかに連中しか知らない秘密の航路か何かがあったんだろう。

 

 だが追い詰められたヤツが逃げた大体の行き先は解るなぁ。というかあそこしかないだろう。グアッシュ海賊団の本拠地、『くもの巣』しかあるまい。

 

「では、ドエスバンが逃げたのなら私は追いかけさせて貰う。この星の奥にグアッシュの本拠地“クモの巣”に通じる航路があるからな。ヤツが逃げるとしたら、そのルートしか有るまい」

『待ちたまえ。我々はココの後始末でまだ動けないんだ。それを待ってから――』

「ソレでは追撃は間に合うまい。それに私が約束したのは連中を潰すと言う事だけ……。保安局と一緒に行動する気は毛頭無い」

 

 そして何者にも縛られない自由な大海賊サマは、所長ドエスバンの追撃する気満々らしい。彼女がそう言うと、突然施設全体を揺るがす振動が駆け抜ける。この腹の底に響くような重たい振動は重力波によるものだろう。

 

 どうやら管理棟上空にフネが来ているらしい。このタイミングでザクロウに降りてくるフネなど一隻しかおるまい。サマラ様の乗艦エリエロンドが降下してきたのだ。

 

「迎えも来たようだな。私は行くぞ」

「俺達も行くッス。あいつ等を倒さないと先に進めないッスからね。それに綺麗なお姉さんを、あの所長の視線の中で過ごさせてしまったお詫びも兼ねて」

「ふ、好きにするがいい。私は先に行っている。ところであまり綺麗とかの世辞を女性に対し素直に言わない方が良い。後ろが怖いぞ?」

 

 彼女はそう言い残し、踵を返すと俺達に背を向け管理棟の外へと向かっていった。 さっきの重力波振動の原因であるエリエロンドに乗り込むのだろう。俺も彼女に続くべく、宙佐との通信を終わらせて、皆を引き連れて管理棟を後にした。

 

 ところでフネに戻ったら、ユピやヘルガやトスカ姐さんと何故かチェルシーにつねられた。すんません、綺麗なお姉さんには世辞言わないといけない気がしたんですぅ! ゆるしてくだしゃぁ!

 

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