「これでどうだ。かなり大量に持ってきたぞ?」
「確かに大量だ。お前よくこれだけ持ってたな?」
約束していた魔理沙の鉄くず買取だが、自身を持っていただけあって、なぜこんなに持ってるのかわからないくらいの鉄くずを持ってきた。
「ちょっと待てろ、今秤を持ってくるから。」
「まだかよ〜?」
「この量だとまだまだかかるな。そこに椅子に座っとけ。お茶持ってきてやる。」
「おお、湯のみが私のとこまで飛んできた。すごいな。」
「熱いから気をつけろよ。」
「これで何かお菓子でもあればなぁ。」
「何様だお前は?」
「お客様だぜ。」
「客なら是非現金を持ってきて欲しいんだがな。」
「そのためにこれだけの鉄くずを持ってきたんだろ。結構苦労したんだぜ?」
「……もういいや、これ全部でお前のツケちゃらって事で良いよ。」
これだけの量を秤で測るとなると面倒だ。俺の能力で鉄くずを操れればその質量なんてすぐにわかるんだが。
「なんだお前?そう言ってぼったくってるんじゃないのか?」
「このサービス、今すぐやめようかな。」
「あー!ごめんなさい!ツケちゃら、ツケちゃらでいいからちゃんと買い取ってくれ!」
「わかればいい。それならこれ全部貰うぞ。」
「少しは儲かると思ったんだけどなー。」
「お前はうちの店の商品持って行きすぎなんだよ。この家戻った時、お前の言ってた以上に商品持って言ってたから驚いたぞ。あ、いらっしゃいませ〜。」
「その声の変わりようには驚きだぜ。」
「魔理沙、あなたここで何してるの?」
「アリス⁉︎お前こそ何しに来たんだ?」
この二人、知り合いだったのか。
「私は頼んでたものを受け取りに来たのよ。」
「これですよね。すみませんこちらの事情で遅くなってしまって。」
俺がアリスに頼まれていたのは裁縫用の針だ。随分前に頼まれていたのだが、異変の騒動があって長い間店を閉めてしまったから、渡すのが遅くなってしまった。
「大丈夫よ。それに、噂通り素晴らしい出来ね。」
「品質には絶対の自信がありますよ。」
「なんだなんだ、アリスには敬語で私にはタメ口かよ?」
「アリスさんはお客様だからな。」
「それじゃあ私はなんなんだ?」
「迷惑な来訪者。」
「客ではないとは聞いてたけど、友人はおろか知人とも言ってくれないのか。」
「あなたどうせこの店でも好き勝手やってるんでしょう?」
「アリスには関係ないだろ。」
「まぁ、ツケは払ったことにしたし、これからの行動次第では客として見てやってもいいな。」
「客に対するものいいじゃないな。」
「お前はまだ客じゃない。ちゃんと現金を払って商品を買う。そう、アリスさんのようになってから言うんだ。」
「私、別に普通のことしてるだけだと思うんだけど。」
言われてみればそうだ。魔理沙のせいで感覚が狂ってしまったが、アリスは普通のお客様だ。
「ま、店主さんも魔理沙と商売するなら気をつけたほうがいいわよ。」
「そうですね。常に警戒しておきますよ。」
「なんだか言いたい放題だなお前ら。まぁいいや、それよりアリス。その針でまた人形作るのか?」
「そうよ。」
「人形ですか、女の子らしいですね。」
「アリスの人形は凄いんだぜ。弾幕ごっこでも活用してるんだ。」
「弾幕ごっこ?人形で戦うんですか?」
「そうよ。それと、もう敬語じゃ無くていいわよ。私と魔理沙で使い分けるのも面倒でしょう?」
「そうですか。ならお言葉に甘えて、これでいかせてもらおう。で、人形で戦うってのは、妖術か何かなのか?」
「魔法よ。魔力で人形を動かせるの。今度来た時は見せてあげるわ。」
「動く人形か。楽しみだな。そういえば魔理沙、お前は魔法使いとか言ってるけどどんな魔法を使ってるんだ?」
「私か?私はこう、魔力を集めて、ドカーン!みたいな感じで。」
「その表現は魔理沙らしいといえば魔理沙らしいが、全然伝わってこないな。」
「そうだ!それなら実際に見せてやるよ!弾幕ごっこで!」
と言うわけで店から少し離れたところで魔理沙と俺は向き合っている。弾幕ごっこは面倒なので断ろうとしたのだが、アリスに
「こうなったら魔理沙はしつこいわよ。」
と言われて渋々引き受けた。
アリスも一応見届けてくれるみたいだ。
「あんまり店閉めるわけにはいかないから、手短にスペルカードは二枚ずつだ。」
「わかった。それじゃ行くぞ!」
それぞれの方法で体を宙に浮かした。魔理沙は箒にまたがっている。そして魔理沙のスペルカード宣言で弾幕ごっこは始まった。
「『〈魔符〉ミルキーウェイ』!」
魔理沙が放ったのは大小様々な星の弾幕。それぞれが軌道を描き、夜空を見ているかのようだ。
「おっと。」
油断してると被弾するな。
「そっちからは来ないのか?」
「もちろん行くさ。『〈お手製〉手動追尾弾』!」
俺が作り出したのは適当な物質を固めただけのたった二つの弾。そしてそれを操り、魔理沙めがけて飛ばした。
「なんだそりゃ?そんなの簡単に避けられるぜ。」
俺の弾は魔理沙にいとも簡単に避けられたが、このスペルカードの本領はこれからだ。
「うわっ!なんだこれ、追いかけてくる!」
このスペルカードでは俺はこれ以外の弾は作らない。能力を全て二つの弾に集中して操っているのだから速度も追尾も並みの弾幕とはわけが違う。
「どうした!低速移動じゃ逃げられないぞ!」
「くそ!スペルカードも時間切れか!」
魔理沙のミルキーウェイも時間切れで消費された。魔理沙の残りのスペルカードは一枚。一気に有利になった。
「なんだ魔理沙?今度はお前が逃げてばっかりじゃないか?」
二つの弾を操り徐々に魔理沙を追い詰める。すると突然魔理沙は俺と反対方向にまっすぐ逃げ出した。
「逃すか!」
俺は二つの弾で魔理沙を追ったのだが、この時、俺の弾は俺と魔理沙の位置を線で繋いだ時の直線状にあった。そして、
「この時を待ってたのさ!『〈恋符〉マスタースパーク』!」
魔理沙が懐からだした八卦炉から極太のレーザーが放たれた。そのレーザーは俺の弾を消し飛ばしそのまま俺に向かってきている。
「出し惜しみしてる暇はないな。『妖力発電式超電磁砲』!」
この極太レーザーはもはや避けられる距離じゃない。ならば相殺を狙うしかない。モーターフル回転、速攻で電気エネルギーを充電し魔理沙に向かって放った。
「智慧、一つ教えてやるよ。」
「なんだ魔理沙、余裕だな?」
「弾幕は、パワーだぜ!」
俺の放った電磁砲は魔理沙のレーザーに当たった瞬間あっという間に飲み込まれてしまった。
「なるほど、勉強になったよ。」
この勝負、どうやら俺の負けみたいだな。それでもあのレーザーを食らってはタダでは済まないので地面を突出させ目の前に防壁を作り出した。
「降参だよ。俺の負け…」
「ずるいぞ智慧!そんなのスペルカードでもなんでもないぞ!」
「いやだから、降参だって…。」
「ちょっと魔理沙⁉︎そろそろ止めなさい!」
アリスも異変に気付き魔理沙に声をかけてくれているがその声は届いていないようだ。
「くらえーーー!」
着実に出力を増しているマスタースパーク。俺の防壁にもヒビが入り崩壊は目前だ。
「ちょ、降参、降参だって!」
俺が大声で叫んだ瞬間、防壁は崩れ俺はレーザーに包まれた。
「ふぁーーーーーーー!!!」
我ながら情けない声を出してしまった。
「いやその、悪かったよ。」
「んーんんん。」
「あなたのスペルカードは威力が強いんだから、加減しないとこうなるのはわかってたでしょう。あーもうそんな包帯の巻き方じゃ喋れないでしょう。私が手当てするから魔理沙は下がってなさい。」
あのあと俺の部屋まで運ばれて手当てを受けたのだが魔理沙は慣れてないようで服の上から上半身をぐるぐる巻きにされてミイラのような状態になっている。
「包帯くらい自分で巻けるよ。アリスも気遣いありがとう。その気持ちだけ受け取っておく。」
包帯を受け取り自分の体に巻いていく。
「智慧、女の子みたいな巻き方ね。」
「上くらい脱いでも別に私は気にしないぜ?」
「俺は気にするの。なんなら二人とも後ろ向いてくれよ。」
「わかったわ。魔理沙も、こっち向きなさい。」
「わかったよ。早く済ませてくれよ〜。」
二人とも後ろを向いたので着物を脱ぎ包帯を巻く。封印の痕を隠すのも大変だな。
「……見るなって言われると…少し見たくなるよな!」
「魔理沙!お前!」
突然魔理沙が俺に飛びついてきた!こいつ!
「ん?別に普通じゃないか…うわっ!」
魔理沙の服を操り部屋の壁に貼り付けた。ついでに壁の一部を操り目隠しもしておいた。背中は見られなかったからセーフだろう。
「わ、悪かったって。だから離してくれよ。」
「お前は少し悪さをしすぎだ。今まで見逃していたが今日は許さん。アリスはもうこっち見ていいぞ。」
「あの、魔理沙に何するつもりなの?さすがに乱暴は良くないと思うんだけど。」
「そうだな、俺も暴力は良くないと思う。だからこうする。」
「ど、どうするつもりだよ?うひゃ⁉︎」
「魔理沙?」
「あはははは!くひっ、はははは!」
「智慧、魔理沙に何したの?」
「服を操ってくすぐってる。今日はしっかり反省してもらうぞ。」
「ははははははは!わ、わるかったって!ひひひひひ!」
「ごめんなさいだ。いろいろ迷惑をかけてごめんなさいと言え。」
「ご、ごめんなさい!迷惑かけてごめんなさい!」
「よし、今日はここまでにしてやろう。」
「はぁはぁ、笑い死ぬかと思った。」
(魔理沙がこんなに弄ばれるなんて…智慧にはあんまり逆らわないようにしないと。)