古宮 咲の暗殺教室   作:隔離場

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暗殺教室の世界ではもうすぐ試験ですが、私の高校でも試験がありました。

何一つ勉強していませんでしたが、赤点/追試共に回避しました。
科学の元素記号と名前20問完答で5点って配点おかしいんじゃないですかね?


5話 集会の時間

ビッチ先生が教室に馴染んでものの数日、私達は急いで山を下っていた。

 

月に1度の全校集会。E組の生徒は昼休みを返上し本校舎の体育館に整列していなければならない決まりがある。正直軽い嫌がらせ程度にしか思えない。

 

私は5分もあればどんな妨害ありでも下山できるため、けが人がいないかの確認をしつつ最後尾を歩く。途中橋が崩れていたり、蛇が出てきたり、山頂の方から岩が転がってきたり、蜂が襲ってきたりしたが、手持ちの武装で何とかなった。

 

橋は渡らず迂回し横幅が狭くなったところを飛び越えた、蛇はポケットから出したワイヤーで頭を雁字搦めにして無力化し、岩は背中から出した槍で進路をそらし、蜂は袖のヌンチャクで死なない程度に全て叩き落とした。なんとか危機は脱したが、偶然その様子を目撃していた矢田、原、不破の3名にドン引きされた。……いや、不破は目を輝かせていたか。

 

「それだけ強いなら私達負っていけるんじゃない?」

「やりましょうか?」

「え、できるの?!」

「古宮家の男は全身の筋力を鍛えあげられます。私の場合は前の主人の意向でより強く鍛えられました。よって所持可能重量は130kgほどです」

「ひゃくさっ…」

「では参りましょう。今から私が全力で走れば2分ほどで到着です」

「や、やっぱ遠慮しようかなー…」

「そうですか…では又の機会に」

 

その後もクマが現れるハプニングに遭ったが、威圧しながらクマに微笑むと大急ぎで退散していってくれた。賢いクマだ。殺すのは最後にしてやろう。

 

やっぱり3人に怪訝な目をされた。冗談だから!

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

一応怪我なく本校舎まで降りてこれた。他の皆はかなり疲れてるが。岡島なんか2匹ほどの蛇に巻きつかれて倒れているが、あれは毒性のないものなので無視しておこう。

 

「ほら皆!急いで整列しようぜ!」

 

疲れきった皆を鼓舞しながら体育館に向かう磯貝。さすがの指揮力だな学級委員。

 

体育館内はE組以外の生徒はポツポツと集まっている。E組は整列してるけどな。これがこの学校の理事長、浅野學峯の教育方針だ。

 

勉強が遅れ点数が取れなくなった人を劣悪な環境におき、そこには行きたくないと思わせることでD組以上の生徒の学力向上に努める。悲しいかな、人は自分より下にいる比較対象を持つことでそれ以下になりたくないと思わせる心理がある。

 

素晴らしく合理的で、ツマラナイ教育理論だ。

 

この集会も理事長の作戦の一つ。

 

『――要するに、君たちは全国から選りすぐられたエリートです。この校長が保証します。…が、慢心は大敵です。油断してると…どうしようもない誰かさん達みたいになっちゃいますよ〜』

 

瞬間、体育館中のE組以外の生徒は爆笑の渦に包まれた。毎度毎度のことだが耳障りな笑いだ。醜悪な笑い声と嬉しそうな生徒の顔。見るだけで不快感が増す。正直こいつらの顔を一人づつ殴ってやりたいが、古宮と深月の両家に迷惑をかけることはできない。我慢、我慢。

 

『こら君達笑いすぎ!!校長先生も言い過ぎました』

 

白々しい。自分も愉快そうに大笑いしていたくせに。…その髪の少ない頭弾け飛んでくれないかな、ダルマが出てきてもいいから。

 

「渚、そーいやカルマは?」

「サボリ。集会フケて罰喰らっても痛くも痒くもないってさ、素行不良で成績優秀ってこういう時羨ましいよ」

 

私の後ろの方にいる渚と菅谷が笑い声を無視して話している。…確かに移動の時もいなかったな。私もサボればよかった。

 

『続いて生徒会からの発表です。生徒会は準備を始めてください』

 

生徒会発表の準備時間、烏間先生が体育館に入ってくる。本校舎の先生に挨拶しているようだ。

 

「烏間先生〜、ナイフケースデコってみたよ」

「かわいーっしょ」

 

今度は私の前の方で倉橋と中村がナイフケースを烏間先生に見せている。それぞれ兎と十字架がデザインされている。なかなか上手いな。

 

(……ッかわいいのはいいがここで出すな!!他のクラスには秘密なんだぞ暗殺のことは!)

「…はーーい…」

 

烏間先生はナイフケースを他の生徒が見れないように手で隠した。

 

「…なんか仲よさそー」

「うちのクラス先生も生徒もブサメンしかいないのに…」

 

D組の女子2人が羨ましそうに烏間先生を見ている。…多分後ろの男子2人は言っていいと思うぞ。お前らが言うなって。

 

そういえば、E組って顔面偏差値かなり高いよな。男女の共に。それぞれの魅力が溢れている。私以外は。

 

そうこうしているとビッチ先生も体育館に入ってきた。

 

「ちょっ…なんだあのものすごい体の外国人は?!」

「あいつもE組の先生なの?」

 

こちらも他のクラスの方から聞こえてくるが、お前らその羨ましそうな声と目線をやめろ。ビッチ先生の授業中出される問題は正解不正解問わず公開ディープキスが待ち受けてるぞ。私は今まで何とか逃げおおせているが、私もいつやられるか分からない。

 

ほら、今も渚が胸に顔突っ込まされてる。あの人真性のビッチなんじゃないかな。本当に。

 

『…っはい。今、皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です』

 

壇上に立っている生徒会のメンバーが手に持ったプリントを掲げつつ説明を始めようとする。もちろん私達のところへはプリントなど来ていない。それはそうか、E組差別の一環だろうし。

 

「…すいません。E組の分まだなんですが…」

 

磯貝がダメ元で聞いてみるが、絶対無いなこれ。

 

『え、無い?おかしーな……。ごめんなさーい、3-Eの分忘れてみたい。すいませんけど全部記憶して帰ってください。ほら、E組の人は記憶力も鍛えたほうが良いと思うし』

 

うん。死ね。あいつ確かA組の荒木鉄平だろ。顔覚えたからな、夜道に気を付けろ。できれば自然死するかできうる限り自然な殺され方をして欲しい。

 

そうして軽く殺気立っていると、私達を強い風が襲った。

 

手元には手書きのものと思われるプリントが落ちてくる。

 

「磯貝君。問題ないようですねぇ、手描きのコピーが全員分あるようですし」

「…はい」

 

声のした方を見ると身長約2m、髪の生え際と関節が非常に曖昧で輪郭が丸っこいギリギリ人型の殺せんせーがそこにいた。……ギリギリアウト!なに国家機密が学校の集会に顔出してんだ!変装してるからいいものを……いや、変装も酷いな。

 

「……あれ…、あんな先生さっきまでいたか?」

「妙にでかいし関節が曖昧だぞ」

 

ほらみろ。早速怪しがられてんだろ。ビッチ先生はナイフで刺そうとするな!どうせ当たんないんだから。あ、連れて行かれた。烏間先生ナイスです。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

集会終了後、私はとある現場に遭遇した。

 

「おい渚、おまえらさー…ちょっと調子乗ってない?」

「えっ…」

「周回中に笑ったりして周りの迷惑も考えろよ」

「E組はE組らしく下向いてろよ」

「どうせもう人生詰んでるんだからよ」

「……」

 

明らかにモブ顔の2人に渚が絡まれている現場だ。

 

普通の学校でやったら生徒指導室への切符を渡されるところだが、ここは差別の激しい椚ヶ丘だ。E組の人間には何をしてもいいという意識が生徒全員に根付いている。…ちょっとちょっかいかけてこようかな。

 

袖に手を入れながら3人のところに歩いて行こうとすれと、右肩に引かれるような感覚があった。後ろを見てみると、確かなめてる時の顔か、黄色と緑色の縞模様をした殺せんせーが立っていた。

 

「心配しなくても、あの程度の生徒にそう屈したりしませんよ。君を含め、私を暗殺しようとする生徒は皆ね」

 

そういう殺せんせーはその気色の悪い顔色と付け鼻が取れるハプニングがなければ多少はカッコ良かっただろう。キメ顔なところ悪いが、顔の色が床屋のサインポールのごとく回っている。それでは人間じゃないと即バレするだろう。何を考えているんだ。

 

「なんとか言えよE組!殺すぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――殺そうとしたことなんて無いくせに――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ…」

 

渚の放った一言、その言葉だけなら特になんの恐怖も抱けないだろう。しかし、その目には微小ながらも確かな殺気が宿っていた。その後普通に歩いて去ったことから、明確な殺意ではなく、無意識下に発した物だということが読み取れた。

 

正直、渚が殺気を放ったこと自体はさほど重要ではない。本人が気づかなければその力が活かされることはないだろうし、渚がそういった力を悪用するとは思えない。

 

私にとって重要だったのはその殺気が私の今は亡き祖父、古宮 一徹にのものと類似していたからだ。

 

綺麗な殺気。邪魔な悪感情が一切混じらない、ただ純粋な殺気。私が初めて味わい、惚れ込んだ殺気だ。私は祖父のこの殺気を8年かけて習得しようとした。…祖父が亡くなるまで習得はできなかったが。

 

もう見ることはないと思っていた芸術的ともいえる殺気を放つことができる彼、潮田 渚が少しだけ羨ましくなった。

 

「ヌルフフフ、言ったでしょう。君達は殺る気が違うと」

 

殺せんせーのその言葉は若干白々しく思えた。なぜかはわからないが。




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