Fate/School Life 奏でるは立香の思い 作:日々はじめ
パラレルワールド。それは、同一において同一ではない世界の事である。ある選択肢においてそれを『選ばなかった』と『選んだ』という結末を左右するものが生じた場合二つの結果ができる。前者を選んだが後者を選んだ運命というのものが存在する訳だ。それが、先ほど言ったパラレルワールドである。『男』か『女』か。『天才』か『馬鹿』か。といった具合に一人の人間において無限の世界が介在する。
では、こういうパラレルワールドもあっても可笑しくないのではないだろうか?
時に可笑しく。時に笑い。時に喧嘩する。そして、恋愛もする。そんな物語が。
これは、英霊とそのマスターが青春を謳歌する世界線である――。
時は、20ⅩⅩ年。比較的大きな山に一つの建物がそこにあった。たくさんの人を迎え入れ、それを育成し、排出する。所謂学校という物だ。
春、山に新緑が実るころ一人の穢れがない真っ白な制服に身を包んだ黒髪の少年が見慣れない景色に感慨を覚えながら道を歩いていた。
山というのだから様々な動物と出くわす。リスや、タヌキ、キツネなどだ。見たこともない白い動物も見つけ興味本位に近づくとフォウという聞きなれない声を上げその姿を緑の中へ消していった。
逃げられたことは少しショックだったがこれからの学校生活のことを考えるとすぐにその思いは体の中からスーっと消えていった。
彼の名前は、藤丸立香。今日からここカルデア学園に通う生徒だ。
カルデア学園というのは世界的に有名な魔術師の貴族であるア二ムスフィア家が英霊と言われるサーヴァントの育成とそのマスターの能力向上を目的として建設された学校である。
ここで、不可解な単語がでてきたので少しばかり説明を入れておく。
サーヴァントというのは、聖杯戦争において召喚される一種の使い魔のことだ。勝ったら何でも望みを叶えるという聖杯戦争。戦争というのだから殺し合いと思うのかもしれないがただの学校の行事である。パーティを組んだマスターと使役するサーヴァントで戦いを行いその勝者が勝ち進んでいくのが聖杯戦争の概要である。次に、マスター。これは先ほどサーヴァントの説明において少し出ているが、使い魔の使役である。ただ使役するだけなら誰にだってできると思うかもしれないがそれ相応の魔力というのが必要となる。
カルデア学園は小中高というエレベータ式の学校である。そこに何故今更藤丸立香が入学するというのは長くなるので説明を割愛させていただく。ただ一つ言えるのは偶然と言うことだ。
校門が目に入ると、紫色の髪とメガネを掛けた少女が立っていた。こちらの存在に気が付きと手を振り歓迎の意を示してくれた。
その姿に微笑ましいと感じると自然と早足になる。
彼女の傍まで行くと向日葵の様な笑顔が目に入り少しばかり眩しいと思う。
「お久しぶりです、先輩!」
「うん、これから宜しくね。マシュ」
マシュ・キリエライトに先輩と言われむず痒いものを身体に感じながら歩幅を合わせつつ校舎へと向かう。
「そういえば、マシュ。俺はどこへ行けばいいんだ?」
マシュから先ほど、私は先輩の案内係です!と言われたので質問する。
ちなみに、今マシュは高校一年生。立香は高校二年生なのでこれが先輩呼びする理由である。
「はい。この後校長室へと出向いてもらい所属クラスに行ってもらいます!」
「わかった。ありがとう」
短く返事して、少し前を歩くマシュの背中を追いかける。小中高すべてが一緒のためかなり広い。慣れるまではマシュにかなりお世話になりそうだ。
ましてや、ここは寮という物が存在せず一軒家が敷地内に多くある。なんでも、これでサーヴァントとマスターと一緒に住んで信頼やお互いに力を高め合おうというのが目的らしい。おのれ、金持ち。
そんなことを考えると、大きな扉の前まで来ていた。上を見え上げると校長室という札が立て掛けられている。
マシュが、2回扉をノックする。
すると、扉の向こう側から声が上がる。
「どうぞ」
――ん?声若くないか?校長というから老いぼれた老人をイメージしたがここは違うらしいな。
「失礼します。お連れしました」
マシュに促されるまま前へ立つとそこには白髪の長い髪と見るからに同年の女の子が小さい体に見合わない大きな椅子に座っていた。
「ようこそ。藤丸立香君。入学前の事はマシュから詳しく聞いているわ、その件はお疲れ様としか言いようがないわね…。そして、改めて入学おめでとう。ここの、校長のオルガ・マリーよ」
少し上から目線であの時の疲労を労われたことには少しムッとしたがそれを吹き飛ばすほどの衝撃に体が震えた。
白い肌。片方に結ばれている可愛らしい三つ編み。オレンジ色の綺麗なキリッとした瞳。長い睫毛。何処においても目を離せない。
「…何?顔に何かついている?」
「いえ、なんでもありません」
顔が少しばかり熱を帯びていることに気が付いているのは自分だけである。この感情は知らない。何だろうと少しばかり考えてみる。
そして、藤丸立香はその時理解した。
――あぁ、これが一目ぼれか。と。
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