ロクでなし魔術講師と死神魔術師   作:またたび猫

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お久しぶりです‼︎


【お気に入り】が『300人‼︎』 【しおり】、
『66人』 そして【AU】が『34,956』
ありがとうございます



『注意、グロいシーンがあったりします。
それでも大丈夫と言う人はどうぞ‼︎』


遅くなってすみませんでした。(;´д`)


ロクでなし魔術講師と禁忌の経典10 巻
おめでとうございます‼︎・:*+.\(( °ω° ))/.:+


こちらも徹夜や仕事の打ち合わせなどが
ありましたがなんとか無事に投稿作品である
【ロクでなし魔術講師と死神魔術師】の最新話
が完成しました。


今回のお話はかなり長くしてあります。
テレビで言う所のスペシャルみたいな物です。
(*´꒳`*)



楽しんでいただけたら嬉しいです‼︎



命の価値感

「これでよし、と」

 

 

グレンは気絶したジンに油断なく注意を払い

ながら、自分の範囲封印魔術の効果が切れる

のを待ち、【マジック・ロープ】でジンの手足

の動きを封じ、【スペル・シール】を付呪して

ジンの魔術を封じ、【スリープ・サウンド】を

重ねてかけた。

 

 

 

それから全裸にひん剥いて、さらに亀甲縛りに

縛り上げ、全身に見るにも無惨な落書きを

書き込んで、最後に股間へ『不能』と書いた紙を

貼った。

 

 

 

 

「ふぅ、これで完全無力化だ。

やれやれ魔術師の捕虜の扱いはこれだから

厄介なんだ」

 

 

 

それでもそこまでするのになんの意味があるんだと

システィーナが思っていると、システィーナの肩

に、ばさりと男物のシャツがかけられた。

 

 

 

「先生……?」

 

 

 

 

振り返って見ればタンクトップ姿になったグレン

がシスティーナの、あられもない姿をなるべく

見ないように、あさっての方を向いている。

 

 

 

 

「怖かったろ。怪我はないか?」

 

 

 

「私は大丈夫……先生が助けてくれたから」

 

 

 

「そうか。間に合ってよかった。

今、その【マジック・ロープ】を解いてやる」

 

 

 

 

グレンは黒魔【ディスペル・フォース】の呪文を

唱え、システィーナの腕をを縛りつけていた

【マジック・ロープ】と【スペル・シール】の

付呪効果を打ち消した。

 

 

 

 

腕が自由なったシスティーナはグレンのシャツに

腕を通し、ボタンを留める。

 

 

グレンはシスティーナと目を合わせようとは

しなかった。

 

 

 

「せ、先生……貴方……」

 

 

 

微妙な沈黙に耐えられず、システィーナがグレンに

声をかける。

 

 

 

「聞くな。頼む」

 

 

 

すると、グレンはばつが悪そうに拒絶した。

 

 

 

「わかっちゃいたんだよ……俺には人を教える

資格なんてないってな。誰かを教え導くには、

手が汚れ過ぎている……」

 

 

 

「いや、そうじゃなくて、あの……ズボン、

ずり落ちてますよ?」

 

 

 

「おおぅっ⁉︎」

 

 

 

どうやら最後の回し蹴りでベルトの金具が

弾けたらしい。グレンのズボンはいつの間にか

膝下までずり下がり、下着が丸見えになっていた。

 

 

「ああ、もう、ちくしょう!

これだから安物はーっ!」

 

 

 

「先生ってホント締まりませんね……」

 

 

慌ててズボンを引き上げる間抜けな姿に、

システィーナは呆れるしかない。

 

 

 

 

『でも……生きててよかった……』

 

 

 

 

「ん? なんか言ったか?」

 

 

 

「別に」

 

 

 

システィーナはどこか不機嫌そうに、ぷい、と

そっぽを向いた。

 

 

 

「……? まぁ、いい。とにかくだ。

状況を教えろ、白猫。一体、何が起こったんだ」

 

 

 

 

「あ……はい……」

 

 

 

システィーナは一連の出来事を説明した。

いきなりテロリストを名乗る二人の魔術師が教室に

やって来た事、教室の生徒達がなんの抵抗も出来ず

拘束されて閉じ込められていること。グレンはまだ

生徒達に犠牲者が出ていない事に、とりあえず安堵

したようだ。

 

 

しかしーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルミアが連れて行かれた?」

 

 

 

「……はい」

 

 

システィーナは悔しそうに、哀しそうに目を

伏せる。

 

 

 

 

「なんでアイツが?」

 

 

 

「わかりません」

 

 

「そうか……しかし、となるとやっぱ

早まったか?」

 

 

 

「先生?」

 

 

 

「あー、いや、すまん。独り言だ。お前を

助けられたんだ。判断は正しかったとしよう」

 

 

 

グレンがそう言うがなぜかシスティーナの顔色が

ますます悪くなっているのをグレンは

見逃さなかった。

 

 

 

 

「おい白猫……お前、

他にも何かあるんじゃないのか?」

 

 

 

『⁉︎』

 

 

 

 

システィーナはグレンそう言われるとシスティーナ

は(はい、あります)といざ、グレンに言おうと

思った瞬間、システィーナの思考が一瞬にして

止まった。

 

 

 

「白猫……?」

 

 

 

そしてシスティーナの脳裏に『ある嫌な考えと

予感』がよぎったからだった。

 

 

 

 

(ルミアの無事なのは分かったけど…じゃあ…

ノワールは? 彼はトイレに行ったきり全く

音沙汰もなく帰ってこない……もし、さっきの

二人のどちらかに殺されたとしたら…)

 

 

 

そう考えた瞬間、システィーナの顔色が一瞬

にして真っ青になっていった。

 

 

 

「お、おい白猫? 本当に大丈夫なのか?

真っ青になって顔色が悪そうだぞ?」

 

 

 

 

「せ、先生……」

 

 

 

と、システィーナが顔を真っ青にして体をブルブル

と震えを必死抑えながらグレンに話そうとしている

その時だった。

 

 

 

 

辺りに金属を打ち鳴らしたような甲高い共音が

響き渡る。

 

 

何事かとシスティーナが身を固くしていると、

眉間にしわを寄せたグレンがポケットから半割りの

宝石を取り出して耳に当てた。

 

 

 

「てめぇ、セリカ⁉︎遅ぇぞ!

一体、何やってだんだ、この馬鹿!」

 

 

 

 

『すまんな。 ちょうど講演中だったんだ。

着信は切ってたんだよ』

 

 

 

宝石から、今はフェジテから遥か遠き帝都に

いるはずのセリカの声が聞こえてくる。

 

 

 

「こっちはそれどころじゃねーぞ⁉︎」

 

 

 

 

『……何かあったのか?』

 

 

 

宝石から聞こえてくる声が硬くなった。

 

 

 

 

「ああ、実はな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………。

 

 

……。

 

 

 

 

『それ、本当か?』

 

 

 

「冗談でこんなコト言うか。 面白くねーぞ」

 

 

 

 

グレンは頭をかきながら、まくし立てる。

 

 

 

「とにかく、下手人は『天の智慧研究会』だ。

結界を掌握され、学院は完全に封鎖された。

もう入ることもできん。人質に取られた生徒は

五十人前後、教室に無力化されて更には閉じ込め

られてる。その内一人は保護、一人は黒幕の元に

連れて行かれたらしい」

 

 

 

『天の智慧研究会か……あのロクでなしの

人でなし共が出張って来るとはな……』

 

 

 

「敵戦力は確認できたのが三人、まだ未確認

なのが一人以上。確認できた敵の内、二人は

無力化。だが、残りが多分、ヤバい。諸状況から

察するに先の二人と比較して格下なんてことは

恐らくありえない」

 

 

 

『お前の固有魔術【愚者の世界】でも

ダメそうか?』

 

 

 

 

「俺の固有魔術は不意を討ってこそ、だ。

流石に三度目をやすやすと許すほど、

敵も馬鹿じゃないはずだ」

 

 

 

 

 

『そうだな』

 

 

 

 

 

 

「で、最後にこれが重要なんだが……俺も

この学院の魔導セキュリティのレベルの高さは

知ってる。だが、ここまで鮮やかにセキュリティ

を掌握されて所から察するに……いるぞ、学院内

に裏切り者がな」

 

 

 

 

『あぁ、私もそれを考えていた』

 

 

 

「なぁ、セリカ。そっちにいるはずの教授や

講師達の中で不自然に姿が見えない奴っているか?

特に教授格か、それに準ずる能力を持つ講師だ」

 

 

 

 

『わからん。会場では団体行動じゃない。

すぐに確認するのは不可能だ』

 

 

 

 

 

「ち……事情を説明してさっさと確認しろ!

それから早く帝国宮廷魔導士団を回すように

手配してくれ!」

 

 

 

『無理だ。お前も知っているとおり、魔術学院は

とにかく各政府機関の面子や縄張り争いが

うるさい魔窟なんだ。呼ぶにしても迅速的に

……というワケにはいかない』

 

 

 

 

「アホか、ふざけんな⁉︎ 生徒達の命が

かかってんだぞ⁉︎ お前の権限でなんとか

しろよ⁉︎」

 

 

 

『今の私は市井の魔術師にしか過ぎないんだ。

人が過去の権限を振りかざしていいなら、国は

滅茶苦茶になるぞ』

 

 

 

 

「じゃあ、お前が早く帰ってこい!

学院内に転送魔方陣があるだろ⁉︎」

 

 

 

『落ち着けよ。そこまで周到に結界を掌握した連中

が学院内の魔方陣を有効なままにしておくか?

私なら絶対に最初に壊すぞ? 

ま、試してみるがね。期待はするな』

 

 

 

「く……」

 

 

 

確かにそうだ。転送魔方陣は長距離転送術において

入り口であり、出口でもある。帝都と学院を繋ぐ

転送法陣が生きていたら、帝都から学院内に

侵入させる。先に拠点の転送法陣を破壊するのは

立てこもりテロの定石だ。

 

 

グレンはばつが悪そうに頭を押さえてため息を

つく。

 

 

 

 

「……悪い。冷静じゃなかった」

 

 

 

 

『人の本質ってやっぱ変わらないな。

お前はお前だよ。とにかく、こっちは対応を急ぐ。

お前は無理せず、保護した生徒と一緒にどこか

安全な場所で隠れていろ』

 

 

 

 

「ああ、わかった」

 

 

 

 

『じゃあ、切るぞ。……死ぬなよ?』

 

 

 

「……こんな所で死んでたまるか」

 

 

 

 

通信魔術を解除し、グレンは宝石をポケットに

押し込んだ。

 

 

 

 

「……ん? どうした?」

 

 

 

 

「いえ……その……意外で……」

 

 

 

 

「はぁ?」

 

 

 

 

「先生ってその……もっと冷めた人なんだって

思ってたから……」

 

 

 

どうでもいいとばかりにグレンは目を背けた。

 

 

 

 

「あの……今の……相手はアルフォネア教授、

ですよね?」

 

 

 

 

「ああ」

 

 

 

「助けは呼べそうなんですか?」

 

 

 

 

 

「呼べそうだ、と今の話聞いて思ったか?」

 

 

 

それを聞いて、システィーナは消沈したように

肩を落としてうつむいた。

 

 

 

やがて、何かを決意したかのように顔を上げ、

部屋から出て行こうと踵を返した。

 

 

 

 

「どこへ行く気だ?白猫」

 

 

 

「ルミアを助けに行きます」

 

 

 

「よせ、無駄死にする気か?」

 

 

 

「だって……だって、ルミアが……ルミアは

私を庇って……」

 

 

 

「お前一人で何が出来んだよ?

お前自身わかってんだろ? 大人しくしてろ」

 

 

 

「でも……でも……ッ!」

 

 

 

「大人しくしてろ」

 

 

 

有無を言わさない、突き放すようなグレンの言葉。

 

 

次第にシスティーナの肩が小刻みに震えていく。

 

 

 

水滴が床を叩く音が小さく響いた。

 

 

 

 

「でも……私、悔しくて……だって……」

 

 

 

 

「お、おい……白猫……?」

 

 

 

「だって……ぅう……ひっく……

うわぁあああん……」

 

 

 

今まで色々こらえていた感情が、一時の安堵が

引き金となって爆発したのだろう。

 

 

言葉を失うグレンの前で、システィーナは

目を腫らして子供のように泣きじゃくっていた。

 

 

 

「先生の言う通りだった! 魔術なんて、

ロクな物じゃなかった!こんな物が……

こんな物があるからルミアが……ルミアが……

それに、私のせいでノワールが死んだかも

しれない……」

 

 

 

「おい白猫⁉︎ それはどう言う事だ⁉︎」

 

 

 

 

グレンは今のシスティーナの『ノワールを死なせて

しまったかも』と言う内容に驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

「……実は…」

 

 

 

 

システィーナはグレンに全てを話した。

グレンやテロリスト達が来る前にノワールが教室を

出てお手洗いに行きそれ以降帰って来なかった事、

全てを

 

 

 

「だから私があの時、ノワールを止めていれば‼︎

もしかしたら……私のせいでノワールはもう……」

 

 

システィーナは涙目で真っ青な表情で震えていた

肩を抱きしめながら言っていると

 

 

 

「……泣くな、馬鹿」

 

 

 

 

ぽん、と。グレンはシスティーナの頭に

優しく手を乗せた。

 

 

 

「先生……?」

 

 

 

「魔術が現実に存在する以上、存在しないことを

望むのは現実的じゃない。大切なのはどうすれば

いいのか考えること……なのだそうだ。

お前の親友の受け売りだけどな。やーれやれ、

俺もずいぶんと長い間、思考停止していたらしい。

ヤキが回ったかね?」

 

 

 

そう語るグレンは、いつもの気だるげで皮肉げ顔

から想像つかないほど、穏やかな表情を浮かべて

いた。その意外過ぎる一面にシスティーナは

戸惑うしかない。

 

 

「ルミアの奴はこういう事件が起こらない将来、

魔術を導いていけるような立場になりたいらしい。

アホだろう? でも立派だ。それに、ノワールも

簡単にあっさりと死ぬ筈ないしな…あの馬鹿が

死ぬなんて想像出来るか?」

 

 

 

「あの子が……そんな事を……それに…確かに、

ノワールならどこかに隠れてやり過ごしている

かもしれないですね…」

 

 

 

 

「あぁ、二人共死なせられないよな……死なせて

たまるかよ」

 

 

 

 

グレンは決意を瞳に宿し、そして言った。

 

 

 

 

「俺が動く。敵の残りは二人だと決めつけて

暗殺する。もう、それしかない」

 

 

 

暗殺。その時、システィーナはそんな事をあっさり

と言ってのけたグレンに背筋が凍えるような恐怖

を覚えた。

 

 

 

だが、それ以上にやるせなさも感じた。

グレンは人殺しを覚悟した冷徹な瞳を

していたが……どこか辛そうだったからだ。

 

 

 

 

「くは、くはははは……」

 

 

 

突然、その場に乾いた笑い声が響き渡った。

 

 

 

 

「……暗殺、か。けっけっけっ、まさかそんな

言葉があっさりと出るとはな……タダ者じゃねー

とは思っていたが……なんだ、お前もコッチ側

の人間かよ……クハハ……」

 

 

 

見れば、転がされているジンが意識を取り戻して

いた。

 

 

 

どうやら【スリープ・サウンド】の効きが

甘かったらしい。グレンは舌打ちしながらジンを

流し見る。

 

 

 

 

「否定はしねーよ。しょせん俺も下種だ」

 

 

 

 

「ほう? じゃ、俺を殺さねーのか?

それとも可愛い生徒の前じゃ殺せねーかぁ?」

 

 

 

「先生と貴方を一緒にしないで!」

 

 

 

ジンの不愉快な言を聞いていられず、

システィーナが肩を怒らせて叫んだ。

 

 

 

 

「先生と貴方とは違うわ! 

なんもためらいなくゴミみたいに人を殺せる

貴方達とはーー」

 

 

 

「くはは! お前、そいつの何を知ってるんだ?

そいつは最近やって来たばかりの非常勤講師

なんだろ?」

 

 

 

 

「そ、それは……」

 

 

 

 

思わず言葉に詰まった。確かにシスティーナは

この約十二日間ばかりのグレンしか知らない。

セリカが連れて来た謎の講師。グレンが過去に

何をやっていたなんて何一つ知らない。

 

 

 

「断言してやる。 そいつは絶対、ロクな奴

じゃねえ。もう何人も殺ってきた……オレら

同じ外道さ。そういう人間だ。そういう目を

してやがる。オレにはわかるぜ」

 

 

 

システィーナはグレンに違うと一言否定して

欲しかった。

 

 

だが、グレンは何も言い返さない。

それは限りなく肯定に近い沈黙だった。

 

 

 

と、その時。偶然、場に魔力の共鳴音が

響き渡ったかと思うと、グレン達を取り囲む

空間が波紋のように揺らいだ。

 

 

「何ーーッ⁉︎」

 

 

 

空間の揺らぎから何かが無数に出現する。

 

 

 

 

それらは骸骨だ。二本で立ち、剣や盾などで

武装している。その数本、いや、今もなお、

その数はどんどん増え続けているーー

 

 

 

「やっとお出ましだぁ! ナイス!

レイクの兄貴!」

 

 

 

歓声をあげるジン。

 

 

 

グレンとシスティーナはあっという間に、

大量の骸骨達に包囲されていた。

 

 

 

 

「せ、先生……これはーー」

 

 

 

「くそ、ボーン・ゴーレムかよ⁉︎ しかも、

こいつら、竜の牙を素材に錬金術で錬成された

代物じゃねえか⁉︎ ずいぶんと大盤振る舞いだな、

おい⁉︎」

 

 

 

 

召喚【コール・ファミリア】。

本来は、小動物のような使い魔を読んで使役する

召喚魔術の基本術だが、この術者は自己作成した

ゴーレムを使い魔として、しかも遠隔連続召喚する

などという、恐ろしく高度なことをやっている。

しかもグレン達の前に現れたゴーレム達は

竜の牙製。

 

 

 

 

それゆえに脅異的な膂力、運動能力頑強さ、

三属性を持っている。並みの戦士や魔術師では

対処できない危険な相手だ。

 

 

 

 

「てか、なんだこのふざけた数の多重起動は⁉︎

人間業じゃねーぞ⁉︎」

 

 

 

 

 

術者の卓越した技量に驚愕する暇もない。

ボーン・ゴーレムの一体が剣を振りかざして、

システィーナに襲いかかった。

 

 

 

 

「きゃあ⁉︎」

 

 

 

 

「下がってろ!」

 

 

 

グレンが間に割って入る。左の甲で

振り下ろされた剣の腹を叩いて弾き、全身のバネ

と共に渾身の右ストレートをボーン・ゴーレムの

頭部に叩き込むーーが。

 

 

 

 

「ち、硬ぇ⁉︎」

 

 

 

 

多少、のけぞらせたがそれだけだ。ひびの一つ

も入っていない。

 

 

 

体勢を立て直したボーン・ゴーレムが、再び剣

で斬りかかって来るーー

 

 

 

 

 

 

「こいつら牛乳飲み過ぎだろコンチクショウ⁉︎

炭酸水でも飲んどけ!」

 

 

 

竜の牙製のゴーレムに物理的な感情はほとんど

損害にならない。拳打のような打撃攻撃は

もちろん、攻性呪文の基本三属と呼ばれる、

『炎熱』、『冷気』、『電撃』も通用しない

 

 

 

 

このゴーレムを倒すならば、もっと直接的な

魔力干渉をしなさければならない

 

 

 

 

 

 

 

(【ウェポン・エンチャント】だ!

くそ、間に合うか⁉︎)

 

 

 

 

三節詠唱しか出来ないのは、こういう時ネックだ。

 

 

とっさの反応が非常に困難である。 二回ほど刃

を身体で受ける覚悟を固めて、グレンは呪文を

唱えようとして。

 

 

 

 

 

「《その剣に光在れ》ッ!」

 

 

 

システィーナが一節詠唱で唱えた、

黒魔【ウェポン・エンチャント】が完成する。

 

 

 

グレンの拳が一瞬白く輝き、その拳に魔力が

付呪された。

 

 

 

 

「先生!」

 

 

 

 

「すまん、助かった!」

 

 

 

礼を言いながらグレンが素早くステップを

踏んだ。

 

 

拳三閃。正面と左右から襲いかかってきた

ボーン・ゴーレムの頭蓋が今度こそ粉砕される。

 

 

 

 

 

 

「《大いなる風よ》!」

 

 

 

 

 

 

 

 

続いてシスティーナが黒魔【ゲイル・ブロウ】の

呪文を唱える。

 

 

 

猛烈な突風が吹き荒れ、出入り口の扉を塞いで

いたゴーレム達を扉ごと吹き飛ばした。

 

 

 

ダメージは無に等しいだろうが、これで外までの

道が開けた。

 

 

 

 

 

 

「ナイスだ!走れ、白猫!」

 

 

 

 

「は、はい!」

 

 

 

システィーナが実験室の外へと続く道を駆ける。

 

 

 

すかさず、左右のボーン・ゴーレム達が

システィーナに襲いかかる。

 

 

 

 

「させるかよ!」

 

 

 

システィーナの背後についていたグレンの拳と足が、

それらを薙ぎ倒し、振り払う。

 

 

 

 

かろうじて実験室の外へと脱出に成功。

 

 

 

休む暇もなく、二人は廊下を駆け出した。

 

 

 

「先生、どこに逃げればいいの⁉︎」

 

 

 

「さあな⁉︎」

 

 

 

 

 

 

と、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあああーーーーーッ⁉︎」

 

 

 

背後の方から悲鳴が響いた。

 

 

 

 

「ま、待て⁉︎ な、なんで俺まで……

ぁああああああああああああーーッ⁉︎」

 

 

 

悲痛な断末魔がそれにアンサンブルする。

システィーナは顔を青ざめさせ、気分が悪そうに

口元を押さえた。

 

 

 

 

「助ける義理はないし、余裕もない」

 

 

 

 

グレンはまるで自分に言い聞かせるように、

冷淡に言った。

 

 

 

「それよりも明日は我が身だ。来たぞ」

 

 

 

 

別の所から新しいゴーレム達が二人を追って

ぞろぞろとやって来るーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………………あれ? 痛みがない?)

 

 

 

 

ジンは瞼を開けると目の前には竜牙製の

ゴーレム達が倒れていた。

 

 

 

(なっ⁉︎ あ、ありえねぇ……そ、それに、

レイクの兄貴が作ったあれだけの竜牙の

【ボーン・ゴーレム】達を全滅するなんて…

何があったんだ⁉︎)

 

 

 

 

ジンが困惑していると実験室のどこからか

足音と声が聞こえた。

 

 

 

 

「だ、誰だ⁉︎ いるならさっさと姿現せ‼︎」

 

 

 

 

ジンは喚き散らしていると奥の部屋の扉が開いて

ジンはその音がした扉に視界を向けると

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

無言で真っ黒のロングコートのパーカーを

被っている『死神のノワール』が立っていた。

 

 

 

 

(な、何だ、こいつ⁉︎ さっきまで人の気配や

魔道具にも全く反応がなかった……それに、

さっきの非常勤講師が使っていた【固有魔術】で

魔術を封殺されていたのに平然と魔術を

使っているのは何故だ⁉︎)

 

 

 

 

ジンの頭の中は疑問と不安しかなかった。

 

 

 

 

 

「まあいい…おい、お前‼︎殺された…

『黙れ…』」

 

 

 

 

ジンは口を開いた瞬間、ノワールに足で顔を

力強く踏まれた。

 

 

 

 

 

「何か言ったか…ゴミ屑…?」

 

 

 

 

ノワールは光がない虚な瞳でそう言いながら、

何度も何度もジンを足蹴に踏み付けていく

 

 

 

すると、ジンは拘束されていた体を転がして

ノワールの足を避ける。

 

 

 

「てめぇ‼︎ 何しやがる‼︎てめぇはぜってえ…

【ドッ】」

 

 

 

 

ジンは怒りで我を忘れて睨み付けながらそう言う

とジンの脇腹に鋭いナイフが深々と刺さっていた。

 

 

 

ジンはそれを見た瞬間、顔色が真っ青になって

泣き叫んでいた。

 

 

 

 

「いてぇ‼︎いてぇ‼︎いてぇよ‼︎ 誰か助けて…

「だから喋るな…黙れよ屑…」」

 

 

 

ノワールジンの脇腹に刺さったナイフを掴んで

ぐちゃぐちゃと生々しい音がして傷口をじっくりと

時間をかけて広げていき、そしてやっとノワールは

ジンに対して口を開いた。

 

 

 

 

 

「天の智慧研究のジン=ガニスだな?」

 

 

 

 

「⁉︎ て、てめぇは何者だよ⁉︎」

 

 

 

「都市伝説の死神……と、言えば分かるか?」

 

 

 

ノワールがジンにそう言うとジンは最初は驚いた

顔をしていたがその後、口元をニヤリとしながら

そして大きな笑い声を上げていた。

 

 

 

 

 

「…く、くくくくくくっ…なるほど…

あの都市伝説の死神ねぇ…?」

 

 

 

 

 

「……何が言いたい」

 

 

 

「噂は聞いてるぜ? 何人も殺ってきた……俺達

と同じロクな奴じゃない…オレら同じ外道に何度

も会えるとはな……更には俺達、裏の世界で有名

な都市伝説の死神様まで出張って来やがったか…

どうりでてめぇは人を殺すのが慣れているそういう

殺戮者の目をしてやがる筈だ。それにお前、人の

■に飢えているんだろ?オレの目は誤魔化

せねぇぜ?」

 

 

 

 

更に、ジンは飽きもせず饒舌にペラペラと

思った事をノワールに口にする。

 

 

 

 

「それにどうせ、お前も俺達と同じ人を殺す

のに慣れて『人を殺す娯楽』を知って更にお前

みたいな『人外』は誰でもなりふり構わず獣の

ように人の血を求めて狩り殺しているんだろ?

なあ? てめぇは何人の命をその手で刈り取り、

殺してきたんだ? 初めて人を殺した感想は?

なぁ、教えてくれよ?どんな感覚だったんだ?

楽しかったか? それとも心が踊ったか?」

 

 

 

 

ジンはノワールにそう言うとその瞬間、ノワール

は殺気と禍々し魔力が少しずつゆっくりと漏れ

出していた。

 

 

 

 

 

「……だから貴様は一体、何が言いたいんだ……」

 

 

 

その禍々し魔力と殺気を感じ取ったジンは額に

大量の脂汗を流してそして必死にグレン達が施した

【マジック・ロープ】を解こうとしていた。

 

 

 

 

「…この学園の実験室はとても良い道具が

沢山と揃っているな?よく、手入れなどが

出来ている……」

 

 

 

 

ノワールが手に取ったのはペンチだった。

それはまだ使ってないまさに買ったばかりの

新品そのものだった。

 

 

 

 

「てめぇ⁉︎そんなのを何に使う気だ⁉︎」

 

 

 

 

ジンは慌てながらペンチを持ったノワールに

聞くとノワールは無表情でジンの質問に答えた。

 

 

 

「何をわかりきってる事を…? もちろん、

今から貴方に拷問する為に使うのだが?」

 

 

「ご、拷問だと…⁉︎」

 

 

「まぁ、そうだな…僕もこう見えても、お忍びの

デリケートな極秘の任務なんで…だから、手っ取り

早く拷問を掛けて欲しい情報を手に入れようかなぁ

と思ってな? 定番だろ?」

 

 

 

ジンはノワールの言葉を聞いた途端、喉の唾を

ゴクリと飲み込んだ。

 

 

 

「そうかい…んで、あんたの欲しい

情報ってのは?」

 

 

 

『まず…エルミアナ王女はどこだ?』

 

 

 

ノワールは最初の質問はルミアの居場所だった。

 

 

 

しかし、ジンはノワールの質問対して『しらねぇ』

の一点張りだった。

 

 

 

すると、ノワールはジンの口を無理矢理に

開けさせて左奥歯をペンチで挟んでいた。

 

 

 

「て、てめぇ‼︎ い、一体な、何をするんだ‼︎」

 

 

 

「何をって、もちろん、拷問に決まっている

じゃないか?」

 

 

 

ノワールはジンにそう言ってペンチで左奥歯を

容赦なく抜いた。

 

 

 

 

「ま、まさか⁉︎ や、やめろ‼︎ やめてくれ⁉︎

がああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

 

ジンは涙を流して口から大量の血が溢れ出し

悶えながら苦しんでいた。

 

 

 

「痛いですか? でもまだ大丈夫ですよね?

『たかが歯一本じゃないですか?』僕こう見えても

拷問は初めてでだから、あまり期待しないでね?」

 

 

 

 

 

ジンはノワールその言葉を聞いた瞬間、

ノワールに対して物凄い恐怖を覚えた。

 

 

 

 

「では…次、いきますね? 言いたくなったら

言ってね? まぁ…言ってもやめないけどな?

簡単には殺さないから安心しろ?」

 

 

 

 

ノワールはジンににそう言ってペンチを持って

カチカチと鳴らして一歩、また一歩とジンに

近づいていくとジンは涙目になって叫んでいた。

 

 

 

 

 

「く、来るな‼︎来るな‼︎来るな‼︎ やめろ‼︎

やめろ‼︎ やめろ‼︎頼むからこっちに来るなーー‼︎」

 

 

 

 

 

 

ジンのそんな願いは残念ながら叶わなかった。

ジンの体は先程のグレン達が解けないように縛った

【マジック・ロープ】が解けず、部屋の隅にいる

せいでジンにはもう逃げ道など無くただ赤子のよう

に泣き叫ぶしか方法がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?、エルミアナ王女の居場所を

話してくれる気になった?」

 

 

 

 

その後、ノワールはジンに最初と同じ質問を

して見るが、流石『天の智慧研究会』だと思う。

やる事は人の道を外した外道の集団であるが

プライドあってかなり骨が折れた。

 

 

 

ジンはずっと黙り続けていた。だからと言って

拷問を緩めたり、やめたりなど絶対にしない

 

 

 

 

ノワールもジンの左全ての歯をペンチで一本一本と

丁寧に抜き取ってしまったのだ。ジンの顔や口元は

まるで殴られる様に全体的に血塗れになっていた。

 

 

「では次に…「わ、わかった‼︎」」

 

 

「何が分かったのかな…?」

 

 

 

ノワールは無表情で頭を傾げながらペンチを

カチカチと鳴らしてジンに聞くと

 

 

 

「わ、わかった……喋る……喋るから

もうやめてくれ……」

 

 

 

ジンはそう言って引きつった顔をしていた。

 

 

 

「さてと…ではもう一度言うね?

エルミアナ王女は何処だ?」

 

 

 

「…学院の転送方陣の塔の中だ…」

 

 

 

 

「なるほど……」 (と、なると……)

 

 

 

 

ノワールはアリシア七世に聞いた情報を

思い出して今の情報で『犯人』や『目的』などの

全てがわかった。

 

 

 

 

ノワールはジンに最後の質問をした。

 

 

 

 

『ジン=ガニス…あんたはこれまで何人の人間を

身勝手な理由でその手で殺した?』

 

 

 

 

『知るかよ‼︎一々と屑共の命なんて覚えて

いられるかよ‼︎ そんなもん‼︎ もういいだろ⁉︎

言う事は全部言ったんだ‼︎

いいから早く俺を解放しろ‼︎』

 

 

 

ジンはの堪忍袋が切れてとうとう怒り始めたのだ。

 

 

 

『大体、あいつらが死んだのはあいつらが

弱い弱者だったのが原因だし悪いんだろ⁉︎

だから、俺は何も悪くない。

間違えてなんかいない‼︎』

 

 

 

 

『そうか…まぁクズには全く期待してなかった

けどね…』

 

 

 

 

ノワールは溜息つきながら虚な瞳でジンの言って

転送方陣の塔を窓を開けて見続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(クソォ…後、もう少しで解けるのに‼︎

解けたら…まずは最初はこの死神をブチ殺して

次はあの非常勤の講師をブチ殺して最後に…俺を

殺そうとしたレイクの野郎をブチ殺してやる‼︎)

 

 

 

 

 

ジンがそう思っていると遂に【マジック・ロープ】

を解く事に成功したのだ。

 

 

 

 

 

(よし!、解けたぜ‼︎

後は、あいつをブチ殺してやるだけだ‼︎

俺の【ライトニング・ピアス】の一節詠唱で

ミンチにしてやるぜ‼︎)

 

 

ジンはニヤリと狂気に満ちた顔をしてそして

バレない様に両腕を後ろにやり、縛られている

かの様にしていた。

 

 

 

「さてと……『ジン=ガニス』

お前はそろそろここで死んでくれ」

 

 

ノワールはそう言って足音立てずにゆっくり、

ゆっくりとジンに近づいていく

 

 

 

「てめぇが死ね‼︎ 《ズドン》ッ!」

 

 

 

ジンは勝ち誇った笑みを浮かべながら

ノワールに一節詠唱の黒魔法で軍用魔術の

【ライトニング・ピアス】を放っていた。

 

 

(これで奴は死んだ‼︎)

 

 

しかし、ジンの予想はかなり外れ

そして彼は一つ大事な事を忘れていた。

 

 

すると、ノワールは冥府の鎌でタイミングよく

ジンの【ライトニング・ピアス】の魔力を一瞬

にして刈り取ったのだ。

 

 

 

そしてノワールはものすごいスピードでジンの背後

に回り込み、そしてジンの右腕を何の容赦なく、

なんの躊躇いもなく、冥府の鎌で一瞬にして

刈り取った。

 

 

「ぐ、ぐああああああああああ‼︎

う、腕が‼︎ 腕がああ‼︎ 腕が無くなってる⁉︎

な、何故‼︎ 何故‼︎ 何故だ⁉︎ そしてその禍々しい

鎌は一体、なんなんだ⁉︎」

 

 

 

ジンは血が下垂れ落ちる右腕を悶えながらも

必死に抑えながら理解出来ないと言う顔を

していた。

 

 

それもそのはず、ノワールはずっとルミアがいる

転送方陣の塔を見ていまにも死にかけそうなジン

の事などを全く見ていなかったのだから…

 

 

 

 

 

「そんな事も分からないのか?

あんたは脳は能無しの馬鹿か?

とても簡単な話だろ?」

 

 

 

ノワールはジンを見て頭を傾げて溜息つきた

 

 

 

 

「あんたはの攻撃に気付けたのはあんたが俺を

殺そうとする殺気を出しすぎてバレバレだし、

そして何故あんたの魔術を防ぐ事が出来たかに

ついてはタネも仕掛けもない実に簡単、すでに

魔術の詠唱をしていたほら、

簡単で分かりやすいだろ? そんな簡単な事も

分からないなんてお前、魔術師失格だな?」

 

 

 

「ふ、ふざけんな⁉︎ って事は何か⁉︎

最初からこうなる事を予想して詠唱を済ませて

おいたのか⁉︎」

 

 

 

「正しくは三節詠唱の内、二節を詠唱しておいて

残り一節の詠唱は今、しただけの事だけどな?」

 

 

 

 

そう、実はノワールはこの実験室に入る前に

三節詠唱の内、二節を詠唱してそして【固有魔術】

『幻想の羽衣』で実験室に侵入してグレン達と

ジンの会話を聞いていたのだ。

 

 

 

 

 

ノワールはジンに漆黒の鎌を振り回してジンの

首元に刃を当てる。

 

 

「ジン=ガニス…最後に聞く。『あの男』の

居場所を知っているなら包み隠さずに

教えろ……」

 

 

ノワールはジンにそう言って、ある書類を見せる

とジンの顔色が真っ青になって今までにない程に

慌てふためいていた。

 

 

 

 

「お、お前⁉︎ な、何で『それ』を持ってやがる⁉︎

そ、それを知っている奴は俺達、組織だけの

筈だ⁉︎」

 

 

 

 

「…貴様に教える義理はないし、知る必要もない…

それにその反応からしてどうやら本当に知らない

みたいだな?」

 

 

 

ノワールはジンにそう言って溜息ついてガッカリ

していた。

 

 

 

「知らないなら良いや…アンタにはもう用は

無いよ…ってな訳でアンタの首を刈り取る……」

 

 

 

 

ノワールはジンを睨みつけながらそう言うと

傷だらけのジンはノワールを見ながらまるで

『面白い物』を見るように笑っていた。

 

 

『くっくっくっ…くはははははははは‼︎

なるほどな…確かに…確かに、お前は想像以上に

恐ろしい程に強い‼︎ しかし、お前の呪われた

力は善も悪も関係なくお前の愛すべき人間も

憎むべき人間も跡形も無く粉々に握り潰して

しまうだろうぜ‼︎ それが『てめぇの業』であり、

『てめぇの罪過』なんだからな‼︎つまりてめぇは

『俺達』やさっきの『非常勤の講師』よりも

ロクでもない外道で下種って事さ‼︎』

 

 

ジンは高らかに狂気じみた子供のような笑顔で

高笑いしながらノワールにそう言った。

 

 

するとノワールはジンの言葉を不愉快で耳障りに

思ったのか

 

 

「うるさい……黙れ…消えろ…」

 

 

 

漆黒の鎌でジンの首を

力任せで雑に刈り取られた。

 

 

 

 

「…お前が……俺の事を語るな……

それくらい…自分でも分かっている…俺が

『愚者』以上に罪深い最低の罪人だって事も……」

 

 

その後ジンは首は刈り取られた後、

体はふらふらしてその場に倒れて

動かなくなった。

 

 

 

しかし、雑に力任せにジンの首を刈り取った

せいか、ジンの大量の血が飛び散りノワールの

白き頬や手にジンの血が付いたため実験室の蛇口

で顔と手に付いた血をしっかり落としていく。

 

 

「さてと…ルミアの居場所も分かったし、

急いで転送方陣の塔に行くか……」

 

 

 

ノワールはそう言って実験室を出て転送方陣の塔を

目指して進んでると

 

 

 

「ドガーーーーーーーーーーン‼︎」

 

 

 

ノワールは物凄い衝撃音に驚いて見渡しながら

音がした方を確認していると大きな衝撃波が一直線

に駆け抜けていた。

 

 

「な、なんだ、あの光は⁉︎」

 

 

ノワールはそう呟きながら先程の眩い光の衝撃波

が気になり眩い光があった場所に向かって行った。

 




読んでいただきありがとうございます。

出来たら『意見』や『お気に入り』、更には
『評価』や『感想』などをしていただけると有り難いです。



これからもよろしくお願します‼︎



アイデア、絞りきったぞーー‼︎ε-(´∀`; )

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