『令和2020年』も宜しくお願いします‼︎
【ロクでなし魔術講師と死神の魔術師】の『最新話』
更新をさせていただきました。
【お気に入り】や【しおり】、更には【投票】や
【感想】などどうかよろしくお願いします。
後、『他の作品』もよろしくお願いします‼︎
(心の声) 評価が伸びて欲しいーーッ‼︎
【注意】
『グロい内容』や『残酷過ぎてキツいお話』だと
思うのでそれが無理な場合は気を付けてください。
そして何かあっても責任は取れませんのでその辺り
どうか宜しくお願いします。
痛みを知らない人間は運が良いだけだ……
この薄汚れた世界を知らない耳障りの良い言葉だけ
を並べてみて愉悦感に浸っている薄っぺらくて環境
に恵まれている無責任で運が良いだけの偽善者の
言葉だ。
そんな偽善者たちの御託や戯言の言葉を聞いていて
本当に吐き気がする……
それに───
「う、うそ………」
「おまえ……ッ‼︎」
ルミアは顔が真っ青になって口元は両手で押さえて
グレンは両眼を大きく見開いて今にも自分に目掛け
殴りかかりそうな血走った瞳と表情で胸ぐらを
がっしりと掴んでいた。
何故、こんなことになったのかは少し前に遡る。
「ルミア=ティンジェル。恐れ多くもアリシア七世
女王陛下を密かに亡き者にせんと画策し、国家転覆
を企てたその罪、もはや弁明の余地なし! よって
貴殿を不敬罪および国家反逆罪によって発見次第、
その場で即、手討ちとせよ。これは女王陛下の
勅命である!」
あまりにも現実離れした、その現実に。
グレンとルミアは凍りつくしかなかった。
重苦しい沈黙が、その場支配していた。
この辺り一帯が真空によって外界から切り離されて
しまったような感覚。遠いどこかから聞こえてくる
喧噪も、まるで異世界からやって来る音のように
現実感がない。
グレンとルミアと、二人を囲む衛士達以外に
誰一人いない、そんな学院の一角にて。
「わ……私が……陛下の暗殺をたくらんだ……?
手打ち……?」
ルミアは呆然と、肩を震わせていた。
「証拠は挙がっているぞ、大罪人。
丈量酌量余地も弁明の機会もない。大人しく
我が剣の露となってもらおう」
震える少女に、隊長格の衛士が淡々と告げる。
その構えられた白刃に、ぎらりと輝く禍々しい
殺意が漲る。
「抵抗することは勧めん。
大人しく己が罪科を認め、刑に服するならば、
我らとて貴殿への徒に苦痛を与えるつもりはない。
可及的速やかにその命脈を絶つことを約束する」
ルミアは額にびっしりと冷や汗を浮かべて顔色を
蒼白にし、無言でうつむいている。隊長格の衛士
は、そんなルミアを背後に庇うグレンに目を
向けた。
「そして、そこのお前。その娘は罪人だ。
その娘を庇い立てするならば、お前も国家反逆罪
で処分せねばならぬ。さぁ、その娘をこちらに
引き渡せ」
「……冗談にしちゃ、タチ悪いな」
グレンは苛ついたような堅い声を上げ、嚙みつく
ように眼前に衛を睨みつける。
「ルミアが陛下の暗殺を目論んだ? バカ言え。
だったら、その証拠を見せてみろ」
「部外者に開示義務はないな。これはお前の
ような一般市民が触れてはならぬ、高度に政治的
な問題なのだ」
衛士の一方的な態度に、グレンは業を煮やしたかの
ように、まくし立てる。
「ふざけんな⁉︎ だからと言って令状も裁判も
なしに、その場で処刑だと⁉︎ ンなの通るかよ⁉︎
帝国はいつから未開の蛮族集団に成り下がったんだ、
帝国憲章を一から読み直せ、このスッタコどもが!」
「貴様こそ、帝国憲章を読み直すのだな。女王陛下
は最高国家元首。その言葉はあらゆる法規を超え、
全てに優先するのだ」
「はっ! 法解釈論議をここでやらかすつもり
なんざねーよ」
「ふん、それは我らとて同じこと。どこの馬の骨か
知らぬが貴様、これ以上、その重罪人を庇い立て
するようならば、貴様も共犯者としてこの場で
処分するが?」
「……なんだと? アタマ狂ってんのか、お前」
「そもそも、女王陛下の忠実なる臣たる我らに対
するその無礼な物言い、陛下対する。侮辱も同義。
貴様にも立派な不敬罪が成立するのだが?」
「てめぇ、いい加減にしろよ……ッ⁉︎」
場が次第に加速していく。両者収まりつかず、
取り返しのつかない空気が漂い始める。
そんな場へ、最初に冷や水を浴びせたのは
ルミアだった。
「待ってください、先生!」
意を決したように、ルミアが叫んでいた。
「……仰せの通りに致します」
ぎゅっと、震える手を胸元で握りしめ、ルミアは
毅然と言い放った。
「……は? お、おい……?」
グレンが焦燥と困惑も露わにルミアに振り返る。
「恐れ多くも女王陛下に仇為そうとしたこと、
今思えば、そのあまりもの不遜さには恥入るばかり
です。ゆえに我が命をもって償いといたします。
だから、どうか、お慈悲を。先生は……この人は
何も関係ないんです!」
「この馬鹿! お前、何を言って──」
グレンは怒鳴りつけようとするが……
「だめですよ、先生」
ルミアがその機先を制する。
「これ以上、私を庇うと先生にまで迷惑
かかっちゃいますから……」
「いや、しかしな! ありえねえ! こんな
バカなコトありえねえだろ⁉︎ 何かの間違いだ!
そうに決まっている! てか、お前、なんで受け
入れちまって……くそっ!」
グレンが衛士に向かって、拳を構える。
障害と見なされたのだろう。周囲の衛士達の殺気
が瞬時にグレンへと殺到した。
「だ、だめです! 先生、やめてくださいッ!」
「先生……? ほう?
貴様、この学院の魔術師か? ふっ、無駄な抵抗は
よせ、魔術師。我ら五人を同時に相手取れると
思っているのか? 我々は戦闘の専門家だぞ?」
「あ? んなの、やってみなきゃわかんねーだろ?
怖ぇのか?」
グレンが挑発の言葉を口走った次の瞬間、五閃銀光
に風邪切り音が唸った。
気づけば。目にも留まらぬ早業で五振りの剣が、
四方からグレンの首筋や喉元に突きつけられて
いる。
「……う」
思わずグレンは言葉に詰まった。
この五人の衛士は確かに相当の練度の上に連携が
完璧だ。距離があったなら、一対一だったならまた
話は違っただろうが、この一足一刀の間合いで、
回避に必要な空間を同時に全てが塞がれていて
どうしようもなかった。
「虚勢はよくないな。この間合いで魔術師ごときに
何ができる? そもそも、我らは耐魔術装備に身を
固めている。我々には、お前達お得意の三属攻性
呪文も精神汚染呪文もそう簡単には通らん。
それでもやるというのか? 己が身一つで、
我ら五人の精鋭と?
グレンは焦燥も露わに舌打ちした。
この距離、この状況では確かに何もできない。
相討ち覚悟の三属攻性呪文や精神汚染呪文で一人か
二人は倒せても、残る衛士達に串刺しにされる
だろう。
それでは、ルミアを救うことはできない。
「それに我らはここにいる五人だけではない
のだぞ? 今はその娘を探すために方々に散って
いるが……総兵力は、さらに上だ。ここで一人で
突っ張ってどうする気なのだ?」
「……ッ⁉︎」
「手を引け、大人しくしてろ、魔術師。
最後の警告だ」
グレンは脂汗を浮かべながら、なんとか隙を
見出そうと衛士達の様子を窺っていると。
「先生、お願い……もういいです、もういい
ですから……このままじゃ先生まで……」
そのルミアの、今にも泣き出しそうな懇願の言葉
がとどめになったらしい。グレンはがっくりと
うな垂れて、拳を下げた。
グレンが抵抗する意思を失ったのを見て取った
衛士達はゆっくりとグレンから剣を引いた。
「……すまん」
「先生が謝る必要はないですから」
憔悴しきった表情のグレンに、ルミアは気丈に
笑いかけた。
「……お別れですね」
「ああ」
「システィのこと、色々お願いしますね」
「……上手く言っておく」
「ねぇ、先生……実は私──」
「そんなことより、だ」
突然顔を上げたグレンがルミアに向き直って、
真摯な表情で言う。
「……せめて、その時まで目を瞑っていろ。
その方が……怖くないぞ」
グレンがそんなことを告げた、次の瞬間。
「──がっ⁉︎」
衛士が不意に振るった剣の柄がグレンの後頭部を
打った。堪らずグレンは膝から崩れ落ち、地面に
昏倒し、沈黙する。
「きゃあっ⁉︎ 先生⁉︎ な、何を──」
「安心しろ、寝てもらっただけだ。魔術師に抵抗
されると厄介なのでな」
倒れ伏したグレンに取り縋ろうするルミアの腕を、
衛士の一人が掴む。
「さぁ、そんなことより、こっちに来い、罪人!
急げ!」
衛士達に剣を突きつけられ、ルミアは手首を
がっしりと捕まれてぐいぐいと無理矢理に
引っ張られていく。
「そうだ、ここだ! ここに立て!」
ルミアはすぐそこにあった街路樹の下に連れて
行かれた。後ろ手に縄をかけられ、四方から首筋に
剣を突きつけられ、もはや身じろぎすることすら
ままならない。
そして、恐らく処刑の執行人を務めるのだろう
隊長格の衛士が、剣を引き絞るように構えてルミア
の前に立った。
「体の力を抜いて、動かぬことだ。急所を外せば
長く苦しむことになる」
しばらくの間、ルミアは、どこか遠い移ろな目で
その切っ先を見つめて
「………はい」
ルミアは一つ深呼吸をすると、グレンに言われた
とおりに目を瞑った。
──ルミア=ティンジェルは、いつかこんな日が
来ることを覚悟していた。
元々、自分は三年前に死ぬはずだった。自分という
存在は公になれば国内外に要らぬ混乱をもたらす
猛毒だ。それゆえに国を守るために人知れずに
殺されるはずだった。
別に珍しい話ではない。王位継承者同士の争い、
王族を巻き込んだ派閥闘争、強国へ帰順する
ための生贄──王族の人間とて殺される例など、
歴史を繙けば世界中にごまんとある。少ない例の
一つに、自分が含まれることになっただけの話
だったのだ。
『だが、生かされた』
自分を哀れんだアリシアが、無理をして自分を
生かしてくれたのだ。死なねばならなかったはず
の自分が、今日まで生きることができた──
それはとても幸運なことだ。
そして、ルミアはそれがやはり単なる幸運に
過ぎないことも痛いほどに理解していた。
こんな日が、いつかやって来るかもしれない……
常日頃そう思っていた。
市井の赤き血の一人に落ちたとはいえ、ルミアと
いう存在はアルザーノ帝国が抱えた爆弾のような
ものだ。国を支える王女たる母が、いつかなんらか
の事情で、止むを得ず自分を処分することを決意
する日が来る……いつも心のどこかそんな覚悟を
していた。
このあまりにも突然な処刑宣告は、つまり──
そういうことなのだろう。だからルミアは、
自分でも意外なほど落ち着いてこの時を迎える
ことができた。
これは仕方ないこと。三年前に死ぬはずだった
自分が今、死ぬ。それだけのこと。
だが、それでも──
(……怖い、な)
覚悟はしていたけど、やはり死ぬのは怖かった。
震えが止まらなかった。心臓が激しく動悸し、
呼吸は荒く短く息苦しくなり、思考が次第に
ぐるぐると混濁していく。
そして何よりも、こんな自分に姉妹のように
接してくれたシスティーナ、本当の両親のように
愛してくれたシスティーナの父母、仲の良かった
学院の学友達やノワール、更にグレン、そして──
悪魔の生まれ変わりの忌み子として生きることを
否定され続けてきた自分という存在を一人の人間
として肯定してくれた幻影の死神。皆とこんな形で
別れなければならないことがどうしようもなく
悲しかった。
誰か助けて、と。まだ死にたくない、と。
頭を抱えて叫びたかった。
(やっぱり……死ぬのは嫌だな……)
先生にもっと色々なことをしたかった。三年前、
先生や死神さん達が私の命を救ってくれたこと
……先生には思い出して欲しかったし、死神さん
には三年前のことや天の智慧研究会が学院に襲撃
事件に含めてのこの感謝の気持ちを誰よりも伝えた
かった。システィーナとノワールと一緒に、もっと
色々なことをしたかった、そしてシスティーナと
ノワールのいつものやり取りを見たかった、
語りかった。
そして、最後にせめて一度だけ、本当の母親に──
(……ああ、そうだったんだ……)
ようやく、気付いた。
(最後だから……あの人は、私に会いに
来たんだ……)
じわ、と。目尻に涙がにじむのを感じる。
グレンの言うとおりだった。自分の本音なんて、
最初からわかりきっていたのに。
(もっと素直になればよかった……どうして、
あんな意地を張ったんだろう……?)
だが、もう、後の祭り。何もかもが……遅い。
(……さよなら)
つ、と。ルミアの目尻からこぼれた涙が頰を
伝い落ちた──その時だった。
ざしゅっ、と。
何かを切り裂く生々しい音が聞こえた。
「うぎゃぁああああああああああああーーッ⁉︎」
死に至る灼熱の苦痛の代わりに、ルミアを耳を刺す
ような悲鳴だった。
「……ッ⁉︎」
ルミアが驚いて、思わず目を見開く。
「う、うそ……」
四方から首筋に剣を突きつけられていたルミアは
顔が真っ青になっていた。
何故なら、
「あ、あが、あがぁああああああああ‼︎」
自分の首筋に剣を突きつけていた目の前の衛士
右胸辺りには全体が黒い一色の鋭利な刃物が深々
と突き刺さっていたからだろうか、とても衛士は
とても辛そう顔を浮かべ、更には苦しそうな声を
上げる姿をルミアは目の前で見てしまったからだ。
そして、
「さっきから御託並べて……うるせえよ……」
刺された衛士の背後にいた人物は刺された衛士の
頭をがっしりと掴み、そして容赦なく思いっきり
地面に叩きつけた。すると叩きつけられた衛士は
ピクリと動かなかった。
「死神さん‼︎」
ルミアが涙を流しながらそう叫んでいるとルミアを
四方に囲んでいた他の衛士の男は目の前で倒れて
動かなくなった衛士を見た瞬間の『表情』と『心』
は『ある一色』に染まっていた。
それは『
「死神さん‼︎ お願いですからやめて下さい‼︎」
「…………」
ルミアは必死になって懇願するようにノワールに
止めるように叫ぶ声に気付くが一瞬、ルミアを見て
無視をする。
そして何故、自分の命を狙い殺そうとする敵に情け
をかけられるのだろうかとノワールは目の前にいる
少女、『ルミア=ティンジェル』の考えていること
が分からなかった。
「おのれ‼︎ 貴様‼︎」
ルミアの叫ぶような願いは虚しく届くことは
なかった。何故なら残り3人の衛士達は声を荒げ
ながら剣を鞘から抜きノワールに向けて構えて
いたからだ。
王室親衛隊である自分達はこの目の前にいるこの人を
殺すことに躊躇いがないこの『悪意の結晶』と言える
だろうこの『業の深い罪人』をなんとしてもこの場で
処断せねばならない。
だが、
「邪魔だ。退け」
ノワールはそう言った瞬間、三人のうち、二人の
衛士達の一人の喉元に向けて鋭くて鋭利な黒一色の
ナイフの刃を取り出して容赦なく投擲をするように
投げつける。
「あがっ⁉︎」
「がふっ‼︎」
すると、なんということだろうか、投擲した黒一色
のナイフは一瞬のズレすらもなく二人の衛士達の喉元
に正確に深々と突き刺さる。
それはまさに達人……いや、神の身技のごとき
投擲であった。
「ひっ‼︎ ひぃいいいいいいいい‼︎」
その投擲を見た残った衛士は地面に尻餅ついた瞬間、
先程の刺し殺された衛士達の左頬に生暖かい血液が
尻餅ついた衛士の顔にべったりと付着して左頬に
付着して部分を右手で触って確認すると大量の血液
を見た瞬間、
「い、いやだ……俺は死にたくない……
死にたくない‼︎」
先程粛正と言っていた衛士涙を流し更には化物を
見るようにガタガタと怯わせてノワールを見る。
今の衛士の姿は先程の王室親衛隊であると宣言を
していたあの時の面影すらもはや綺麗さっぱりと
全くなくなっていた。
「醜いな……お前は王室衛士のくせに……惨めに
恥を晒してまで生き残ろうとするか……」
ノワールは衛士の惨めな醜態に溜息をついて
「死ね」
容赦ない死神からの死刑通告に上量の余地など
ないと理解した瞬間、「嫌だ‼︎ 嫌だ‼︎」と
泣き叫ぶ姿はまさに聞き分けない幼い子供の
ような見苦しい姿だった。
それが不愉快だったのかどこから取り出したのか
わからないが黒一色の漆黒のナイフを一瞬にして
無数に取り出して
「消えろ」
ノワールはそう低い声でそう言った瞬間、無数の
漆黒のナイフを衛士に目掛けて投擲すると
「《その剣に光在れ》ッ!」
その声が聞こえた瞬間、投擲した無数のナイフは
ガチン‼︎ ガチン‼︎ という弾く音が聞こえた。
どうやら前もって魔術の詠唱をしていたようだった。
「なんのつもりだ……グレン=レーダス?」
ノワールはグレンを睨みつけながら質問すると
後ろ手に縛って拘束していたルミアの縄を解いた
後、ズカズカとノワールに目掛けて歩いてきて
「なんのつもりはこっちのセリフだ‼︎
何より殺す必要がなかっただろうが‼︎」
グレンはノワールの前に立って怒りに身を任せて
ノワールの胸ぐらを掴み、ギュッと握り締めて
いた。
「それにあいつらは帝国のましてやアシリア七世
直属王室親衛隊だぞ‼︎ 分かっているのか‼︎」
グレンは必死になって訴えるがノワールは溜息を
つく
「ああ、分かっていたさ」
「だったら‼︎」
グレンは怒りと苛立ちを隠そうとはせずに質問
するが
「だったらなにか? ルミアを見捨ててしまえと?
なるほど…さすがはアルザーノ学院の講師様の賢い
お考えだな、それともぐ──「うるせえ‼︎
その口閉じろ‼︎」」
ノワールは戯けるようにグレンに言うとどうやら
グレンには逆効果だったらしく胸ぐらを掴んでいた
力が更に増す。
「おい‼︎ そこのアンタ‼︎」
「は、はい‼︎」
グレンが残った衛士に声を掛けるとビクっと反応
する。
「死にたくないなら早くこの場を離れろ‼︎
いいな⁉︎」
「わ、分かった…ッ‼︎」
残った衛士はそう言って急いでその場から離れよう
としていた。
だが、
「グレン=レーダス。そんなことが出来ると
思っているのか?」
「当たり前だろ? それに俺の【
『愚者の世界』を解放している。だから魔術は
使えないぞ‼︎」
グレンは【
からか少し安心の表情を浮かべていた。
だが、ノワールは慌てるどころか氷のような
冷たくて冷酷な表情をしていた。
(どういうことだ……? 何故、こんなに
冷静なんだ? 魔術を封じたのに落ち着いて
いるんだ……?)
グレンはノワールの反応見て思考を巡らせて
いると
「だからお前は最後の最後まで詰めが甘いんだよ、
グレン=レーダス。そもそも人を確実に殺す方法は
魔術だけだと思ったか?」
「なに……?」
今のノワールの言葉に疑問を持っていると
右腕の人差し指をピクリと動かしていると
「ぎゃぁぁあああああああ‼︎」
(なにっ⁉︎)
グレンの背後から男の悲鳴が聞こえてきたので
ノワールに警戒をしながら振り返って衛士の近く
によると
「こ、これは……ッ⁉︎」
グレンが驚くのは無理もなかった。
何故なら、
「あ、あががぁぁああああぁぁああ‼︎」
衛士の右手の指が全て切り落とされていて
必死に抑えていた。
「ゆ、指があああぁぁぁあああ……ッ‼︎」
「ど、どうしてだ…⁉︎ 魔術は『愚者の世界』で
封じたはずだろう⁉︎」
グレンは理解出来なかった。
だって魔術は封殺しているし、ナイフなどの投擲
する仕草すらしてないのに一体、何故?
「お前が莫迦ではない知ってはいるが…どうやら
『戦場がない世界』にいたせいか感が鈍って視野を
狭めてしまったようだな。それに魔術が封じられて
いるなら道具を使えば良いだけだろ?」
(道具……? ま、まさか‼︎)
「おい‼︎ 止めろ‼︎」
「せ、先生……?」
ルミアは何がなんだか分からないという表情を
してグレンは何か気付いたのかグレンは急いで
ノワールの方へと走り出す。
だが、ノワールはグレンにはもう興味が全く
なくなったのか視線を衛士に向けて歩いてくる。
「い、嫌だ……」
非常に不愉快で目障りだ。
目の前にいる偽善者達(衛士達)は自分達の
『正義』だの『平和の秩序』の為だと言って
寄ってたかって『無抵抗で無実の一人の少女』を
『正義の粛正』と言う名の『大儀名分』を簡単に
でっち上げる。
まるで『魔女裁判』の様で非常に不愉快……
衛士は小さく言うとノワールは右手の指を動かし
更にコキコキと鳴らす。
そうやって『人の心』を
『人の人生』を
『人の運命』を弄んで……
「ぐ、ぐぐぐっ‼︎ ぐがああぁぁああああ‼︎」
『政治家達』や『アリシア七世』達は一体、
『人の命』をなんだと思っているんだ……ッ‼︎
ノワールは奥歯をガリッ‼︎と歯ぎしりする音がした
瞬間、右手をぐっと手前に引き寄せて力を入れると
衛士はいきなり喉元をガリガリと掻き毟りながら
苦しそうに悶えていた。
「せ、先生……ッ‼︎」
「ルミア見るな‼︎」
グレンはルミアにそう言ってルミアの両目をグレン
の両手で見えないように目隠しする。
「まだ生きていたか……」
ノワールは軽蔑の瞳と冷たくて無機質な声で一言を
言うとノワールは先程ナイフで刺し殺した衛士の剣
を拾い上げて何の躊躇い涎を垂らしながら苦しそう
に衛士の男の前に立つ。
その瞬間、ドクドクと衛士は心臓の心拍数が更に
早くなるのを感じる。
「い"、い"や“、だ……」
衛士の男は気づいたのか両目には涙を溜めて
ボロボロと流しながら掠れた声で言う。
「い"、い"のじだげは……ッ‼︎」
お前たちはさっきまで集団で一人の少女を捕まえて
更には無力な少女を罪人と呼んで縄を使って木に
括りつけて全員で刺し殺そうとしてたくせにいざ
自分がその立場になった途端、そんな惨め顔で泣き
ながら僕に懇願をするなよ……
「アルザーノ帝国の女王陛下、アシリア七世の
王室親衛隊様様は自分の命が危なくなった途端、
命乞いをするとは……」
目の前にいる王室親衛隊の衛士の命乞いを
見た瞬間、ノワールの心の奥底にあるどす黒い
泥のような感情が溢れてくる。
この臆病者めと、
この偽善者めと、
この権力者の犬供めと、
不愉快だ。不愉快で仕方ない……この衛士の声や
綺麗事を聞くだけでも耳障りで本当に殺意が
湧いてくる。
「この口先だけの偽善者供め」
ノワールは冷たい声で一言そう言った後、
なんの躊躇いもなく手に持っていた剣を握り
しめて衛士の首を切り捨てた。
「あ、あがっ‼︎」
その瞬間、衛士の表情は苦痛に満ちた表情を
浮かべながら首元を押さえているが血はまるで
噴水のように溢れてきて一向に止まらなかった。
「さっさと、くたばれ」
ノワールは衛士にそう言いながら剣を突き立てて
衛士の心臓を突き刺した。
「ぐっ‼︎ がはっ‼︎ この、外道が……ッ‼︎」
衛士は突き刺さされた瞬間、視線をノワールに
向けて掠れた声で悪態を吐きながらも吐血して
ノワールの顔や両手などには赤黒い液体に
べったりと染まっていた。
「ちっ……血が付着したか……」
ノワールはそう言って右手にはめていたピアノ線を
伸ばしたりすることが出来るグローブやさらには
ロングコートのパーカーにも衛士の血液が付着した
せいか伸ばして衛士の首元に巻き付けて縛っていた
ピアノ線にも衛士の血液が付着しているどころか
どうやら壊れてしまっていた為グローブ外して懐に
仕舞っていると
「おい‼︎ お前‼︎ いい加減にしろよ……ッ‼︎」
グレンはノワールに近づいて右手を握り締めて
思いっきり殴りつけた。
「ぐっ……ッ」
ノワールはグレンに思いっきり殴られたせいか
口の中は鉄の味がして最悪だった。
「人を殺したらあいつら、天の智慧研究会と
同じ外道の同類に落ちぶれてしまうんだぞ‼︎」
グレンはノワールに言うがノワールは冷めた瞳で
頬に付着した衛士の血と殴られて切った唇の血を
袖で拭いていた。
「だから、なんだ……」
「はあ……?」
グレンはノワールの言葉を聞いた瞬間、
グレンの思考が一瞬、止まった。
だからなんだ……だと?
罪悪感はないのか……?
ふざけるな……ッ‼︎
グレンがそう考えているとそれを察したノワール
は口元をニヤリとさせて
「だったら何か? 彼女、ルミア=ティンジェル
を王室親衛隊供に明け渡してしまえば良かったか?
随分と薄情な講師様だな?」
「んだと‼︎」
グレンが顔を真っ赤にして今にも殴り掛かろうと
するとノワールは更にグレンを煽る。
『それに他人の犠牲の上に成り立つこんな腐った
国の命かなんの罪もない少女の命、一体どちらの
命を優先して天秤にかけるべきかのか考えてみれば
一目瞭然だと思うのだが?』
「ふざけんなよ……ッ‼︎」
ノワールの話を聞いたグレンは自身の憤りを顔に
滲ませながら握り拳を作って更に殴り掛かろうと
していると
「先生も死神さんも喧嘩は止めて下さい‼︎」
ルミアが必死になってノワールとグレンの間に
入って必死な表情になりながらもなんとかして
止めようとすると
「ルミア……そうだな……すまねえ……」
グレンはルミアの言葉を聞いてせいかグレンは
申し訳なさそうな表情言うと
「それに、早くここから離れてください!
こんなところ、誰かに見つかったら──」
「いたぞ──ッ⁉︎ あそこだ──ッ⁉︎」
突如、新たなる第三者の怒声が響き渡った。
見れば向こうから、新手の衛士達がこちらに
向かって駆け寄って来ていた。
「み、見ろ! 同士達が殺られているぞ⁉︎」
「おのれ、大罪人に与する不届き者め!
我らが剣の錆にしてくれるッ!」
「志半ばで倒れた同胞の無念、必ず晴らして
みせる!」
衛士達は目の前の光景を目の当たりにして一斉に
抜剣する姿を見てグレンは頰を引きつらせて
青ざめた。
「ど、どうするんですか⁉︎ このままじゃ先生と
死神さんが──」
「どうするもこうするも──」
ルミアとグレンが慌てているとノワールは視線を
グレンに向けて
「おい、グレン=レーダス」
「なんだよ⁉︎」
「重力操作は出来るか?」
「はあぁ? 重力操作? 一体……」
と、グレンがそう言って少し考えているとノワール
が一体、グレンに何を言いたいのかすぐに理解
したのか「なるほどなぁ…」と呟いていた。
「ちぃ……癪だが今はその案に乗ってやる……」
「えっ? 先生、どういうことなんですか⁉︎」
ルミアが慌てている中、グレンとノワールが
更に話を続ける。
「ルミア、振り落とされないようにしっかり
グレン=レーダスにしがみ付いていろ。
でないと舌を噛むぞ」
ノワールがそう言った瞬間、
「「《三界の理・天秤の法則・律の皿は左舷に
傾くべし》ッ!」」
黒魔【グラビティ・コントロール】を使って
重力操作の呪文で自身らにかかる重力を弱め、
体重を羽のように軽くしてグレンとノワールは
逃げたのだった。
「き、きゃぁ‼︎」
「に、逃げたぞッ⁉︎」
「追え! 逆賊を逃すな──ッ!」
背後からそんな声が追いかけてくるが、
いちいち振り返っている暇はなかった。
住宅街がある西地区の人気のない路地裏で、
グレンはようやく追っ手を撒いたことを確信し、
抱えていたルミアを下ろす。
「先生……どうして……?」
ルミアの顔は苦渋の色に満ちていた。
「それに、死神さんもどうして……?」
グレンやノワールを巻き込んでしまったことを
心底悔いているのだろう。
するとグレンはちらりと横目で一瞥し、そして、
ばつが悪そうに頭をかきながら、ぼそりと呟いた。
「……約束、だからな」
「約束?」
グレンの意味不明な台詞に、ルミアがおうむ返し
に問い返す。
「いや、なんでもねーや」
そう投げやりに言い捨てるが、確かに今、
グレンは約束と言った。
誰と、何に対して立てた約束なのか。
気になったルミアは、さらに問い詰めようと
するが、グレンはルミアの頭にぽんと手を置き、
ルミアの言葉に被せるように続けた中、ノワール
は二人に対して無言で素っ気ない態度をしていた。
「しかし、問題はどうやって陛下に会うか、
だが……」
女王はフェジテ北地区魔術学院内にいる。今、
グレン達がいるのは西地区だ。今頃、東征南北の
市壁門は閉鎖され、フェジテ全地区に追跡の
王室親衛隊が展開しているはずだ。
女王陛下の周囲にも当然、護衛の親衛隊がついて
いるだろう。逃げ回るだけならまだしも、この状況
で女王陛下に謁見するのは至難の業だ。
「……あれ? 詰んでね? これ」
冷静に考えて、自分が縋るべきアテのあまりの
綱渡り加減に、グレンが脂汗を流す。
「って、別に俺達が直接会わなくても
いいじゃねえか!」
ようやくそれに思い至る自分の愚鈍さに辟易
しながら、グレンがポケットから半割れの宝石を
取り出した。
「先生、それは?」
「遠隔通信の真動器だ。一粒の宝石を二つに割って
魔術的処理を施したもので、この二つの宝石で音を
やりとりして話ができる。この片割れはセリカが
持ってるから、これを使えばセリカと話ができる
わけだ」
もちろん、セリカの作である。グレンの腕前では
これほど高度な魔道器は作れない。
「まぁ、とにかく、今、セリカは女王陛下と一緒に
貴賓席にいるはずだ。セリカを通して女王陛下に
話をつけて、王室親衛隊の暴走を止めてもらうよう
進言すればいい」
「ふっ……」
「ああ……ッ? テメェ一体、何がおかしい?」
グレンがルミアを安心させるように言うが
ノワールが鼻で笑うとグレンがギロリとノワール
を睨みつけた。
「いや〜、随分と甘い考えや内容を聞いていて呆れて
しまっただけだよ。魔術講師殿?」
「んだと‼︎ さっきから何が言いたいんだ‼︎」
「せ、先生……‼︎ 死神さんもやめてください‼︎」
グレンはノワールの発言にイラッとしたのか
詰め寄って胸ぐらを掴む中、ルミアはグレンと
ノワールの間入って必死になって仲裁をした。
「別に、好きなようにすれば良いさ」
「ちっ……気に入らない奴だぜ……」
グレンはノワールに悪態を吐きながらも掴んで
いたノワールの胸ぐら外してさっそく、グレンは
呪文を唱え、通信の魔道器を起動した。
金属の共鳴音のような音が、耳に当てた宝石から
鳴り響く。
そして。
『……グレンか』
宝石ごしにセリカが応じた。
「お、セリカ! よーしよし、今回は一発で応じて
くれたな! こないだみたいに通信に応じなかったら
どうしようかと思ったぜ」
『……』
なぜかセリカは無言だった。少々嫌味な物言いに
気を悪くしたのだろうか。
「……セリカ? まぁ、いいや。なぁ、セリカ。
頼みかある。実は俺、非常に厄介な事態に
巻き込まれちまってな。それで──」
グレンがことの次第を説明しようとした、
その時だった。
『私は何もできない』
「──っ⁉︎」
即座に返ってきたのは、感情の読めない突き放つ
ような言葉だった。
「おい、待て。まだ何も──」
『すまない。私は何も言えない。グレン』
「はぁ? なんでだよ? ふざけんな、
この馬鹿! 俺は真面目──」
流石に苛立ったグレンが、矢継ぎ早に文句を
まくし立てようとするが。
『もう一度言うぞ、グレン。いいか? 私は
『何もできないし、何も言えないんだ』』
「──ッ⁉︎」
グレンはようやくセリカの様子が、どこか
おかしいことに気付いた。どうやらこの一連の
事態は、グレンの予想以上に一筋縄じゃいかない
ものだったらしい。
「……なぁ、セリカ。答えられることだけ
答えてくれ。お前は俺が置かれているこの状況を
知っているのか?」
『……大体、知っている』
「知ってて何もできない、と?」
『ああ』
「女王陛下と一緒にいるのか?」
『……ああ』
「何が起きた? どうして王室親衛隊の連中が
暴走している?」
『………』
無言だった。
「なぜ、女王陛下は表向きルミアを討つ勅命を
下したことになってる?」
『………』
これも無言。
どうやらそれらは『言えない』らしい。
一体、どんな状況なのか。何が起きたというのか。
セリカは大陸屈指の
そのセリカにこれほどまでの制約をどうやって
課したというのか。
(くっそ、わけわかんねぇ……どうなって
やがんだ……?)
『一つだけ、言っておく。グレン、お前だけだ』
「なんだと?」
『お前だけがこの状況を打破できる……そう、
『お前だけ』だがな』
「それは一体、どういう……?」
『グレン、この意味、よく考えろ。
そして、なんとかして女王陛下の前に来い。
来たなら取り巻きの親衛隊くらいはどうにかしてやる
……これ以上は危険だな。切るぞ』
「あ、おい⁉︎」
意味不明なことばかりを押しつけて、セリカは一方的
に通信を切ってしまった。もう何度、呪文を唱えて
宝石を起動してもセリカが応じる気配はない。
「わけわかんねぇ……それに来いっつったって……
俺一人でどうやって王女陛下のところまで行けば
いいんだよ……くそ!」
確かに王室親衛隊は個々の武力・技量は非常に
優れているが、主な任務は護衛のため、実戦経験は
然程でもない。習得している魔術も軍用の攻性呪文
や治癒呪文などが主だ。かつて帝国宮廷魔道士団の
一員として数多くの実戦を経験し、一応の魔術師と
して幅広い魔術を知るグレンならば、逃げに徹する
限り、あの手この手でなんとかあしらえるだろう。
だが、自ら攻め入ることになるなら、また話は
別だ。その人数差、戦力差が絶望的な壁となって
立ちはだかる。おまけに、最も女王陛下の近くで
護衛を務めているだろう王室親衛隊の総隊長の
ゼーロスは四十年前の奉神戦争で、聖エリサレス
教会聖騎士団総長『剣聖』ヨハネスと互角に渡り
合ったとされる戦歴の古強者だ。他の衛士連中とは
根本的に格が違う。
(どう考えても俺の手に余る。幻影の死神がいる
が、仲間が……せめて、あと一人か二人、仲間が
いれば)
焦燥も露わにグレンが壁をつけた、その時だ。
「おい……グレン=レダース」
「なんだよ……ッ‼︎ こ、これは……ッ‼︎」
ノワールに声を掛けられたグレンは如何にも
不機嫌な表情を浮かべながらも『ある違和感』
に気が付いた。
それは──
「──殺気⁉︎」
かつて慣れ親しんだその感覚に、グレンは脊髄反射
で殺気を感じた方向へ目を向けた。すると、通りの
向こうの建物の屋根の上に、二人の男女が立って
いた。その二人組は紛うことなく、グレン達のこと
を真っ直ぐに見下ろしていた。
皆さん。読んでいただきありがとうございます‼︎
皆さんの今迄の『応援』のおかげでここまで
書き上げることが出来ました。
これからも令和2020年になってもどうか
応援よろしくお願いします‼︎