何時の間にか無限航路   作:QOL

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第五章 ネージリンス
~何時の間にか無限航路・第28話、 ネージリンス編~


■ネージリンス編・第二十八章■

 

 

 さて、惑星ムーレアを出立してから10日後。無事に次の宇宙島へとつながるボイドゲートを潜り、隣国であるネージリンスの領宙へと入った。

 

 今回、以前からあったチェルシーの頭痛への対策として、彼女にはボイドゲートを越える前に医務室で待機と厳命しておいた。今や厨房の一角を任されるくらいにまで成長を遂げているチェルシーだが、もしも火とか刃物とか使っての調理中に倒れられたら目も当てられない。

 厨房は戦闘中だろうがなんだろうが、24時間のローテンションで仕事が終わらない部署だからな。そこの火が落ちるとしたら、ユピテルが落ちる時だろうとまで言われているくらいハードな職場でもある。

 

 最近は自炊や自販機も増えたとはいえ今も基本的にクルーの食事は、大体が食堂でまかなわれている。マンパワーの低下を避ける為にも、厨房の火を落すことは許されないのだ。

 まぁ手作りの料理は案外少ないらしい。基本大味なモノや簡単な代物には調理マシンや調理ドロイドを使用しているそうだ。

 流石のタムラ料理長も一度に数百人から下手すると千人規模で押し寄せてくるクルーの飯を一つ一つ作るのは不可能だ。人力だけじゃどうしようもならんのでしょうがないのである。

 

 

 まぁそんな訳で準備は万端。白鯨艦隊はネージリンスへと到達したのだが、俺はその時艦長席でチェルシーの体調悪化の報告でも来るのか!?と、若干不謹慎なことを考えていたが今回はそれが来なかった。

 

 そういや以前くぐった時も体調悪化の兆しは弱くなっていたし、これは自意識が大分確定したと考えるべきなのだろうか? ボイドゲートから受ける洗脳の効果も殆ど無くなりつつあるのだろう。つまり今のチェルシーがデフォとなると……ガンマニアだけでも治らないだろうか?

 

 でもまぁ体調が変にならないのは良い事だ。素直に喜んでおくことにして、そのままネージリンス・ジャンクションβから進むこと一日の位置にあるネージリンス領最初の惑星リリエへと針路を取った。

 

 この道中、とくに何かあったかというと、海賊の襲撃……でも何故かグアッシュ海賊団。多分ボイドゲート超えて逃げてきたんだろうなぁ―――でも逃がしません。おいしくいただきます。

 こちとらステルスモード展開しているので、再び駆逐艦の生餌に引っかかったグアッシュ海賊団の残党は、あわれ我らのお財布の中身に化けたのだった。

 

「艦長、惑星リリエの中立宙域に到達しました」

「補給と休息と情報収集の為に一度寄港するッス。ステルスモードを解除して航海灯を灯し、リリエの空間通商管理局軌道ステーションへの入港許可を打診」

「了解、ステルスモード解除し、入港許可を打診します」

 

 ようやく惑星リリエが見えるところまでやってこれた。リリエはかつて見たゾロスに似た緑色の海をした星であった。資料によれば人口はおよそ101億11200万人ほど。隣国との玄関口だけあって、それなりに交易所があるのかもしれない。

 

 そんな風に考えながら、ゆっくりとリリエへと接近していると、唐突に接近警報がブリッジに響いた。すぐに艦長席のホロモニターが戦術マップを表示したので、俺はレーダー班の方に内線を入れた。

 

「艦長~ロングレンジレーダーに感あり~、アンノウン艦接近中~小型の何かを射出したわ~」

「センサーでも探知した。エネルギー量から考えて恐らく空母だ艦長」

「アンノウンの船籍IDを確認しました。ネージリンス国境防衛隊所属のフネです」

「ネージリンスで国防のフネで、射出された小型の何か……多分艦載機だろうねぇ」

 

 いきなり艦載機を発艦させるとか随分と物騒だと思うが、ある意味で仕方がない事だと言えた。なんせ俺達やってきた方向は彼らの潜在的な敵であるカルバライヤの方向だった。ステルスモードで来たとはいえ、ネージリンス・ジャンクションβから、ここリリエに至る航路は一本しかないから、カルバライヤのフネかもと警戒されているのだろう。

 

「ミドリさん、あちらさん何か言ってきた?」

「すこしお待ちください……来ました。ネージリンス国境防衛隊所属艦から入電“汝らの船籍は何処?”以上です」

「0Gドッグの登録IDを転送しておいてやりな。それで大丈夫な筈さ」

 

 トスカ姐さんの助言に従い、IDを送ってやるとこちらを取り囲むようにして飛んでいた艦載機たちがどんどん引き上げていった。こちらもネージリンス国相手に事を構える気は毛頭ないので、主機を落させて停船させた。これは敵対する意思がないことの表明である。

 

「各艦に通達、絶対に撃つなよ?フリじゃないから絶対に撃つなと厳命してくれッス」

「アイサー、各艦に通達します」

「何か随分と警戒されているみてぇだなオイ」

「国境はカルバライヤとのもめごとが多いからねぇ。ピリピリしてんのさ……。あとストール、万が一もありそうだからって、FCSを何時でも使える様にするのは結構だが、今はやめておきな」

「うっ、了解です姐さん」

「国境防衛艦、本艦より離脱していきます」

 

 俺達が好きにしろぃと、ジーっと黙っているのが良かったらしく。奴さんらも流石に敵意も何もない中立だと理解してくれたのか、そのまま艦隊を引き上げてくれた。

 

 まったく、新しい宙域に入った途端これかい。ホントもめごとにはならなくて良かったぜ。これでカルバライヤ方面から来たからってだけで、攻撃とかなんかされたら普通に自衛権を行使していたところだ。

 

「しかし、なかなか性能のよさそうな艦載機だったッスね」

「知らんのか艦長? 艦船に有効打を与えられる程の威力を持った小型荷粒子をこの銀河で最初に開発したのは、ネージリンスなんだぜ? だから空母のノウハウや艦載機運用も高い。それにあの機能的なフォルム、機能的なアクチュエーター、俺達の作ったVFにも採用した可変式スラスターの構造。一般艦載機の性能ならネージリンスが小マゼランで随一だぜ。ああ、一機かっぱらって構造解析や改造を――」

「うす、いきなり一息での説明感謝ッスけど、ケセイヤさんよ、ここでトリップしないでほしいッス。ソレと珍しくブリッジに来るとは何かあったッスか?」

「いや、開発の息抜きに散歩してて暇だったから見に来てただけだ」

 

 普通の軍隊の戦艦とかなら唖然としそうな理由だが、ある程度の艦内風紀さえ守ってくれれば問題無い白鯨艦隊ではよくある光景だ。ウチでは役職名はあるが、それは軍隊のような階級ではない。いろいろとスムーズに命令を伝える為の手段であり、普段の生活ではあまり適用されないのである。

 

 やろうと思えば、この艦隊に入りたての掃除班の下っ端の下っ端みたいなやつでも、艦長である俺と一緒に同席しウマい飯を食うことだってできる。敬語も無しに談笑し、なんだったら全裸で食事に参加してもOKだ――勿論そうなったら俺は遠慮するがな。

 

 他はどうだか知らんが、これがウチの習いなんだから仕方が無いだろう。なまじ何時も肩張っている方が辛いのだから、普段はゆる~んだら~んでも良いのである。

 やることさえやってくれれば問題にしないのだ。フネ自体が家だしな。家の中で何時も背筋をぴんと伸ばして生活している人は……そうは居ないよな?

 

「そっスか。なんかいいアイディアでもありそうッスか?」

「んな簡単に思い付いたら苦労しねぇよ。んじゃな~」

「はいはい~ッス」

 

 そのままブリッジを後にするケセイヤさんを見送りつつも、ウチってマジでフリーダムだなぁとか思う俺。しまいに通路で寝てるヤツとか現れるんじゃねぇか?酒瓶片手にさ。

 

 まぁ何はともあれ緊張は過ぎ去ったので、リリエにさらに接近し、軌道ステーションの傍まで来ていた。空間通商管理局側からの入港許可は普通に降りた。この組織は良くも悪くも完全中立の組織なので、味方ではないが敵にはならないという点では信用が置けるのが強みだ。

 

 ところで、軌道ステーションは各国により結構特色がみられる。たとえばついこの間まで居たカルバライヤのステーションは小型かつ非常に無骨な機能とデザインを持つ。周囲がアステロイドベルトに覆われている宙域が多いので自然とそうなるらしい。

 一方のネージリンスのステーションは増設ユニットによりパッケージングが為された造形をしており、遠目から見ると宇宙要塞のような風体をしている。尚エルメッツァではシンメトリック形状にボックス型ユニットを増設する形でカスタマイズされていたりする。各国によって結構違うのである。

 

 そして、今まさにその宇宙要塞のようなモスグリーンの宇宙ステーションが目の前にあった。ここリリエの軌道ステーション宇宙港は、基部となるステーションに造船工廠と改装工廠がドッキングした横に長いステーションとなっており、4枚のミラータワーアンテナが整列しておっ立っているので遠くからでもよく解る形である。

 

 

 早速地上に降りて、まずはリリエで一旦停泊して情報を収集をしようとしたのだが、ここで問題が起きた。酒場にてクルー同士のケンカが起きたのである。それも副機関長のルーベ・ガム・ラウと保安部長トーロ・アダのケンカだ。

 

「このやろぉ!」

「アイテッ!」

「おいおい待て待て何があったッスか! 落ち着け二人とも!」

 

 一応、酒場で飲んでいるので今はプライベートなので、役職は関係ないのだが、さすがに部下を何人も持つ彼らがケンカするのは色々とよろしくない。立場を考えてほしい物だと思いつつ、俺はこいつらの間に入ってケンカを一度ストップさせた。

 その際、ちょうどルーベに反撃しようとしていたトーロにいいのを一発もらったが、甘んじて受けた。こういう細かな心配りが人気の秘訣なのだ。

 

「何があったもなにもないよ! こいつ失礼なことぬかしやがって!」

「なんだよ! もっと筋肉つけようぜって言っただけだろ!」

「こいつぅ! ボクは女の子なんだぞ!」

「いや、うん。なんかすっごく理解した。トーロ、土下座」

「ええ!?」

 

 双方の言い分を聞いたが、これは十中八九トーロが悪い。この脳筋野郎、過重力鍛練のし過ぎで、文字通り脳みそが筋肉になったのか?

 

「あのなルーベがいい女だってのはよく知ってるだろ? 女の子に筋肉つけようとかセクハラだぞ? 例え彼女が男勝りでもそれはそれッス。エチケットは守らんとアカンで? というかティータに同じこといえるのお前?」

「うっ…わかったよ。ごめん」

「ふんっ。ほんと失礼しちゃうな!」

 

 ブツブツ言いながら椅子に座るルーベ。それでも素直にトーロが謝ったからか、多少は溜飲が下がったらしく、チビチビとグラスを傾け始めた。今はまだ怒っているだろうし、彼女に話しかけるのは後にして俺はトーロの方を向く。

 

「こんのおバカ」

「すまん」

 

 痛む腹をさすりながら、畏まるトーロに対し軽く拳骨を落とす。まったくつまらないことでケンカなんぞするんでないよ。お前らがケンカすると部下も巻き込むだろうがというとトーロはキョトンとした顔をした。

 

「おい、なんでそんな顔してるッス」

「いや何で部下が出てくるんだ?」

「だって普通、上司が違う部署の上司とケンカしたら、部下はそれにならってギクシャクするだろ。お前の行動がフネの中でいらぬ対立を生むこともありえるんだからさ」

「ああー、なるほど。こりゃマジで止めてくれてありがとうよ」

「そう思うなら、俺とルーベにおごれッス」

 

 そういうと、トーロはあいよと頷いて酒のグラスを片手にルーベにもう一度謝りに行った。ルーベも飲んでいる内に大分怒りが収まったのか、酒好きなこともありトーロが出した酒のグラスを受け取ると、小さな声だが殴ってゴメンとトーロに謝っていた。

 これで一件落着である。今回二人とも性格的にカラッとしていて後を引かなかったからよかったが、これで性格がねちっこいヤツ同士だったら、俺はさっさと匙を投げていただろう。何とか仲裁出来て良かったよ。

 仲がいい者同士でも、こうしてつまらないことでいさかいを起こすのだから、まったく人間とは面倒くさいものである。俺もトーロから奢られた酒のグラスを傾けながら、酒場のマスターに情報を貰いにその場を後にした。

 

 

***

 

 さて、酒場での揉め事も日々を過ごせばすぐに過ぎ去る。情報収集によると、この宙域はエルメッツァ、カルバライヤへ渡航するための要所であるという。ネージリンスの大企業セグェン・グラスチの支社や学術都市がこの宙域に多く設立されているのも、この宙域が経済国家ネージリンスの産業の輸出拠点、屋台骨になっているからだそうだ。

 なんとも、エルメッツァ方面は解るが、敵視されている筈のカルバライヤにまで普通に交易の手は広げているとは、互いに反目しているとはいえ、ネージリンス的には金儲けをさせてくれるなら敵であっても商売するという感じなのだろうか? さすが経済大国である。

 

 他には、この近辺の海賊の出没情報がいくらか手に入れられたのは収穫と言えた。これで食いぶちが手に入るって寸法だ。標的となる海賊たちには可哀そうであるが、俺達も食って生きなきゃならんのだから飯代になってくれたまえ。

 

 後は、ジェロウ教授から、リム・ターナー天文台に居るという教え子についての話を聞くことができた。ネージリンスとカルバライヤは国家レベルで仲が悪いが、ジェロウ教授個人の考えでは学問に貴賤も国境もないらしい。かの教え子もその一人でネージリンスから態々ジェロウに師事しに来た逸材だったそうだ。

 

 とはいえその人物はジェロウ教授のアカデミーにいた頃は苦労していたようだ。なにせネージリンス人というだけで学内の心ないカルバライヤ人から色々と意地悪を受けていたのだ。

 ジェロウ教授のような考えをする人間はあまり教授のまわりにはいなかったのである。それが今や、小マゼラン有数の天文学の権威だという。頑張る人って素敵です。

 

 ちなみにこの話を聞いていた時、近くにトーロもいて一緒に聞いていたのだが、トーロ曰く、先生って呼ばれている人の雰囲気は苦手なんだよなー、だそうだ。奴は不良だったからきっと学校とかでよく注意されたんだろう。

 

 一方でジェロウ教授は大丈夫だという。実際、教授のいうことは時たま専門的すぎて理解が及ばないことがあるが、彼の普段の人柄は結構フランクなのだ。自身も周囲に対してしゃちほこばる必要何ぞないんだと公言しているので、トーロでも苦手意識が働かないのだろう。

 

 案外、その教え子さんもそういう感じの人かもしれないな。

 

 

…………………………

 

……………………

 

……………

 

 

 色々あったが、いま俺たちは惑星ティロアにいた。このティロアはこの宙域随一の学術都市がある惑星で、人工はおよそ71億1300万人が暮らしている緑が多めな惑星だ。気候も惑星全体を通じて穏やかであり人類にとって住みやすい環境となっている。

 ところで毎回思うんだが、その国の人口を公表していいんだろうか? 人は石垣って言う様に、人口とかの数値って相手の国力の目安になるから、結構戦略的には重要な意味を持つと思うんだが……まぁいい、とにかく俺達はティロアに降り立った。

 

「――んで、やってきましたのがリム・タナー天文台ッス」

「ユーリ、アンタ何処にむかって喋ってんだい?置いてくよー」

 

 いや、なんかこうしないといけないというお告げが……。変なデムパを受信してしまったかね? ともかくジェロウに案内されて天文台に入った。研究機関なので本来は関係者以外は入れない筈なのだが、そこら辺はジェロウの顔パスで普通に入れたのだ。

 

 ちょっとセキュリティに問題があるんじゃないかと一瞬心配したけど、まぁジェロウ教授というビッグバリューと一緒ならこうなるわなと納得しておいた。

 

 このリム・タナー天文台は天文台と名を打つモノの、実の所既に役割を終えている天文台だったりする。その為観測機器は既に殆どが取っ払われ、現在はポツネンと天文台の施設が残っているだけで、それ以外は何もない。

 

「ふ~ん、何もねぇな。もうちょいレーダーやらアンテナやら、観測機器がゴテゴテあるもんだと思ってたんだけど」

「ここの売りは情報の収集能力と計算能力らしいッスよトーロ」

「あら、よく知っているわね」 

「おお、アルピナ君、久しぶりじゃネ!」

 

 適当に談話しながら施設に入ったら、研究者らしき女性が話しかけて来た。

 

「お久しぶりです。ジェロウ・ガン先生」

「ウン、元気そうで何よりだヨ」

「教授、彼女が?」

「そう、かつての教え子のアルピナ君だヨ」

 

 教授にそう言われ、ジェロウにアルピナと呼ばれた女性は此方の方を向いた。意外と若い、それなのに役目を終えているとはいえ小マゼラン随一の研究施設であるこの天文台を任されているとは、やはりマッドのお弟子さん。タダ者では無い。

 

「リム・タナー天文台所長のアルピナ・ムーシーです。よろしく」

「ふむん」

「なんですの、先生?じろじろと」

「や、相変わらず独り身のようだが、キミもいい加減身を固めるべきじゃないかネ?言ってくれれば、いつでもいい男を紹介してやるヨ」

 

 

 教授、教え子を思っての発言だとは思いますが、ソレって普通にセクハラだと思います。アルピナさんもまたかって感じで溜息を吐いた。どうやら会うとこういう話題を振られることがあるようだ。

 

「先生ったら、会うとそればっかり。そんなことを、わざわざ言いにいらしたのですの?」

「ああ、いやいや、ソレは挨拶みたいなもんだ。それよりも今日はキミにお土産があってネ」

 

 教授の発言に首をかしげたアルピナさん。お土産って言っても遺跡のサンプルが入ったコンテナなんだがな。見せる用に少し小さなサンプルは手持ちで持って来てあるが、本格的なのは後で搬入予定である。

 きっとここの職員の人間も驚く事だろう。そのサンプルの多さに、そしてその大量のサンプルの解析を自分たちが行わなくてはならないその苦労に、かなり絶望する事だろう。知ったこっちゃないがな。

 

 教授との再会とコミュニケーションを終え、天文台所長のアルピナさんは、俺達をこの施設の奥にある全周囲投影観測室へと案内した。球状の部屋の壁に高画像スクリーンが敷き詰められ、そこに宇宙の映像を投影しているこの部屋は、まるでプラネタリウムみたいだが、それよりもはるかに高価な機材だ。

 つーか、小マゼラン銀河一の研究施設の機材をプラネタリウムと同格にしたらだめだろう。機能的には似てるかも知んねぇけどさ。

 

「星が一杯の部屋ッスね」

「空間通商管理局から、航路上のガイド衛星の映像データを送ってもらっているの。管理局の開示制限が多いから、全ての航路とは言わないけど―――」

 

 まぁそりゃそうだろう。航路の中には自治領として機能している所もある。そこがこういった航路のデータを公表して欲しくなければ管理局も開示しない。そう言う風に航宙法で決まっているからな。

 

「―――小マゼランをふくむ局部銀河のほぼ全域をリアルタイムで観測できるわ」

「ふへぇ~、凄いッスね」

「お、ユーリ見てみろよ。こっちにロウズ宙域が写ってるぜ」

「ホントだ。大分遠いところまで来ちまったスね」

「だな、アレからほんの数カ月しか経ってねぇってのにな」

 

 トーロが見つけたロウズ宙域のあたりを眺めなら思う。もう何年も宇宙を航海している気がしてきたと……最初は駆逐艦の艦長だったのに、次は戦艦、その次は弩級戦艦の艦長、そして今や艦隊を率いる身なんだよなぁ。

 

 宇宙を見てぇって思った気持ちは忘れず、好き勝手楽しんでたら何時の間にか身分もデカくなっちまったな。楽しいから問題無いけどさ。

 

 トーロも変わったよなぁ。最初の頃はどー見ても街のチンピラにしか見えない小デブさんだったのが今や結構マッチョで、おまけに保安部を預かる部長さん、大分出世してるよなぁ。最初は弄りキャラで入れた筈なのにな。ちょいと黄昏たが、いい加減話を進めようジャマイカ。

 

「アルピナ君、これがさっきここへ来るときに話したサンプルなんだヨ」

「ムーレアの遺跡から採取したものですね」

「うん、“その一部”だヨ。とりあえず一部分持ってきたんだ。持ちきれないからネ。それとこちらは遺跡の壁に描かれていた言語を書き写したモノだ」

「お預かりしますわ」

 

 

 そういってサンプルを受け取り、近くの机に置いたアルピナさん。だけど教授が“一部”って言ったように、コンテナクラスで持って来て有るんだけど、まぁ今は言わんくてもいいわな。

 

「どちらも解析には少し時間がかかるかも知れませんけど、どうなさいますの?」

「フム、では解析が終了したら、ユーリ君のフネへ連絡をいれてもらおうか」

「その方が良いッスね。んじゃアルピナさん、これがウチのナショナリティコードッス」

「わかったわ。何かわかったらこちらに連絡を入れます」

 

 ふむ、これで一応解析が終わるまでは自由に行動が出来るな。そんな一日や二日で解析出来る代物じゃないだろうし、量が量だしなぁ。研究所の人達も大変だぜ。コンテナのサンプルの仕分けだけで一日は消えるんじゃねぇか?

 

 この後はジェロウ教授が教え子アルピナさんとの談話を少しした。若干の暴露話的なモノもあったが、俺達は紳士的な対応を取った。俺のフネにいたら自然とスルースキルが上昇するのさ。SAN値の上限もな。

 

 そんでまぁいい加減お暇しようとしたんだが―――

 

「そういえば一つ質問いいかしらユーリ君は、どうしてエピタフに興味があるのかしら? やっぱりエピタフが世界を変えるという伝説を信じてる?」

「いやぁ~、なはは」

 

 実の所、エピタフは本当にそれが“出来る”ことを俺は知っている。勿論、全知全能の神のごとく何でもという訳じゃないし、制限もあるし、使える人間も限られるのも知っていた。

 とはいえ、そんなエピタフの事実の一端を知っている俺は彼女からの質問に苦笑で応じるしか無かった。大体知っていたとしても言えるわけがない。言ったところで一体なんの根拠がと問われたら、ゲームの知識ですと返すしかないのだ。そんなこと答えたら絶対病院送りになる自身があるぜ。

 

 だから苦笑するしかないんだが、その態度を肯定と受け取ったのか、更に話しかけてくる。

 

「そう。こういった伝説を子供騙しだって言う人もいるけど、私はそうは思ってないわ。エピタフはデッドゲートを復活させる力を持っているという仮説を立てているの。デッドゲートが復活すれば人類の活動できる宇宙が広がる……そう考えれば、世界を変えるという伝説もあながち間違いじゃないわね」

 

 どういう仕組みで、あの小さな箱であるエピタフが、数十㎞はある巨大構造物のゲートを復活させるのかはわからないが、実際それが出来てしまうのが恐ろしいな。

 俺は以前の世界で原作をしていたから知っているので納得できるが、この世界の人間だったら、はぁ?って顔をするだろう。あまりにも荒唐無稽過ぎる仮説だ。

 

 だってデッドゲートってのは機能が失われたボイドゲートという意味もあるが、言いかえれば“利用できないガラクタ”でもあるのだ。

 独自の技術力をもつ空間通商管理局ですら修理できない代物をエピタフが復活させるとか言われても、この世界の人間にとっては、台所でプロトニウム弾頭を作りましたと言っている様なものである。そうそう信じられねぇだろうさ。

 

 だから、彼女が独自にこの仮説に辿り着いたのだとしたら、マジで天才かも知れない。マッドの弟子だけにマッドの可能性もあるんだけどな。

 

 

***

 

 

 遺跡サンプルが解析されて連絡が来るまでヒマが出来たので、とりあえずネージリンス宙域を見て回ることにした。道中海賊がカルバライヤと違い優秀な航空戦力が存在しているためか案外少ないのがネックだが、逆を言えば平和に行き来できる航路が多いということ。

 

 でも艦隊を維持するには金がかかるので、いい感じに獲物となりえる海賊がどこかを泳いでいないかと色んな航路を移動していた。平和すぎるのも問題で普通なら1~2隻網に引っ掛かるのに、その日は長距離索敵システムのレンジを最大にしても影も見つからない。

 

 でも、その代わり、長距離索敵システムに思わぬ相手がうつったので驚いた。

 

「照合確認。ナショナリティコードはカルバライヤ宙域保安局のものです」

「妙だね。カルバライヤの、しかも宙域保安局のフネがこんなとこウロウロしているなんて……」

 

 それは隣国カルバライヤのフネであった。それを見たトスカ姐さんが副長席でそう呟くのも仕方がないことである。なんせ両国は犬猿の仲なのだ。

 

「でも何故かいる保安局……どこ行くんスかねぇ」

「針路からこの先に向かうと思わしき航路を割出てみます……多分、行き先は惑星ポフューラです」

「ふーん。まぁどうでも良いかな」

 

 もしかしたら知り合いかもしれないが、保安局だって沢山の人が居たし知らない人かもしれない。そんなことよりも今はこの星系を巡る方が先決だ。そう考えてこの時は保安局のフネを見送った。

 

 

―――そして、見送ってから3日程経過した。

 

 

 リム・ターナーから連絡が未だに来ないので、適当にブラブラと航路を行ったり来たりしていた。コンテナ運んで交易まがいのことをしていると時間が経つのは早い。こと宇宙では結構場所によって時間の流れが違うのでそう感じるのかもしれない。

 

「敵艦、対空兵装沈黙。キーファーが突入しました」

「これでまた鹵獲完了っスね。また売れるわ。儲け儲け」

「カルバライヤ系統のフネはあまり高くは売れないけどね」

「これで拿捕したフネは合計で20隻前後。いい加減何処かで売りさばかないと移動が手間になってきたよ」

 

 あまりにも連絡が来ないので、俺達の稼業の一つであるゴミ掃除をしていたら、気が付けば鹵獲したフネがこれだけ沢山あつまってしまった。でも全て海賊が使用済みの中古品なので、正直使いたくないから近いうちに売り払わねばなるまい。

 鹵獲艦で艦隊を組むってのも浪漫的には悪くないが、海賊が使っていただけあって、船内には変なシミやら黴やらが沢山あり、空調からは煙草や葉巻の饐えた匂いが漂い、食堂の冷蔵庫内は半分以上酒瓶で埋まっており、極めつけがトイレ掃除を誰もしていないのである。

 

 ね? 使いたくないでしょ?

 

「拿捕した海賊船の乗員もそろそろ定員一杯です。流石に何時までも閉じ込めておくと衛生的にも問題が起きますし」

 

 はぁ…とため息を吐きながらそう報告するユピ。ちなみに彼女が言っていることは、海賊たちを憐れんでいるわけではない。艦内にいる異物を早いところ引き払って欲しいからである。お腹の中に変なもんがあったら気持ち悪くなるよな?

 

「それじゃ、イネスー。こっからいっちゃん近い宇宙港どこッスか?」

「ココからかい?ちょっとまってくれ……惑星ポフューラかな」

 

 それは偶然であったが、あの日保安局のフネが向かったとされる惑星がここから一番近いらしかった。流石に日数が経っているのでもういないだろう。あ、別に嫌いって訳じゃないんだからね! ただ単に居るかもと思っただけなんだしね!

 

「休息も兼ねて近いそこに寄港するッス。リーフさん頼むッス」

「りょーかい、安全運転で行ってやるさ」

 

 さてと、今日も稼ぎを売り払いに行きますかねぇ、と白鯨艦隊を発進させ惑星ポフューラへの航路へ乗った。この時もう少し狩りを続けていたら、少なくても問題ごとを抱え込むことは無かったんだよなぁ。

 

 まぁそれは兎も角、最後に海賊船を鹵獲した航路から一日程移動して、目的地である惑星ポフェーラに到着した。いつも通り入港手続きを取り、外に並べた宇宙海賊のフネを買い取りに回す書類等を申請しながら宇宙港に進入したところ、ふと見覚えのあるクリーム色の装甲板をしたフネが停泊していたのが見えた……。

 

「ネージリンス領なのにカルバライヤ船籍でも入港できるんスね」

「管理局は全ての国家、勢力から完全に独立してAIによって運営される存在。管轄下の宇宙港も基本的には完全中立なのさ。宇宙航海時代のだいぶ初期からそんなルールがあるらしい」

「そう考えると管理局って不思議な組織ッスよねぇ。ま、下手に頭突っ込んで、頭をもぎ取られたくないから詮索はしないけどさー」

 

 フネを接岸しつつ、保安局のフネを見ていた俺はそう溢した。なんだっけ? 好奇心猫を殺すだっけ? それとも君子危うきに近寄らずだっけ? とにかく如何にもヤバそうなのにはまだ首を突っ込むべきじゃないよな。

 

「そういえばどこかの星のニュースで見たんだが、ネージリンスとカルバライヤ両国が何らかの協定を結ぶらしいよ。カルバライヤ船籍のフネがここに居るのもそういうことなのかも」

「そうなのイネス?」

「リム・ターナー天文台行った時、軌道エレベーターの待合室で流れてたじゃないか。見てないのか?」

「………俺その時、日ごろの疲れで寝てたッス」

「………なんかすまん」

 

 いいよいいよべつに。だってそれが仕事やもん。

 

 ま、とにかくせっかく寄港したので、それぞれ独自に行動を開始する。いつものように物見遊山で地上に降りる者。自室でゆっくりする者。俺みたく寄港しても仕事がある者に分かれた。

 

 とりあえず鹵獲した海賊船の売買を済ませてようやく暇が出来た俺は、チェルシーでも誘って地上に降りようと思った。だが、あいにく彼女は他の女友達とすでに地上に降りたという。むむむ、あのコミュ症気味だった義妹が友達を得たことを素直に喜ぶべきなのだろうが、なんか寂しいぞ兄ちゃんは。

 

 しかたないので一人で星に降りて適当にブラブラして物見遊山していると、沢山の企業ビルが立ち並ぶエリアで、ちょっと気になる広告を見つけた。

 

「セグェン・グラスチ支社『求む、民間のゆうかんなる艦長。多額の成功報酬あり』……ゆうかんねぇ?」

 

 それは、要するに0Gドッグを募集する広告だった。しかし、この広告。何をするのかの説明が一切書かれていない。ソレどころか何時やるのか、仕事の期間も何も表示されていないという謎。アレか? 金やるから文句言わずにやれってヤツ?

 

 セグェン・グラスチといえばネージリンス最大の造船企業で、会長のセグェン・ランバースは政財界の重鎮だっていうじゃないか。政財界の重鎮、経済国家であるこの国に置いて政財で偉いのは、それすなわち国の中でも偉いということになる。そんな人物の会社がこんなブラックバイトみたいな募集出すのかねェ?

 

「だけどオイラは遠慮せずにエントリーしちゃうッス!」

 

 だけど気になったから、ついつい体が動いちゃうんだ。腐っても大企業であるセグェン・グラスチが“多額の成功報酬が、ありまぁす!”とうたっているんだ。相当いいギャランティを用意してくれている、筈。

 

 気が付けば俺は広告が表示されていたメッセージパネルのメニューをタッチして、ユピテルのナショナリティコードをリーダーに読み込ませていた。いやー、知的好奇心って怖いですねー。

 

 さて、これで後は連絡が来ればええやろとか思って立ち去ろうとしていたら、セグェン・グラスチ支社ビルの入り口の方から一人の女性が歩いてくるのが見えた。そのバストは豊満であった。トスカ姐さんよかデカくないか?

 

「今、メッセージパネルでエントリーしてきたのは貴方?」

「そうッスけど、アンタは?」

「セグェン・グラスチ秘書室長のファルネリ・ネルネです」

「ネルネル・ネルネ?」

「ファルネリ・ネルネです間違えないで!……それで貴方は艦長さんの使い?」

「いんや、俺が艦長ッスけど?ナショナリティコードに名前登録してあったでしょ?」

「は?」

「はっ?って……俺が艦長ッス。どぅーゆーあんだーすたん?」

「はぁ?」

 

 いや“はぁ?”って、俺ってそんなに艦長い見えへんのかな?

 確かに外見は若すぎるし、見た目だって今だに――細いモヤシだしな!

 俺だって脱いだらスゲェんだぞ!いま脱ぐと変態だから脱がないけど……鬱だ。

 

 

「ちょ、ちょっと、何突然落ち込んでるの?」

「い、いや、自分の外見だと、よっぽど艦長に見えないんだろうなぁって思って」

「そうね。もう帰って結構よ?」

「ひ、酷!人が気にしてるのに!」

「大丈夫解ってるわ。大方小型ボートでその辺飛んで、自信をつけちゃったんでしょ?悪いけど子供の手に終える仕事じゃないの。ごめんなさい」

「いや、ちょいまて。俺のナショナリティコードを良く見て―――」

「ハイハイ。ほら記念品のティッシュあげるから、もっと有名になってから来てね? それじゃ失礼するわね」

 

 俺が何か言う前に、表面上ものすごくやさしい対応ってヤツをされた。

 つーか、話聞けや。

 

「――まったく、こんな方法でまともな航海者が集まるワケないわ」

 

 呆然と手渡されたセグェン・グラスチとデカデカと書かれているティッシュを持って呆然としていると、ファルネリと名乗った女性はブツブツ言いながら建物の中に消えていった。

 

「けっ! けっー! 艦長に見えなくて悪かったッスね! それにティッシュありがとう! 今朝から鼻が痒かったんだ! ちーん!」

 

 俺は手渡されたティッシュでワザと鼻をかんでから地団太踏んでその場を後にした。 全く持って腹立たしい。人を見かけで判断しやがってさ。いや確かに見た目はただの小僧だから弱そうなんだけどね。まあいいさ。逃がした魚は大きいと精々悔やむがいい。

 

***

 

 その後も適当に街をブーラブラしていた。学術都市というだけはあり、色んな学校とか大学とか専門校とかが立ち並んでいるので、何だか見ていて新鮮な気分になる。

 

 だが街の全てが学校という訳ではない。ここはセグェン・グラスチが支社を出しているようにエルメッツァとカルバライヤとの交易の要所でもある。その為、結構ホテルや宿泊所といった施設が点在していた。

もっともその殆どがセグェン・グラスチの資本だけどな。あっちを見てもこっちを見てもセグェン・グラスチ。いっそ星の名前もセグェン・グラスチにしたらどうだろう?

 

 そんなこと考えていたら一際立派なホテルを見つけた。その名も……『SGホテル』……うん、解っていた。これもセグェン・グラスチ傘下のホテルなのね。

 でも外観は凄い。直角三角形をしたビルの屋上に透明なドームで覆われた半球タワーが空へと伸びている。おまけにそのタワーへと登る高速エスカレーターが、これまた透明なチューブにより、三角形の斜面を登るようにして設置されている。

 

 あまりにも近未来的な姿をした建造物を見た俺は、ホイホイと中を見に行ってしまったのだ。入り口から中に入ると、ネージリンス特有の機能美と清潔感あふれるロビーがお出迎えしてくれた。どうやら一見様もOKらしく、ロビーには喫茶スペースのようなところもある。

 なにげなく喫茶スペースでコーヒーとケーキを注文した。さすがはホテルのケーキだけあり美味いクリームを使っている。うまいうまいとケーキを食べていたのだが、その時視界の端になにやら見覚えがある人物が通った気がした。

 

 なんだろと思い、そちらに眼をやると。居たよ知り合い。カルバライヤ宙域保安局のシーバット宙佐とバリオ宙尉の二人が何故か居たのだ。それも彼らだけではなく、ネージリンス人と思わしき二人の人間と共に行動している。

 しかも、その二人の内一人はサーコートとキャプテンハットという如何にも軍人であると公言しているような格好に見えるが……ちょっと気になるので好奇心から、俺は物陰に隠れ彼らの会話を盗み聞きしてみることにした。

 

「―――これは私が責を負うべきことなのです」

「では予定どおりセグェン・グラスチの名前でゼーペンスト領主バハシュールに会談を申し入れておきます」

「トゥキタさん、よろしくお願いします。それとバリオ君、君はここを対策本部としてIP通信機材をセッティングしておいてくれたまえ」

「了解です。くれぐれもお気をつけて」

「ああ、まだ家のローンも残っている。無茶はせんさ」

 

 うぉぉーい! いまシーバット宙佐すごいデカいフラグ立てたよ! お前らそれ聞いてウンウンとかしてんじゃねェよ! そういうフラグ立ては怖いんだぞマジで! 

 うぐぐ、かといってここで飛び出して突っ込みは入れられないし、歯がゆい…。

 

「ワレンプス大佐も協力ありがとうございます」

「お互い様ですからな。では私も航宙統合軍の仕事があります故」

「ええお気をつけて」

 

 宙佐たちを含む四人組は、そういって互いに握手を交わし、それぞれ散っていった。おーやおや、ウィンネル宙尉は宙佐たちは査問会に出ていると言っていたのに、随分と遠いところで査問会は開かれるんだな。

 

 冗談は置いておき、どうやらドエスバンの人身売買がらみの話だったようだな。半ば敵国であるネージリンスにまで来ているということは、あの人身売買は国境を越えた犯罪だったのだろう。こりゃ根が深そうである。

 

 ま、俺達に連絡入れてこないってことは、自分達でケリつけるってことなんだろう。それなのに一々首を突っ込むのは野暮ってもんだ。そんな訳で、ユーリはクールに去るぜ、とSGホテルを後にするのであった。

 


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