『ロクでなし魔術講師と死神魔術師』を投稿
させてもらいます‼︎
最後まで読んで貰えれば有難いです‼︎
【お気に入り】や【しおり】、【投票】更に
【感想】などもよろしくお願いします‼︎
『他の投稿作品』も見ていただければもっと
有難いです‼︎
(豆腐メンタルなのでどうかお手柔らかに
お願いします…‼︎)
僕は『運命』という言葉が反吐が出る程胸糞悪く
『理不尽な言葉』はないと思う。
かつて慣れ親しんだその感覚に、グレンは脊髄反射
で殺気を感じた方向へ目を向けた。
すると、通りの向こうの建物の上に、二人の男女
が立っていた。その二人組は間違いなく、グレン
とノーワルのことを真っ直ぐに見下ろしている。
その身にまとう特徴的な衣装と、背格好には
見覚えがあった。記憶の底から、ぶくりと泡の
ように浮かび上がった、その二人の正体は──
「リィエル⁉︎ アルベルトまで⁉︎
どうしてここに──まさか、王室親衛隊だけ
じゃなく、宮廷魔導士団も動いていたのか⁉︎」
「グレン=レーダス‼︎
そんなこと言っている場合か‼︎」
グレンとノワールが二人の存在を認識した瞬間。
リィエルが弾かれるように屋根を蹴り、建物の壁
を駆け下りた。着地の瞬間、リィエルは何事か
口走りながら両手を地面につく。
すると魔力が紫電となって爆ぜると共に、リィエル
の手には十字型の大剣瞬時に生み出され、代わりに
その場にあった石畳がごっそりと消えた。
石畳を鋼の大剣に作り変えたリィエルは、そのまま
剣を担ぐように構え、グレン向かって弾丸のように
突進してくる──
「ちぃ⁉︎ 錬金術──【形質変化法】と
【元素配列変換】を応用した、お得意の高速武器
錬成かよ⁉︎ しかも早ぇ!」
相変わらずその見事な手並みに驚いている
暇などない。もう疑う余地もない。今のリィエル
とアルベルトは──グレンのかつての戦友は──
敵だ。王室親衛隊として自分達を狩りに来たのだ。
(この錬金術……まさか……ッ‼︎)
ノワールがそう思う中、絶望的な焦燥感が
グレンの身を焦がす。まさか、よりにもよって、
あの二人が──
「くそ、止まれッ! 止まらねーなら、撃つ!」
だが、そんなグレンの鋭い一喝にもまるでリィエル
は突進してくる。
みるみる彼我の距離が消し飛んでいく──
「──《白銀の氷狼よ「邪魔だ‼︎ 退け‼︎」」
「ッ‼︎ ──死神‼︎」
グレンが攻性呪文、黒魔【アイス・ブリザード】
を詠唱しようとしたらノワールがグレンを躊躇い
なく突き飛ばしていた。
「《原初の深淵よ・冥府理にて・斬滅せよ》ッ!」
ノワールが急いでそう詠唱すると大きな漆黒の鎌
が現れてリィエルの前に立った。
「いいいいやぁああああーーッ!」
暴風のように飛び込んで来たリィエルがノワール
の間合いに捕え、頭上に大剣を振りかざしたのは
ほぼ同時だった。
リィエルが剣を打ち下ろす。
稲妻のように閃く剣線。
だか、目を見開いて驚いた表情を浮かべて迷いが
生じた一撃であった。
「ぐっ──ッ‼︎」
ノワールはその苛烈な剣撃を、頭上で冥府の鎌
で受け止める。
リィエルの細腕の、どこからこのような膂力が
ひねり出されるのだろうか。ノワールが剣を
受けた瞬間、圧倒的な衝撃がノワールの全身を
叩き潰すように突き抜け、踏みしめた大地が割れ
砕けた。
「クソったれ………ッ‼︎」
「死神さん⁉︎」
「死神‼︎」
「何処のだれだか知らないけど……私とグレンの
決着の邪魔するなら──」
貴方も斬る。
リィエルはノワールにそう言って大剣を切り返す。
とてつもない重量を持つはずの大剣が、まるで
柳の小枝のように振り回され、二閃、三閃と間断なく
ノワールに襲いかかった。
びゅごお、と剣先が轟風と共に空気を引き裂く音
が響き渡る──
まるでノワールに八つ当たりしているようだった。
「こうなったら……」
ガチィィィィィィィン‼︎
「な、なんだと……ッ‼︎」
「おいおい…嘘だろ…?」
グレンとアルベルトは驚いていた。
何故ならノワールがリィエルと互角打ち
合えていたからである。
「いいいいやぁああああああーーッ!」
「はあああああぁぁぁぁーーッ‼︎」
獅子のごとき咆哮と共に、リィエルがさらに
剣振るう、振るう。だが、ノワールも負けずと
冥府の鎌を振るう。その余波で周辺の壁は
切り倒され、割れ砕け、粉砕、石畳はめくり
上がり、爆ぜ、吹き飛び、あっと言う間に
その路地裏は地獄もかくや空間と化す。
「頼む‼︎ リィエル‼︎ 俺の話しを聞いてくれ‼︎」
「ヤダ‼︎ こいつ倒したら次はグレンの番‼︎」
グレンはリィエルを説得してみるがリィエルは
そんな言葉に聞く耳を持たずにノワールに大剣を
向ける。
(やばい……やばいぞ……ッ⁉︎ こいつの後ろには、
アルベルトが──ッ⁉︎)
遥か遠く建物の屋根から鷹のような鋭い目で
こちらの様子を窺う先程驚いていた青年の姿に、
グレンの焦燥は際限なく昂っていった。
アルベルトは魔術狙撃の名手だ。いかなる混戦に
あっても味方を避け、敵だけを性格無比に狙撃する
神業を持っている。さらに一度の呪文詠唱で二度の
魔術を起動する二反響唱と呼ばれる超高等技法まで
習得している。
(くそ、こいつらには俺の
まったく役に立たねえしーーッ!)
帝国宮廷魔術師団特務分室、執行者No.17
『星』のアルベルト。同、執行者No.7
『戦車』のリィエル。
愚者の世界の効果範囲外からの狙撃を可能とする
天才魔道士アルベルト。愚者の世界の意味がない
肉弾戦を得意とする天才魔導剣士リィエル。
グレンが執行者No.0『愚者』の名を冠していた
宮廷魔導士時代、組めば最も頼りになった二人で
──同時に、相手取れば相性最悪の二人だった。
「貴方はどうして私とグレンの勝負の邪魔を
するの!」
「邪魔しているつもりはない…それよりも、貴様…
その錬金術…何処で覚えた………」
イルシアに似ているこの『リィエル』という少女が
一体、何者なのか? そして何故、イルシアしか
使えない筈である『この錬金術を使えるのか?』
何がなんでも問わなければいけなかった。
「貴方の言っている意味は分からないけど、
これは私の魔術‼︎ 私の錬金術‼︎」
「そうか……」
(嘘を吐いている顔はしてはいないな……)
ノワールがリィエルの顔を見ながらそう言うと
壁を完全に倒壊させた横薙ぎの一撃を軽々と
避けながらリィエルから視線を逸らさないよう
にする。
だが、捨て身同然の飛び込みと共に、リィエルが
大上段から大剣は、石畳を盛大に叩き割って爆砕
させ、半瞬前ノワールがいた場所にクレーターを
作った。
「嘘だろ…どれだけの腕力なんだよ…」
ノワールは驚きながらも狙撃してくるかもしれない
アルベルトに注意しながらグレンとルミアを守る。
「クソ…また、俺はアイツに守ってもらってる
だけかよ…」
グレンは己の無力感を感じながら悪態を
吐いていた。
(いや‼︎ 愚痴を吐いている場合じゃねえだろ‼︎)
今は悪態なんか吐いている場合じゃない‼︎
すぐに思考を切り替えろ‼︎ グレン=レーダス‼︎
ルミアを守るために注意するべき相手が目の前
にいるだろうが…ッ‼︎
視界の端で、アルベルトが指を向けて構えている
のが見えた。
一方、猟犬のように追いすがって更には微塵も
衰えない動きをするリィエルは今、ノワールに
足止めをされているが…時間を掛け続けていては
いつかはこの騒ぎに気が付いて王室親衛隊が
駆け込んでくるだろう…
(俺に出来るのか…? あのアルベルト相手に……)
どれだけグレンが脳内でアルベルトと戦闘を
イメージしてみても無理だった。
リィエル抜きにしても二反響唱を放つアルベルト
の魔術狙撃を回避するなど不可能だ。
そもそもアルベルトが逃してくれるとは
思えない……
完全に詰み、だった。
「先生……」
「ルミア…」
ルミアが俺の裾を握り締めて震えていた。
どうにもならない状況にグレン歯噛みしていた。
「いいいいやぁああああああーーッ!」
「ぐっ…‼︎」
ノワールはリィエルと打ち合ってガリッ‼︎
やガリガリッ‼︎ と音が鳴り火花が散る中、
まるで互角にみえているが実際のところは
ノワールの防戦一方になっていた。
(クソ…ッ‼︎ 相手がやり難い……)
ノワールは心の中で悪態を吐きながら冥府の鎌を
握り締める。
(そもそも…何で、こんなにも顔がイルシアと
瓜二つなんだ…?)
ノワールが防戦一方の理由は『リィエルの顔が
イルシアの顔に似ている』からである。
(更に…あの錬金術だ…だって、あの錬金術は……)
そう、『イルシアの錬金術』のはずだからだ。
(なのに…何故、何故……)
この目の前にいるリィエルという少女はイルシアの
錬金術を使っているのだろうか……
駄目だ…駄目だ……考えるな……イルシアと同じ顔
だからなんだ……同じ錬金術だからなんだ……ッ‼︎
ノワールから溢れ出す負の感情を必死に抑えながら
そう考えているとアルベルトは視線をグレン達から
ノワールに向けて更には指から軍用魔術の黒魔
【ライトニング・ピアス】の呪文が放たれて──
(──ッ‼︎ グレンやルミアじゃなくて僕の排除に
切り替えたか‼︎)
超高速で飛来する稲妻の力線が、真っ直ぐこちら
を目指して飛んできてーー
(仕方ない…こうなったら……『奥の手』を
使うしか…‼︎)
ノワールは回避する様子はなくむしろ迎え撃つ
準備をしてーー
「きゃん⁉︎」
黒魔【ライトニング・ピアス】が、リィエルの
後頭部に刺さっていた。途端にリィエルはどさり
と倒れ伏し、ぴくぴくと痙攣し始める。
「……え?」
先ほどまで吹き荒れていた破砕音が嘘のような
静寂が、不意に訪れた。
(どういうこと…? アルベルトはルミアや僕を
狩りに来たんじゃないの?)
呆然としながらも警戒するノワールの前へ、
屋根伝いに駆けよってきたアルベルトが足音軽く
着地した。
「久しぶりだな、幻影の死神」
「ああ、久しぶりだな…星のアルベルト」
警戒しながらも顔色変えずそう言うとノワールから
視線を逸らして
「グレン、貴様も久しぶりだな」
「あ、あぁ……というか、死神とは知り合い
だったんだな……」
どこか、咎めるような冷たい声色で挨拶してくる
元・同僚に、グレンは戸惑いながら質問する。
「まあな、貴様が何故、幻影の死神と行動を共に
しているのか知らんが、まあ、良い……場所を
変える。ついて来い」
アルベルトはリィエルを引きずりながら路地裏
の奥へと歩いていく。
ノワールは無言でついて行く中、グレンとルミア
は状況が読めず、顔を見合わせて頷くしか
なかった。
「このお馬鹿! お前、一体、何考えてるんだ⁉︎」
フェジテ西区にある裏路地の、さらに奥まった場所
で、グレンの叫びが響き渡った。
「俺が現役時代の時にお預けになった勝負の決着
つけたかっただとぉ⁉︎ 時と場合と状況を考えろ、
このアホ! 脳筋! 死神がいなかったら死ぬ
とこだったわ!」
「……むぅ」
受けた【ライトニング・ピアス】の威力が相当、
手加減されてあったことは、生来の頑丈さも手伝った
のだろう。もう回復したリィエルが感情起伏に乏しい
表情を、ほんの少しだけ、しょんぼりしていた。
「せ、先生……その方達は……?」
ルミア少し離れた場所で、不安と戸惑いの表情を
リィエルとアルベルトに向けている。
「あー、こいつら俺の帝国時代の同僚だ。
信頼できる連中だから安心……できる
はずねーよな、さっきの光景見た後じゃな……」
「そうね、町中でいきなり軍用の攻性呪文を
撃つなんて。うかつよ、アルベルト。どうやら
あなた、その子に怖がられ──」
「オ マ エ だ よ! お前!」
グレンはリィエルの頭を両手で鷲掴みにし、
がくがくと激しくシェイクする。
「……ったく、お前はちっとも変わらんな……
はぁ……」
その眠たげな無表情を微塵も崩さず、ゼンマイ
仕掛けのメトロノームのように左右にふらふら
揺れるリィエルを尻目に、グレンは深いため息を
吐いた。
「良い加減にしろ…グレン=レーダス。
話しが進まないだろ」
「まったくだ…というか話の続き、いいか?
状況はとても深刻なんだがな」
「す、すまん。頼む」
ノワールはため息を吐き、アルベルトの態度は
久方ぶりに再会した仲間へ向けられるものとしては、
どこか冷ややかだ。グレンは気まずさを覚えながら
それに応じた。
「俺が遠見の魔術や使い魔によって収拾した情報に
よると、王室親衛隊女王陛下を自分達の監視下に
置き、そこの娘──ルミア嬢を始末するために
独断で動いている」
「んなのわかってるよ。連中、絶対にありえない
命令でっち上げているからな。で?女王陛下の
身の回り今、どんな感じだ」
「陛下自身は普通に競技場貴賓席に居る。但し、
その周囲一帯を王室親衛隊の上位幹部陣を中核と
した精鋭が、隙なく完全に取り囲んでいる。
身動きは取れない様だ。おまけに今はその周囲は
いかなる者も近づけさせない厳戒態勢……突破は
至難の業だな」
「セリカはどうしたんだ? ほら、元・特務分室
のNo.21」
「グレン=レーダス、貴様は先程の魔道器の会話
で理解していない程馬鹿になってしまったのか?」
「んだと‼︎ テメェ‼︎ だったらテメェには
分かるのかよ‼︎」
「先程、自分自身で言っていたじゃないか
『女王陛下と一緒にいるのか?』って、言って
いたじゃないか?」
「う、うぐっ…た、確かにそうだけどよ……」
ノワールの言う通りなのだがグレンは不満なのか
ノワールに噛み付く。
「セリカ=アルフォネアと会話したのか?」
「ああ、魔導器での会話だったが先程、
グレン=レダースがしている」
「そうか…それで、セリカ=アルフォネアは
何て言っていたんだ?」
「こいつ、『グレン=レーダスだけ』がこの状況を
打破できると言っていた。そして『なんとかして
女王陛下の前に来い』と、そしたら取り巻きの
親衛隊くらいはどうにかしてやると言って
いたぞ?」
「ふむ、なるほど…だが、女王陛下の周囲は
王室親衛隊がいるはずだ……」
ノワールとアルベルトが考えていると
「もういい。考えても仕方ないこともある」
思索の膠着状態にしびれを切らしたのか、突然
リィエルが二人の間に割って入る。
「……いや、お前はもう少し、考えような?」
グレンもリィエル続いて割って入る。
「だから、わたしは状況を打破する作戦を考えた。
グレンがいるなら、もう少し高度な作戦が可能」
「ほう? 言ってみろ」
「まず、わたしが敵正面から突っ込む。
次にグレンが敵に突っ込む。次に幻影の死神…?
も正面から敵に突っ込む。最後にアルベルトが敵に
正面から突っ込めばいい。……どう?」
「お前はいい加減、その脳筋思考をどうしろっての⁉︎」
「痛い」
呆れたグレンはリィエルの脳天を鷲掴みし、
ギリギリと万力のように力を込めた。
「いつもこんな感じなのか…?」
「ああ、そしてグレン、お前が居なくなった後
の苦労後の俺の苦労、少し理解したか?」
ノワールに説明した後、グレンに淡々と放たれる
アルベルトの言葉言葉の端々には、どこか確実に
棘があった。
「……うん、ごめん。マジごめん」
「お前が何も言わずに俺達の元から去った理由、
今は聞かん。帰って来い、とも言わん。だか……
いつか話せ。それがお前の通すべき筋だ」
「……ああ」
グレンを一瞥することもなく一方的に投げ放たれる
アルベルトの言葉に、グレンは珍しく神妙に
頷いた。
「そして、いつかわたしと決着をつけること。
それがあなたの通すべき筋」
「嫌だよ⁉︎」
諦めないリィエルに、グレンはうんざりしながら
突っ込みを入れた。
「そう。『いつか』決着をつけるのは嫌、と。
なら、『今』ーー」
「なんでそうなるんだ、勘弁してくれ⁉︎
ひぃいいっ⁉︎ よ、寄るな⁉︎」
リィエルが錬金術で錬成した大剣を構えて、
無表情でじりじりにじり寄ってくる。
グレンは冷や汗を滝のように流しながら、戦々恐々
後ずさりしていた。
「ええい! 大体、お前、なんでそんなに俺との
決着に拘るんだ⁉︎」
「魔術師同士の決闘は勝者が敗者に要求を一つ
通せる……そう聞いた」
「ああ、そんなカビ臭い伝統があったな!
それがどうした⁉︎」
「……それは」
やけくそ気味に投げられたグレンの問いに、
リィエルは一瞬、言葉に詰まって。
「……グレンに、……どうしても、帰ってきて
欲しかった、……から」
常に一切の感情の色を見せなかったリィエルの
表情が、消え入るような声でそう呟いたその時
だけ、微かに憂に彩られた……ような気がした。
「……ちっ、このバカ。それで俺が死んだら
本末転倒だろうが……」
「グレンがあの程度の攻撃で死ぬわけない」
「お前なぁ……」
そんなグレン達の様子を見守っていたルミアが
くすりと笑った。
「アルベルトさんに、リィエルさん……
でしたっけ? ふふ、良い方達なんですね?」
「はぁ? 良い奴? こいつらが? 冗談……」
もはや、グレンはため息しか出ない。
「話しを整理するぞ…グレンが女王陛下に直接面会
すれば、それがこの状況の突破口になるはずだ。
そしてグレンをなんとか上手く、陛下の前に
立たせなければ意味を成さないだろう…だが、
その前に『一つだけ問題がある』……」
「問題? なんだ…それは?」
グレンがアルベルトにそう問うとアルベルトは
鋭い視線をノワールに向ける。
「幻影の死神、貴様だ……貴様は王室親衛隊の
人間を数人殺したらしいな? 何故、殺した?」
アルベルトは殺気を出してノワールにそう言って指
をノワールに向ける。
「死神さんは私を守るために仕方なく…‼︎」
そんなアルベルトにルミアはノワールを庇いながら
も弁明をするが
「だからといって殺して良い理由にはならない」
「そ、それは…そうですが……」
アルベルトはそれを許さんといった表情と言葉で
ルミアの言葉を一刀両断にする。
「あのままだったら、ルミアは死んでいた。
だから見せしめのためにこの手で殺した」
ノワールはアルベルトにそう言うとアルベルトは
指を下ろした。
「理由は分かった…だが、理由はどの様にあったと
してもだ。これから貴様は天の智慧研究会同様に
『指名手配』されて宮廷魔導士団総力上げて捕縛
する可能性が高いだろう…」
「そ、そんな…‼︎」
「おい‼︎ アルベルト‼︎ どうにかならねぇのか⁉︎
確かにこいつのやり方には問題があるが…ルミアを
守るためだったってのは本当だったはずだから‼︎」
「グレン、貴様は見ないうちにらしくないことを
言うようになったな……だが、貴様なら分かって
いるはずだ。各政府機関の面子や縄張り争いが
うるさい魔窟だとな」
「わ、分かっている…けど…ッ‼︎」
グレンはアルベルトにどうにかするように言うが
アルベルトがそれを冷たく指摘する。
「僕は構わない」
「死神さん…ッ‼︎」
「ほう……」
ノワールがそう言うとルミアは驚いた表情を浮かべ
アルベルトは眉を少しピクリと動かしていた。
「死神‼︎ 分かっているのか⁉︎『 天の智慧研究会と
同じで外道魔術師として捕縛されて最悪の場合、
死刑だってあり得るんだぞ‼︎』」
グレンはノワールのパーカーの裾をぎゅっと握り
締めて声を荒げながらノワールを見る。
「別に粗末なことだよ」
「粗末…だと…ッ‼︎」
グレンはノワールの言葉を聞いただろうか両手を
プルプルと震わせていた。
「グレン、感情移入し過ぎだ…お前の悪い癖だ」
アルベルトはそう言ってグレンの右腕をガシッと
握り止める。
「そうだよ…グレン=レーダス、それに話しが
脱線して更には時間を無駄にしている」
「そうじゃねぇだろ‼︎ 何でそんなにもーー
「グレン」」
グレンが言っている途中だったがアルベルトが
遮ってグレンを黙らせた。
「気に入らんがこいつの言う通りだ…今争っても
時間の無駄だ。意味がない。むしろ、こいつと
協力関係を築いておいた方が良い……ルミア嬢
のことを思うならな」
「先生……ッ」
ルミアを見るとルミアは今にも泣きそうな表情を
浮かべていた。
俺はどうすれば良いのだろう…ルミアと同い年
ぐらいの幻影の死神…こんなガキを危険な目に
あわせて良いのだろうか…?
「覚悟を決めろ…グレン=レーダス」
心配そうに見るルミアを見て俺はーー
「分かった……」
俺はルミアを守るためにアルベルトと死神の意見
を受け入れた。
「そんな…ッ‼︎ 先生‼︎ どうして……ッ‼︎」
「ルミア…すまねぇ……」
「ルミア、すまないけど…これしかないんだ」
死神はそう言ってルミアの頭を優しく撫でた。
「こんなことになってしまうぐらいなら…
あの時、王室親衛隊に手討ちになった方が
良かったじゃないですか…ッ‼︎」
ルミアは瞳からぽろぽろと涙を流し頬に伝い
体を震わせながらノワールをぽんぽんと
叩いていた。
ノワールはルミアの涙を拭ってこっそり耳元で
「大丈夫…僕を信じてよ、ルミア」
ノワールがそう言うとルミアは一瞬、驚いた表情
をして少し考えていたがその後、少し微笑みながら
「死神さん……ずるいです…でも、そうですね…
分かりました……」
私は死神さんを信じます…ッ‼︎
「そうか…良かった。それで良い……」
ルミアが目の周りを赤くさせながらそう言った
瞬間、ノワールは安心した表情してグレンは
驚いた表情をしていた。
「まぁ、いい。とにかく、死神やアルベルトの
言う通り、女王陛下に直接面会すれば、それが
この状況の突破口になるはずだ。俺はなんとか
上手く、陛下の前立たなければならない」
「その根拠はなんだ? グレン」
「さあな? ただ、セリカがそうしろって言った。
アイツはケチで意地悪だが、意味のないことは
言わない。俺が女王陛下の前に立つことには必ず
なんらかの意味があるはずだ。どの道、このまま
じゃ物量差でジリ貧、それに賭ける」
「信じて良いのか?」
「少なくとも、俺は信じられるね」
「……わかった。お前が言うなら、俺も信じよう」
アルベルトが静かに目を閉じて頷いた。
「悪いけど、僕は別行動させてもらうよ?」
「死神‼︎ テメェ…別行動だと……ッ‼︎」
「何だと…?」
グレンとアルベルトは納得出来なかったのか
顔を歪めた。
納得出来ないのも無理もない。幻影の死神は
現に王直属の王室親衛隊を五人を殺しているの
だから……
「さすがにそれを看過することは出来ない」
「そうだな…こればかりはアルベルトの意見に
賛成だ。お前を自由にさせる訳にはいかねぇ‼︎」
「困ったなぁ……」
ノワールはフードをさすりながら言うと
「死神さん‼︎ 聞いても良いですか…?」
「ん? なに、ルミア?」
ルミアは真剣な表情でノワールに質問をする。
「死神さんが別行動するのは誰かを殺しに
行くわけじゃないんですよね…?」
ルミアのその言葉の意味を分からないノワール
じゃなかった。
故にーー
「ああ、人を殺しに行くわけじゃないから
安心してほしい」
ノワールはルミアにそう言うとルミアは何か決心
したのかグレン達の方へ振り返る。
「グレン先生‼︎ そして、アルベルトさん‼︎
私は死神さんを信じて良いと思います‼︎」
「る、ルミア‼︎ お、お前…ッ‼︎」
「なるほど……」
ルミアの言葉でグレンは驚いた表情をして
アルベルトは表情を変えずに右手であごを触り
ながらルミアを見ていた。
「ルミア嬢、貴方は何故、そんなにもそいつを
幻影の死神を信じる?」
アルベルトはルミアの考えが理解出来なかった。
人を殺し続ける幻影の死神という魔術師(化物)を
疑いもせずに何故、信じられるのか?
「死神さんは私の恩人だからです‼︎
もし、死神さんがいなければ私はあの時、
死んでいたかもしれません‼︎」
「だが、そいつが助けたのは単なる気まぐれだった
可能性あるぞ?」
「もし、そうだったとしても私は…『私の恩人』を
死神さんを信じます‼︎」
「そうか……」
アルベルトはルミアをじぃーと見つめて考える
ような仕草をして視線をルミアからノワールに
向ける。
「幻影の死神……貴様は何のために俺達と
別行動を取ろうとする?」
「強いて言えば…そうだね……『己の信念』の
為に動くかな?」
ノワールがアルベルトにそう言うとアルベルトは
驚いた表情をしていた。
「まさか、貴様に信念なんて物があった
とはな……」
「まぁね…」
ノワールがそう言った後、アルベルトは
ノワールを観察するかのように眺めて
「良いだろう……今回は貴様を信用してやる」
ノワールを信用すると言ったのだ。
「おい‼︎ アルベルト、良いのかよ‼︎
そんなに簡単に信用しちゃってよ‼︎」
グレンはアルベルトの意見に納得が出来なかった
のか抗議を始めた。
「ああ、俺も幻影の死神を100%信じている
訳ではないが…『奴の言う信念』とやらを信用
してみても良いと思った。それに、ルミア嬢の
あの揺るぎない瞳を見たら何も言えまい」
「もしもの場合が起きたらどうすんだよ‼︎」
「もしもの場合が起きたら、俺の狙撃魔術であいつ
を撃ち抜く……構わないな、幻影の死神?」
「うん、僕もそれで構わないよ?」
「ああぁぁ‼︎ もう、俺は知らねぇからな‼︎」
グレンは頭をガリガリと掻いてプイっと
そっぽを向く。
「グレン=レーダス、最後に質問なんだけど
良いかな?」
「んあ? 何だよ…? 急に改まって」
ノワールは今、『一番気になる人物』に視線を
向ける。
「彼女の名前を教えて欲しいんだけど…… 」
そう、あの十字の剣を持っている彼女に瓜二つの
彼女の名前を……
「ああ…そういえば、紹介してなかったな……
おい‼︎ リィエル‼︎ こっちに来い‼︎」
「ん、グレン、どうしたの?」
「ああ…ちょっとな……」
グレンは「めんどくせぇ…」と呟きながらも
ノワールにダルそうに紹介する。
「恐らくテメェは知ってると思うがコイツの名前
は『リィエル=レイフォード』。宮廷魔導士団
No.7で戦車をやっている」
「り、リィエル…レイフォード……?」
『レイフォード』というその名前を聞いた瞬間、
ノワールの胃から何かが込み上げて来る。
「うっ…うっぷ…ッ‼︎」
路地裏の奥の隅っこに走り込んで行って
そしてーー
「うおぇぇぇえええええ……‼︎」
ルミア達が見ている面前で吐いてしまった。
シオンさんが話してくれたことを思い出していた。
『project: Revive Life』、その実験は非人道的
な最悪な物で錬金術的に錬成した身体を持たせて
『イルシアのその記憶情報』を元に使う
『アストラル・コード』で魔造人間に引き継がせる
そんな実験だった。だが一番最悪なのはそれをする
為に何十人の沢山の人間の魂を犠牲にしなくては
いけないのだから余計に胸糞悪いそんな最悪の
実験だったはずだ……
(彼女は…リィエルという彼女は彼女…イルシアの
『アストラルコード』引き継がれた魔造人間……
つまり『project: Revive Life』の唯一の
成功例……)
「死神さん‼︎」
「おい‼︎ 死神‼︎ 大丈夫か? おい‼︎」
気がつけばグレンは叫んでいてルミアがノワール
の介抱していた。
「だ、大丈夫…大丈夫だから……」
「で、でも…‼︎」
「本当に大丈夫だから……」
ノワールはルミアにそう言って口元の涎を拭って
フラフラな状態でありながらも立ち上がる。
「話し戻すけど…兎に角、グレン=レーダスと
ルミアの二人は女王陛下の元へと立たせなきゃ
だけど……」
「そうだな…死神の言う通り二人を女王陛下の前
に立たせるとして……俺達はどう動けばいい?」
「そうだな──」
グレンが少し、考え込んで……アルベルトと
リィエルにとある提案をした。
最後まで読んで頂きありがとうございます‼︎
これからもたくさん『投稿』出来るように頑張って
いきます‼︎
よろしくお願いします‼︎
【心の声】(これで良いのか心配になってきた…)