色々規格外な提督と元ブラック鎮守府   作:薪音

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川内の策

 川内と海風は砂浜に居るが、2人から紅音に攻撃を仕掛けても不意打ちでもない限り返り討ちにあうのは明白だ。しかし砂浜のすぐ後ろは崖で砂浜自体もそこまで大きいわけでは無い。そのため何か大規模な攻撃が来れば2人が一気に殺られる可能性があるため、このまま固まって居るのは得策では無い。

 

川内「......」チラッ

海風「......」コクッ

 

 海風にアイコンタクトを送り、2人は同時に海上に走り出し、紅音を挟撃出来るように左右に別れる。

 

紅音?「......」

 

防御不可能のスキル『たどたどしい拳』ビギナーズハードラック

ダメージをキャンセルするスキル『毛頭に戻る』リバースカバー

相手の打撃を予測するスキル『知識の方向』プロットファイト

動体視力向上のスキル『誰かさんが転んだ』アイフォールダウン

殴るごとに相手の五感を奪うスキル『五感性』クリティカルファイブ

死角を消すスキル『開闢六十度の視界』モニターチェックフラッグ

限界を超えて戦うスキル『馬鹿者には限度がない』ピークアウトフール

一度浴びた攻撃は二度と浴びないスキル『免疫効果』ラーニングシステム

敵が武器を持っていると強くなるスキル『不利要塞拳』ピラミッドナックル

 

 紅音の姿が一瞬ブレたかと思うと姿が消える。

 

川内「ッ!」

 

 突如川内の前に現れた紅音は、4本指の貫手を放つ。川内は頬を僅かにかすめるがなんとか直撃はまぬがれる。しかしかすめた所からは僅かに血が出ている。

 

川内(スキルを使っている場合防御は意味をなさないしなぁ。回避に専念しないと)

 

 そのまま横に跳び紅音から距離をとる。

 

川内(攻撃を仕掛ければ返り討ちに合う、だからと言って回避ばかりしていると体力の差でやがて殺られる......手詰まりと言う訳じゃ無いけど少しきついなぁ)

紅音?「......」

 

後ろをとるスキル『背中這わせ』ラーニングバック

 

 川内の視界から紅音が前動作なく消える。

 

川内(ッ後ろ!?)

 

 後ろからの攻撃を高速で回転する事で受け流し、そのまま蹴りを紅音の横腹に放つ。

 

紅音?「......」

 

 紅音の瞳孔が縮瞳し、放たれた蹴りの上を跳び、回避する。

 

紅音?「!?」

 

 回避して着水したと同時に紅音の四肢が切断される。

 

海風「......」

 

 さらに海風はそのまま紅音に首を落とすも

 

紅音?「......」

 

切断された所はあっという間に回復する。

 

 

 

 

 

 ショートランド泊地近海

 

響「深海棲艦はもう居ない様だけど」

 

 響は今、丁度泊地近海の終わりの地点に来ている。そして屈み、正面の海水をすくう。

 

響「これはどう言う事かな?」

 

 すくい上げた海水は真っ赤に染まっている。そして赤い海水は響を境に深海棲艦支配海域と普通の海域で綺麗に分断されている。

 

響「少し......嫌な予感がするね」

 

 右手で帽子を整えた響は深海棲艦支配海域の海上を疾走する。

 

 

 

 

 あれから10分程経ち、川内と海風は岩礁の陰に身をひそめている。

 

川内「ハァ......ハァ......」

海風「かなりしみますから」

川内「おっけー......」

海風「それではやりますね」

川内「ッゥ!」

 

 川内は左腹部からはかなりの量の『血』が出ており、その部分の服は鮮血で染まっている。今はその傷口を海風が応急処置している。

 

海風「......」

 

 海風は慣れた手さばきで傷口を流水処置そして消毒を終える。

 

海風(傷はかなり深いですが、今回は紅音の手刀で逆に助かりましたね......)

海風「傷口はかなり綺麗に斬れているので縫いますね」

 

 そう言うとこれも慣れた手さばきで傷口を縫って行く。

 

海風「これで後は安静にしていればいいんですが......」

川内「それは少し難しいかな」チラッ

 

 2人を岩礁から僅かに顔を出して紅音の様子を確認する。紅音は近くの岩礁を片っ端から見て回っている。

 

川内「ここに居ても見つかるのは時間の問題だね」

海風「それならば移動しながら新しい岩礁に隠れていきましょう。少し動きますが戦うよりはマシだと思います」

川内「ごめんね。足引っ張っちゃって」

海風「そんな事はありませんよ。それより正気に戻ったら紅音になにかしてもらわないとですね」

川内「ふふっそうだね」

 

 海風は川内に肩を貸して慎重に次の岩礁に移動する。

 

川内「.......?」

川内「海風」

海風「どうしました?」

川内「紅音は多分身体能力強化系のスキルは使ってると思うんだけど」

海風「?」

川内「紅音のスキルの中には『人探し』系のスキルもある。それを使えば私たちを見つけるのも簡単なはず。だけど使っている素振りがない。なぜ?」

海風「!」

川内「多分『使わない』んじゃなく『使えない』んじゃないかな?」

海風「でも、どうして?」

川内「理由までは分からないけど、もしかして「「紅音じゃない......」」

 

 同じことを言った2人はお互いの顔を見て、声を出さないように笑う。

 

海風「そうなるとなぜスキルを使えるんでしょうか?」

川内「う〜ん......」

川内(以前あれに近い状態になった時は隠れる余裕なんか無かったしなぁ)

海風「そろそろ移動しましょう」

川内「了解」

 

 川内と海風は岩礁から岩礁へと移動し、川内の傷の悪化を最低限に抑え、増援が来るまでの時間を稼ぐ。

 

 

 

 

 大本営の夜の軍港に立つ1人の女性。

 

?「......北上遅いクマ」

 

 くせっ毛が目立つその女性は腕を組みながら水平線を見つめている。

 

?「HEY bear!」

?「熊じゃないクマ。何回言ったら分かるクマ」

?「oh Sorryネ」

?「なんの用クマ」

?「妖精さんから気になる話しを聞いたヨ」

?「?」

 

 今来た巫女服の様な服を来た女性は、くせっ毛の女性の耳に口を近づけ小声で話をする。そうするとくせっ毛の女性は眉をひそめ、少し険しい顔になる。

 

?「それは本当かクマ?」小声

?「分からないネ。でも、妖精さんの話しが本当だとするとマズイネ」小声

?「恐らく本当クマ」

?「『響』も出たらしいヨ」

?「......金剛は出撃するクマ?」

金剛「Of course。bearはどうするネ?」

?「熊じゃなぁぁ......出撃するクマ」

金剛「それならすぐに出撃するヨ」

?「あいつにはもう言ったクマ?」

金剛「もう待ってるネ」

?「分かったクマ。早いところ出撃するクマ」

 

 そう言うと2人の女性はその場を去る。

 

 

 

 

 

 岩礁の陰。

 

海風「マズイですね......」

川内「そうだね......」

 

 2人は岩礁を移動しながら身を隠していたが紅音はとうとう岩礁を次々と壊し始め、もう隠れる岩礁はほとんど無くなっている。残っている岩礁も身を隠せるほど大きくはない。そしていくら戦闘を避けていても海風はともかく、川内は深手を負っているため体力はみるみる減っていっている。

 

川内「......私が出て時間を稼ぐ」

海風「えっ」

川内「問題ないよ。策はあるからね」

海風「しかしその傷では......」

川内「海風」

海風「は、はい?」

川内「私を信じて」

海風「......分かりました」

 

 川内のまっすぐな瞳に負けた海風はそう返事をする。そして川内は海風に小声で策を説明する。

 

川内「じゃあ私は1、2、3と数えたら出るから隙をついてここから出て」

海風「分かりました」

川内「それじゃあ」

川内「1」

川内「2」

海風「......」ゴクッ

川内「3!」

紅音?「!」

 

 川内の声に反応した、紅音の注意は川内に向けられる。そして川内は負傷者とは思えない速さで海風の居る岩礁から離れ、紅音を離れた所に誘導する事に成功する。

 

川内(雨で火薬が湿気ってないといいんだけど......)

 

 川内は腕を使わずに前方回転を行い、回転と同時に紅音へ向けて手裏剣を投げる。

 

紅音?「!」

 

 川内の両手から投げられた2つの手裏剣は紅音の両肩に突き刺さり

 

「バァァァン!」

 

爆発する。




 川内の使った手裏剣は「火車手裏剣(火車剣)」と言うもので、中央に火薬が詰められており導火線に火をつけて投擲するものです。本来は敵自信より、敵が乗ってる馬などに投げる物です。
 手裏剣は正しくは「投げる(投擲)」では無く「打つ」が正しい表現らしいのですが、この小説では「投げる(投擲)」と表記します。

 川内の策とはなんなのでしょうかね? bearとかもう答えですよね。はい多分皆さんの予想は当たってます。
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