古宮 咲の暗殺教室   作:隔離場

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なんか筆が進むなぁ…なんでだろ


3話 痴女の時間

「もう5月かぁ…早いね、一か月」

 

模擬暗殺から1週間。私は特に暗殺などを仕掛けずに皆のサポートに回っている。結局優さんに命令されたのは殺せんせーの生態調査とクラスメイトの様子を見ること、隙があれば試してみようと思うが、消極的な活動が私には好ましい。

 

この1週間でクラスメイトとはある程度の友好関係を築けていると思う。とりあえず全員の姓名は覚えた。寺坂さん、吉田さん、村松さん、狭間さんとはあまり話せていないし、基本的に控えめの性格の人物との交流は控えている。

 

渚からはこれまでに行ってきた暗殺と判明している弱点メモを共有してもらった。……テンパるのが意外と早いってのは使えるかもな。

 

教室で仮眠をとっているといつの間にかHRの時間になっていた。

 

「…今日から来た外国語の臨時教師を紹介する」

 

「イリーナ・イエラヴィッチと申します、皆さんよろしく!!」

 

…殺せんせーにベッタベタな女性が教室に来た。なんというか、嘘くさい。

 

「本格的な外国語に触れさせたいとの学校の意向だ、英語の半分は彼女の受け持ちで問題無いな?」

 

「…仕方ありませんねぇ」

 

茅野と渚がなにやら話しているように見えるが、読唇術はまだ未熟なので部分的にしか読み取れなかった。

でも弱点メモを用意しているという事はこれが弱点につながると考えたらしい。私も一応用意しておこう。

 

 

殺せんせーがイェラビッチ先生のほうを向くと、ピンク色で頬を赤くして口元が緩ませた。

 

……あれがデレッとした顔と言うのだろうか油断していると捉えたらいいだろうか。とりあえずメモに『色仕掛けが通用』と書き足しておく。

 

まぁ、巨大生物を暗殺しようと勤しむ暗殺者のタマゴ擬きが育成されているこの教室にこの時期に来るという事は教師側にも暗殺者を入れようという魂胆だろう。しっかりと授業をしてくれればいいのだが。

 

 

◇◆◇

 

 

昼食後、ほとんどの生徒がサッカーをしつつ殺せんせーの暗殺を…いや、殺せんせーの暗殺を試みつつついでにサッカーをしている。

私は暗殺はしていないが、殺せんせーの暗殺の流れ弾をかわしながらボールを奪おうとしていた。なんでサッカーにボールを4つも使うのか……。

 

「殺せんせー!」

 

そこに甘ったるい声が割り込んでくる。この声はイェラビッチ先生だな。間違いない。うちの生徒でこんな声出せそうなのは……女子は出せるかもしれない。あれ、自信なくなってきた。

 

声の出どころを見てみると手を振りながらこちらに歩いてくるイェラビッチ先生がいた。予想が当たったのはよかった。

 

「鳥間先生から聞きましたわ、すっごく足が速いんですって?」

「いやぁ、それほどでもないですねぇ」

「お願いがあるの。一度本場のベトナムコーヒーを飲んでみたくて、私が英語を教えてる間に買って来て下さらない?」

「お安い御用です。ベトナムに良い店を知ってますから」

 

殺せんせーはイェラビッチ先生と会話している間常にピンク色だった。ほんとどうなってるんだあの皮膚。

会話終了後に即座に飛び立ったという事はベトナムに向かったのだろう。相変わらず速いな。

 

校舎から予鈴が聞こえてくる。この離れた校舎でも一応遅刻者は減点される。さっさと戻るかな…。

 

そう思っていると学級委員の磯貝が率先してイェラビッチ先生に話しかけていた。

 

「えーと、イリーナ…先生?授業始まるし教室戻ります?」

 

その言葉を聞いてライターを取り出し煙草を吸いだすイェラビッチ先生。

 

「授業?…ああ、各自適当に自習でもしてなさい。それと、ファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる?あのタコの前以外では先生を演じるつもりもないし、『イェラビッチお姉様』と呼びなさい」

 

不快感の漂う甘ったるいこえが無くなってくれてよかった。素であれだったら少し怖かった。とりあえず呼び方はどうでもいいから学校の敷地内で煙草を吸うのはやめてほしいんだが…未成年が大量にいるんだし。

 

「…で、どーすんの?ビッチねえさん」

「略すな!!」

「あんた殺し屋なんでしょ?クラス総がかりで殺せないもんスタ、ビッチねえさん一人で殺れんの?」

 

そういえばクラス一斉射撃とかやってたな。あとタバコ捨てんな。

 

「…ガキが。大人にはね、大人の殺り方があるのよ」

 

そういうと渚の方に歩いていく。イェラビッチ先生が拾わずに歩き始めたからこっちで煙草拾っといた。

 

「潮田渚ってアンタよね?」

 

そういうと答えも聞かず渚に濃厚なディープキスを仕掛ける。茅野が動揺の声上げてるのがよく聞こえるが、色仕掛けで殺せんせーをだらしなくさせてたし可能性はあったろ、こういう人って。…にしても渚は可哀そうに、あれ初だろ。

 

「後で教員室にいらっしゃい。あんたが調べた奴の情報聞いてみたいわ。…ま、強制的に話させる方法なんていくらでもあるけどね。

その他も!!有力な情報持ってる子は話に来なさい!良いことしてあげるわよ。女子にはオトコだって貸してあげるし」

 

その言葉で3人の男が近くに来ていることに気づいた。…すれ違ったときに火薬と鉄、若干の加齢臭が漂ってきた。互換がいいとこういう嫌なことがたまにあるから困るんだが。——確か殺せんせーも互換は鋭いって聞いたな。伝えたほうがいいのだろうか。

 

「技術も人脈も全て有るのがプロの仕事よ。ガキは外野でおとなしく拝んでなさい。あと、少しでも私の暗殺の邪魔したら…殺すわよ」

 

…いいか。別に。多分教えても失敗するし。

この人達がどんな暗殺をするか楽しみだ。失敗した後の表情も含めて。

 

 

◇◆◇

 

 

臨時の教師としてやってきたイリーナ・イェラビッチ先生。プロの暗殺者とは聞いたけど、いろいろと甘すぎる気がする。

 

イェラビッチ先生は煙草を吸っていたし、お付きの男達は無駄な臭いが多い。殺せんせーの嗅覚が敏感なのは渚から聞いたことだから、渚から先生には伝えられていると思う。それでも今のところなんの対策もしてないのはわざとなのだろうか?

 

ちなみにそのイェラビッチ先生は教壇でタブレットを叩いて計画を練っているようだった。臨時教師とは何だったのか。授業しろよ、授業。

 

「なービッチねえさん。授業してくれよー」

「そーだよビッチねえさん」

「一応ここでは先生なんだろビッチねえさん」

 

耐えきれなかったのか前原が声をかける。その声に便乗するようにビッチコール。しかもbitch(いやらしい)の方の発音だ。これは酷い。

 

「あーー!!ビッチビッチうるさいわね!!まず正確な発音が違う!!あんたら日本人はBとVの区別もつかないのね!!」

 

イェラビッチ先生も耐え切れなくなったのか叫び、正しいVの発音を教えるといい、生徒に下唇を歯で軽く噛ませた。

 

「…そう。そのまま1時間過ごしてれば静かでいいわ」

 

これを聞いて吹き出しかけた私は悪くないと思う。授業する気がないのは最初から分かっていたが、これでは生徒のヘイトを集めるばかりだ。やっぱりわざとだろ。

 

ちなみに私は終始自習をしていた。1時間丸々空いたおかげで宿題を終わらせてからの予習も少しできた。ありがたい。

 

 

◇◆◇

 

 

翌日5時間目。体育の射撃訓練中。

 

「…おいおいマジか、2人で倉庫にしけこんでいくぜ」

 

三村だったか。髪型が多少特徴的な男子生徒がイェラビッチ先生と殺せんせーが倉庫に向かっているのを発見した。

 

「…なんかがっかりだな殺せんせー、あんな見え見えの女に引っかかっちゃってさ」

「ここで暗殺失敗して諦めて帰ってくれたら気が楽なんですがね。あの人香水きついですし」

「…古宮が久しぶりに口開いたと思ったら軽い毒吐きやがった」

 

そこまで黙っている自覚はなかったが…周りからしたら無口に思われているのだろうか?

 

まあ最近心の中でしか話してないような気もしたし。突っ込むのはよそう。

 

「鳥間先生、私たち……あの人のこと好きになれません」

「……すまない。プロの彼女に一任しろとの国の指示でな。…わずか1日で準備を整える手際の良さ、殺し屋として一流なのは確かだろう」

「国も人を見る目がないという事ですね」

「…黙秘させてもらおう」

 

そんな会話をしていると、倉庫の方から銃撃音が聞こえてきた。先日クラスの前で聞いたエアガンの軽い発射音でなく、実銃の腹の底に響く音だった。

 

「実銃?…鳥間先生、イェラビッチ先生に対先生弾を渡していないですか?それとも実銃が効果あるとか」

「いや、奴は鉛の弾は体内で溶かして無力化する。あの弾でないと効果的なダメージは与えられない。彼女にもそう伝えて確かに渡したはずだが…」

 

忠告を聞かないところを見ると冗談かなにかと捉えたのか……ホントにプロなのかあの人。ただの阿呆じゃなくて。

 

ヌルヌルヌル。

「いやぁぁぁぁぁ!!」

 

「な、なんだ?!」

「銃声の次は鋭い悲鳴とヌルヌル音が!!」

 

ヌルヌルと、鳥肌がたつ気色の悪い音と悲鳴が断続的に聞こえてくる。悲鳴は最初の叫びほどの勢いはなくなり、消え入りそうな声になっていた。

 

「めっちゃ執拗にヌルヌルされてるぞ!」

「行ってみようぜ!!」

 

その声に従い生徒のほとんどが倉庫に集まる。ちょうど戦闘が倉庫に着いたと同時に倉庫のドアが開く。

 

「殺せんせー!!」

「おっぱいは!?」

 

最初に声をかけたのは渚だが、次に続けたのは坊主頭の男子生徒、岡島だ。女子から軽蔑の視線を向けられているのに彼は気づいているだろうか。

 

「いやぁ…もう少し楽しみたかったですが…皆さんとの授業のほうが楽しみですから。6時間目の小テストは手ごわいですよぉ」

「…あはは、まぁ頑張るよ」

「私はまた全教科とかじゃないですよね?」

「おや、よく分かりましたねぇ」

「…またか…」

 

この会話をしているうちにイェラビッチ先生もゆらりと倉庫から出てきたが、体操服、ブルマ、頭に鉢巻きとなんとも健康的かつレトロな格好にされていた。

 

…なるほど。これが渚の言っていた暗殺者に対する手入れか。えげつないな……

 

「ま、まさか…わずか1分であんなことされるなんて…肩と腰のコリをほぐされて、オイルと小顔のリンパをマッサージされて…早着替えさせられて…その上まさか……触手とヌルヌルであんなことを…」

 

そういいながら前のめりに倒れる。マッサージが気持ち良すぎて失神したか。

 

「殺せんせー、なにしたの?」

「さあねぇ、大人には大人の手入れがありますから」

『悪い大人の顔だ!!』

 

うっわ、真顔うっす!顔文字みたいだな殺せんせー。

 

「さ、教室に戻りますよ」

「「はーい!!」」

 

皆が意気揚々と教室に戻る中、私はイェラビッチ先生の様子が気になって振り向いてみた。「大人には大人の殺り方が~」とか言っていた人の暗殺が見事に失敗したのでその顔を拝みたいというのが本音だが。

 

イェラビッチ先生は苛立たしさを前面に出した顔をして鉢巻を握りしめていた。

 

…あんな格好にされて赤恥かかされたから怒るのは構わないけど、また迷惑かけてくるんじゃないだろうな。…こっちに矛先が向かない限りはノータッチでいいか。向いたら鎮圧すればいいし。

 

 




分かった。主人公のセリフが少ないからだ!
…やばいな…みんなのキャラが掴みづらい
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